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国際相続・相続税対策に
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    国際相続サポート

    • 2026.02.11
    • 門倉 誉士希

    海外の財産に相続税はかかる?日本との違いや注意点を専門家が解説

    「海外に財産がある場合、日本や海外で相続税がかかるのだろうか。」 「そもそも海外の相続税の仕組みはどうなっているのだろうか。」 海外に財産をお持ちで、ご自身に万が一があったときの税金についてご不安をお持ちですね。 結論を言うと、海外にある財産にも日本の相続税はかかる可能性が高く、海外の相続税はその財産の所在する国によります。 そして、近年日本の国税庁は、海外に財産をお持ちの方の相続税申告に漏れがないか、厳しくチェックをしています。 実際に、厳しい税務調査によって海外財産の計上漏れを指摘され、ペナルティ付きの多額の追徴課税を受け、数千万円単位の税負担を強いられたケースも存在しています。 しかもその数は1件や2件ではなく、毎年全国で多数存在するのです。 この記事では、海外に財産を持っている場合に日本や海外で相続税がかかることになるか、という点についてまとめました。 海外の財産にかかる相続税について知り、自分の財産をどこに置くことが理想なのか考えていきましょう。 1章 海外にある財産に日本の相続税はかかる?その基本と課税対象 結論、亡くなった方が日本人で過去10年以内に日本に住んでいた場合、または、日本人の相続人が過去10年以内に日本に住んでいた場合は、亡くなった方が海外に持っていた財産にも相続税がかかります。 以下は相続税の課税対象が日本国内の財産だけとなるか、海外にある財産も含まれるかの判断のためのフローチャートです。 1-1 海外にある財産でも、日本の課税対象になるケースがある このように、基本的にはほとんどのケースで海外にある財産が日本の相続税の対象となるのです。 逆にいえば、財産を持っている方とその相続人が日本人である場合は、そのどちらもが10年超日本に住んでいない状態でないと海外にある財産にも日本の相続税がかかる、ということになります。 1-2 「被相続人」と「相続人」の住所と国籍で変わる課税範囲 日本の相続税が海外の財産にもかかるかどうかは以下の表のとおり、亡くなった方とその相続人の居住地と国籍によって変わります。 日本の相続税がかかる範囲 ※1 外国人被相続人を除く 外国人被相続人…相続開始時に一定の在留資格を有するもの。 ※2 一時居住者を除く 一時居住者…相続開始時に一定の在留資格を有する者で、相続開始前15年以内の国内居住期間の合計が10年以下であるもの。 ※3 非居住被相続人の前提 非居住被相続人…相続開始前10年以内において、国内に住所を有していた期間中、継続して日本国籍がなかったもの。 ・海外財産を持つ日本在住の方が亡くなった場合は、その財産を相続する人がどこに住んでいたとしても日本の相続税の対象となります。(上記表のケース①、②) ・海外財産を持つ海外在住の方が亡くなった場合は、その財産を相続する人が日本に住んでいる場合は日本の相続税の対象となります。(上記表のケース③) ・亡くなった方もその財産を相続する人も海外に住んでいる場合は、その国籍や過去10年以内に日本に住んでいたかどうかで海外の財産にも日本の相続税がかかるかどうかが決まります。(上記表のケース④~⑲) ・なお、実際に日本の相続税がかかるかどうかは、亡くなった方の日本の相続税の対象となる財産(相続税の課税価格)が相続税の基礎控除(3,000万円+法定相続人の数×600万円)を超えるかどうかで判断します。 1-3 海外に住んでいたとしてもほとんどのケースで日本の相続税からは免れられない このように、海外に住み、海外に財産を移したとしてもほとんどのケースで日本の相続税からは免れられない仕組みとなっています。 近年の税制改正により、海外に移住して日本の相続税がかからないようにしよう、という対策はより難しくなっています。 2章 財産が国内にあるか、海外にあるかはどう判断する?その原則、ルール その財産が日本の財産(国内財産)となるか海外の財産(国外財産)になるかの判定は財産ごとに以下の所在地により行います。 ちなみに、海外の財産にも日本の相続税がかかる場合、日本の財産の場合と同様に価値のあるものはすべて相続税の対象となります。 主な財産の所在地の判定場所 3章 国内財産、国外財産の判断の具体例 それでは、具体例を基に次の財産が国内財産となるか、国外財産となるかについて見ていきましょう。 【具体例】A銀行(本店は東京都)の北京支店にある普通預金 【判定】国外財産。受入れをした営業所の所在地が国外であるため。 【具体例】日本の証券会社を通じて購入したB社(本店はアメリカ)の株式 【判定】国外財産。B社の本店が国外であるため。 【具体例】C証券会社(本店はアメリカに所在)東京支店で購入した投資信託の受益証券 【判定】国内財産。信託の引受けをした営業所の所在地が国内であるため。 【具体例】D生命保険会社(本店はカナダ)からの死亡保険金(保険契約にかかる事務を行う営業所は東京都にある) 【判定】国内財産。保険の契約に係る事務を行う営業所や事務所が国内にあるため。(ない場合はD生命保険会社の本店が国外にあるため、国外財産となる。) このように財産ごとにその判定の基準となる所在地が異なるため、慎重な判断が必要となります。 4章 主要国別の相続税の課税ルール・ポイント 海外に財産がある場合は日本の相続税だけでなく、財産のある国において相続税がかかることがあります。 続いて、各国の相続税の概要についてみていきましょう。 4-1 アメリカの相続税(遺産税) ・特徴 アメリカには日本の相続税に相当する「遺産税」が存在します。 日本の相続税の納税義務者は「相続人」となりますが、アメリカの遺産税の納税義務者は亡くなった「被相続人」となります。 ・課税対象となる財産の範囲 被相続人がアメリカ市民かアメリカの居住者である場合→全世界の財産が遺産税の対象 被相続人が非居住者である場合→アメリカ国内の財産だけが対象 ・控除額(基礎控除) アメリカの遺産税も日本の相続税と同様に財産が一定の控除額を超えた場合に税がかかる仕組みとなっています。 アメリカの連邦遺産税の基礎控除額(2026年分)は1,500万ドルで1ドル150円の為替レートで換算すると22.5億円となります。 この控除額は日本の相続税に比べて大きなものとなりますが、遺産税の控除額は頻繁に変更されるため最新の税制を確認することが重要です。 ・税率 アメリカの遺産税の税率は累進課税となっています。 財産の金額が大きくなるほど税率も高くなります。 税率は最大で40%(2026年1月現在)となっていますが、遺産税の税率は頻繁に変更されるため最新の税制を確認することが重要です。 ・申告と納税期限 原則:相続発生日から9か月以内に申告と納税が必要 ・州の遺産税にも注意 アメリカでは国税としての遺産税の他に、州ごとに州税としての遺産税が存在します。 州の遺産税については非課税の範囲や税率が州ごとに異なるため、該当する州の法律を確認する必要があります。 国税の遺産税は控除額以下で発生しなかった場合であっても、州税の遺産税は発生する、ということもあります。 【「アメリカの相続税(遺産税)」についてはこちらの記事をご参照ください】 4-2 ドイツの相続税 ・特徴 ドイツには相続税があり、日本の相続税と同様に納税義務者は相続人となります。 ・課税対象となる財産の範囲 被相続人か相続人がドイツの居住者であった場合には全世界の財産が相続税の対象となります。 被相続人と相続人の両方がドイツの非居住者であった場合にはドイツ国内の財産のみが対象となります。 ドイツの居住者であるかどうかはドイツの税制に基づいて判断する必要があるため、慎重な検討が必要です。 ・控除額(基礎控除) ドイツの相続税も一定の控除額が設けられておりますが、被相続人との続柄等によりその控除額と税率が異なる仕組みとなっています。 ・税率 ドイツの相続税の税率は累進課税となっています。 財産の金額が大きくなるほど税率も高くなります。 税率は最大で50%(2026年1月現在)となっています。 ・申告と納税期限 相続税の対象となる財産の移転があった場合→原則的にその事実を知ったときから3か月以内に税務当局に対して届出を行う必要があります。 届出後税務当局から通知が到着→通常、通知後1か月以内に申告する必要があります。 申告後、納税額の決定通知書が到着→通常、通知書が届いてから1か月以内に納税期限が到来します。 4-3 シンガポール シンガポールには相続税はありません。 過去には日本の相続税に相当する「遺産税」がありましたが、2008年2月15日以後の死亡について廃止されました。 また、シンガポールにはキャピタルゲイン(資産の売却益)に対する課税もありません。 4-4 香港 香港には相続税はありません。 4-5 中国 中国には相続税はありません。   世界的に見ると、相続税が無い国は意外と多いのです。 続いて、日本と海外の相続税の両方がかかってしまった場合の対処法について解説します。 5章 要注意!海外財産の相続で発生しうる「二重課税」のリスクとその回避策 亡くなった方が日本に住んでいた場合等は海外にある財産についても日本の相続税がかかること、また、海外においても相続税がかかる国があることを説明してきました。 この相続税のルールは各国で定めているため、海外にある財産に対して日本の相続税と海外の相続税の両方がかかってしまう「二重課税」の問題が生じることがあります。 【例】 ドイツに住んでいるドイツ国籍の人が、ドイツに3億円の預金、日本に2億円の不動産がある状態で亡くなった場合 ドイツの相続税→その全ての財産5億円(ドイツにある3億円と日本にある2億円)が対象 日本の相続税→日本にある財産2億円については日本の相続税の対象 さらに、相続人が日本に住んでいる場合は、原則的に日本においても全ての財産5億円が日本の相続税の対象 【イメージ図】 このように、各国の税金が二重でかかってしまうことを「二重課税」といい、これを防ぐために「外国税額控除」という方法があります。 6章 二重課税を合法的に回避する「外国税額控除」制度とは? 「外国税額控除」とは、簡単に言うと、「海外でも日本でも税金を払うことになったとき、日本の税金から海外で払った分を引ける制度」です。 海外の財産にその所在する国の相続税がかかった場合には、その税額を日本の相続税から控除することができる、ということになります。 具体例を示すと以下のようになります。 【例】 前提:日本に住んでいる方が、日本に7億円の財産、海外に3億円の財産がある状態で亡くなった。相続人は日本に住んでいる子ども1人。 日本の相続税:全世界の財産(10億円)に対して日本の相続税4億円が発生 海外の相続税:海外にある財産(3億円)に対して財産所在国の相続税1億円が発生 この場合、全世界の財産にかかる日本の相続税4億円から、外国税額控除によって海外の財産にかかる海外の相続税1億円を差し引き、残りの3億円だけを納めることとなります。 【イメージ図】 一方、日本の財産に海外の相続税がかかった場合には、その税額を日本の相続税から控除することができません。したがってその場合には、海外の相続税額からその国の外国税額控除のルールに基づいて日本の相続税額を控除できるかを検討することとなります。 日本の相続税申告で外国税額控除の適用を受ける場合、その控除額は以下のうち、いずれか少ない金額となります。 ・海外で支払った相続税相当額 (上記例の場合は海外の相続税1億円) ・日本で支払う相続税のうち海外財産が占める割合分の金額 (上記例の場合は、日本の相続税4億円×海外財産3億円/全世界財産10億円=1.2億円) この「外国税額控除」の適用を怠ると、税金を2重で払ったままとなってしまうため、忘れずに適用を受けることが大切です。 【「外国税額控除」についてはこちらの記事をご参照ください】 7章 海外資産の相続税評価における基本的な原則と評価基準 海外の財産が日本の相続税の対象となる場合、海外の財産も日本の財産と同様に基本的には「財産評価基本通達」という一定のルールに基づいて評価します。 しかし、この「財産評価基本通達」は日本の財産を評価することを前提に作られているため、海外の財産にはそのまま使えないことがあります。 その場合には売買実例価額や精通者意見価格等を考慮して評価することとなります。 具体的には、専門家の鑑定額等をベースに評価を行うこととなります。 8章 国際相続に強い税理士がこれだけは伝えたい特に重要な5つのポイント(注意点) 弊社は国際相続にかかる相続税申告を多数手がけておりますが、海外に財産がある場合の相続税の手続きにおいて特に伝えたい重要なポイントは以下の5つです。 ・海外の財産も日本の相続税の対象となるかの判断 日本の相続税を計算する上では、海外の財産も対象となるか、日本の財産だけが対象となるかを判定することが重要です。これによって日本の相続税額が大きく変わることもあります。 ・海外財産の評価 海外の財産の評価は日本の財産の評価と異なり、特殊な判断が必要となります。 財産によっては海外財産が所在する現地の専門家に鑑定を依頼する必要がある場合もあります。 ・外国税額控除 海外財産に対して2カ国以上の相続税がかかっている場合には二重課税を排除するため外国税額控除の適用を検討する必要があります。 ・優秀な現地(海外財産の所在地)の専門家とつながること 日本の相続手続きを依頼している弁護士や相続税申告を依頼している税理士を経由して現地の優秀な専門家とつながることがポイントとなります。 海外財産の所在する国で相続税の申告が必要となった場合、現地の弁護士や会計士等と連携をして申告書を提出する必要があります。 ゼロからいきなり海外の専門家とつながることは困難であるため、日本の相続手続きを依頼している専門家を通して現地の優秀な専門家とつながることが重要です。 ・日本の相続税の申告・納税期限を守ること 海外に財産があったとしても、相続税の申告・納税期限までに申告書の提出と延納等の手続きをすることにより、税金の負担を最小限に抑えることが重要です。 海外の財産を解約し、財産を手にするには1年~2年程度の期間がかかることが通常です。 一方、日本の相続税の申告・納税期限は相続の開始があったことを知った日から10か月以内となります。 そして、この期限を過ぎてしまうとペナルティの税金がかかることとなります。 海外の財産については、期限までにその相続税の納税資金が確保できない状況も想定されます。 その場合においても、相続税の申告・納税期限までに手続きを行い税金の負担を最小限に抑えることが重要です。 9章 海外が絡む相続税でよくある3つの Q&A  Q:海外に引っ越せば日本の相続税はかからなくて済むの? A:必ずしもそうとは限りません。 現状の日本の相続税のルールでは、被相続人と相続人の双方が日本国籍で、かつ、過去10年超日本に住んでいない場合、海外の財産には日本の相続税はかからないこととなっています。 しかし、海外に引っ越してそこに10年超住み続けるということには、生活・ビザ・家族・仕事・健康保険・年金など税金以外の様々なハードルがあります。 また、近年の税制改正の経緯としては「税金回避目的の海外移住」を封じるような制度強化が行われてきており、今後もこの傾向は続くものと想定されます。 加えて注意すべきなのは、仮に海外に引っ越して10年超が経過したとしても、日本にある財産は日本の相続税の対象となるという点です。 実際には、海外移住を検討したものの断念をした、というケースが多数となります。 Q:海外の財産はどのように把握する? A:遺言書、通帳、契約書、本人の生前の記録・メールなどを通じて、地道に調査します。 海外の銀行口座や証券口座は、日本のように戸籍等を出せば開示されるわけではなく、現地の法制度に従う必要があります。特にプロベート制度を要する国(アメリカ・イギリスなど)では、裁判所の承認なしには情報が開示されないことが多いため、時間も手間もかかります。 【「プロベート手続き」についてはこちらの記事をご参照ください】 Q:海外財産の申告漏れがあった場合、どんなペナルティがある? A:海外財産の申告漏れがあった場合、自主的に修正申告・納税を行った場合には、利息的な性質である延滞税のペナルティの税金が生じます。税務署から申告漏れの指摘を受けた場合は延滞税に加えて過少申告加算税等のペナルティの税金が生じます。 10章 まとめ 海外の相続税は国際相続に強い税理士に相談しよう 海外に財産がある場合の相続税は、被相続人や相続人の住んでいる場所や国籍、財産の所在地がどこにあるかによりその課税関係が異なります。 日本の相続税だけでなく海外の相続税がかかることもあり、その手続きは非常に複雑になります。 日本の相続税に関する知識だけでなく、海外財産が所在する現地の専門家と連携することも重要です。 相続税の手続きを問題なく進めるためには、まずは国際相続の実績のある日本の税理士のサポートを受けることをおすすめします。 税理士法人マインライフは、新宿・津田沼を拠点に、相続・国際相続の専門家として豊富な実績を持つ少数精鋭の税理士法人です。 年間数百件の相続税申告を担当しており、経験豊富な税理士が必ず最初から最後まで対応します。 マインライフが選ばれる理由 「海外にある財産の相続手続きをどうしたらいいのかわからない・・・。」と感じている方は、ぜひ税理士法人マインライフへご相談ください。 初回面談は無料です。ご状況をお伺いし、今すぐできる最善の方法をご提案いたします。 共に海外財産の相続対策の第一歩を踏み出しましょう。
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    国際相続サポート

    • 2026.02.02
    • 久保 佑介

    海外在住の子・孫への贈与~相続時精算課税制度は使えるか~

    「相続時精算課税制度」を利用してお子様・お孫様へ贈与をお考えのあなた 海外在住でも適用が受けられるか心配されていませんか? 実際のところ、通常の要件を満たせば相続時精算課税制度は受けられます。 本記事では、海外在住の受贈者(贈与を受けた者)でも日本の相続時精算課税制度の適用が受けられるのか、 そして、制度を利用する際の注意点について海外税制を踏まえて解説します。 ぜひ記事を読んで、相続時精算課税贈与を行う際の参考にしてください。 第1章 受贈者(贈与を受けた者)が海外在住の場合に相続時精算課税制度は使えるか?  結論、海外在住であっても相続時精算課税制度は使えます。 相続時精算課税制度は、親から子や孫への生前贈与について、「贈与した時点では一定額まで贈与税がかからず、相続が発生した時点で相続税でまとめて精算する」という仕組みです。 相続時精算課税制度についてはこちら(税理士が教える!贈与税がかからない合法テクニック8選「第3章」へ) 日本に住んでいなければ利用できないわけではなく、たとえ受贈者が海外在住であっても相続時精算課税制度の要件さえ満たせば利用可能です。 〈相続時精算課税制度の要件〉 ➀贈与者(あげる人): 60歳以上の父母または祖父母 ➁受贈者(もらう人): 18歳以上の子または孫 ➂手続き:「相続時精算課税選択届出書(一定の書類を添付)」を提出する ※年齢は贈与を行った年の1月1日時点で判定します。 ただし、海外在住者が関与する場合には、税務署に対して納税管理人を定める必要があり、通常の手続きと異なる注意点があります。 第2章 海外在住の子どもに贈与する場合の注意点 海外在住者への贈与はその手続きが日本居住者の場合と異なるケースがあります。以下の点には特にご注意ください。 2-1 納税管理人の届出が必要 海外に住む子どもなどが贈与を受ける場合、日本国内に納税管理人を選任し、税務署に「納税管理人届出書」を提出する必要があります。 納税管理人とは、納税の手続きを代理で行う存在です。例えば、海外に住んでいる人が日本で納税をする必要がある場合に納税管理人の選任が義務付けられています。 ・提出先: 海外在住者が贈与税の申告をする場合は、住所を管轄する税務署がありません。 自分で日本国内のどこかの税務署を定めてそこに届出することになります。 実際には、納税管理人の住所に合わせることが多いです。 ・納税管理人: 誰でもなれる。 日本に住む親族、信頼できる知人、または税理士が選任されるケースが多い。 ・役割: 納税管理人は、申告書の提出や税金の納付など受贈者に代わって税務署とやり取りする法的な窓口となります。 2-2 添付書類を提出することが必要 相続時精算課税制度を使う場合、届出書とともに以下の添付書類を提出する必要があります。 「戸籍謄本・抄本・その他の書類」(次の内容を証する書類) ①受贈者の氏名、生年月日 ②受贈者が贈与者の子・孫などであること ※海外在住者であっても準備する書類に違いはありません。 ※外国籍の場合にはその他の書類(宣誓供述書など)で証明する必要があります。 ※戸籍は日本語なので翻訳は不要ですが、外国語書類は日本語訳を添付する必要があります。 2-3 海外での税務報告義務(米国の場合はForm 3520) 米国に住む子どもなどが日本から贈与を受けた場合、受贈者はForm 3520をIRS(アメリカ内国歳入庁:日本でいう国税庁に相当)に提出しなければなりません。 ・提出基準: 年間10万ドル(1,500万円(150円/1ドル))を超える米国非居住外国人からの贈与を受けた場合に義務発生。相続時精算課税で多額の贈与を受けるケースでは該当することがあるため留意が必要です。 ・提出期限: 翌年4月15日(延長申請をしていれば延長後の期限まで) ・罰則: 未提出の場合、贈与額の最大25%に相当するペナルティが課されることがあります。 したがって、日本側で贈与税をきちんと申告しても、米国側での報告を怠れば重大なリスクを抱えることになります。 2-4 将来相続時に状況が変化し納税義務が発生 相続時精算課税制度は、親から子や孫への贈与について、贈与時点での税負担を軽減し、相続時にまとめて精算する制度です。 将来贈与者に相続が発生した場合、相続時精算課税制度の適用を受けた子どもなどについて相続時の納税義務が贈与時と異なる場合は注意が必要です。 贈与時は全世界に課税される者であったが相続時は日本財産のみに課税されることとなったケース(例 贈与後に贈与者が海外移住し10年超経った場合) 相続税の納税義務の判定では、海外在住者は日本財産のみ課税となることとなるが、相続時精算課税制度により取得していた贈与財産については日本の相続税の申告納税義務が生じる。 →相続時には日本の財産を取得せず、本来相続税の納税義務がない場合であっても、過去の贈与により納税義務が生じるケースとなるため要注意です。 2-5 国外転出時課税制度の対象になる可能性 海外在住者へ贈与を行う場合、国外転出(贈与)時課税制度の対象になることがあります。 国外転出(贈与)時課税制度とは、時価1億円以上の有価証券等を保有している日本居住者がその有価証券等の一部でも海外に住んでいる人へ贈与した場合には、時価により譲渡があったものとしてその含み益に所得税が課税される制度です。 ・対象者(贈与者)の要件: 1 過去10年以内に5年超、日本に住所または居所を有していた 2 贈与時に有価証券等の対象資産を1億円以上保有している  ・対象資産: 上場株式、非上場株式、公社債、投資信託などの金融資産(預貯金や不動産は対象外)。 ・課税内容: 含み益に対して贈与時に譲渡したものとみなし課税されます。 例えば評価額1億円・取得価額5,000万円の株式を贈与すれば、5,000万円の含み益に課税される仕組みです。 留意点は贈与する財産の金額で判断するのではなく、贈与時に有価証券等の対象資産を1億円以上保有しているか否かで判定することです。 上記の例においてたとえ贈与する有価証券等が5,000万円であっても贈与者が対象資産を1億円以上保有していれば当該制度の対象になります。 第3章 海外税制との関係と二重課税 海外在住の子どもに日本から贈与を行う場合、「二重課税」と「税務報告義務」に留意する必要があります。 贈与税は日本国内だけで完結するものではなく、受贈者の居住国でも課税や報告が必要となるケースが少なくありません。ここでは代表的な国別の取り扱いと、租税条約の有無による調整について解説します。 3-1 贈与税が課される国・課されない国 各国の贈与税課税、その対象、留意点は以下の通りです。 国・地域 課税有無 課税主体・特徴 非課税枠等 実務上の留意点 日本 あり 贈与者が日本居住者なら受贈者が海外でも課税 相続時精算課税2,500万円の特別控除 受贈者が海外居住なら納税管理人の届出必須 米国 なし (受贈者側) 贈与税は贈与者が負担。受贈者は非課税。ただしForm 3520の提出義務あり 非課税枠はなし(報告義務は10万ドル超) 未提出で最大25%の罰金。二重課税は発生しないが報告義務違反リスク大 ドイツ あり 受贈者居住地主義。居住者は国外からの贈与にも課税 親子間40万ユーロの非課税枠 日本と二重課税になるが条約で調整不可 シンガポール なし 贈与税制度自体が存在しない ― 日本の贈与税のみ対象。 二重課税なし 香港 なし 贈与税制度自体が存在しない ― 日本の贈与税のみ対象。 二重課税なし (1)米国の場合 ・贈与税の課税主体は「贈与者」であり、受贈者(子どもなど)には課税されません。また、贈与者が米国非居住外国人である場合には課税対象外のため米国贈与税はかかりません。 ・ただし、外国から年間10万ドルを超える贈与を受けた場合には、Form 3520の提出義務があります。 ・つまり、日本で贈与税を納めても、米国側で追加課税はありませんが、報告義務違反に伴うペナルティリスクが大きい点が特徴です。 (2)ドイツの場合 ・ドイツは受贈者居住地主義を採用しており、居住者が国外から贈与を受けた場合も課税対象となります。 ・贈与税率は相続税と同じで、親子間なら免税枠は40万ユーロ。これを超える部分には最大30%の税率が適用される可能性があります。 ・したがって、日本で贈与税を納めても、ドイツでも課税されることがあり、二重課税が生じます。 (3)贈与税が課されない国(例:シンガポール・香港) ・シンガポールや香港などの国では贈与税そのものが存在しません。 ・この場合、日本での贈与税のみが問題となり、二重課税リスクは回避されます。 3-2 租税条約による調整の可否 日本は、相続税及び贈与税に関する二重課税の防止等のための条約として、米国との間でのみ「遺産、相続及び贈与に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約」(日米相続税条約)を締結しています。その他二国間での二重課税が生じている場合には外国税額控除で調整をすることが可能です。 外国税額控除についてはこちら 第4章 国際相続(贈与)は「税理士法人マインライフ」へ 国際相続は、国内相続とは比べものにならないほど複雑で、専門家の存在が成功の分かれ道となります。 税理士法人マインライフは、新宿・津田沼を拠点に、相続・国際相続の専門家として豊富な実績を持つ少数精鋭の税理士法人です。年間数百件の相続税申告を担当しており、経験豊富な税理士が必ず最初から最後まで対応します。 マインライフが選ばれる理由 強み 内容 ① 経験豊富な専門家が直接対応 少数精鋭体制で、常に経験豊富な税理士が対応。担当が途中で変わる心配がありません。 ② 相続税申告に特化し、豊富な実績 相続専門の法人だからこそ、1人当たりの担当件数も多く、実践的なノウハウが蓄積されています。 ③ 海外案件にも強い独自ネットワーク 弁護士・司法書士・現地専門家との連携体制が整っており、海外財産や海外在住者の手続きに対応可能です。 ④ 申告だけでなく、相続対策にも精通 単なる申告業務だけではなく、納税資金対策や二次相続設計など、将来を見据えたオーダーメイド提案が得意です。 「国際相続・贈与をどう扱えばいいのかわからない」「外国税額控除を受けたいが手続きに不安がある」―― そのようなときは、ぜひ税理士法人マインライフへご相談ください。 初回面談は無料です。ご状況をお伺いし、今すぐできる最善の方法とスケジュールをご提案いたします。 最初の一歩を踏み出すことが、複雑な国際相続を解決へ導く最大のカギとなります。 第5章 まとめ ここまでの章において受贈者が海外在住の場合でも、相続時精算課税制度の利用は可能ですが、以下の注意点を挙げてきました。 ・納税管理人の届出 ・添付書類の整備 ・居住国での税務報告義務 ・将来相続時の納税義務 ・国外転出時課税との関係 また、居住国によっては、海外の税務報告や二重課税リスクもあります。 したがって、「日本での贈与税申告」+「海外での税務報告(申告)」 を両輪で進めることが重要です。 実務的には、日本と海外双方の制度に精通した税理士や現地専門家に相談し、手続きの漏れや課税リスクを回避することが最善の対応となります。
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    国際相続サポート

