・相続財産額3億円(死亡退職金含む)
・相続人:配偶者(妻)・未成年のお子様2人(いずれも10歳以下)
・ 背景:若くしてご主人がご逝去。相続後の生活・資産管理の実務を奥様が担う。
事例概要
お子様が未成年のため法定代理人を選任する必要があったが、提携している司法書士の先生と連携し、税務・法務の両面から家庭裁判所に丁寧な説明を行うことで、法定相続分以外での分割が認められ、数百万円の節税ができた事例です。
ご依頼の背景
背景
旦那様が急逝された状況で右も左もわからず、いくつか他の税理士事務所にも相談されたとのことでした。
他の税理士事務所では「法定相続分どおりに分けるしかなく、配偶者は配偶者の税額軽減で税額はかからないものの、子の取得分は未成年者控除では吸収しきれず数百万円規模の納税が発生する」と説明を受けてましたが、相続税専門の税理士の話も聞きたいとのことでご相談にいらっしゃいました。
状況と問題点
・分割については、法務や家庭裁判所の判断など不確定な要素がある。
・法定相続分通りの分割になると子供については納税額が生じてしまう。
・分割内容に関わらず、子供は10歳に満たないため配偶者が養育していく必要がある。
・配偶者としては故人が残してくれた財産を可能な限り残したい。
解決までの道のり
当法人からのご提案
司法書士と綿密に協議し、相続の「法務(手続の適法性)」と「税務(税負担の最適化)」を一体で下記の2点のご提案をしました。
提案1.未成年者の法定代理人の人選
法定代理人は家庭裁判所で選任を受けますが、母親は自身も法定相続人になるため利益相反となり、子供の法定代理人にはなることはできません。
この場合、弁護士の先生や司法書士の先生に法定代理人についていただくことも多いのですが、士業関係者では基本的には法定相続分以外の分割は難しいです。
そこで、被相続人のご兄弟に未成年者の法定代理人として就任いただくことで、硬直的な「法定相続分確保」の発想にとらわれない実務的合意の余地を確保しました。
提案2.家庭裁判所への陳述書提出
法定代理人と遺産分割協議を行う場合、家庭裁判所にも分割内容の承認を受ける必要があり、原則的には法定相続分どおりの分割になってしまいます。
そこで、法定相続分で財産を分割した場合と配偶者の取得割合を多めに分割した場合の2案を併置し、いずれの場合も実務上の管理・養育は奥様が担う点、そして配分差による税額の違いを丁寧に可視化して説明しました。
その結果、家庭裁判所の関与のもと、適法性・妥当性を確認しながら分割協議を整えることができました。
得られた結果
当初他の税理士に言及された税額より大幅に相続税負担を抑制した内容で申告まで完了することができました。
また、法定代理人の選任のサポートから不動産の登記業務、税務申告まで提携している司法書士と連携して一括で対応できたため相続人の方の事務場の負担も大幅に低減することができました。
案件のポイント
この事例では、税務だけでなく法務の観点から連携して対応するのがポイントでした。
士業関係者ではなく一般のご親族(被相続人のご兄弟)に就任いただくなど状況を整え、「法定相続分案」と「配偶者多め案」を家庭裁判所に比較提示し、税額インパクトと実務上の管理体制を具体的に示して理解を得ました。