    • 2026.01.28
    • 伊藤 千尋

    海外移住で相続税は避けられる?10年ルールの真実と今後の改正動向

     「海外に移住すれば相続税を払わなくて済む」と耳にしたことがある方もいるでしょう。 実際に日本の相続税では、「被相続人及び相続人が10年超海外に住んでいると、一部の財産を除いて日本の相続税が課されない」というルールがあります。 このルールを「10年ルール」といいます。 しかし、実際には国内に残した不動産や預金は課税されますし、今後の税制改正も大きく影響します。 この記事では「10年ルール」の基本と注意点、海外移住で本当に相続税が避けられるのか、さらに今後の税制改正の可能性までわかりやすく解説します。 第1章 相続税の「10年ルール」の3つのポイント 結論からいうと「10年ルール」により相続税を回避するためには以下の3つのポイントを満たす必要があります。 この章ではその3つのポイントについて解説します。 1-1 相続開始前10年超海外に居住している 「10年ルール」により相続税を回避するには、相続開始前10年を超えて日本に住所がないことが要件になります。 なお、日本に住所があるかないかの判定は個別に判断をすることになります。 例えば、日本と海外を行き来している場合には、実質的な生活の拠点が日本にあるのか海外にあるのかを判断し判定をします。 つまり、見かけではなく実態として日本に生活の拠点があると考えられた場合には日本に住所があるものとして課税がされることになります。 1-2 被相続人だけでなく相続人も海外に移住している 「10年ルール」により相続税を回避するには、被相続人(亡くなった人)と相続人(財産を受け取る人)の両方が海外に相続開始前10年を超えて住んでいたことが要件になります。 (相続人が外国籍の場合は相続人が海外に10年を超えて住んでいた要件は必要ありません) 例えば被相続人(父)が相続開始前10年超海外に住んでいたとしても、相続人(子)が日本に住んでいた場合は、原則日本国内にある財産にも海外に所在している財産にも日本の相続税が課されることになります。 つまり、国外移住により日本の相続税を回避するためには相続人も含め家族全員で海外に移住する必要があります。 1-3 財産も全て日本国外にある 「10年ルール」により相続税を完全に回避するには、財産も全て国外に持ち出す必要があります。 例えば、国内の不動産・銀行預金・日本企業の株式(日本の証券会社でなどは、移住の有無にかかわらず相続税の対象となります。 なぜなら、どんな場合でも、日本国内の財産は日本の相続税の課税対象となるからです。 つまり、海外移住により完全に相続税を回避するためには、財産も全て国外に持ち出す必要があります。 ただし、有価証券を海外に持ち出す場合には「国外転出時課税」の適用を受ける可能性があるので注意が必要です。 1-4 フローチャート 海外移住した後に相続が発生した場合に日本の相続税が課されるかどうか」をフローチャートにまとめると次のようになります。 第2章 海外移住だけで相続税回避は難しい では、この「10年ルール」を使い容易に日本の相続税は完全に回避することができるかというと、現実には難しいです。 この章ではその理由を簡潔に記載します。 2-1 「10年を超える居住」だけでは完全に相続税回避はできない 海外移住だけで完全に相続税が回避できるかというと、当てはまらない場合があります。 例えば、日本に財産を残している場合です。 確かに「相続開始前10年を超えて海外に住んでいれば、国外財産には相続税がかからない」というルールは存在します。 しかし、前述したようにこれは「国外財産」に限定される話であり、日本国内に残した財産には相続税が課税されます。 【事例】 母がフランスに12年間住んで亡くなりました。 相続人である娘もフランスに母と同じ12年間フランスに住んでいます。 財産がフランスの銀行預金:5000万円と東京のマンション:8000万円だったとします。 フランスの銀行預金(国外財産):日本の相続税はかかりません。 東京のマンション(国内財産):相続税が課税されます。 このように、海外移住をしても「日本に財産を残している限り、相続税ゼロ」にはならないのです。 2-2 帰国後に亡くなった場合、実質上の居住地の問題、税制改正により相続税が回避できない場合がある 「10年ルール」を満たそうと海外移住しても安心ではなく、相続税が回避できない場合があります。 それぞれのリスクをまずは認識しておくことが重要です。 ・帰国リスク 父が海外に11年住んだ後に帰国し、その数年後に亡くなった場合を考えてみましょう。 この場合、日本に住所があるとみなされ、国外財産も相続税の課税対象となる可能性があります。 つまり「一度帰国したらリセットされる」というイメージです。 ただし、帰国前に10年ルールを満たした状態で財産を贈与した場合には、日本の贈与税は課税されません(もっとも、移住先の国で贈与税等が課される可能性はありますのでご注意ください)。 また、帰国後に亡くなった場合であっても、すでに贈与済みの財産については相続税の課税対象にはなりません。 ・居住地リスク 完全に帰国をしていなくても、頻繁に日本に一時帰国している場合や親族が日本に居住している場合には、課税当局から日本居住者と認定されてしまう可能性があります。 つまり、形式的に海外に住所を移しただけでは日本国内に住所がないとはされません。 ・税制改正リスク 詳しくは後述しますが、富裕層が相続税の回避を目的に海外に移住するのを防ぐために度々税制改正が行われています。 改正の度に要件は厳しくなっていますので、今後も税制改正によりルールが変わってしまうリスクを移住前に認識しておく必要があります。 2-3 海外移住で相続税を回避する上で考慮すべき点 海外移住によって一定のメリットがあるのは事実ですが、それを「相続税ゼロ」に直結させることはできません。 相続税を完全に回避するには、さまざまな制約があるからです。 そのため、相続税を回避するためにはあらかじめ対策をしておく必要が出てきます。 具体的には次のような点を検討する必要があります。 ・財産を国内に残すかどうか 国内に不動産や預金を残していると相続税が課税されるため、すべて国外に移すかどうかが大きな分かれ道となります。 ・移住先国の税制や日本との租税条約の有無 例えばシンガポールは相続税がない国として知られていますが、世界にはアメリカや日本のように相続税が課される国もあります。 したがって、日本の相続税を回避したとしても移住先で相続税が課されてしまうケースもあります。 また、アメリカやフランスのように日本と相続税に関する条約を結んでいる国では、二重課税を防ぐ仕組みがあります。 一方、条約がない国では二重課税のリスクがあります。 ・名義変更手続き 実は海外に移住していた人の相続が発生した場合には、名義変更の手続きに多くの労力と時間がかかります。 現実には言語や現地の法律の問題もあるため一般の方が独力で手続きするのは不可能です。 そのため、専門家に依頼する必要があり、相続税とは別の費用がかかってしまうことになります。 相続が始まる前に「財産を贈与する」、「信託を使う」など承継方法を工夫することで、名義変更の手続きの負担を和らげることができますが、税金とは別の視点で考慮すべき論点です。 ・相続発生のタイミングと移住の時期をどう調整するか 相続開始(被相続人の死亡時)にどこに住んでいるかが重要なので、移住の計画を立てる際には「10年超」という時間軸を逆算して考える必要があります。 まとめると、「海外に移住すれば大丈夫」という単純なものではなく、「どこに住むか」「財産をどこに置くか」「承継の手続きをどうするか」を総合的に考えてはじめて、効果的な相続税対策になるのです。 第3章 10年ルールは変わるか?今後の税制改正の可能性 例え現状は「10年ルール」の要件を満たすことができると考え、海外移住を検討又はすでに海外移住していても、そもそものルールが変わってしまう可能性もあります。 この章では今までの改正の経緯と今後の改正の可能性を解説します。 3-1 日本の税制改正の経緯と今後の考察  相続税のルールは過去から何度も改正されており、海外移住による相続税回避は年々難しくなっています。 もともと日本では、相続人や被相続人が日本国籍を持っているだけで、国外財産も含めて課税されるという非常に広い課税範囲が適用されていました。 しかし、グローバル化の中で海外に生活の拠点を移す人が増え、「国外財産まで日本が課税するのは厳しすぎる」という国際的な批判も出てきました。 しかし、この国籍課税を単純に廃止して、死亡時の居住地でのみ判断をすると相続開始前に短期間だけ海外に移住して国外財産を課税対象から外すという租税回避行為が容易にできることになってしまいます。 そこで課税範囲を一部制限する仕組みとして「5年ルール」が導入されました。 この「5年ルール」では、相続開始前5年以内に日本に住所がある場合は国外財産にも課税されるという内容でした。 しかし、この「5年ルール」を導入しても、実際には富裕層が相続開始前に短期間だけ海外に移住して国外財産を課税対象から外すという事例が相次ぎました。 こうした“抜け道”が広がった結果、2017年の改正で「5年ルール」が「10年ルール」へと延長され、課税逃れが難しくされたのです。 つまり、日本の相続税法は「海外移住による課税逃れを防ぐ方向」に改正され続けており、今後も同じ流れで厳格化が進む可能性が高いと言えます。 3-2 国際的な課税権の動向 日本と同じように相続税(遺産税)を課している国がどのような仕組みになっているかも、今後の改正の可能性を考察するうえで重要になります。 例えば主要国では下記のようになっています。 ・イギリス イギリスでは相続開始前過去20年のうち15年イギリスに居住していた場合には、イギリスに住んでいる者と同様にイギリス国外の財産にも課税されます。 ・フランス フランスでは相続人が過去10年のうち6年フランスに居住していた場合には、フランスに住んでいる者と同様にフランス国外の財産にも課税されます。 ・アメリカ アメリカでは過去の居住期間に応じた取り扱いをしておらず、相続開始時の身分で米国市民(米国に住所がある者)はアメリカ国外の財産にも課税がされます。 したがって、アメリカのように居住期間にかかわらず死亡時だけで判断をする国もあれば、イギリスのようにより長期の期間で判断をする国もあります。 日本よりも長期の居住期間で課税対象の判断をしている国もあるため、日本も同様により長期間で判断することになる可能性は十分あるといえます。 3-3 海外移住を考えるなら税制改正を考慮すべき 制度は今後さらに厳格化される可能性があるため、『将来の改正』を前提に行動することが重要です。 「今は国外財産が課税されない」としても、将来的に再び課税範囲が広がる可能性は十分にあります。 前述したように実際過去にも「5年ルール → 10年ルール」と改正が繰り返されてきました。 ポイントとしてこのように改正があった場合には、相続発生時のルールが適用されることになります。 弊社にご相談があったお客様の中にも、「移住した際には5年ルールだったので5年間であればと相続税の回避を目的に移住したものの途中で10年に期間が延長され相続税は諦めて住みやすい日本に帰国した」という方もいらっしゃいます。 したがって、「今は大丈夫だから」と安心せず、数年先を見越して海外移住は検討する必要があります。 相続税制度は「抜け道をふさぐ方向」に歴史的に改正されてきており、今後も海外移住による回避はますます難しくなると考えられます。 第4章 よくあるQ&A Q1 一時帰国しても大丈夫? 結論:短期間の一時帰国であれば直ちに課税対象になることはありません。 例えば夏休みに数週間だけ帰国して日本の実家に滞在する程度であれば、日本に「住所」があるとは見なされません。ただし、1年の大半を日本で過ごす、住民票を戻す、子どもを日本の学校に通わせるなど生活の拠点が日本にあると判断されると、「日本居住」と扱われるリスクがあります。つまり滞在期間よりも「生活実態」が重要です。 Q2 10年経過したが、日本に帰国したい場合はどうなる? 結論:帰国後に相続が発生すれば、日本の居住者として課税されます。 例えば、父が海外に12年住んだ後に日本に帰国し、3年後に亡くなった場合、亡くなる直前は日本居住者ですので、国内外の財産すべてが日本の相続税の対象になります。したがって、海外移住の「10年ルール」で非課税になっていても、帰国した時点でリセットされるイメージです。 Q3 国籍は日本のままでも適用される? 結論:国籍だけで直ちに課税されることはありませんが、日本国籍者はルールの影響を強く受けます。 相続開始前10年を超えて海外に住んでいる日本国籍者であれば、国外財産は原則課税対象外です。 ただし、日本国籍を持っていると生活の拠点は日本にあるのではと疑われる傾向があります。 国籍を保持するかどうかは税務だけでなく生活全般に関わる大きな判断なので、専門家に相談しながら検討すべきテーマです。 Q4 被相続人、相続人ともに海外に移住したが、それぞれの家族が日本にいる場合は? 結論:日本に残る家族が相続人に含まれていれば、その人には日本の相続税がかかります。 例えば父(被相続人)がアメリカに10年以上住んで亡くなり、相続人の子2人のうち1人はアメリカ居住、もう1人は日本居住だったとします。 この場合、日本に住む子が相続する部分については、日本の相続税の対象になります。 つまり「家族全員が海外居住」でなければ、国外財産も含めて完全に課税を避けることは難しいのです。 Q5 相続税の二重課税になるケースはある? 結論:ありますが、外国税額控除で調整できる場合があります。 例えば、父がアメリカに住んでいてアメリカの不動産を相続した場合、アメリカでも相続税(Estate Tax)がかかり、日本でも課税される可能性があります。 こうした二重課税を避けるために「外国税額控除」という仕組みがあり、海外で支払った相続税を日本の相続税額から差し引けるケースがあります。 ただし、控除には限度があるため、全額が相殺できるとは限りません。 申告も煩雑になるため、国際相続に詳しい税理士に依頼するのが安心です。 第5章 国際相続は「税理士法人マインライフ」へ 国際相続は、国内相続とは比べものにならないほど複雑で、専門家の存在が成功の分かれ道となります。 税理士法人マインライフは、新宿・津田沼を拠点に、相続・国際相続の専門家として豊富な実績を持つ少数精鋭の税理士法人です。年間数百件の相続税申告を担当しており、経験豊富な税理士が必ず最初から最後まで対応します。 「海外の財産をどう扱えばいいのかわからない」「外国税額控除を受けたいが手続きに不安がある」―― そのようなときは、ぜひ税理士法人マインライフへご相談ください。 初回面談は無料です。ご状況をお伺いし、今すぐできる最善の方法とスケジュールをご提案いたします。 最初の一歩を踏み出すことが、複雑な国際相続を解決へ導く最大のカギとなります。 第6章 まとめ いかがだったでしょうか。 今回のコラムを通じて、「海外に移住すれば相続税を避けられる」という単純な話ではなく、10年ルールには厳格な条件があり、国内財産は必ず課税されること、そして制度改正や国際的な課税強化の流れから今後ますます回避が難しくなることをご理解いただけたかと思います。 特に、次のような点が重要です。 ・被相続人と相続人の双方が10年を超えて海外に居住している必要がある ・日本にある財産は移住の有無にかかわらず課税される ・帰国や国籍の保持によって課税対象が広がるリスクがある ・将来の改正でさらに厳格化される可能性が高い つまり、「移住だけで相続税を回避できる」と考えるのは危険であり、資産の置き場所や移住先国の制度、国際的な動きを含めて総合的に検討することが欠かせません。 また、国際相続は制度の違い・言語の壁・申告期限の厳しさなどから、放置すると大きなトラブルに発展するリスクがあります。したがって、相続や移住を検討する段階から、できるだけ早めに専門家に相談することが安心につながります。  
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    相続対策, 国際相続サポート

    • 2026.01.25
    • 久保 佑介

    日本からアメリカへ生前贈与/ケース別でわかる税金・手続き

    「日本の相続対策として生前贈与を活用したいけど、子どもがアメリカに住んでいると難しいのかな」 「アメリカの税金のことはよくわからないし」 生前贈与を相続対策として検討している方からのご質問でした。 日本にいる子供だけでなく海外にいる子どもにも平等に生前贈与を行いたいとの要望でしたが、いままでに生前贈与を海外にいる子どもへ行ったことがないため、どうしたら良いのかと悩まれておりました。 ご安心ください。国際的な贈与は注意しなければならない点はもちろんありますが、計画的に準備を行うことで安心して生前贈与を行うことが可能です。 本記事では、アメリカに住んでいる方への贈与についてのポイント・贈与税・相続税の取り扱いを専門家の視点を踏まえ解説しております。 あなたの不安を解消しますので、ぜひ最後まで読んでください。 第1章 アメリカへの生前贈与の3つのポイント 「財産を渡す側(贈与者)=日本居住」「財産を受け取った側(受贈者)=アメリカ居住」の生前贈与の3つのポイント 日本居住者からのアメリカ居住者への生前贈与は以下3つのポイントに留意する必要があります。 ポイント①日本の贈与税 財産を渡す側(贈与者)が日本居住であれば、財産を受け取った側(受贈者)がアメリカ居住でも、原則として全世界の贈与財産に日本の贈与税が課税対象となります。 受贈者は基礎控除(年間110万円)を超える場合には日本での贈与税申告が必要です。 受贈者が日本非居住者(アメリカ居住者)なので納税管理人(※下記<専門家の視点①>)の選任も必要となります。 ポイント②アメリカの贈与税(連邦税) 財産を渡す側(贈与者)が「アメリカの非居住者・非市民」なので、アメリカ国内の不動産などを贈与したときはアメリカ贈与税の対象となります。 贈与者は年間基礎控除(受贈者1人当たり19,000米ドル(2025年))を超える場合にはアメリカでの申告が必要となります。 ただし、無形財産(預金・株式などの有価証券)は、アメリカ贈与税の対象となりません。 また、州によっては州税としての贈与税が存在します。 連邦税としての贈与税はかからなくても、州税としての贈与税はかかることもあります。州税については、現地の専門家と連携し確認を行う必要があります。 ポイント③アメリカの報告義務 アメリカ居住者である財産を受け取った側(受贈者)は、外国人からの贈与の合計が年間10万米ドルを超えるとForm 3520の報告が必要となります。 ただし、授業料・医療費の学校・医療機関への直接支払は除外となります。 アメリカの手続き(贈与税申告・Form 3520の報告) 贈与額(USD) 贈与税申告 Form 3520の報告 $19,000未満 不要 不要 $19,000〜$100,000 要 不要 $100,000超 要 要 ※贈与税申告が必要な場合においてもアメリカ贈与税は一般的には生じません。(後述:第2章 具体例②)   <専門家の視点👉> ①日本の納税管理人の選任・届出 海外に住む子どもなどが贈与を受ける場合、日本国内に納税管理人を選任し、税務署に「納税管理人届出書」を提出する必要があります。 提出先:海外在住者が贈与税の申告をする場合は、住所を管轄する税務署がありません。 自分で日本国内のどこかの税務署を定めてそこに届出することになります。 実際には、納税管理人の住所に合わせることが多いです。 納税管理人:誰でもなれる。日本に住む親族、信頼できる知人、または税理士が選任されるケースが多い。 役割:納税管理人は、申告書の提出や税金の納付など受贈者に代わって税務署とやり取りする法的な窓口となります。 ②アメリカ贈与税の課税の対象となる財産(財産の種類で異なる) 贈与者がアメリカ非居住外国人(アメリカ市民ではなくアメリカに住んでいない人)である場合、そもそもアメリカ贈与税の対象はアメリカ国内の財産のうち無形財産以外に限られます。 無形財産:預金、株式・債券等の有価証券など 無形財産以外:不動産、現金など したがって、日本からアメリカへの生前贈与の多くのケースである預金の贈与ではアメリカの贈与税は課税されないこととなります。 ③アメリカの報告義務(Form 3520) アメリカに住む子どもなどが日本から贈与を受けた場合、「Form 3520」をIRS(日本の国税庁に相当する機関)に提出しなければなりません。 提出基準:年間10万米ドルを超えるアメリカ非居住外国人からの贈与を受けた場合に義務発生。 提出期限:翌年4月15日(延長申請をしていれば延長後の期限まで) 罰則:未提出の場合、贈与額の最大25%に相当するペナルティが課されることがあります。 したがって、日本側で贈与税をきちんと申告・アメリカでの贈与税がかからない場合でも、報告を怠れば重大なリスクを抱えることになります。   <財産の種類別「日本×アメリカ」早見表> (前提:贈与者=日本居住(アメリカ非居住外国人)、受贈者=アメリカ居住) 贈与する財産の種類・所在地によって両国の税金・手続きが以下の通り変わることになります。 贈与財産 ①日本の贈与税 (受贈者) ②アメリカの贈与税 (贈与者) ③Form 3520 (受贈者) 日本の不動産 課税対象(国内財産) 対象外 $100,000超なら提出 アメリカの不動産 課税対象(国外財産) 対象(アメリカ内不動産) →申告が必要 $100,000超なら提出 預金の送金 (日本口座) 課税対象(国内財産) 対象外 $100,000超なら提出 預金の送金 (アメリカ口座) 課税対象(国外財産) 対象外(無形資産) $100,000超なら提出 現金 (アメリカで手渡し) 課税対象(国外財産) 対象(アメリカ内で手渡し) →申告が必要 $100,000超なら提出 授業料・医療費 (学校・病院へ直接支払) 生活費・教育費の“通常必要”なら日本も原則非課税 対象外 Form 3520不要   第2章 アメリカへの生前贈与のよくある具体例(贈与税について) 「財産を渡す側(贈与者)=日本居住」「財産を受け取った側(受贈者)=アメリカ居住」の生前贈与の具体例 ここでは、日本居住者からのアメリカ居住者への生前贈与をよくある具体例を基に各国の「贈与税」を確認していきます。 具体例①:預金の海外送金「110万円」 ①日本の贈与税:申告不要 / ②アメリカの贈与税:なし / ③Form 3520:不要 ① 日本の贈与税 贈与者が日本居住のため、原則、全世界の贈与財産が課税対象となります。 贈与税:110万円 − 基礎控除110万円 = 0円(申告不要) ※年間の贈与額が110万円を超えない年は申告不要。 ② アメリカの贈与税 贈与者はアメリカ非居住外国人(アメリカ非居住・非市民)で、贈与した預金は無形財産。 アメリカ贈与税の対象はアメリカ国内の不動産などの無形財産以外に限られるため課税されません。 ③ Form 3520 アメリカ非居住外国人からの贈与が年間100,000米ドル超で提出義務が発生します。 110万円は100,000米ドル以下であるため不要。   具体例②:預金の海外送金「1,500万円」(100,000米ドル超(145円/1米ドル)) ①日本の贈与税:(受贈者)申告・納税必要 / ②アメリカの贈与税:なし / ③Form 3520:(受贈者)必要  ① 日本の贈与税 贈与者が日本居住のため、原則、全世界の贈与財産が課税対象となります。 贈与税額:366万円 ※税額:1,390万(1,500万円−基礎控除110万円)× 40% − 190万 = 366万円 (注)続柄や他の贈与の有無で税率は変わる場合があります。 申告・納付:受贈者は翌年3/15までに日本で申告・納付する必要があります。 受贈者は日本の非居住者のため、納税管理人の届出書をあわせて提出。 <専門家の視点👉> 生前贈与を一括で行わない相続対策の検討(贈与税率の観点) 例えば半額の750万円の贈与の場合には贈与税額は102万円となります。日本の贈与税率は累進課税(一回の贈与額が大きいほどに税負担が大きい)のため検討の余地があります。 ② アメリカの贈与税 贈与者はアメリカ非居住外国人(アメリカ非居住・非市民)で、贈与した預金は無形財産。 アメリカ贈与税の対象はアメリカ国内の不動産などの無形財産以外に限られるため課税されません。 <専門家の視点👉> もしアメリカ内不動産などのアメリカ国内財産の贈与であれば、年間基礎控除(19,000米ドル(2025年))を超えるため、アメリカ贈与申告が必要になります。 なお、日本人贈与者には「統一移転税額控除(日本人は特例的に適用あり)」という約20億円の大きな控除(一定の調整計算が必要です)が認められるため贈与税はめったにかかりません。 ③ Form 3520 アメリカ非居住外国人からの贈与が年間100,000米ドル超で提出義務が発生します。 100,000米ドルを超えるため提出が必要となります。 <専門家の視点👉> 不提出は贈与額の最大25%に相当するペナルティが課されることがあります。 アメリカ贈与税がかからない場合は特に手続きが漏れるケースが散見されますので確実に提出するようにしましょう。   第3章 アメリカへの生前贈与のよくある具体例(相続税について) 「財産を渡す側(贈与者)=日本居住」「財産を受け取った側(受贈者)=アメリカ居住」の生前贈与の具体例 第2章で確認した生前贈与のその後を各国の「相続税(アメリカ遺産税)」で確認していきます。 日本・アメリカの両国ともに生前贈与された財産は、のちに贈与者に相続があった場合には相続財産に加算して相続税(アメリカ遺産税)を計算することになります。 日本では、原則死亡前7年以内の贈与が相続税に加算され、既に納めた贈与税は相続税から控除します。 アメリカでは、生前の課税贈与(1977年以降)を原則すべて遺産税の計算基礎に合算し、既に納めた贈与税は遺産税から控除します。 具体例①:預金の海外送金「110万円」 ①日本の相続税 死亡が贈与後7年以内の場合には生前贈与の110万円を相続時の亡くなった人(被相続人)の遺産に加算して(贈与はなかったものとみなして)相続税を計算します。 死亡が贈与後7年超の場合には生前贈与の110万円を遺産に加算する必要はありません。 ②アメリカの遺産税 贈与財産(預金)は無形財産で、生前贈与時点ではアメリカ贈与税の課税対象外です。 したがって相続時にアメリカ側の生前贈与分の持ち戻しは通常生じません。 <専門家の視点👉> 日本の相続税は贈与から7年経過しているか否かにより贈与財産を遺産に加算するかどうか取り扱いが異なります。 言い換えると生前贈与の相続対策は、贈与時から7年経過して初めて効果を発揮します。 よって将来を見据えて早めに相続対策を行う必要があります。   具体例②:預金の海外送金「1,500万円」 ①日本の相続税 具体例①と同様に贈与時から7年を経過しているかにより相続税の計算が異なります。 贈与後7年以内の場合には、すでに納付した贈与税(366万円)を相続税の一部に充てることができます。 ②アメリカの遺産税 具体例①と同様に相続時にアメリカ側の生前贈与分の持ち戻しは通常生じません。   実際には、皆さまが検討している生前贈与の金額に応じて日本・アメリカの税額・手続きを検討していくことになります。日本・アメリカ両国とも生前贈与の金額によって、とるべき手続き・税額も異なってくることに留意する必要がございます。特に生前贈与の金額が多額になるケースについては専門家へ相談する必要出てくるでしょう。   第4章 国際相続・贈与の相談は「税理士法人マインライフ」へ 贈与が国際間をまたぐものであるため手続きが複雑になるかもしれない・・・。 そのような難しいケースでも、弊社には最適なサポート体制が整っています。 税理士法人マインライフは、新宿・津田沼を拠点に、相続・国際相続の専門家として豊富な実績を持つ少数精鋭の税理士法人です。年間数百件の相続税申告を担当しており、経験豊富な税理士が必ず最初から最後まで対応します。   マインライフが選ばれる理由 強み 内容 ① 国際相続の経験が豊富な専門家が直接対応 少数精鋭体制で、経験豊富な税理士が必ず対応。 担当が途中で変わる心配がありません。 ② 相続税申告・対策に特化し、豊富な実績 相続専門の法人だからこそ、相続に特有の実践的なノウハウが蓄積されています。 ③ 海外案件にも強い独自ネットワーク 海外の専門家との連携体制が整っており、海外の財産や海外在住者の手続きに対応が可能です。 ④ 申告だけでなく、相続対策にも精通 単なる税計算だけではなく、納税資金対策や二次相続対策など、将来を見据えたオーダーメイドの提案が得意です。 「生前贈与を行いたいけれど子どもがアメリカに住んでいるからどうしたらいいのかわからない・・・。」と感じている方は、ぜひ税理士法人マインライフへご相談ください。 初回面談は無料です。ご状況をお伺いし、今すぐできる最善の方法をご提案いたします。 第5章 まとめ いかがだったでしょうか。 相続対策としてアメリカに住んでいる子どもへの生前贈与の活用を検討中のあなたも留意点や具体的な税金のイメージが湧いたのではないでしょうか。 アメリカ居住者への贈与についての3つのポイント「①日本の贈与税」「②アメリカの贈与税(連邦税)」「③アメリカの報告義務」を解説しました。 また、具体例に基づき「贈与税・相続税」の税額を解説しました。 実務的には、当然ですが皆さまが検討している生前贈与の金額に応じて日本・アメリカの税額・手続きを検討していくことになります。 そこで大切になるのは日本とアメリカ双方の制度に精通した税理士や現地専門家です。 手続きの漏れや課税リスクを回避するためにも専門家への相談が最善の方法になります。
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    国際相続サポート

    • 2026.01.23
    • 川崎 朝輝

    相続税の外国税額控除とは?制度概要と日本で適用する手続きの全体像

    「父がアメリカで購入したマンションや株式を相続することになった。日本の相続税とアメリカの相続税の二重課税を回避する方法があるらしいけど」 海外に財産がある相続では、日本と海外の両国で相続手続きが必要になります。 調べていくと「外国税額控除」という制度の存在を知ることになりますが、仕組みが専門的で複雑なため、「自分の場合に本当に使えるのか」「二重課税は避けられるのか」と迷ってしまうことも多いでしょう。 そうなんです。外国税額控除は初めての方にはとても分かりづらい制度です。 でも、海外と日本の両方で課税される可能性がある相続において、「外国税額控除」は二重課税を調整するために欠かせない大事な仕組みなのです。アメリカにある財産を日本に住んでいる人が相続した場合などは、実際に両国で課税されることがあり、その調整のために活用できるのが「外国税額控除」です。 もっとも、外国税額控除があれば全てが解決するわけではありません。控除できるのは海外にある財産に対応する「日本の相続税額」が上限であり、米国の州税のように対象外となる税金もあります。 また、日米租税条約によってアメリカでは超富裕層でなければ相続税がかからないケースも多く、そもそも二重課税自体が発生しない場合も少なくありません。 アメリカ以外の国で考えるとフランスやドイツのように相続税が発生しやすい国もあれば、シンガポールのように相続税が存在しない国もあります。 つまり、「外国税額控除」の適用については現地で相続税が発生しているのか、二重課税になっているのかということも考える必要があります。 本記事では、相続税における外国税額控除の基本と、その限界や注意点をわかりやすく解説します。 控除を使えるのに使わないのはもったいないです。 「使える控除は必ず使う」ための知識を身につけてください。 第1章 相続税の外国税額控除とは 相続税の外国税額控除とは、同じ財産に対して日本と外国の両方で相続税がかかるときに、二重課税を調整するための制度です。 この制度を理解する上で、まずは相続税の外国税額控除の目的や仕組みを整理します。 1-1 制度の仕組み 【日本の相続税の課税方法】 日本では、亡くなった方や相続人が日本に住んでいる場合、国内の財産だけでなく海外の財産も含めて相続税の対象になります。(全世界課税) 【相続税の外国税額控除の制度趣旨】 財産が相続税制度のある国に所在し、その国でも相続税が課される場合は、二重課税になります。 そこで日本では、外国で支払った相続税を日本の相続税から差し引けるようにしており、その調整の仕組みが「相続税の外国税額控除」です。 【例外】 日本国内の財産は日本で課税されるべきものと考えられているため控除の対象外です。さらに海外の財産についても、日本でその財産に課される相続税の金額が限度になります。 この「限度」については、後ほど計算方法とともに解説します。 1-2 二重課税は本当に起きるのか(アメリカ/他国事例) 実は、外国の相続税制度の関係で二重課税にならないことも多いです。 相続税の外国税額控除が必要になるのは、日本と外国の両方で相続税が課されるときなので二重課税になっていなければ適用する必要がありません。 そのため、まずはその国において相続税が課税されるのかを確認することが必要です。 代表的な国について整理します。 アメリカの場合 アメリカでは、非居住者(米国内に住んでいない人)が米国内に財産を持っていると原則相続税が課されます。ただし非居住者の基礎控除は6万ドルしかありません。 ところが、日米相続税条約によって、日本人にも米国市民と同じ大きな基礎控除(2025年時点で約1,400万ドル)が認められます。 (この基礎控除額については改正が多く、金額も大きく変動しますのでご注意ください。) そのため、超富裕層でない限りアメリカで相続税が課されることにならず、結果的に二重課税は発生しないことが多いのです。 二重課税がなければ相続税の外国税額控除を使う必要はありません。 ただし、注意点もあります。アメリカには連邦税とは別に州ごとの相続税制度があります。 しかも、日本の相続税と州税が重なっても、外国税額控除の対象にはなりません。これは、相続税の外国税額控除の対象は「外国の国税」に限られているからです。 アジアの場合 シンガポールや香港などでは、そもそも相続税制度自体が存在しません。現地で課税されることはなく、日本の相続税のみがかかることになります。 したがって、外国税額控除を使う必要はありません。 欧州の場合 フランスやドイツなどは相続税(遺産税)が多くのケースで課税されることになっており、日本に住む相続人にも課税されることがあります。 この場合、日本でも相続税が課税され、さらにフランスやドイツでも相続税が課税されるため、相続税の外国税額控除の適用を受けることになります。 このように、国によって相続税の制度は様々です。まずは亡くなった方が所有していた財産がある国において相続税が発生するかの確認をするようにしましょう。 1-3 計算方法と「日本の相続税が限度」となる考え方 それでは、相続税の外国税額控除の計算方法とその考え方について解説します。 外国税額控除は、海外にある財産についてその国で支払った相続税に相当する税金を控除できます。ただし、その財産に対応して日本で課税される相続税の金額が限度となります。 算式で表すと以下の通りです。 【相続税の外国税額控除の計算】 ※①と②のいずれか少ない金額 ①海外で支払った相続税に相当する税金(外国の国税に限る) ②日本の相続税額 ×(海外にある財産の金額 ÷ 相続財産全体の金額) ②は海外にある財産について日本で課税される相続税を計算しています。 少し複雑なので具体的な金額を用いて確認します。 前提 ・相続財産の合計:1億円(国内7,000万円+国外3,000万円) ・日本の相続税額:1,000万円 ・外国で支払った相続税額:400万円 ➀ 400万円 ➁ 1,000万円 ×(3,000万円 ÷ 1億円)= 300万円 →控除できるのは少ない方の②300万円となります。 この図の通り、②は国外財産に対してかかる相続税額を計算しています。 外国税額控除を適用した後、日本で支払う相続税は 1,000万円 − 300万円 = 700万円 です。 このケースでは、国内財産に対応する相続税だけを日本で納めることになります。 もし、①の外国で支払った税額をそのまま全額控除してしまうと、国内財産に対応する相続税まで差し引くことになり、制度の趣旨に反することになります。 計算の方法について、確認できたと思いますので次章では実際に外国税額控除の適用を受けるための手続きや注意点について解説いたします。 第2章 外国税額控除の実務と注意点 外国税額控除を受ける場合でも、日本の相続税申告と同時に進める必要があります。 海外の手続きに時間がかかったとしても日本の相続税の申告期限は変更されませんので、注意してください。 2-1 相続税の申告と手続きの流れ 相続税の外国税額控除の適用を受ける場合は、相続税申告と同時に手続きを行います。 申告の際には、相続税申告書の「第8表(外国税額控除に関する明細書)」に必要事項を記載し、添付して提出する必要があります。 なお、日本の相続税申告は原則として相続開始から10か月以内が期限ですのでご注意ください。 【相続税申告書第8表】 (出典:国税庁)         さらに、その財産が所在する国で課税されたことを証明する書類、例えば現地の申告書や課税証明書、納税証明書などを添付する必要があります。 これらは外国語で発行されるため、通常は日本語訳を付けて提出します。 2-2 外国税額控除の制度を適用する場合の注意点 既に触れた内容もありますが、相続税の外国税額控除を利用する際には、次の点に特に注意が必要です。 ① 控除の対象は国外財産のみ 外国税額控除の対象となるのは、国外にある財産にかかる相続税です。 日本国内にある財産については、日本で課税されるのが原則であり、控除の対象にはなりません。 ② 州税や地方税は対象外 アメリカなど一部の国では、連邦税に加え、州ごとに独自の相続税が課される場合があります。 しかし、外国税額控除の対象は「外国の国税」に限られるため、州税や地方税については日本で控除することはできません。 このため、州税が課された場合には、日本の相続税と二重に負担するケースもあります。 ③ 海外の申告書類の準備が不可欠 外国税額控除を適用するには、その国で相続税を支払ったことを証明する書類(課税証明書や納税証明書)を添付しなければなりません。 海外の申告や証明書の作成が遅れると、日本の申告期限に必要書類が間に合わないことがあります。 したがって、現地の専門家(税理士・会計士・弁護士など)と連携して書類を揃えることが実務上不可欠です。 第3章 外国税額控除でよくある質問(Q&A)  Q1. 日本の申告期限(10か月)に海外の課税証明が間に合わない場合は? 間に合わなくても控除は可能です。 まずは外国税額控除の適用を受ける前の金額で一度日本の相続税申告書を期限内に提出し、その金額で納税します。 その後、海外の課税証明が発行できた段階で、更正の請求を行い還付を受けることが可能です。 日本の相続税の申告期限は相続開始から10か月ですが、海外の期限は必ずしも一致せず、税金の確定まで長い時間を要する場合もあります。 海外の手続きは時間がかかることが多いため、早めに現地の専門家と連携し、スケジュール管理を徹底することが重要です。   Q2. 外国で支払った税金はどの為替レートで換算しますか? 原則としてその外国で納付すべき日のTTS(対顧客電信売相場)で円換算します。 通常は国内から送金した日のTTSも使えますが、送金が大きく遅れた場合は注意が必要です。   Q3. 相続に関連して発生した税金はすべて外国税額控除の対象になりますか? すべての税金が控除できるわけではありません。あくまで控除の対象は「相続税に相当する税」に限られます。 国によっては相続手続きの際に消費税や不動産取得税に相当する税金が課される場合もありますが、相続税に相当するものではないため控除の対象外です。判断が難しいケースもあるため注意が必要です。   Q4. 日本と違って、亡くなった人の遺産そのものに課税される国の場合は控除の対象になりますか? 亡くなった人の遺産そのものに課税される国(アメリカやフランスなど)であっても、日本の相続税に相当すると認められる税であれば外国税額控除の対象になります。 日本の相続税は「相続人ごと」に課税されますが、国によっては「被相続人の遺産全体」に課税されます。方法が違っても、その性質が相続税に相当すれば控除の対象となります。   Q5. 相続税の計算上、控除できる債務がある場合はどのように計算しますか? 国外財産については、その財産に対応する債務を差し引いた後の価額を用います。国内財産についても同様に債務控除後の価額を基準にします。 つまり、相続人が実際に引き継ぐ純粋な価値部分をもとに外国税額控除を計算します。 第4章 相続税の外国税額控除の適用がある場合は、国際相続に強い税理士の支援が必要 相続税の外国税額控除は、単に日本の相続税を計算するだけでは適用できません。 海外の課税証明書や現地申告書類を揃える必要があり、現地の専門家との連携が不可欠です。 そのため、海外に財産がある相続の場合には、国際案件に強い税理士に相談することが大事です。 ① 税理士にも得意・不得意分野がある 相続業務を日常的に扱っていない税理士も多く、中には年に1件も相続案件を担当していないという税理士も存在します。特に海外が関係する相続となると、いままでまったく経験がない税理士も多く、思わぬトラブルや遅延の原因となり得ます。 税理士であれば誰でもいいということはなく、実績や専門性を見極めて依頼することが大切です。 ② 各国の法律や制度が異なり、現地の専門家との連携が必要なこともある 国ごとに制度が異なるため、日本国内だけでは完結できない手続きが発生することがあります。 国際相続に強い税理士であれば、現地の弁護士や会計士と連携できるネットワークを持っているケースが多く、安心して任せられます。 経験のない税理士に依頼すると、自分で現地の専門家を探す必要に迫られることにもなりかねません。 ③ 国際相続でなくてもタイトなスケジュールがさらにシビアに 相続税の申告期限(10か月以内)は海外の手続きがあるからといって延長されません。海外の手続きはかなり時間がかかり、準備や判断の遅れが致命的になり得ます。 こうしたケースに慣れた税理士でなければ、期限に間に合わないリスクが高まります。 ④ 状況に応じた柔軟で迅速な判断と対応が求められる 海外の申告や手続きなどはその国の法律が関係し、国際相続は一筋縄ではいかないことがほとんどです。 その都度、適切に判断し、書類の整備や申立て方法を柔軟に変更できるかどうかが結果を左右します。 国際相続の経験が豊富な専門家であれば、こうした事態にも迅速・的確に対応でき、スムーズに手続きを進めることができます。 第5章 ご相談は、信頼と実績の「税理士法人マインライフ」へ 海外に財産があり、その国でも税金が発生する??―― そのような難しいケースでも、最適なサポート体制が弊社には整っています。 税理士法人マインライフは、新宿・津田沼を拠点に、相続・国際相続の専門家として豊富な実績を持つ少数精鋭の税理士法人です。年間数百件の相続税申告を担当しており、経験豊富な税理士が必ず最初から最後まで対応します。 マインライフが選ばれる理由 「海外の財産をどう扱えばいいのかわからない」「外国税額控除を受けたいが手続きに不安がある」―― そのようなときは、ぜひ税理士法人マインライフへご相談ください。 初回面談は無料です。ご状況をお伺いし、今すぐできる最善の方法とスケジュールをご提案いたします。 第6章 まとめ いかがでしたでしょうか。ここまで、相続税の外国税額控除について解説してきました。 ・相続税の外国税額控除は、日本と外国の両方で相続税が課された場合に二重課税を調整する制度。 ・二重課税は必ずしも発生せず、アメリカやアジアでは課税がないケースも多い一方、欧州では二重課税が起きやすい。 ・控除額は①外国で支払った税額と②日本側の算式で算出した額のうち少ない方が上限。 ・国内財産や州税・地方税は対象外であり、控除できるのは「外国の国税」に相当する税金に限られる。 ・申告には「第8表」への記載と海外の課税証明の添付が必要で、日本の申告期限は相続開始から10か月。 ・実務では為替換算や期限のズレ、対象税目の判定など複雑な点が多く、海外の専門家との連携が不可欠。 海外に財産がある相続は、一般の相続以上に準備や判断が難しくなります。外国税額控除を正しく適用し、損をしないためにも、国際相続に強い税理士に早めに相談することをおすすめします。
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    国際相続サポート

    • 2026.01.20
    • 伊藤 千尋

    知らなきゃ損する!海外口座の相続手続きガイド

    「海外に預金口座がある場合、相続手続きはどう進めればいいのか――。」 近年は海外赴任や留学、移住などで海外の銀行口座を開設する方が増えています。 帰国時に解約するケースもありますが、金利や利便性の面から、口座を残したまま日本に戻る方も少なくありません。 しかし、いざご家族が亡くなったとき、海外口座は日本の預金口座と同じ手順では進まないのが実情です。 国によっては裁判所の手続き(プロベート)が必要になったり、翻訳・認証(アポスティーユ等)を求められたりして、想定以上に時間と手間がかかることが多いです。 このコラムでは、海外の預金口座を相続する際の一般的な手続きについてわかりやすく解説しますが、実際に手続きを行う際には国際相続に精通した専門家に依頼することを強くおすすめいたします。 第1章 国によって異なる海外口座の相続手続き 海外口座の相続は、ざっくり言うとプロベート手続きが必要なものと不要なものの2タイプに分かれます。 また、国のルールに加えて、銀行や各自治体(州など)が定めたルールを把握する必要があります。 1-1 プロベートが必要な国 アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、香港、シンガポールなどの国では、銀行が相続人だけの申告で払い戻しをしてくれないことが多く、裁判所でプロベート手続きが必要になります。 そのため相続発生時には、相続人は ① 口座情報の把握・受取人指定の有無の確認と、金融機関への死亡連絡(口座凍結) ② 現地裁判所でプロベート(遺産清算手続)を申立て、権限を証明する書面を取得 ③ ②の裁判所で取得した書面+死亡証明書等を金融機関へ提出し、払戻し・解約・相続人(または遺産)名義への移管/送金を実行 という手続きを踏んで、口座の相続を行なっていきます。 プロベートとは、裁判所が遺言の有効性や遺産管理の権限(遺言執行者・遺産管理人)を確認し、遺産の管理・分配を公的に進めるための手続きです。 ※プロベートの詳しい概要は下記の別記事で解説しています。 https://www.mine-life.jp/what-is-probate-working-flow-how-to-avoid-2 1-2 プロベートが不要(または中心ではない)国 フランス、ドイツ、イタリアなどのEUでは、裁判所のプロベートではなく、現地の公証人に依頼をして、相続人であることを証明する書類(相続証明書(Certificate of Heirship)や欧州相続証明書(European Certificate of Succession)等)を作成して、それらをベースに銀行手続きが進むことが多いです。 そのため相続発生時には、相続人は公証人を通じて、 ① 金融機関へ死亡の連絡をして、口座の入出金停止(凍結)を行う ② 相続人の確定と、解約(払戻)に必要な書類を整える(例:日本では、「被相続人・相続人の戸籍謄本等」、「印鑑証明書」、「遺言書」または「遺産分割協議書」など) ③ 金融機関所定の相続書類(払戻請求書/相続届など)と②の書類を提出し、解約・払戻(相続人代表口座への振込等)を実行 という手続きを踏んで、口座の相続を行なっていきます。 1-3 国のルールに加えて、銀行や各自治体での運用ルールも把握が必要 同じ国でも、銀行や各自治体(州など)によって運用が違うのは海外相続でよくあることです。 たとえば、以下のようなものがあります。 ・残高が小さいと「簡易手続き」が使えるケースがある ・共同名義口座は形態により自動的に共同名義人が相続することになるケースがある つまり最初にやるべきは、「日本の相続の常識」で突き進むより、その預金に必要な手続きを見極めることです。 次章以降、海外に口座を保有している方が亡くなった場合に実際に取るべき手続きを順に追って解説していきます。 第2章 海外口座の相続でまず確認したいこと この章では、相続が発生した際にまず確認すべきことを解説していきます。 2-1 相続の基本情報を確認する 相続手続きにおいて「相続人は何人いるのか」、「財産はどのようなものがあるのか」、「財産はどこにあるのか」等の基本情報を最初に整理しておくと、銀行・専門家への相談が一気に進みます。 ・亡くなった方と相続人の関係・人数 被相続人の出生から死亡までの戸籍情報を取得し、法定相続人を確定していきます。 ・財産が所在している国・種類 どのような財産がどの国にあるか整理します。 ・名義(単独名義・共同名義など) プロベート国では特に、共同名義・受取人指定(POD/TOD等)があると手続きの方法が変わることがあります。 2-2 手続きと相続税のスケジュールを確認する 海外に財産がある場合には、日本の相続税の申告期限等とのスケジュール管理が重要になります。 日本の相続税は、死亡を知った日の翌日から10か月以内に申告が必要です。 一方で、プロベートが必要な国は10か月以内に現金化まで終わらないことも普通にあります。 なので、実務では、 ・「海外口座の名義変更・解約・送金」が終わる時期の目安を置く ・終わらない前提で、相続税申告にどう織り込むか(評価資料の取り方、申告の仕方)を先に決める という順番で進めるのが安全です。 第3章 海外口座の名義変更とお金の受け取り方を確認する 日本の銀行口座の相続手続きは「戸籍の一式」と「遺言書又は分割協議書」を提出すれば手続きを進めることができますが、海外口座の相続は、「戸籍を出せば終わり」という話になりにくいのが特徴です。 ポイントは、その国がプロベート(裁判所手続き)が必要な国か/不要な国かで、銀行に求められる“手続きの型”が変わるということです。 ここでは、実際にお金を受け取るまでに押さえるべき流れを、3つに分けて解説します。 3-1 海外の銀行に出す書類を確認する 海外の銀行が確認したいのは、次の3点です。 「①亡くなった事実」「②相続人は誰か」「③誰に払ってよいか」 この3点を示すために、大きく3つの分類の書類が必要になります。 (1)死亡の証明+身分関係の証明(誰が亡くなり、誰が家族か) ・死亡証明(死亡診断書・死亡証明書など) ・戸籍一式(出生から死亡までつながるもの) ・相続人の本人確認書類(パスポート等) 日本で取得した原本を提出することが多いです(コピーでもよいかは各銀行に確認することをおすすめします) (2)「受け取る権限」の証明(誰が受け取り担当者か) ここが国によって一番変わるポイントです。 ・プロベートが必要な国: 裁判所によるプロベート手続きが原則必要になります。(共同名義財産や受取人指定財産の場合は必要でないケースもあります) ・プロベートが不要(中心ではない)国: 相続証明書・公証人の証書※など、「相続人(または受取人)が誰か」を示す書類を準備して進めることが多いです。 ※相続証明書・公証人の証書:国によって呼び方は違いますが、目的は共通で 「この人が相続人/遺産を受け取る権限者です」 を第三者(銀行など)に示す書類です。一般的には、口座のある国(現地)の公証人が発行・作成する相続人(受取権限)を証明する公式書類 が該当し、現地の公的なホームページを確認又は現地の弁護士に依頼して各国ごとに異なる「必要書類」を取得する必要があります。なお、EUにおいて公証人が作成した証書は、EU圏内であれば他の国でも共通して使うことができます。 (3) 翻訳・公的な証明(認証/アポスティーユ等) 海外の銀行は「公的に正しいと確認できるか」を重視します。 そのため、翻訳や、翻訳証明、公的証明が不足すると、いったん提出したにもかかわらず「認証が足りない」、「翻訳が正式ではない」として差し戻しにあい、再提出で時間が延びるということがよくあります。 最初から「翻訳の要否」「翻訳証明の要否」「認証/アポスティーユの要否」を確認しておくと、遠回りを防げます。 アポスティーユとは、外国で公文書を提出する際に領事認証等を省略できるよう、発行国の当局がその公文書の真正(署名者の資格・署名・公印など)を証明する認証(証明書)です。 3-2 相続人どうしのお金の分け方を確認する 海外口座は、銀行にとっては「誰に払えばトラブルにならないか」という点が重要になります。 したがって、確認ができるまでは預金の払い出しはできず、相続人の間で「受け取り方」を先に決める必要があります。 (1)プロベートが必要な場合(裁判所手続きが中心) 遺産管理者が口座を回収し、あとで相続人に分配する流れになることが多いです。 銀行側も「遺産管理者に払う」前提で話が進みます。 (2)プロベートが必要でない場合(相続人証明が中心) EUでは遺言がなければ法定相続人に分配されることになるか、また、相続人が「誰が受け取るか」を書面で合意し、銀行に提出する流れになることもあります。 → 相続人全員の署名を求められることもあります。 また、日本で作る「遺産分割協議書」がそのまま通るかはケース次第です。 海外では、日本の遺産分割協議書は「私文書」なため遺産分割協議書だけでは手続きが進まないことも多々あります。また、署名方法(サイン証明)や言語、内容等が現地と異なるため、現地専門家と連携して手続きにあたる必要があります。 3-3 海外から日本の口座にお金を送る方法を確認する 送金は「できる/できない」より、「止まらずに通す」のがポイントになります。 事前に次の事項を押さえておくとスムーズです。 (1)両替のタイミング(円換算のズレに注意) 相続税の計算や相続人同士の分配では、円換算が絡みます。 「いつのレートで円に直すか」を決めておくと、後から揉めにくくなります。 (2)送金の限度額・手数料(受取側の条件もセットで確認) 海外送金は、銀行側の限度額や中継銀行の手数料で、想定より目減り・遅延が起こりがちです。 また、受取側(日本の銀行)にも「着金時に必要な情報」「目的の確認」など着金のための条件が設定されていることがあります。 (3)チェックされやすいポイント(書類不足は「保留」の原因) 相続による送金は不自然な取引ではありませんが、マネーロンダリング対策の観点で確認が入ることがあります。 このときにポイントになるのが、「お金の出どころ(亡くなった方の口座であること)」、「受取人が正当な相続人であること」等が書類で説明できることです。 必要書類をそろえておくと、銀行から照会が来ても送金手続が止まりにくくなります。 第4章 日本の相続税のルールと届出を確認する 海外に預金口座があっても、条件によっては日本の相続税の対象になります。 しかも相続税の申告は、「亡くなったことを知った日の翌日から10か月」が期限です。 海外の手続きは長引きやすいので、税金の確認は早めに進めるのが安全です。 また、相続手続きが終わらない前提で、相続税申告にどう織り込むか(評価資料の取り方、申告の仕方)を先に決める必要があります。 4-1 海外口座に日本の相続税がかかるか確認する まず整理したいのは、次の3点です。 (1) 被相続人・相続人の「居住関係」 「亡くなった方や相続人が、いつ・どこに住んでいたか」で、日本の相続税のかかり方が変わります。 まずは住んでいた国・期間などの基本情報をまとめます。 居住地による日本の相続税のかかり方は、簡易的にまとめると下記のフローチャートで判断できます。(簡易的なフローチャートですので、最終的には専門家又は税務署でご確認ください) (2) 対象資産の範囲(何が相続財産になるか) 海外口座でも、預金だけでなく、証券口座・保険・年金口座などが混ざっていることがあります。 口座の種類まで確認します。 (3) 評価(いくらとして申告するか)と根拠資料 基本は死亡日時点の残高をベースに、銀行のステートメント(残高証明・取引明細など)で裏付けます。 期限までに申告できない又は少なく申告すると、加算税や延滞税がかかることもあるため、資料集めは優先度が高いです。 4-2 CRS制度について 「海外口座だから税務署に分からないだろう」とは言いにくい時代になっています。 CRS(共通報告基準)は、各国の税務当局が、金融機関から受け取った「非居住者の口座情報を、相手国の税務当局へ年1回まとめて自動的に提供(交換)」していく仕組みです。 つまり、海外口座の申告は「見つかるか見つからないか」ではなく、きちんと説明できる形で申告できるかが大切になります。 4-3 海外側で必要になる税金の手続きを確認する 国によっては、海外側で相続に関する税金(相続税・遺産税に類するもの)や手数料がかかることがあります。 日本の相続税と重なる可能性もあるため、必要に応じて条約や外国税額控除などを含めた検討が必要になります。 海外の制度は国ごとに差が大きいので、日本と現地の両方を見られる体制で進めるのが安心です。   【国外財産調書について】 海外資産の状況によっては、相続とは別に「国外財産調書」の提出対象になることがあります。 (1)誰が出す?(対象者) 原則として、日本居住者(非永住者を除く)で、12月31日時点の国外財産の合計額が5,000万円超の方が対象です。 (2)いつまでに出す?(提出期限) その年の翌年6月30日までに、所轄税務署へ提出します。 (3)相続があった年の注意点 相続開始年の国外財産調書は、相続や遺贈で取得した国外財産を記載しないで提出できる取扱いがあります(提出義務の判定も一定の除外あり)。 (4)出し忘れ・不備の影響(ペナルティ) 期限内提出があると、国外財産に関する申告漏れがあった場合に加算税が5%軽減される一方、提出がない・記載がない場合は5%加重されることがあります。 また、虚偽記載や正当な理由のない未提出は、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金となる可能性があります。   第5章 金額が小さい海外口座も相続税申告の対象 「残高が少ない海外口座」をどう扱うかは、手間とのバランスが悩みどころです。 海外口座の相続手続きは、前述したように海外で行う手続きも多く専門家に任せるのはコストもかかります。 そのため実務的には、多めの概算の金額で相続税申告は行い、相続手続きは行わないということもありえます。 例えば仮にアメリカに口座残高1,000ドル(約15万円)の預金口座があるとします。 この預金口座を相続する際に、現地の専門家に依頼をすると100万円かかってしまう場合、預金口座の残高よりも報酬の方がかかってしまうため手続きをしないということもあります。 ただし、相続税申告においてはたとえ1,000ドルでも申告に含めなければ申告漏れになってしまうので申告は必ず行う必要があるということです。 この章では、具体的に少額の海外口座の場合の相続手続きの考え方を解説していきます。 5-1 申告に入れない場合のリスクを確認する 少額だからといって「申告しない」判断は、後から説明が難しくなることがあります。 相続税は期限があり、申告が遅れたり申告額が少ないと加算税・延滞税がかかる場合があります。 さらに、CRSのような仕組みで口座情報が把握され得る点も踏まえ、「省略してよいか」ではなく、「現実的にいくらで計上するか」を考え、資料の収集、検討するのが得策です。 5-2 手間・費用とリスクを比べて方針を決める まずは、専門家報酬・翻訳費用・認証(アポスティーユ等)・送金手数料の目安を把握する必要があります。 「回収して日本へ送金」「回収は時間をかけつつ、申告は期限に間に合わせる」など、対応パターンを整理する こともあります。 迷う場合は、先に「税務側だけ固める」発想(評価資料の確保・申告方針の決定)が安心です。 第6章 専門家に相談して安全に手続きを進める 海外口座の相続は、海外での手続きが必須になり、現実的に専門家のサポートなしに手続きを進めることは困難です。 税理士法人マインライフは、新宿・津田沼を拠点に、相続・国際相続の専門家として豊富な実績を持つ少数精鋭の税理士法人です。年間数百件の相続税申告を担当しており、経験豊富な税理士が必ず最初から最後まで対応します。 「海外の財産をどう扱えばいいのかわからない」「外国税額控除を受けたいが手続きに不安がある」―― そのようなときは、ぜひ税理士法人マインライフへご相談ください。 初回面談は無料です。ご状況をお伺いし、今すぐできる最善の方法とスケジュールをご提案いたします。 最初の一歩を踏み出すことが、複雑な国際相続を解決へ導く最大のカギとなります。 第7章 まとめ いかがだったでしょうか。 本記事では、海外口座の相続について ・国によってプロベートが必要なケース/不要なケースがあること ・日本の相続税の申告期限(10か月)を意識して、スケジュールを逆算する必要があること ・戸籍・翻訳・認証、現地の相続証明書など、日本とは異なる書類や手続きが求められること ・残高が少ない口座でも、申告や対応方針をあいまいにしない方が安全なこと ・日本と海外双方の制度を見ながら、専門家と連携して進める重要性 といったポイントをコンパクトに整理しました。 海外口座の相続は、「とりあえず日本と同じようにやってみる」と行き詰まりやすい分野です。 ご自身だけで抱え込まず、早めに全体像とリスクを把握し、専門家へ相談しながら、無理のないスケジュールと方法で進めていきましょう。
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    国際相続サポート

    • 2026.01.17
    • 門倉 誉士希

    【ケース別】外国人配偶者が関わる場合の相続を税理士が解説します

    「自分の配偶者は外国人だけど、将来の相続で困ることはないだろうか、、、?」そんなご不安をお持ちですね。 日本在住の日本人(=日本国籍)の方が亡くなり、その日本にある遺産を日本在住の日本人の配偶者が相続する場合、当然に日本の法律に基づいて相続の内容が決まることになります。 しかし、亡くなった方が外国人(=外国籍)である場合や、遺産が外国にある場合は日本の法律に沿っているだけでは相続の内容が決まらないことがあります。 相続は海外の法律が絡むととても複雑になります。そして最悪の場合、遺産を相続できない又は相続するまで長い時間がかかる、ということもあり得ます。 当記事では外国人の配偶者が関わる場合の相続についてケース別に解説します。 自分の場合はどのケースに当てはまるかを把握し、将来の相続に備えましょう。 第1章 相続で外国人の配偶者が関わる場合の基本 まず、被相続人(亡くなった人)が外国人の配偶者である場合と、相続人が外国人の配偶者である場合、それぞれの相続の基本について確認していきましょう。 1-1 被相続人が外国籍の配偶者の場合の相続 まずは被相続人(亡くなった人)が外国籍の配偶者だった場合の相続の基本について確認します。 なお、被相続人(外国籍)、相続人(日本人の配偶者)ともに日本在住の前提とします。 (1)準拠法 被相続人が外国籍の場合、日本の法律に従うと、原則として被相続人の本国法(国籍を持っている国の法律)に基づいて相続の内容(法定相続人や相続分など)が決まることとなります(通則法第36条)。 ただし、例えばその本国の法律が、「不動産は所在地の法律に従うこと」と定めている場合は不動産が所在する国の法律に従うこととなります。この場合結果的に、日本に所在する不動産は日本の法律に基づいて相続の内容(法定相続人や相続分など)が決まることとなります(法律用語ではこれを「反致」と言います)。 また、本国の法律が、「動産は被相続人の生活の本拠地(ドミサイル)の法律に従うこと」と定めている場合は、日本に所在している動産(金融資産等)であっても被相続人の生活の本拠地(ドミサイル)の法律に基づいて相続の内容(法定相続人や相続分など)が決まることとなります。なお、アメリカの各州の相続法ではこのような定めになっていることが多いです。 被相続人の本国法によって取り扱いが異なることとなり、また、本国法によっては被相続人の財産の種類、財産の所在地、生活の本拠地がどこであるかで最終的に従うべき法律が異なることとなります。 実際の具体例を見てみましょう。 【例】 <前提> 被相続人:日本在住(ドミサイルは日本)・アメリカ国籍 相続人:日本在住・日本国籍の配偶者 相続財産:日本に不動産と預金、アメリカに有価証券 <準拠法> この場合、被相続人はアメリカ国籍であるため、本国法であるアメリカの法律(州法)に基づいて法定相続人や法定相続分が決まることとなります。 <日本の不動産の相続> アメリカの法律(州法)では基本的に不動産はその所在地の法律により法定相続人や相続分が決まることとされています。 したがって、被相続人がアメリカ人であっても、日本の不動産に関してはその所在地である日本の法律に基づいて相続することとなります。 <アメリカの有価証券の相続> アメリカの法律(州法)では基本的に動産は生活の本拠地(ドミサイル)に基づいて法定相続人や相続分が決まることとなります。 したがって、被相続人がアメリカ人であっても、有価証券等の動産については被相続人の生活の本拠地(ドミサイル)である日本の法律に基づくこととなります。 ただし、実際の相続手続きについては日本の法律だけでは進められないことが多く、次の(2)②のような実態があります。 (2)実際の相続手続き ①日本国内の財産の相続手続きのポイント 被相続人が外国人の場合、日本国内の財産について日本の法律に従って相続手続きを進められる場合であっても、実際の手続きにあたっては不動産の相続登記や金融機関に提出すべき必要書類が揃わないという問題が生じます。外国人には戸籍がないためです。 被相続人が日本人の場合、生まれてから亡くなるまでの戸籍を取得すれば両親、子ども、配偶者、きょうだいの全てがわかるので、法定相続人が誰か特定することができます。他方、被相続人が外国人でその配偶者が日本人である場合、配偶者の戸籍には結婚の事実等が記載されている可能性もあります。 しかし、それだけでは不十分な内容であることが多いので、戸籍に代わって以下のような書類を集める必要があります。 【戸籍に代わる書類】 ・外国人である被相続人及びその両親、きょうだい等の出生証明書、婚姻証明書、死亡証明書 等 ・宣誓供述書(相続人が被相続人との関係及び被相続人の法定相続人を確認する内容のもの) ・外国人登録原票、日本における出生届、婚姻届 等(日本に居住する被相続人の場合) なお、これらの書類は外国語で作成されるため、手続きに使用するにあたっては日本語訳を添付する必要があります。 通常、日本にある財産の相続手続きにあたっては以下の書類が必要となります。 ・相続を証明する書類(戸籍) ・住所を証明する書類(住民票等) ・遺産分割協議書と印鑑証明書(遺言がない場合) ②国外の財産の相続手続きのポイント 国外の財産について相続による名義変更手続きを行う場合、準拠法が日本法となる場合においても、実際の名義変更手続きが日本の法律に従って進められるかというとそのようなことはほとんどなく、財産所在地の法律に従わなければ名義変更手続きができないことが通常です。 上記(1)の具体例の場合、アメリカの有価証券を相続するにあたっては、原則としてアメリカでのプロベート手続き(遺産を裁判所の監督のもとで整理・分配する手続き)が必要となり、現地の弁護士や裁判所の関与がなければ解約や名義変更といった相続手続きができないこととなります。 プロベート手続きには相当の時間と専門家に対する費用を要することになります。 【「プロベート手続き」についてはこちらの記事をご参照ください。】 (3)相続税の課税関係 相続税については日本の相続税と国外(本国や財産の所在地)の相続税の両方が課税されることがあり、両国の税制や租税条約を確認する必要があります。 なお、被相続人が外国人の場合も日本の相続税を計算する上での「法定相続人の数」や、「法定相続分」は日本の民法に基づいて判断することとなります。 また、日本の相続税においては「配偶者の税額軽減」という制度があります。 これは、被相続人の配偶者が遺産を相続する場合、一定額まで相続税がかからず、配偶者の税額が軽減される制度です。配偶者の場合、相続する財産が1億6,000万円、もしくは、法定相続分のどちらか多い方までであれば相続税がかかりません。 【「国際相続における日本の相続税」についてはこちらの記事をご参照ください。】 また、両国間の二重課税を防ぐために「外国税額控除」という制度があります。 【「外国税額控除」についてはこちらの記事をご参照ください。】 1-2 相続人が外国籍の配偶者の場合の相続 次に相続人が外国籍の配偶者だった場合の基本について確認します。 なお、被相続人(日本人)、相続人(外国籍の配偶者)ともに日本在住の前提とします。 (1)準拠法 被相続人が日本国籍の場合、被相続人の本国法である日本の法律に基づいて相続の内容(法定相続人や相続分など)が決まることになります。 この場合、相続人の国籍は一切関係ないため、相続人が外国籍であったとしても日本国籍の相続人である場合と同じ整理となります。 (2)実際の相続手続き ①日本国内の財産の相続手続きのポイント 被相続人が日本人である場合、その準拠法は日本の法律となり、日本国内の財産の相続手続きを行う場合には一般的な日本の相続手続きと大きく変わることはありません。 しかし、その相続人である配偶者が外国人である場合、戸籍がないためこれに代わって以下のような書類を集める必要があります。 【戸籍に代わる書類】 ・相続人である外国人の配偶者の出生証明書、婚姻証明書 等 ・宣誓供述書(相続人が被相続人との関係及び被相続人の法定相続人を確認する内容のもの) ・外国人登録原票、日本における出生届、婚姻届 等(日本に居住する相続人の場合) なお、これらの書類は外国語で作成されるため、手続きに使用するにあたっては日本語訳を添付する必要があります。 ②国外の財産の相続手続きのポイント 国外の財産について相続による名義変更手続きを行う場合、準拠法が日本法となる場合においても、実際の手続きは財産所在地の法律に従わなければ進められないことが通常です。 とはいっても、日本人が多く居住する国や地域では、財産の種類、金額によっては現地の裁判所が日本の遺言や遺産分割協議書の効力を認めた、というケースもあるようです。 実際の相続手続きにあたっては国際相続に精通する現地の専門家に確認を行う必要があります。 (3)相続税の課税関係 相続税については日本の相続税と国外(本国や財産の所在地)の相続税の両方が課税されることがあり、両国の税制や租税条約を確認する必要があります。 「配偶者の税額軽減」は配偶者が外国籍だった場合も適用が可能です。 【国際相続における日本の相続税についてはこちらの記事をご参照ください。】 両国間の二重課税を防ぐために「外国税額控除」という制度があります。 【「外国税額控除」についてはこちらの記事をご参照ください。】 第2章 【ケース別】配偶者が外国人の場合の相続のポイント 亡くなった配偶者(被相続人)、または、相続人である配偶者が外国籍であった場合の相続のポイントをまとめると以下のようになります。 なお、被相続人、相続人共に日本在住の前提としています。  ※ 被相続人、相続人ともに日本在住の前提 第3章 配偶者が外国籍の場合の注意点(トラブル防止の対策) 次に配偶者が外国籍である場合の相続における法務と税務の注意点を確認しましょう。 3-1 遺言について 外国籍の配偶者が遺言を作成する場合、一定の条件に当てはまれば日本国内で日本法に従って作成した遺言が有効となります。 しかし、実際に遺言を作成する場合には「財産の所在地ごとに遺言を作成する」のが重要です。財産の所在地以外の国で遺言を作成したとしても、実際の相続が発生した際にその遺言通りに手続きが進められる保証はないためです。 また、財産の所在国によっては遺言が最適な対策とも限らない場合もあります。 そもそも財産を国外に残さないことやトラストやジョイントアカウントなどの対策も含めて最適な方法を検討する必要があります。 3-2 住所・生活の本拠地(ドミサイル)について 当記事は被相続人、相続人ともにその住所・生活の本拠地(ドミサイル)は日本にある前提としました。 被相続人、相続人の双方または片方の住所・生活の本拠地が国外にあれば、準拠法や相続税の課税関係も大きく異なる可能性があることについても留意が必要です。 第4章 国際相続のご相談はマインライフへ 配偶者が外国人で相続の手続きが複雑になるかもしれない・・・。 そのような難しいケースでも、弊社には最適なサポート体制が整っています。 税理士法人マインライフは、新宿・津田沼を拠点に、相続・国際相続の専門家として豊富な実績を持つ少数精鋭の税理士法人です。 年間数百件の相続税申告を担当しており、経験豊富な税理士が必ず最初から最後まで対応します。 マインライフが選ばれる理由 「配偶者が外国人で相続手続きをどうしたらいいのかわからない・・・。」と感じている方は、ぜひ税理士法人マインライフへご相談ください。 初回面談は無料です。ご状況をお伺いし、今すぐできる最善の方法をご提案いたします。 第5章 まとめ いかがでしたでしょうか。 配偶者が外国人の場合の相続は日本人夫婦の相続とは異なる点が多々ありますが、そのポイントは以下の通りです。 ・原則として被相続人の本国法に基づいて相続の内容(法定相続人や相続分など)が決まる ・ただし、本国法によっては、財産の種類によって財産の所在地や生活の本拠地(ドミサイル)の法律に基づいて相続の内容が決まることもある ・実際の相続手続きは財産の所在地の法律に基づいて進めることが通常。 ・日本で相続手続きを行う場合、外国人については相続を証明する書類として戸籍に代わる宣誓供述書等が必要 ・日本の相続税と国外の相続税がかかる可能性がある ・日本の相続税の計算にあたっては「配偶者の税額軽減」と「外国税額控除」の適用が可能 ・遺言等の相続対策を行うにあたっては複数の方法を含めて慎重な検討が必要 ・配偶者が外国人で相続手続きに不安を感じたら「税理士法人マインライフ」へ! 配偶者が外国人の場合の相続は複数の法律や言語が絡み合いとても複雑なものになります。 スムーズな相続を実現するには生前からの準備・対策を行うことが不可欠です。 相続対策は早く始めれば始めるほど、大きな効果を生みます。 将来の相続に備えて、今できることをひとつずつ着実に行っていきましょう!
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    国際相続サポート

    • 2026.01.07
    • 川崎 朝輝

    プロベートとは?仕組み・流れ・回避方法を税理士がわかりやすく解説

    「アメリカにある父の遺産、どうやって手続きすればいいの……?」 日本国内の財産でさえ難しい相続手続き。 それが海外の財産となれば、なおさら戸惑いを感じている方も多いのではないでしょうか。 実際に調べてみると、目にするのが「プロベート」という聞きなれない言葉。 さらに、英語・法律・制度の壁に加え、時間も費用もかかる手続きと知り、「どうしよう……」と頭を抱えている方も少なくないでしょう。 プロベート手続きは確かに複雑で、財産がある現地の専門家に依頼する必要があります。 そして、日本側でも税金や名義変更などの手続きが関わるため、複数の専門家と連携しながら進める必要があるのが現実です。 だからこそ重要なのが、日本にいながらも全体像を把握し、信頼できる専門家に相談できる体制を整えることです。 本記事では、 ・プロベートとはどのような制度なのか? ・日本と海外の相続手続きの違いは? ・どんな場合にプロベートが必要になるのか? ・プロベートを回避できる方法は? ・プロベート手続きの具体的な流れは? ・現地専門家を選ぶ際の注意点は? ・プロベートが長引く場合の日本の相続税の対応は? といった疑問にお答えしながら、日本にいる相続人が“最初に知っておきたいこと”をわかりやすく解説します。 この記事を読んで、プロベートの制度を正しく理解し、スムーズで正しい相続手続きを行なってください。   第1章 プロベートとは?海外の相続では裁判が必要??  プロベート(Probate)とは、人が亡くなった際に、その遺産を法的に管理・清算し、最終的に相続人へ分配するまでの一連の裁判手続きの制度です。  アメリカやイギリス、オーストラリア、香港、シンガポール、カナダ、ニュージーランド、マレーシアなどの国で採用されている制度です。日本やドイツ、フランスなどの国では原則としてプロベートのような裁判手続きは不要です。 プロベートが不要な日本では、相続人の話し合いにより誰がどの財産を取得するかを決めます。その内容に基づいて、不動産や預金の名義変更などができます。 しかし、プロベートが必要な国では、裁判所の監督のもとで、遺産の確定、債務の弁済、相続人への分配がされます。そのため、多くの費用と時間を要することになります。   1-1 プロベートが必要な理由 プロベートは、亡くなった人の財産をしっかりと整理し安全に引き継ぐために、必要となります。 そのため、裁判所が財産をチェックしていく制度です。 遺言が本物であるか?相続人が正しいか?(本当に相続人か?)借金や税金も適切に整理、清算できているか?といったことなどを裁判所が中立の立場で監督しています。 では、日本の手続きとプロベート手続きが必要なアメリカの相続手続きの比較をしてみましょう。 1-2 日本の相続手続きとの違い/日本とアメリカの比較 日本の相続手続きとプロベート手続きが必要なアメリカの相続手続きには次のような違いがあります。 日本人でもアメリカの法律に従う必要があるのか?という疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。次は、その疑問についてお答えします。 1-3 日本人なのにプロベートが必要になるの? 日本人であっても遺産を取得する際に、プロベートの手続きが必要になる場合があります。 日本の法律では、相続は被相続人(亡くなった人)の本国法(日本人であれば日本の法律)によると定められています。しかし、アメリカの多くの州では、不動産が所在する場所の法律を適用すると定められています。 つまり、日本人がアメリカの不動産を所有している場合は、日本の法律では日本の法律が適用されると定めており、アメリカの法律ではアメリカの法律が適用されると定めています。 このように日本とアメリカでどちらの国の法律を適用するか異なることもあります。 実際にこのようなケースではアメリカにある不動産の手続きをするので現地のアメリカの法律により相続手続きをする必要があります。 そして、日本人であってもアメリカに不動産を所有している場合にはプロベートの手続きが必要になります。 日本人でもプロベートの必要があることは分かったけど、どういう場合に必要になるのか?疑問を持たれた方も多いと思います。 基本的にはプロベートのある国に財産があれば必要になりますが、回避する方法もあります。 次の章ではプロベートはどのような場合に回避できるのか?について解説していきます。 第2章 プロベート手続きを回避する5つの方法 プロベートの手続きは費用も時間もかかるため、プロベート手続きを回避する方法がいくつも用意されています。そのうちの5つの方法をご紹介いたします。 ※注意!! いずれの方法も相続が発生する前(ご存命中)に、手を打っておく必要がありますので、注意してください。 2-1 【方法1】死亡時の受取人の指定(POD、TODR、TODD) 不動産や預貯金などの財産について、所有者が死亡した際にその財産を受け取る人をあらかじめ指定しておく方法です。この方法は非常に簡単に行うことができます。 • POD (Payable-on-Death) Accounts: 銀行口座の受取人指定 所有者が死亡した場合の受取人を事前に銀行に申し出ておくものです。 この手続きがされている場合は所有者の死亡後にプロベートを経ずに指定された受取人が受け取ることができます。なお、所有者が存命中は、受取人には権利はなく、所有者は自由に口座を利用・変更・解約できます。 • TODR (Transfer-on-Death Registration): 証券口座の受取人指定 PODと同様に、証券会社や発行会社に所定の用紙を提出するだけで、プロベートを経ずに受取人へ有価証券の所有権を移転することができます。 • TODD (Transfer-on-Death Deed): 不動産における死亡時譲渡証書 不動産の権利証に受取人を指定し、これを法務局に登記することで、プロベートを経ずに受取人へ所有権を移転することができます。所有者はいつでも撤回することが可能で米国などに不動産しか所有していない方に適しています。 ※注意!! TODRやTODDは、口座の種類、証券会社、または州によっては設定ができない場合があります。そのため、事前に金融機関や現地の弁護士に確認が必要です。 受取人に指定した人が先に死亡するケースに備えて、代替の受取人を指定できる場合もあります。 TODDは、国や州によっては居住用不動産に限定されている場合や債務を承継する必要が生じる場合があります。メリットだけでなくデメリットになる場合もありますので指定をする前に現地の弁護士に確認をしておきましょう。 2-2 【方法2】共同所有:残りの生存者へ移転(ジョイント) 複数の人が共同で財産を所有しておくことで、共同所有者のうちの一人が死亡した場合に、その持分が自動的に生存する共同所有者に移転するものです。自動的に移転するためプロベートの手続きが不要となります。 • ジョイント・アカウント (Joint Account) 共同名義の預金口座です。米国の夫婦の預金口座として多く利用され、口座名義人の死亡により、自動的に生存名義人に財産が移転されます。 • ジョイント・テナンシー (Joint Tenancy) 不動産などを共同所有するものです。ジョイント・アカウント同様、共同所有者の一人が死亡した場合にはその死亡した共同所有者の持分が生存する他の共同所有者に自動的に移転・帰属します。 ※注意!! • 共同所有者全員が亡くなるとプロベートが必要となります!! • ジョイントにする際に贈与税注意!! 不動産などをジョイントにする際に、資金を拠出していない人が名義人として加わる場合には、日本では資金を拠出した人からの贈与とみなされ、贈与税が発生します。 2-3 【方法3】生前信託(Living Trust) 日本にも同様の制度がありますが、信託制度を活用する方法です。 信託とは、財産を所有している人が信頼できる第三者に、持っている財産の運用や管理、最終的な処分まで任せるものです。そして、どのように運用、管理、処分などをするのかについてあらかじめ契約で定めておきます。その契約で、自分が死亡した時はこの人に財産を渡すということを定めておけばプロベートを経ずに財産を移転することができます。 ※注意!! • 日本の財産は一緒に信託財産として管理などができない場合があります。 • 受託者になる要件として米国非居住者は、基本的に米国で生前信託の受託者になることはできません。 • 信託の設定には多くの手間や費用がかかります。 • 一度信託を設定した後も、新たに財産を取得した場合などは、それらも想定して信託や遺言を設定しておくか、その都度変更しなければ、新たに取得した財産についてプロベートを回避することができません。 2-4 【方法4】日本法人による間接保有 日本の法人が海外財産を保有する方法です。法人が保有している場合は、個人の相続手続きであるプロベートは必要なくなります。個人が所有するのは日本の法人の株式となるため、日本国内の他の財産と同じように相続手続きをすることができます。 ※注意!! 法人の設立や法人への資産の移管に伴う複雑な税務や法務の検討が必要となります。 法人へ資産を移管する際に、所得税や贈与税などが発生する場合があります。 2-5 【方法5】少額資産 遺産の総額が一定額以下の場合には、プロベート手続きが不要または簡略化される場合があります。 ※注意!! 少額であるかについては、国や地域、金融機関などによって大きく異なります。 なお、受取人が指定されている生命保険金や退職年金は、プロベートの対象になりません。 また、その国の遺言書を作成している場合でもプロベート手続きは必要となり遺言書の内容は裁判所を通じて検認され執行されます。遺言書は亡くなった方の意思を明確にする重要な書類になり、遺言で指定された遺言執行者がプロベートの手続を行うことになります。 次章では、プロベートの具体的な手続きの流れについてご説明します。 第3章 プロベートを進めていく具体的な流れ この章ではプロベートの手続きが必要になってしまった場合、どのような流れで手続きが進むのか解説していきます。 プロベートの手続きの6つのStep 【Step1】 相続の発生とプロベートの申立 人が死亡すると相続が開始します。 遺言がある場合は、まずその遺言書を裁判所に提出して有効かどうかをチェックしてもらいます。  遺言がない場合は、裁判所が「誰が遺産を管理するか(遺産管理人)」を決めます。 【Step2】 遺言執行者又は遺産管理人が正式に任命される  遺言で指定されていた遺言執行者(遺言に書かれた内容を故人に代わって実行する人)や裁判所が選んだ遺産管理人が手続きの責任者となります。 裁判所から管理をする『許可書』が発行されます。 【Step3】 財産や借金を調査し目録(リスト)を作成  故人が持っていた財産(預金・不動産・株など)や借金や税金をすべて調べてリストを作成します。 このリストは裁判所に提出し、その後の手続きのベースになります。 【Step4】 債務・税金の清算 財産の中から、遺言執行者や遺産管理人の報酬、故人の借金や未払の税金などを優先して支払います。そのため、日本のように相続人が個人的に借金を引き継ぐことは基本的にありません。 【Step5】 財産の分配  債務や税金の清算後、残った財産を相続人に分配します。 遺言がある場合→遺言に書かれた内容に従って分配されます。  遺言がない場合→各州の法律に従って相続人に分配されます。 【Step6】 裁判所への完了報告   全ての手続きが完了した後、その旨を裁判所に報告しプロベートは終了となります。 ~プロベートの4つのデメリット~ 1 期間が長期間:プロベートの手続きは半年から3年かかることもあります。 2 費用が高額:裁判所に支払う費用、鑑定費用、弁護士費用などが発生し、高額になることがあります。特に、プロベート対象財産が少額であっても、多額の費用や時間がかかり、コスト倒れになることが多々あります。 3 プライバシーの問題:手続きの中で遺言書の内容や遺産の内訳が公開され、プライバシーを確保することができません。 4 国際相続の複雑さ:国際相続の場合、日本の戸籍謄本などの書類は翻訳の上翻訳証明を付けることが多く、別途、海外の公的書類(出生証明書、婚姻証明書、死亡証明書など)や宣誓供述書などを集める必要があります。これらの書類は、アポスティーユ認証または領事認証が必要となる場合があります。また、遺言書や遺産分割協議書が外国語で記載されている場合、翻訳が必要となることもあります。  なお、プロベートの手続きは裁判手続きのため現地の弁護士に依頼するのが通常です。現地の弁護士を選ぶ際の注意点について次章で詳しく解説します。 第4章 現地の専門家を選ぶ際の4つのPoint 現地の制度や相場を理解し、日本と現地の専門家が連携できる体制を作ることが、海外相続をスムーズに進める最大のポイントです。特に、日本の専門家を経由して現地の専門家を探すことで手間やリスクを大きく減らせます。 Point 1 日本の専門家に紹介を受けるのが一番のPoint 日本の専門家に紹介を受けるのが一番スムーズに進みます。この後の3つのPointもケアしてもらえます。 自分で現地の専門家を探すのは難しく、報酬や支払いタイミングの交渉も容易ではありません。相場感がないまま契約すると、通常より高い額になるリスクもあります。 国際相続に精通した日本の専門家(税理士や弁護士)であれば、現地の信頼できる専門家とネットワークを持っていることが多く、このようなリスクも軽減できます。また、日本の税務も必要な場合は、一緒に依頼できるメリットもあります。 Point 2 州ごとに法律や手続きが違うので適用する法律に精通した専門家を探す アメリカは州ごとに法律が違います。 どの州の法律が適用されるのか確認し、その州に精通した専門家を選ぶことが必要です。 カリフォルニア州の法律に基づいて手続きが必要なのにニューヨーク州専門の弁護士に依頼してしまうとスムーズに手続きが進まないことがあります。 Point 3 報酬形態と相場を必ず確認する 現地専門家の報酬は、日本の専門家よりも高額になることが多いです。 それでも、現地での相場として高額なのか妥当なのかについては検討をする必要があります。 なお、主な報酬形態は『遺産総額の○%(例:2〜5%)』『タイムチャージ制(時間あたり○ドル)』のいずれかです。 Point 4 報酬を支払うタイミングを確認する プロベートの手続きは長期間になります。 この間、遺産は裁判所の管理下にあり、自由に使ったり名義変更したりできません。 そのため、費用を一時的に相続人が立て替える必要が生じる場合があります。 契約によっては、報酬の一部を名義変更完了後に支払うことも可能です。支払時期によって相続人の資金負担が大きく変わるので注意が必要です。 現地の専門家選びは、費用や期間だけでなく、日本での税務との連携も欠かせません。 次の章では、日本の税務の注意点を取り上げます。 第5章 プロベートが終わっていなくても日本の相続税は待ってくれない プロベートにどれだけ時間がかかっても、日本の相続税の期限は延びません。 日本の相続税の期限は「相続開始を知った日(通常は亡くなった日)の翌日から10か月以内」です。この期限内に相続税の申告と納税をする必要があります。 亡くなった方と相続人のいずれかでも日本に在住している場合、基本的に海外の財産も含めて日本の相続税の対象になります。 プロベート手続きが間に合わない場合は財産の分割が完了していないもの(未分割)として一度申告し納税をすることになります。 その後、プロベート手続きが完了し財産の分配が行われた後、必要に応じて申告書を修正し提出することになります。 なお、日本の相続税には各種特例が設けられておりますが、未分割の場合には適用できないものがあります。そのため、プロベート手続きが間に合わない場合にはそれらの特例を受けずに申告することになります。 第6章 海外に財産があり、お困りの場合はぜひ税理士法人マインライフへご相談ください 財産が海外にあり、プロベートの手続きが必要かもしれない・・・。 そのような難しいケースでも、最適なサポート体制が弊社には整っています。 税理士法人マインライフは、新宿・津田沼を拠点に、相続・国際相続の専門家として豊富な実績を持つ少数精鋭の税理士法人です。年間数百件の相続税申告を担当しており、経験豊富な税理士が必ず最初から最後まで対応します。 マインライフが選ばれる理由 「海外の財産をどうしたらいいのかわからない・・・。」と感じている方は、ぜひ税理士法人マインライフへご相談ください。 初回面談は無料です。ご状況をお伺いし、今すぐできる最善の方法をご提案いたします。 第7章 まとめ いかがだったでしょうか。 相続が発生した時、海外に財産がある場合はプロベートという制度の適用を受けなければならなくなります。 プロベート制度のまとめ ・プロベートは、亡くなった人の財産を法的に整理・清算し、相続人へ分配するための裁判手続き ・アメリカなどに不動産や口座がある場合、日本人でもプロベートが必要になる ・プロベートは時間も費用もかかるが、回避できる方法(受取人指定、共同所有、生前信託など)もある ・回避できない場合は6つのステップで進行する(遺言提出~完了報告) ・デメリットは長期化・高額費用・情報公開・国際書類の煩雑さ ・現地の専門家選びは、日本の専門家経由が最も安全でスムーズ ・日本の相続税は、プロベートが終わらなくても10か月以内に申告・納税が必要 プロベートは手続きが煩雑で、時間も費用も想像以上にかかるものです。 まずは信頼できる日本の専門家に相談し、現地との橋渡しをしてもらうことから始めましょう。
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    国際相続サポート

    • 2025.12.22
    • 伊藤 千尋

    国際相続は誰に相談すべきか?失敗しないポイント

    「相続人の一人が海外に住んでいる」又は「海外に財産がある」そんな時にまず誰に相談したらいいのか? おそらく今記事を読んでいる方もそのような悩みがあるのかと思います。 結論としては、最初の相談窓口は“国際相続に強い税理士法人”が最適といえます。 なぜなら、国境をまたぐ相続は二重課税・手続の壁が大きく、国際相続に強い税理士法人なら評価・翻訳・期限管理までサポートし、現地専門家と連携して無駄な税負担と手戻りを防げるからです。 国際相続に精通した税理士が全体像(税務・法務・登記・海外手続)を設計し、必要に応じて税理士・弁護士・司法書士・海外弁護士や公認会計士などをチームにして進めるのが、最短かつ安全な進め方です。 申告期限や海外手続は待ってくれません—この記事を読んで「相談してみよう」と思っていただければ幸いです。 第1章 国際相続は専門家に相談すべき 国際相続の場合の結論としては「迷わず専門家へ相談すべき」です。 海外がからむ相続は、日本だけの手続きでは完結しないことが多く、準備の遅れがそのまま負担やリスクに直結します。 最初から国際相続に強い専門家に相談するのがいちばん安心で早い進め方です。 【なぜ専門家が必要なのか】 ①手続きが「日本+海外」で二重になるから 海外がからむ相続の場合、日本国内の手続きとは別に海外での手続きが必要となります。 例えば、アメリカに証券口座がある場合、日本では相続税の申告、アメリカ側では口座名義を変える手続きや裁判所を通す手続き(プロベート)が必要になることがあります。 ※プロベート=遺産の内容や相続人を裁判所の管理下で確認・整理する手続きです。 ②税金の判断ミスがコスト増につながるから 海外がからむ相続の場合、税務手続きだけをとっても非常に複雑になることが多いです。 海外の財産の評価方法、日本の相続税の申告、外国で払った税金の精算(外国税額控除)など、判断を誤ると税金が増えたり、期限に遅れて加算税がかかったりします。 ・必要書類の準備に時間がかかるから 海外がからむ相続の場合、まず書類をそろえることが最大のポイントで、準備に最も労力を要します。 戸籍の収集、翻訳、海外提出のための認証手続きなど、取り寄せに数週間〜数か月かかることも珍しくありません。 早く動くほど有利です。 第2章 【ケース別】誰に相談するといいか 相続は専門家ごとに守備範囲が異なります。 税務(評価・申告・納税設計)は税理士、紛争や契約・準拠法は弁護士、不動産の相続登記は司法書士、海外の裁判所手続(プロベート)や現地金融機関対応は海外弁護士——それぞれ役割が分かれています。 この章では複雑な国際相続において、「相談時期」・「相談内容」に応じて誰に相談すべきか解説いたします。 ただし、専門家だからといって皆が国際相続に精通しているわけではありません。 最も安心かつ安全なのは、「国際相続に精通している専門家に依頼すること」です。 専門家選びを間違えると、二度手間、三度手間になる可能性もあります。 2-1. 相続開始「前」:生前の準備 相談内容 まず相談する専門家 主なサポート 生前の相続税対策など、税金に関わること 税理士 ・相続税の試算 ・財産評価・節税設計 ・納税資金計画 ・二次相続の見通し プロベート対策など、法務手続きに関わること 弁護士 ・遺言・信託の法的設計 ・準拠法の検討 ・将来紛争の予防 ・各国の法務要件の確認 基本的には税金に係わることは税理士、名義変更等の手続き関係に係わることは弁護士にご相談いただければ大丈夫です。 2-2. 相続開始「後」:発生後の対応   相談内容(発生後) まず相談する専門家 主なサポート 海外に財産がある 税理士(国際相続) ※必要に応じ海外弁護士 ・日本の相続税申告・評価 ・海外での名義変更やプロベート要否の判断 ・金融機関・現地専門家との連携 ・翻訳・認証の段取り 相続人が海外在住 or 外国籍 税理士+司法書士 ・署名証明・領事認証・アポスティーユの要否判断 ・本人確認書類の整合(氏名表記ゆれ等) ・相続登記・銀行手続の要件整理 被相続人が外国籍 税理士(国際相続) ※必要に応じ弁護士 ・課税範囲の確認(居住歴・国籍等) ・準拠法の整理 ・日本申告と各国手続の並走管理 ・必要書類の翻訳・認証手配 手続きの中でも最も優先すべきは相続税申告になります。 なぜなら、申告手続きには明確な期限があり期限を過ぎてしまうとペナルティがあるからです。 したがって、ご相続が発生した場合にはまず税理士にご相談いただくのが最も安心な方法だと思います。 2-3. まずは無料相談する 悩んだらまずは無料相談してみるのがいいでしょう。 海外がからむ相続の場合、必要な手続きや書類はケースによって様々です。 そこで、国際的なネットワークがあるかどうか、実績が豊富かどうか、海外の法律に詳しいかどうか、料金が明確か、フットワークが軽そうか、自分との相性を見てみましょう。 迷ったら:税理士法人マインライフにご相談ください。 全体像を整理し、必要に応じて各専門家へおつなぎします。 第3章 相談を始める前に準備しておくべきこと 「税理士に何をどう相談すればいいのか分からない」という方も多いかと思います。 この章では、ご相談前にご準備いただくとスムーズに進むポイントを、分かりやすくご案内します。 3-1. 相談内容はどんな内容でも大丈夫 海外がからむ相続のことなら、内容があいまいでも大丈夫です。 最初から論点をきれいに整理できている方は多くありません。 ・相続税のこと ・不動産の相続登記 ・海外で必要な手続き(プロベート等) ・遺言・信託の扱い ・口座や名義の変更 ・書類の翻訳・認証(アポスティーユ等) など、気になっていることをそのまま伝えてください。専門家が全体像を整理し、必要な手順を一緒に決めていきます。 相続の手続きは申告期限まで長い付き合いになります。 初回相談では、話しやすいか・説明がわかりやすいか・自分に合うかもチェックして、安心して任せられる税理士を選びましょう。 3-2 準備するもの 一般的には下記のような書類をご準備いただけるといいかと思います。 ☑ 財産がわかる資料(通帳・残高証明、証券明細、保険証券のコピー など) ☑ 家族関係がわかる書類(戸籍一式/家族関係図でも可) その他必要なものがないか、面談の予約時にご確認いただけるといいかと思います。 【税理士法人マインライフにご相談いただく場合】 ① 事前にメモしておいてほしいこと ☑亡くなった日 ☑財産の全体像(何があるか・どこにあるか・名義・だいたいの金額) ☑住んでいた国/国籍(故人・相続人) ☑海外での手続きの進み具合(現地の相続手続きが進んでいるか など) ☑その他(遺言の有無、信託、贈与、保険、共同名義 など) ② 面談当日にあると助かるもの(そろう範囲でOK) ☑財産がわかるもの(通帳・残高証明、証券の明細、保険証券のコピー など) ☑家族関係がわかるもの(戸籍や家族関係図 など) ☑日本に不動産がある場合:固定資産税の課税明細、登記簿 など ☑遺言・信託の書類(あれば) ☑海外とのやり取りの控え(現地の弁護士・会計士の連絡先やメール など) ☑本人確認書類(運転免許証など)と連絡先 すべて完璧にそろっていなくて大丈夫です。わかる範囲でお持ちください。 必要なものは面談で一緒に整理し、集め方もこちらでご案内します。 3-3. 費用の目安 国際相続は複雑な案件が多いため、費用については案件によって変動するとされていることが多いです。 なので、明確な金額の提示がなく作業が進んでから報酬の提示を受けることになることも少なくないようです。 専門家に依頼する際には必ず報酬について確認するようにしましょう。 【税理士法人マインライフにご相談いただく場合】 税理士法人マインライフでは、報酬規程を設けるとともに初回相談は無料で行っています。 ※簡易的な報酬表になりますので詳しくは下記の弊社ホームページをご確認ください。 https://www.mine-life.jp/service/international-inheritance-support また、ヒアリング後に業務範囲・スケジュール・お見積書を提示し、ご同意いただいた後に着手します。 追加報酬が生じる場合には、事前にご説明したうえで再度お見積りをさせていただきますのでご安心ください。 第4章 相談事例 下記は、実際に私たちにご相談いただいた案件をベースに、状況・対応・結果・学びの順で整理した事例です。 ※個人が特定されない範囲で再構成しています。 相談すべきかお悩みになっている方の参考になれば幸いです。 事例A|相続人の一人が海外在住だったケース 【状況】 相続が起きたタイミングで、お子さまの一人がちょうど海外赴任中。財産は日本だけ、遺言はなし。なので、遺産分割協議が必要でした。 【対応】 海外にいる相続人の署名証明(署名の本物確認)と在留証明を、現地の大使館や役所で取ってもらいました。 日本側では協議書の案を用意して、翻訳が必要かもチェック。 時差や郵送時間を見込みつつ、申告期限(10か月)から逆算してスケジュールを立てました。 【結果】 書類の取り寄せに時間はかかったものの、期限内に協議成立→申告まで完了しました。 【ポイント】 海外の手続きは予約・郵送で思ったより時間がかかることが多いです。できるだけ早めに着手しましょう。 事例B|被相続人が外国籍で、海外にも財産があったケース 【状況】 被相続人は外国籍で日本に居住。財産は日本と海外の両方にありました。 【対応】 日本側は当法人で評価と申告の設計、必要書類の整理、期限管理を担当することになりました。 海外側は、提携の日本の弁護士と現地の弁護士で連携して、プロベート(裁判所の手続き)や名義変更・換金を進めました。 日本の申告に必要な海外資産の評価額・基準日を早めに固めるため、海外の進行と並走しました。 【結果】 海外の名義変更・換金と日本の申告を同時並行で無事完了。 【ポイント】 プロベートは現地弁護士との連携が必須です。 日本の申告でも海外資産の評価額が必要なので、海外手続きは早めにスタートが鉄則です。 事例C|海外在住のお母さまの財産について、生前対策のご相談 【状況】 お母さまは海外在住で預金が多め。相続人の子どもは日本在住で、「日本の相続税が心配…」というご相談でした。 【対応】 まず前提を確認。一般論として、相続人が日本居住だと海外の財産も課税対象になり得ます。 「子どもが海外移住して、相続の10年以上前から海外居住なら日本課税を外れる可能性がある」――という理屈上の選択肢もお伝えしましたが、仕事や家族の事情を考えると現実的ではなし。 そこで、生前贈与の活用や資産配分の見直しなど、無理のない対策に切り替え。 さらに手続き面の負担を減らすため、現地の弁護士とリビングトラスト(生前信託)を作成してもらいました。 【結果】 税金はできる範囲での軽減策になりました。 手続きはトラストを用いてシンプル化しました。家族の暮らしを大きく変えず、コストと効果のバランスをとった形で落ち着きました。 【ポイント】 相続税の“劇的な対策”は、年齢・居住地・家族事情によっては難しいこともあります。 でも早めに相談すれば、選べる手段は確実に増えます。 第5章 国際相続は税理士法人マインライフへ 国際相続は、国内相続とは比べものにならないほど複雑で、専門家の存在が成功の分かれ道となります。 税理士法人マインライフは、新宿・津田沼を拠点に、相続・国際相続の専門家として豊富な実績を持つ少数精鋭の税理士法人です。年間数百件の相続税申告を担当しており、経験豊富な税理士が必ず最初から最後まで対応します。 マインライフが選ばれる理由 「海外の財産をどう扱えばいいのかわからない」「外国税額控除を受けたいが手続きに不安がある」―― そのようなときは、ぜひ税理士法人マインライフへご相談ください。 初回面談は無料です。ご状況をお伺いし、今すぐできる最善の方法とスケジュールをご提案いたします。 最初の一歩を踏み出すことが、複雑な国際相続を解決へ導く最大のカギとなります。 第6章 まとめ いかがだったでしょうか。 今回のコラムでは、国際相続では専門家ごとに守備範囲が異なること、そして最初の相談窓口として“国際相続に精通した税理士法人又は弁護士法人”を起点にするのが安全かつ最短であることをお伝えしました。 税務(評価・申告・納税設計)と、法務・登記・海外プロベート等の複数の手続を一枚の設計図で並走させ、必要に応じて税理士・弁護士・司法書士・海外弁護士にバトンをつなぐ体制づくりが重要です。 さらに、国際相続の手続きには時間がかかるため、早めの準備が成否を左右します。 特に、次のような点が重要です。 ・まずは国際相続に精通した専門家を起点に:全体設計(論点・担当・スケジュール)を作り、連携先専門家を適切に紹介・調整できる窓口を選ぶ ・相談のハードルは低く:テーマが曖昧でもOK。「あるものだけ」で持参し、不足は必要書類リストで埋める ・費用は事前に提示してくれる専門家を選ぶ:初回無料相談等で費用も確認できるといいでしょう つまり、「誰でもよいから相談」ではなく、国際相続の実務に慣れ、他士業と連携できる税理士法人を最初の窓口に選ぶことが、期限遅延・手戻り・過大コストを避ける近道です。 相続や海外資産の整理を検討し始めた段階から、どうぞ早めにご相談ください。 最初の一歩(全体像の把握と期限逆算)が、その後の負担を大きく減らします。
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    相続対策

    • 2025.12.16
    • 久保 佑介

    税理士が解説/父が亡くなった後は誰が実家を相続したらいい?【相続税早見表つき】

    父親が亡くなった時、実家の自宅は母親と子どものどちらが相続した方が良いのでしょうか? 「母が住み続ける実家を、誰が相続するのが最も安全で税務的にも有利か」という論点は、とても相談が多いご質問です。 実際には個々の事情があるためケースバイケースとなることがほとんどです。 相続税に特化した税理士だからこそ税金はもちろん税金以外も含めてそれぞれの良い点・注意点を解説していきます。 あなたの実家は誰が引き継ぐのが最善なのか。ぜひ最後まで読んでください。きっと解決策が見つかるはずです。 第1章 父親が亡くなった後は誰が実家を取得すべきか【具体例(相続税)】 基本的には母親・同居の子どもが税金面を考慮すると実家を引き継ぐのが最善でしょう。 母親・同居の子どもが実家を取得した場合には「小規模宅地等の特例」が適用できるためです。 「小規模宅地等の特例」は実家である自宅の土地の価額の80%を相続税の課税対象となる遺産総額より減額することができます。 詳細は本章の後半<税理士の解説👉>にて解説します。 「相続税早見表」の使い方 本章では「4人家族」の実家の相続税を「相続税早見表」を使用しながら考えていきます。 まずは「相続税早見表」の使い方をマスターして具体例の「4人家族」の実家の相続税を見ていきましょう。 相続税早見表とは「遺産総額」と「配偶者の有無及び子供の人数」により相続税の納税額の目安を確認できるものです。 また、相続税早見表のうち「左の表」は配偶者がいる場合の相続税を表しています。 配偶者がいる場合には、1億6,000万円(又は法定相続分のうち多い金額)まで配偶者へ相続税がかからない「配偶者の税額軽減」の適用があります。「右の表(配偶者がいない場合)」と見比べて相続税の金額が大きく異なるのはこの特例の影響です。 詳細は本章の後半<税理士の解説👉>にて解説します。 (使い方) 1. 遺産総額とは、被相続人(亡くなった方)の財産から借金や葬式費用などを差し引いた金額で、相続税の課税対象となる基礎です。預金や不動産、生命保険などが含まれます。 2. 被相続人の 「遺産総額」 に最も近いものをご確認ください (注) 「小規模宅地等の特例」「生命保険金の非課税」 など遺産総額より控除することのできるものがあります。これらを考慮することにより正確な相続税を確認することができます。 <例>「遺産総額1億円」で「配偶者あり及び子供2人」のケース    以下の相続税早見表より相続税は315万円と確認できます。 →最新の「相続税早見表(特典)」をダウンロード 【具体例】遺産総額1億円のケースの取得者ごとの相続税 遺産総額1億円の場合に実家の自宅を取得するのが「母親」の場合と「子ども(別居)」の場合に分けてそれぞれ相続税がいくらかかるのか見ていきましょう。 【具体例】 (親族図) (財産構成:遺産の総額:1億円) ①実家の家屋:500万円 ②実家の土地:5,000万円                  ③預貯金:4,500万円 (注)相続税は法定相続分(母:1/2、長男:1/4、二男:1/4)で遺産分割しているものとしております。    遺産分割の方法は相続人全員の同意により自由に取り決めることが可能です。 遺産分割の方法については第3章(Q1~4)をご覧ください。 【具体例】「母親又は長男(同居)が実家の自宅を取得した場合」 ・相続税 60万円 ・遺産総額 6,000万円(1億円▲4,000万円) (※1)小規模宅地等の特例について▲4,000万円(5,000万円×80%)適用可能 (※2)配偶者の税額軽減について適用可能 【具体例】「二男(別居)が実家の自宅を取得した場合」 ・相続税 315万円 ・遺産総額 1億円 (※1)小規模宅地等の特例については適用不可 (※2)配偶者の税額軽減について適用可能 【具体例】「取得者ごとの相続税の比較」 取得者の違いにより相続税に255万円(315万円▲60万円)の差が生じます。 実家の自宅を「母親又は長男(同居)」が取得する場合には、土地について小規模宅地等の特例の適用が可能です。土地の価額の80%を減額することができるため▲4,000万円を財産額より控除できます。 一方で「二男(別居)」が取得する場合には、土地について小規模宅地等の特例の適用はできません。 相続税負担を考えると実家の自宅を取得するのは「母親又は長男(同居)」が良いでしょう。 <税理士の解説👉> 「2大特例」を解説します。具体例のように相続税は「特例の適用可否で大きく差が出ます」 実家の相続を考える上で特に影響の大きい2つの特例をご紹介します。 ①小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等) 小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)は、亡くなった方の自宅の敷地など一定の土地について、土地評価を最大80%減額できる制度です。 <主な要件> ・取得者が以下の①又は②の要件を満たすこと ①「配偶者」であること ②「配偶者以外の親族」の場合   被相続人と同居していること   申告期限までその土地を保有し、引き続きその建物に居住していること ・限度面積は330㎡まで(超えた場合には超えた部分については適用なし) ※その他一定の場合の一定の別居親族などにも認められます。  父親が亡くなった際に子どもが上記特例を受けようとする場合のポイントは「同居」しているかどうかです。既に独立して別居しているような子どもについては配偶者(母親)がいる場合には適用する余地が一切ありません。 つまり「母親」または「同居の子ども」が自宅を取得することが良いでしょう。 ②配偶者の税額軽減 配偶者の税額軽減は、被相続人の配偶者が取得した財産について、次のいずれか多い金額までの相続税が課されない制度です。  A:配偶者の法定相続分相当額(相続人が配偶者と子の場合は1 / 2 )  B:1億6,000万円 配偶者である母親は、父親が亡くなった際に上記特例により多くのケースで相続税は「0円」となります。 第2章 父親が亡くなって母親が自宅を取得しない方が良いケースもある【失敗例(相続税)】 第1章とは異なり母親が自宅を取得することで相続税がかえって増えてしまうケースがあります。 本章では失敗例を具体例に基づき解説します。 2-1【失敗例①】母親がある程度財産を持っている場合 母親がある程度財産を持っている場合には、1次相続(父親の相続)だけでなく2次相続(母親の相続)も踏まえて取得者を考慮するのが良いです。 実家の自宅を取得するのが「母親」の場合と「子ども」の場合に分けて1次相続・2次相続トータルでそれぞれ相続税がいくらかかるのか見ていきましょう。  【失敗例①】 (親族図) (「父」財産構成:遺産の総額:1億円)(「母」財産構成:遺産の総額:1億円) ①実家の家屋:500万円         ①預貯金:5,000万円 ②実家の土地:5,000万円        ②有価証券:5,000万円  ③預貯金:4,500万円 (注)相続税は法定相続分(1次相続 母:1/2、長男:1/4、二男:1/4)(2次相続 長男:1/2、二男:1/2)で遺産分割しているものとしております。   遺産分割の方法は相続人全員の同意により自由に取り決めることが可能です。      遺産分割の方法については第3章(Q1~4)をご覧ください。 【失敗例①】「母親が実家の自宅を取得した場合」 (「父」遺産の取得内容) 母:①実家の家屋:500万円   ②実家の土地:1,000万円(5,000万円▲4,000万円)   ③預貯金:1,500万円    計:3,000万円 長男・二男:預貯金:各1,500万円(3,000万円の1/2) ・(父:1次相続)相続税 60万円 ・遺産総額 6,000万円(1億円▲4,000万円) (※1)小規模宅地等の特例について▲4,000万円適用可能 (※2)配偶者の税額軽減について適用可能 (「母」遺産の取得内容) 長男・二男:①実家の家屋:500万円       ②実家の土地:5,000万円       ③預貯金:6,500万円(1,500万円+5,000万円)       ④有価証券:5,000万円        計:各8,500万円(1億7,000万円の1/2) ・(母:2次相続)相続税 2,440万円 ・遺産総額 1億7,000万円(1億円+7,000万円[父からの相続分]) (※3)小規模宅地等の特例については適用できないものとします。(適用できる場合の詳細は下記<税理士の視点👉>の参考をご覧ください。) ・トータル相続税 2,500万円(60万円+2,440万円) <税理士の視点👉> 上記(母:2次相続)で小規模宅地等の特例が適用できる場合【参考】 「将来同居を予定している」 母親が父親の相続後も自宅に住み続ければ、1次相続(父親の相続時)に同居していない子どもが1次相続後に母親と同居することで特例の適用ができるケースがあります。 「家なき子(別居親族)」 別居している子どもであっても、母親以外に自宅に住んでいる親族がいない・自己所有(子ども所有)の家に住んでいないなど一定の要件を満たす場合には特例の適用ができるケースがあります。 【参考:2次相続で小規模宅地の特例が適用できるものとした場合】 ・(母:2次相続)相続税 1,360万円 ・遺産総額 1億3,000万円(1億円+3,000万円[父からの相続分]) (※4)小規模宅地等の特例について▲4,000万円適用可能 ・トータル相続税 1,420万円(60万円+1,360万円) 【失敗例①】「子どもが実家の自宅を取得した場合」 ・(父:1次相続)315万円 ・遺産総額 1億円 (※1)小規模宅地等の特例については適用不可 (※2)配偶者の税額軽減について適用可能 ・(母:2次相続)相続税 1,840万円 ・遺産総額 1億5,000万円(1億円+5,000万円[父からの相続分]) ・トータル相続税 2,155万円(315万円+1,840万円) 【失敗例①】「取得者ごとの相続税の比較」 取得者の違いにより相続税に345万円(2,500万円▲2,155万円)の差が生じます。 結果的に子どもが実家の自宅を取得した場合には2次相続で母親から相続する遺産総額が少なくなるため、事例のケースでは実家を1次相続で子どもに相続させる方が結果的に相続税負担が少なく済むことになります。 <税理士の視点👉失敗例①まとめ> 失敗例①のケースでは「子どもが実家の自宅を取得する」だけでなく父親の遺産を母親は一切取得せず、全ての遺産を子どもが取得することで相続税負担が大きく軽減されます。 母親が父親の遺産を取得するとその取得した分が2次相続で再度相続税の対象となってしまうからです。2次相続において小規模宅地等の特例など相続税を減額できるケースはまだしも減額できないケースは特に2次相続の負担が重くなります。 父親の遺産を母親が一切取得しないケースを見ていきましょう。 「子どもが実家の自宅を含めて遺産を全て取得した場合(母親は一切取得しない)」 ・(父:1次相続)相続税 630万円 ・遺産総額 1億円 (※1)小規模宅地等の特例については適用不可 (※2)配偶者の税額軽減についても適用不可 ・(母:2次相続)相続税 770万円 ・遺産総額 1億円 ・トータル相続税 1,400万円(630万円+770万円) 父親の遺産を母親は一切取得しないことで相続税負担が大きく軽減します。 (まとめ) 配偶者の税額軽減は、1億6,000万円(又は法定相続分のうち多い金額)まで配偶者の相続税がかからないことになるため有効に活用すべきですが、1次相続(父親の相続)だけでなく2次相続(母親の相続)も踏まえて特例を活用することが重要です。 失敗例①のケースでは小規模宅地等の特例を考慮しなくても、母親が財産を一切取得しないことで、1次・2次相続全体の相続税を大きく軽減させる結果となりました。 2-2【失敗例②】母親が自宅を取得すると相続税の基礎控除を超えてしまう場合 父親及び母親の遺産総額がいずれも基礎控除額(注)以下の場合に母親が自宅を取得することで母親の相続時に相続税が発生してしまうケースがあります。 実家の自宅を取得するのが「母親」の場合と「子ども」の場合に分けて相続税の発生の有無を確認していきます。 (注)基礎控除額:相続税では、すべての人に共通して使える「非課税ライン」である基礎控除があります。 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数 【失敗例②】 (親族図) (「父」財産構成:遺産の総額:4,000万円)     ①実家の家屋:1,000万円               ②実家の土地:3,000万円      基礎控除額:3,000万円+600万円×3人=4,800万円   (「母」財産構成:遺産の総額:4,000万円) ①預貯金:4,000万円 基礎控除額:3,000万円+600万円×2人=4,200万円 【失敗例②】「母親が実家の自宅を取得した場合」 ・(父:1次相続)相続税 0円 ・遺産総額 1,600万円(4,000万円▲2,400万円) (※1)小規模宅地等の特例について▲2,400万円適用可能 ・(母:2次相続)相続税 470万円 ・遺産総額 8,000万円(4,000万円+4,000万円[父から相続した家屋・土地]) (※2)小規模宅地等の特例については適用できません。 ・トータル相続税 470万円(0円+470万円) 【失敗例②】「子どもが実家の自宅を取得した場合」 ・(父:1次相続)相続税 0円 ・遺産総額 4,000万円 (※1)小規模宅地等の特例については適用できません。 ・(母:2次相続)相続税 0円 ・遺産総額 4,000万円 ・トータル相続税 0円 【失敗例②】「取得者ごとの相続税の比較」 取得者の違いにより相続税に470万円の差が生じます。 そもそも遺産額が基礎控除額以下の場合、母親が自宅を取得すると2次相続で相続税が発生してしまうことがあります。1次相続で子どもに相続させることで相続税の発生を防ぐことができます。 第3章 自宅を「母親・子ども」が相続する方法・注意点【Q&A】 ここまでの具体例・失敗例でご紹介した相続税の負担以外の部分を確認します。 そもそも自宅を「母親」「子ども」が単独で取得するのが難しい場合の遺産分割の方法や自宅を売却した場合の特例、その他認知症リスクへの対策など実務で特に重要となる論点にしぼり、一問一答形式でご紹介します。 【Q&A】 Q1:遺産分割の割合は法定相続分じゃないとダメでしょうか? A1: 遺産分割の方法は相続人全員の同意により自由に取り決めることが可能です。   相続人が母・子2人の場合に法定相続分(母:1/2、子:各1/4)で必ず分割しなければならないわけではありません。 Q2:遺産はほぼ実家である自宅のみです。公平に分割するために共有名義(1/3ずつなど)にするのはどうでしょうか? A2: 公平に分割できないから「とりあえず共有名義にしよう」と安易に決めてしまうのは危険です。将来、重大な問題が生じることがあります。 <事例>自宅を兄弟3人が共有したとします。 その後、兄弟の誰かが亡くなると、持分はその人の配偶者や子へ承継され、共有者がどんどん増えていきます。 → 5人 → 10人 → 20人と増えるケースも実際に起こっています。 不動産の共有は「将来の争いの火種」であり、専門家としてはおすすめしません。 ただし、近日中に売却する予定がある場合には「共有取得」や「(注)換価分割」による遺産分割を検討することも良いでしょう。 (注)換価分割(かんかぶんかつ) 不動産を売却し、現金で平等に分ける方法です。(共有取得とは異なり遺産分割協議時点で売却することが確定している場合にとれる方法です。) 将来のトラブルを避けるために「いっそのこと売却して現金で分けたい」という家庭に向いています。 (注意点)売却まで時間がかかる場合もあります。 Q3:遺産はほぼ実家である自宅のみです。自宅を取得する人とそれ以外の人で公平に遺産分割はできませんか? A3: (注)代償分割による遺産分割の方法があります。 (注)代償分割(だいしょうぶんかつ) 不動産を相続した人が、他の相続人に「代償金」を渡す方法です。 実務上、よく使われる方法です。 例:母親が実家を取得 → 代わりに他の相続人に母親保有の預貯金を支払い、バランスを取る。 (注意点)母親に資金力が必要です。 Q4:代償分割により母親が自宅を取得したいのですが、支払う資金が足りません。自宅を売却するしかありませんか? A4: 配偶者居住権を設定することで代償分割以外の方法かつ自宅を売却せずに公平な分割を図ることが可能です。 配偶者居住権とは、自宅に住む配偶者に「住む権利(居住権)」を、「それ以外の権利(所有権)」はその他の相続人が取得するという制度です。 自宅に住む母は自宅の所有権を相続しなくても、居住権だけを相続して引き続き住むことができます。 母は配偶者居住権のみを相続し、他の相続人がそれ以外の権利を相続することができるため代償金を支払わず公平な分割を図ることが可能になります。 <税理士の視点👉> (注意点1)配偶者居住権は単独売却できない 例えば配偶者居住権の設定後にバリアフリーのマンションに移りたい、施設に入るために自宅を売却したい際にも配偶者居住権は単独で売却できません。 この場合にとれる方法は配偶者が生前に配偶者居住権を放棄・合意解除することが考えられますが、贈与税又は所得税が課税されます。 (注意点2)配偶者居住権にも小規模宅地等の特例がある 配偶者居住権・それ以外の権利のいずれも小規模宅地等の特例の適用は可能です。 ただし、母親以外の取得者である子どもは同居要件を満たす必要があります。 よって、小規模宅地等の特例を受けられない子どもがそれ以外の権利を取得する場合には配偶者居住権の設定により相続税がいくらになるのか検討する必要があります。 Q5:売却時に使える可能性がある制度は?(Ⓐ同居の場合) A5:自宅に住んでいる相続人が売却した場合はⒶマイホームの3,000万円特別控除(居住用財産の譲渡所得控除)が使えます。 事例:母親が自宅を相続して売却 母親は実家(戸建)に居住中。通院が増え「駅近マンションへ住替え」を検討。 売却益は3,000万円(売却価額▲取得価額) 売却益から3,000万円を控除し、譲渡所得税は0円となる Q6:売却時に使える可能性がある制度は?(Ⓑ別居の場合) A6:自宅に住んでいない相続人が売却した場合はⒷ空き家の3,000万円特別控除(空き家の譲渡所得特別控除)が使えます。 ※相続した実家が空き家の場合に、要件を満たせば利用できる。 事例:子どもが自宅を取得して、空き家のまま売却を検討 母親は数年前に施設へ入居し、父親は生前に実家で一人暮らしで実家が空き家のまま。 相続後3年以内に売却。 <主な要件> ① 建物:昭和56年5月31日以前に建てられた一戸建て。区分所有建物(マンション)ではない ② いずれかを満たすこと:「耐震基準を満たす建物として売る」「耐震リフォームしてから売る」「建物を解体して更地として売る」 ③ 期限:相続開始から 3年を経過する日の属する年の12月31日まで に売却する ④ 売却代金:1億円以下 Q7:売却時に使える可能性がある制度は? (Ⓒその他) A7:Q5、6以外にもⒸ取得費加算の特例(相続財産を譲渡した場合の取得費の特例)が使えます。 上記特例は支払った相続税の一部を「取得費」に上乗せできる制度です。 取得費が増えると、売却益(譲渡所得)が少なくなり、結果として所得税・住民税が圧縮されます。 <主な要件> ①支払った相続税がある ②期限:相続開始から3年10か月以内に売却する  ※不動産以外の有価証券などにも適用があります。 <税理士の視点👉> 取得費加算の特例の併用可否について 「Ⓐマイホームの3,000万円特別控除」と「Ⓒ取得費加算の特例」の併用  →併用できます。 「Ⓑ空き家の3,000万円特別控除」と「Ⓒ取得費加算の特例」の併用  →同一の物件に対して併用はできません。 Q8:母親が認知症になった場合のリスクは? A8:「家が動かせない」売却・賃貸・修繕などの法律行為が母親ではできなくなるリスクがあります。 <税理士の視点👉> 認知症になると「法律行為」がほぼできなくなる 認知症などで判断能力が低下すると、売買契約・賃貸契約(貸す・借りる)・リフォーム契約・大規模修繕の同意などの「意思表示が必要な行為」ができなくなります。 <よくある困りごと> 老朽化が進んで建替えたいのに、母の判断能力が低下して同意が取れない 住み替えのために売却したいのに、契約ができず足止め 修繕が必要なのに、所有者としての意思表示ができない 子どもが代わりに手続きしたくても「代理権」がなくてできない こうした状況になると、不動産の運用や管理が完全にストップしてしまいます。 対処するには「成年後見制度」を利用する 母親の判断能力が失われた場合、家族が代理で契約を進めるには家庭裁判所で「成年後見人」を選任してもらう必要があります。 しかし、成年後見制度は次のようなデメリットもあります。 <成年後見制度のデメリット> 裁判所への申立てが必要で手続きが煩雑 専門職後見人(司法書士・弁護士)が就任すると、毎月の報酬が発生 財産の管理はすべて後見人の判断になり、家族が簡単に自由に動かせない 不動産の売却などは裁判所の許可が必要になり、スピード感がない つまり、実務的にはとても負担の大きい制度です。 (対策)認知症への備えとして「家族信託(民事信託)」という選択肢もある リスクを避けるため、母親が元気なうちに「家族信託(民事信託)」を設定することも、近年多く採用されています。 家族信託の仕組みはシンプルに言うと次のとおりです。 (1)母=「委託者(財産を預ける人)」 (2)子=「受託者(財産を管理する人)」 (3)母=「受益者(利益を受ける人)」 この関係を信託契約で結び、母の自宅の管理権限を「子」に移す形になります。 <家族信託を使うメリット> 母が判断能力を失っても、委託された子が不動産を売却・賃貸など可能 成年後見制度より柔軟で、家族で運用しやすい 裁判所の管理下には置かれないため、運用の自由度が高い 相続発生後の財産承継(誰に渡すか)まで設計できる ただし、家族信託は判断能力があるうちに、将来の財産管理を子が代わりにできるようにしておく点がポイントです。また「設計が複雑」なため、専門家のサポートが必要です。 Q9:自宅を取得した子どもが先に亡くなった場合のリスクは? A9:自宅の所有権を有する子どもが亡くなった場合、その所有権は子の配偶者・子の子(母親にとって孫)へ移ります。 そうすると、法的には母親の同意を得なくても、子の配偶者・子の子は自宅不動産を売却できてしまうことになり得ます。もちろん、母に使用貸借又は賃貸借により居住する権限が認められる可能性もあり、その場合買い手がつきにくくなりますが、いずれにしろ母の住む権利を明確にしていないと、生活基盤が不安定になります。元の家族の関係によってはトラブルに発展するリスクがあります。 (対策)配偶者居住権、遺言や家族信託で事前に設計しておく 第4章 まとめ いかがだったでしょうか。 第1章では、父親が亡くなった後は誰が自宅を取得すべきかについて「母親」または「同居の子ども」が自宅を取得することが良いことを相続税負担の観点より解説しました。 第2章では、母親が自宅を取得しない方が良いケースを失敗例にて解説しました。 「母親がある程度財産を持っている場合」や「(母親が自宅を取得することで)相続税の基礎控除を超えてしまう場合」には相続税がかえって増えてしまうことがあることを確認しました。 第3章では、自宅を「母親・子ども」が相続する方法・注意点を解説しました。 そもそも自宅を「母親」「子ども」が単独で取得するのが難しい場合の遺産分割の方法や自宅を売却した場合の特例を紹介しました。 「母親と子ども」のどちらが自宅を取得すべきか検討する上で一番最初にすべきことは「現状把握」です。 あなたの家族の現状で1次相続・2次相続の相続税がいくらかかるのか本コラム特典の「相続税早見表」を利用してまず確認してみてください。 税金以外の家族の事情も大切です。ただし税金面を事前にクリアにしておくことで大切な部分に目を向けることができるのではないでしょうか。 相続時に急に困ることのないように今日から相続対策を考えてみてくださいね    
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    国際相続サポート

    • 2025.12.04
    • 門倉 誉士希

    【2026年最新版】アメリカの相続税(遺産税)を徹底解説|日本との違い・二重課税の防ぎ方【プロが解説】

    「アメリカにある財産にアメリカの相続税はかかるのだろうか。」そんなお悩みをお持ちですね。 結論、日本人の場合はほとんどのケースでアメリカの相続税(連邦税としての遺産税)はかからない、というのが実情です。 しかし、アメリカの相続税のルールは日本の相続税のルールとは全く異なります。 もし、アメリカの相続税の申告・納税義務があるにも関わらずこれを怠ると、ペナルティの対象となるため、正確な対応が求められます。 また、税金には申告・納税の期限があります。海外の税金については知らずにこの期限を過ぎてしまい、その対応に時間的にも金銭的にも苦労を強いられるケースが多いのが現実です。 当記事を通して、読者の皆様にアメリカの相続税のルールについて知っていただき、ご自身にアメリカの相続税はかかるのか、また、どのように対応すべきかの判断をする際の一助となれば幸いです。 アメリカの相続税を知り、事前の対処をしていきましょう!   【当記事は2026年1月1日時点の法令に基づき作成しております。】 1章 アメリカの相続税(遺産税)の基本知識 アメリカには相続に関する連邦税として「遺産税」があります。 この遺産税は日本の相続税とは異なり、財産を渡す側である被相続人(亡くなった人)が納税義務者とされています。また、アメリカ市民・アメリカ居住者であるか、アメリカ非居住者であるかにより税金の取扱いが異なります。また、州によっては州税としての遺産税(相続税)が存在します。 1-1 日米の相続税の違い 日本とアメリカの相続税の違いで最も大きなものはその基礎控除額の大きさでしょう。 日本の相続税の基礎控除が3,000万円からであるのに対して、アメリカの連邦遺産税の基礎控除額(2026年分)は1,500万ドルで1ドル150円の為替レートで換算すると22.5億円となります。 以下に日本の相続税とアメリカの遺産税との違いを表にまとめました。 ※ 被相続人が日本人の場合には日米相続税条約による特例計算あり ※ アメリカの遺産税の基礎控除額は頻繁に改正されるため注意が必要 1-2 基礎控除額 2026年現在、被相続人がアメリカ市民またはアメリカ居住者の場合のアメリカ遺産税の基礎控除額は1,500万ドルとなっています。また、被相続人がアメリカ非居住者の場合の基礎控除額は6万ドルとなっており、両者には大きな差があります。 日米相続税条約の適用により、被相続人がアメリカ非居住者であったとしても日本人である場合には、アメリカ市民、アメリカ居住者の場合の基礎控除額(2026年は1,500万ドル)を基準とした特例計算が認められています。 具体的には、被相続人の遺産総額のうちアメリカの財産の占める割合に応じた基礎控除額が適用できます。 したがって、被相続人が日本人の場合にはほとんどのケースでアメリカの連邦遺産税は課税されない、というのが実態となります。 なお、このアメリカ遺産税の基礎控除額は毎年のように改正が行われており、実際に遺産税の計算をする際にはその年の基礎控除額の確認が必須となります。 1-3 税率の仕組み(累進課税) 財産が基礎控除額を超えた場合、遺産税が発生することとなり、各種控除後の遺産の金額に税率をかけて遺産税を算出する仕組みとなります。 アメリカの遺産税の税率は以下の表のとおり累進税率となっています。 課税の対象となる遺産が大きくなるほど税率が高くなる仕組みとなっています。 アメリカ遺産税 税率表 最高税率は40%と日本の相続税の最高税率55%よりも低い税率となっています。 1-4 州税として遺産税 アメリカには、連邦税としての遺産税の他に州によっては州税としての遺産税(相続税)が存在します。 例を挙げると、 ・ニューヨーク州  → 遺産税が課される ・ペンシルバニア州 → 相続税が課される ・カリフォルニア州 → 遺産税も相続税も課されない など、課税の有無や方法は州ごとにさまざまです。 連邦税の遺産税はかからない場合でも州税としての遺産税(相続税)はかかる、といった場合もあります。 財産が所在する州の遺産税(相続税)のルールについてもしっかりと確認をする必要があります。 2章 アメリカの遺産税の手続きの流れ アメリカの遺産税の計算、納税までのプロセスは日本とは異なり、特殊な手続きが必要となります。 2-1 プロベート手続きが求められる アメリカの遺産税の計算、納税はプロベートという一連の手続きの中で行われます。 プロベートとは、人が亡くなった際に、その遺産を法的に管理・清算し、最終的に相続人へ分配するまでの一連の裁判手続きのことです。 プロベート手続きは、ある意味遺産税よりもやっかいです。 プロベートが不要な日本では、相続人の話し合いにより誰がどの財産を取得するかを決めます。その内容に基づいて、不動産や預金の名義変更などができます。 しかし、プロベートが必要なアメリカでは、裁判所の監督のもとで、遺産の確定、債務・税金の清算、相続人への分配がされます。そのため、多くの費用(裁判所費用・弁護士費用)と時間(数か月~1年以上)を要することになります。 現実には、アメリカの遺産税はかからないがプロベート手続きは必要になる、というケースが数多くあります。 【「プロベート手続き」についてはこちらの記事をご参照ください】 2-2 申告に必要な書類と提出先・申告納税期限 アメリカで提出する遺産税の申告書とその提出期限等は被相続人の区分に応じて以下のようになっています。 注意すべきは申告・納税期限が被相続人の死亡後9か月以内となっている点で、日本の相続税の申告納税期限である10か月以内よりも短くなっています。事前の手続きにより期限の延長申請を行うことも可能ですので、早めからの対応が肝心です。 また、納税が生じない場合であっても、以下に該当する場合にはIRS(アメリカ合衆国内国歳入庁、日本の国税庁にあたる機関。)や米国財務省への報告義務が生じます。 3章 アメリカの遺産税を軽減するための対策 これまで見てきたようにアメリカの遺産税とプロベート手続きはとても複雑ですが、この負担を軽減する具体策について確認していきましょう。 3-1 財産を日本へ移す アメリカの遺産税を回避するために最も有効な手段は、財産をアメリカ国外へ移すことです。 アメリカ非居住者である場合、アメリカの遺産税の対象となるのはアメリカ国内の財産のみとなります。 したがって、アメリカ非居住者がアメリカにある財産を全て日本に移せばアメリカの遺産税の心配はなくなることとなります。 また、アメリカに財産はなくなりますので将来のプロベート手続きの心配も無くなります。 3-2 アメリカでの生前贈与 アメリカ非居住者がアメリカにある預金(無形資産)を贈与した場合、アメリカの贈与税はかからないこととなっています。 なお、贈与者が日本人で日本在住である場合等一定の場合には日本の贈与税が発生することとなるので、この点については留意が必要です。 また、贈与したアメリカの財産はご本人の財産でなくなりますので、将来のプロベート手続きの心配はいらないこととなります。 3-3 トラスト(信託)やジョイント(共同所有)の活用 遺産税の対策ではありませんが、アメリカにある財産をトラスト(信託)やジョイント(共同所有)にすることは、プロベート手続きを回避する有効な手段となります。 トラスト(信託)とは、財産を所有している人が信託契約によって信頼できる第三者に持っている財産の運用や管理、最終的な処分までを任せるものです。その契約おいて自分が死亡した時はこの人に財産を渡す、ということを定めておけばプロベートを経ずに財産を移転することができます。 また、ジョイント(共同所有)とは、財産を共同所有にすることです。共同所有者が亡くなった場合にその所有権が残りの共同所有者に移転するため、プロベート手続きが不要となります。代表的なものとしてジョイント・アカウント(共同名義の預金口座)とジョイント・テナンシー(不動産の共同所有)があります。 4章 アメリカの遺産税でよくある注意点 アメリカの遺産税を考える上では日本の相続税だけを考えるだけの場合とは異なる注意点があります。 4-1 日本の相続税との二重課税のリスク アメリカにある財産に対して、日本の相続税とアメリカの遺産税の両方がかかってしまう二重課税のリスクがあります。 当記事を見ていただいている多くの方が該当すると思われる「被相続人(亡くなった人)が日本人で10年以内に日本住んでいたことがあるケース」の場合、日本国外の財産を含む全ての財産に対して日本の相続税がかかることとなります。アメリカに財産があった場合、この財産は日本の相続税の対象となり、かつ、アメリカの遺産税の対象にもなる、ということになります。 この複数カ国による二重課税を排除するために「外国税額控除」という制度があります。 【例】 前提:日本に住んでいる方が、日本に20億円の財産、アメリカに20億円の財産がある状態で亡くなった。相続人は日本に住んでいる子ども1人。 日本の相続税:全世界の財産(40億円)に対して日本の相続税20億円が発生 アメリカの相続税:アメリカにある財産(20億円)に対してアメリカの遺産税4億円が発生 この場合、全世界の財産にかかる日本の相続税20億円から、外国税額控除によってアメリカの遺産税4億円を差し引き、残りの16億円だけを納めることとなります。 なお、実務上は日本の相続税の申告期限(原則被相続人が亡くなってから10ヶ月以内)までにアメリカの遺産税が確定しないことが多いです。 その場合、日本の相続税の申告期限までに一旦20億円を納税します。 そして、アメリカの遺産税4億円が確定次第、当該4億円の外国税額控除を適用した申告書を再提出(更正の請求手続き)し、4億円の還付を受けることとなります。 4-2 円転時の為替差益の落とし穴 相続した外貨(米ドル)を円に換えたときの税金について注意が必要です。 日本在住の相続人が相続した外貨(米ドル)を円に換えた場合、その金額が、相続開始日(被相続人が亡くなった日)時点の相続税評価額(相続開始日時点のドルベースの残高×相続開始日のTTBレート)よりも大きい場合は、その差額が為替差益として所得税・住民税の対象となります。 この為替差益は雑所得として、所得税計算上の総合課税(累進税率)の対象となり、その所得税・住民税率は合わせて最大約55%となります。 日本の相続税の納税が必要となった場合、日本円での納税が必要となりますので、これに伴って外貨を円転した場合には注意が必要です。 4-3 相続したアメリカの不動産を売却したとき 日本に住む相続人が、アメリカの不動産を売却した場合、その売却益(譲渡所得)の計算は以下のようになります。 不動産の売却益(譲渡所得)の計算 譲渡価額-取得費-譲渡費用-特別控除額(適用がある場合)=譲渡所得 相続したアメリカの不動産を相続後すぐに売却した場合、アメリカの所得税は結果的に発生しないことが多いです。 これは、日本の譲渡所得計算上の取得費は被相続人の取得費をそのまま引き継ぐのに対し、アメリカの譲渡所得計算上の取得費は被相続人の死亡日の時価となるためです。 つまり、死亡日の時価(取得費)と売却時点の時価(売却額)が同額であれば譲渡益は生じないこととなります。 ただし、日本居住者がアメリカの不動産を売却する場合は買主によってアメリカの所得税が源泉徴収され、この税金の還付を受けるにはアメリカでの確定申告が必要となるので留意が必要です。 5章 専門家への依頼について アメリカの遺産税への対応を考える上では専門家の協力を得ることが重要です。 次に、いつ、誰に、どのように依頼すべきかを整理します。 5-1 いつ専門家に依頼すべきか 結論、アメリカに財産がありその相続に備える場合、すぐにでも相談すべき、ということになります。 アメリカの遺産税(と日本の相続税)については、財産をお持ちの方が亡くなってからできる対策はほとんどありません。万が一があってからでは遅いのです。 遺産税の節税やプロベート対策を行うならば、生前の対策が必須となります。 5-2 誰に依頼するべきか(弁護士・税理士・CPA) 国際相続に精通した日本の専門家(税理士や弁護士)に依頼すべきです。 日本にお住いの方のアメリカの遺産税、相続対策を検討する上ではアメリカの法律だけでなく、日本の法律についても精通している必要があります。両者は密接に関わり合うためです。 また、トラストの設定などアメリカ現地の専門家のサポートが必要となった場合、自分で現地の専門家を探すのは難しく、報酬や支払いタイミングの交渉も容易ではありません。相場感がないまま契約すると、通常より高い金額になるリスクもあります。 国際相続に精通した日本の専門家(税理士や弁護士)であれば、現地の信頼できる専門家とネットワークを持っていることが多く、このようなリスクも軽減できます。 5-3 依頼するときに必要な情報 相談する際は、以下の情報があれば専門家においてスムースな対応が可能となります。 ・ご自身の国籍、居住歴、財産に関する情報 ・ご相続人様の人数、続柄、国籍、ご年齢、居住歴の情報 ・今後のライフプラン ・資産承継のご意向 相続対策はご本人の状況に応じたオーダーメイドのプランニングをすべきものとなります。 5-4 費用の目安 遺産税が発生する場合のアメリカの専門家の報酬は、日本の専門家よりも高額になることが多いです。 主な報酬形態は「遺産総額の○%(例:2〜5%)」、「タイムチャージ制(時間あたり○ドル)」のいずれかです。 提示された報酬額が現地の相場として高額なのか妥当なのかについては検討をする必要があります。 海外の専門家から相場よりもずっと高い報酬の提示を受けたり、実際に契約をした後に連絡がない(レスポンスが非常に悪い)、というのはよくあるトラブルです。 通常、日本の信頼できる専門家からのアメリカの専門家の紹介を受ければそのような心配は少なくなります。なぜならば、そのようなアメリカの専門家は紹介元である日本の専門家と普段から一緒に仕事をしており、その実績に基づいて安心して仕事を任せられることが通常であるからです。 6章 アメリカに財産があり、お困りの場合はぜひ税理士法人マインライフへご相談ください アメリカに財産があり、アメリカの遺産税やプロベート対策が必要かもしれない・・・。 そのような難しいケースでも、弊社には最適なサポート体制が整っています。 税理士法人マインライフは、新宿・津田沼を拠点に、相続・国際相続の専門家として豊富な実績を持つ少数精鋭の税理士法人です。 年間数百件の相続税申告を担当しており、経験豊富な税理士が必ず最初から最後まで対応します。 マインライフが選ばれる理由 「アメリカの財産をどうしたらいいのかわからない・・・。」と感じている方は、ぜひ税理士法人マインライフへご相談ください。 初回面談は無料です。ご状況をお伺いし、今すぐできる最善の方法をご提案いたします。 7章 まとめ いかがでしたでしょうか。 アメリカの遺産税の制度には日本の相続税とは異なる点が多々ありますがそのポイントは以下の通りです。 ・日本人の場合はアメリカの連邦遺産税はかからないことが多い(日米相続税条約により基礎控除が多額となるため) ・アメリカの連邦税としての遺産税はかからなくとも、州税としての遺産税がかかることがあるので注意が必要 ・アメリカの遺産税の申告・納税期限は亡くなってから9ヶ月以内(延長制度あり) ・通常、アメリカの財産を相続する場合はプロベート手続きが必要となり、コストと時間がかかる ・遺産税対策やプロベート対策としてアメリカにある財産を日本へ移すことは有効 ・アメリカの遺産税・プロベート対策は早期に国際相続に精通した日本の専門家(税理士や弁護士)に相談した方が良い ・外国税額控除(二重課税の排除)や円転時の為替差損益等、国際相続には多くの税務上の注意点がある ・アメリカにある財産で困ったら「税理士法人マインライフ」へ! 相続対策はいつから取り組み始めるかで結果に大きな違いを生みます。 早ければ早いほど、大きな効果を得ることができるのです。 これはアメリカにある財産についても同じことが言えます。 将来の相続に備えて、今できることをひとつずつ着実に行っていきましょう。
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    相続対策

    • 2025.11.21
    • 伊藤 千尋

    税理士が教える!贈与税がかからない合法テクニック8選【贈与契約書及びチェックリスト付き】

    「どうせ渡す(受け取る)なら、合法に・シンプルに・ムダなく。」 今年から贈与を始める方も毎年贈与を行っている方もそう考えているかもしれません。 本記事は、「贈与税がかからない(または申告不要になる)制度・特例」を、プロの視点で使い方やNG例、証憑の残し方まで一気に整理しました。 以下に8つのテクニックの一覧表を添付します。 テクニック 対象となる贈与(援助) 手続き 金額の上限 チェックリスト ①生活・教育・医療・冠婚葬祭の 「都度払い」 扶養義務者から被扶養者への援助 なし 社会通念上適当と認められる金額 □ 扶養義務者からの援助ですか。 □ 必要な都度渡している又は扶養義務者が直接振り込んでいますか。 □ 使ったことが分かる証拠(領収書や振り込んだことが分かる通帳)を残していますか。 □ 生活費を負担する場合には社会通念上適当と認められる内容・金額ですか。 □ 香典・祝金は社会通念上相当な金額ですか。 ②暦年課税の年間110万円の基礎控除 通常の贈与(制限なし) 110万円を超えると贈与税申告が必要 暦年で110万円(申告不要の場合) □ (申告をしない場合)その年の受け取った金額の合計が110万円以下ですか。 □ 受贈者(受け取った人)単位で判定をしていますか。 □ 贈与契約書を作成しましたか。 □ 受贈者が受取った財産を管理していますか。 ③相続時精算課税制度を利用する 60歳以上の父母(祖父母)から 18歳以上の子(孫)への贈与 「相続時精算課税選択届出書」を 初回適用時に税務署へ提出 累計2,500万円 (毎年110万円の基礎控除あり) □ 初回適用時に選択届出を期限内に提出しましたか。 □ (申告をしない場合) その年に特定贈与者から受け取った金額の合計が110万円以下ですか。 □ 複数特定贈与者の年は110万円を按分して計算していますか。 ④夫婦間の「居住用不動産の配偶者控除」 婚姻20年以上の夫婦間の 居住用不動産又はその取得資金の贈与 適用時に贈与税申告が必要 2,000万円 (暦年贈与の基礎控除と併用で2,110万円) □ 婚姻20年以上の夫婦間の贈与ですか。 □ 贈与する不動産又は不動産の取得資金の対象は居住用ですか。 □ 翌年3月15日に贈与を受けた者が現実に居住をしていますか。 □ 過去に同じ配偶者から「居住用不動産の配偶者控除」を受けたことはありませんか。 □ 一定の添付書類(戸籍謄本等)を添付して贈与税申告書を提出しましたか。 ⑤住宅取得等資金の贈与非課税 直系尊属(父母・祖父母など)からマイホーム取得・新築・増改築の 対価に充てるための資金(住宅取得等資金)の贈与 (受贈者:18歳以上、贈与年の合計所得金額が2,000万円以下) 適用時に贈与税申告が必要 省エネ等住宅=1,000万円 その他の住宅=500万円 □ 特例の適用期間内(〜2026年12月31日)の贈与ですか。 □ 省エネ等1,000万円の枠を使う場合には証明書類を添付していますか。 □ 贈与を受けたお金は全て住宅の取得資金に充当しましたか。 □ 翌年3月15日までに申告・入居の期限を守っていますか。 ⑥教育資金の一括贈与 直系尊属(父母・祖父母など)から子や孫への教育資金の贈与 (受贈者:30歳未満、前年の合計所得金額が1,000万円以下) 金融機関での専用手続が必要 累計1,500万円 (「学校等以外」への費用は累計500万円) □ 現行制度の期限内(~2026年3月31日)に教育資金口座の開設等と非課税申告書の提出を行いましたか。 □ 受贈者は30歳未満・前年所得1,000万円以下、贈与者は直系尊属ですか。 □ 領収書の提出期限(支払日から1年以内又は翌年3月15日)を守っていますか。 ⑦結婚・子育て資金の一括贈与 直系尊属(祖父母、父母)から子・孫への結婚・子育て資金の贈与 (受贈者:18歳以上50歳未満、前年の合計所得金額が1,000万円以下) 金融機関での専用手続が必要 累計1,000万円 (結婚関係費は300万円が上限) □ 現行制度の期限内(~2027年3月31日)に専用口座開設・拠出と非課税申告書の提出を済ませましたか。 □ 受贈者は18歳以上50歳未満で、前年の合計所得金額が1,000万円以下ですか。 □ 費目の線引き(婚礼・家賃等・引越/不妊治療・妊娠・出産・産後ケア・子の医療・育児)と対象外の費目は国税庁HP等で確認しましたか。 ⑧障害者への贈与信託 親や親族など個人から特定障害者への贈与 金融機関での専用手続が必要 特別障害者=6,000万円 その他の特定障害者=3,000万円 □ 受益者が「特定障害者」(特別障害者または障害者のうち精神に障害がある方)に該当するか、証明書類で確認しましたか。 □ 信託設定日までに受託者経由で「障害者非課税信託申告書」を税務署へ提出していますか。 □ 払出しの使途が生活・療養の範囲に収まっており、居住用不動産の取得など不可の支出を計画していませんか。 贈与テクニック一覧表 グレーな“抜け道”は扱わず、正しい運用だけを紹介します。 贈与税では、近年大きな改正もありその論点も含めて記載しています。 税制は改正が続くため、利用する際には最新の国税庁HPの情報をご確認ください。 第1章 生活・教育・医療・冠婚葬祭の「都度払い」は原則非課税 意外と知られていませんが、親や祖父母などの扶養義務者※からの生活費・教育費は、通常必要な範囲(金額)で必要な都度に支払されるなら、贈与税の対象となりません。 ※ 扶養義務者とは具体的には次の者をいいます。 ①配偶者 ②直系血族(祖父母や両親、子供、孫など)及び兄弟姉妹 ③家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族(金銭を受けた者から見ておじ、おば、甥、姪など) ④三親等内の親族で生計を一にする者 また、医療費や妊娠・出産費、香典・祝金など社会通念上相当な金品も同じように贈与税の対象となりません。 ただし、誤った理解をしていると課税対象になることもあるので次のポイントに注意してください。 1-1ポイント (1)【必要となった都度贈与を行い、使ったことが分かる証拠を残す】 最大のポイントは、必要となった都度贈与を行い、必ず使ったことが分かる証拠を残しておくことです。 例えば毎月10万円の教育費が必要な場合に、一括して1年分の120万円を渡してしまうと預金・投資・不動産購入に転用していると見られる可能性があり贈与税の課税対象になります。 実務的には、疑われないためにも直接親や祖父母から支払先に振り込んでしまった方が安心です。 (2)【生活費を負担する場合、社会通念上適当と認められうる内容・金額か】 扶養義務者が生活費を代わりに支払う場合には、社会通念上適当と認められる内容・金額である必要があります。 例えば下記のような質問を受けることがあります。 「すでに就職をしていて十分な稼ぎがあり離れて暮らしている子供がいるが、生活費を負担しても贈与にならないか。」 結論としては、この場合は「贈与として課税対象になる可能性が高い」です。 子供に高額な所得があるような場合に、生活費として家賃等を負担するのは社会通念上適当と認められ ないと考えられるからです。 なお、根拠として国税庁の資料の中には下記のような記載があります。 『扶養義務者相互間において生活費に充てるために贈与を受けた場合に、贈与税の課税対象とならない「生活費」とは、その者の通常の日常生活を営むのに必要な費用(教育費を除きます。)をいい、通常の日常生活を営むのに必要な費用に該当するかどうかは、贈与を受けた者(被扶養者)の需要と贈与をした者(扶養者)の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲かどうかで判断することとなります。 』 出典「扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A」国税庁 1-2チェックリスト □ 扶養義務者からの援助ですか。 □ 必要な都度渡している又は扶養義務者が直接振り込んでいますか。 □ 使ったことが分かる証拠(領収書や振り込んだことが分かる通帳)を残していますか。 □ 生活費を負担する場合には社会通念上適当と認められる内容・金額ですか。 □ 香典・祝金は社会通念上相当な金額ですか。 第2章 暦年課税の年間110万円の基礎控除(申告不要) 贈与税の原則的方法である暦年課税制度では年間(毎年1月1日から12月31日)110万円までは申告・納税ともに不要になります。 具体的な計算としては、受贈者本人がその年にもらった合計額から110万円を差し引き、残額だけに贈与税がかかります。 したがって、年合計110万円以下は非課税かつ申告が不要になります 2-1ポイント (1)【判定は「贈与者ごと」ではなく「受贈者1人・年合計」で行う】 110万円の判定は贈与者(渡した人)ごとではなく、受贈者(受け取った人)ごとに年合計の金額で行います。 例えば祖父から100万円、祖母から100万円の200万円を1年間で受け取った場合 「祖父、祖母からそれぞれ110万円以下の金額をもらったので申告・納税はいらない」というのは誤りになります。 自分が受け取った年合計で110万円以下か判定することになるので、この場合1年間で200万円受け取っており、贈与税の申告・納税が必要になります。 (2)【贈与契約書など贈与の証拠を残す】 贈与は口頭でも成立しますが、後日のトラブルや税務調査に備え、「だれが・いつ・何を・いくら・どの方法で渡したか」が客観的に分かる資料を必ず残しましょう。 最も確実なのは、贈与の都度に贈与契約書を作成し、実際の資金移動は口座振込で行い、通帳や振込明細を保存する方法です。 なお、贈与を成立させるには、受贈者が使える状態にしておく必要があるため、通帳や印鑑なども受贈者が管理しておく必要があります。未成年者への贈与は、受贈者(受け取る人)名義の口座を用意し、法定代理人(原則:父母)が管理していれば大丈夫です。 また、暦年贈与を継続する場合でも、毎年の贈与ごとに契約書と振込記録を残すことが大切です(最初から複数年分を約束する書き方は避けてください)。 以下に金銭を贈与した場合の贈与契約書のひな型を添付しますのでご活用ください。 なお、第3章以降の贈与についても金銭を贈与する場合にはご活用いただけます。 贈与契約書 フォーマット 贈与契約書 フォーマット(未成年者用) 2-2チェックリスト □ (申告をしない場合)その年の受け取った金額の合計が110万円以下ですか。 □ 受贈者(受け取った人)単位で判定をしていますか。 □ 贈与契約書を作成しましたか。 □ 受贈者が受け取った財産を管理していますか。 コラム:相続対策で贈与する場合には生前贈与加算の改正に注意 相続対策として贈与を検討されている方は、令和6年以降から適用される改正にご注意ください。 贈与をする方の中には、贈与者(渡す人)の財産が多く将来の相続税を減らすために贈与をするという方も多いかと思います。 ただし、贈与した財産が全て無条件に相続税から控除されるわけではありません。 令和6年の改正以前でも贈与した財産のうち、相続開始前3年以内に相続で財産を受け取る者に行った贈与については、相続財産に足し戻して相続税の計算をする必要がありました。 これを一般的に生前贈与加算といいます。 この生前贈与加算制度ですが、令和6年以降の暦年贈与は相続開始前7年以内の贈与が原則加算されることになりました。 また、相続開始前7年以内で3年を超える部分について総額100万円まで加算除外される取り扱いがされます。 第3章 相続時精算課税制度を利用する 相続時精算課税は、贈与時の負担を軽くしつつ最終的に相続時に合算して精算する仕組みです。 具体的には「累計2,500万円まで贈与税がかからずに贈与することができるが、将来の相続時には相続財産に足し戻して相続税を計算する」という制度です(2,500万円超の金額には一律20%の贈与税がかかります)。 この制度を利用するためには、原則として以下の要件を満たす必要があります。 ・贈与者が60歳以上で受贈者18歳以上の直系卑属(親と子や祖父母と孫などの関係)の組合せである(年齢は贈与年1月1日現在) ・相続時精算課税を初めて使う年は、翌年2月1日~3月15日(贈与税の申告期間)に「相続時精算課税選択届出書」を税務署へ提出して選択の意思表示をする なお、改正があり令和6年以降は年110万円の基礎控除が設けられ、110万円を超える贈与をした場合に累計2,500万円に加算されていきます。 改正前は、相続時精算課税制度を選択した後の贈与については、110万円以下の少額であっても贈与税の申告が必要であり、すべて2,500万円の特別控除枠に算入されるとともに、相続時にはその全額を足し戻して相続税を計算する必要がありました。 一方、改正により令和6年1月1日以後の贈与からは、年間110万円以下の贈与については申告が不要となり、この部分は2,500万円の特別控除枠にも算入されず、相続時にも足し戻されないことになりました。 3-1ポイント (1)【贈与者ごとに選択が肝】 相続時精算課税は「贈与者ごと(父・母・祖父母など)に選択」する制度です。 ある贈与者についてこの制度を一度選択すると、その同じ贈与者(=特定贈与者)から将来受ける贈与は、以後すべて相続時精算課税で処理されます。 他方、別の贈与者については暦年課税を使うなど、贈与者ごとに使い分けが可能です。 例えば、父は相続時精算課税、母は暦年課税ということが可能ということになります。 (2)【同一年に複数の特定贈与者がいる場合、年110万円は受贈者単位で按分】 令和6年以降、相続時精算課税にも年110万円の基礎控除が導入されました。 ただしこの110万円は「贈与者ごと」ではなく「受贈者1人あたり・年合計」の枠です。 したがって、同一年に祖父と祖母の双方で相続時精算課税を選択して贈与を受けた場合、110万円は両者の金額の割合で按分して各贈与から控除します。 例えば、同年に祖父から600万円・祖母から400万円(ともに相続時精算課税制度を選択)の贈与を受けたなら、110万円は祖父66万円・祖母44万円に按分して各贈与から控除することになります。 そのうえで、2,500万円の特別控除は贈与者ごとに累計で適用します。 (3)【選択後は同一贈与者について暦年課税へ戻れない】 一度、その贈与者について相続時精算課税を選択・適用すると撤回不可です。 以後、その同一贈与者からの贈与はずっと相続時精算課税となり、暦年課税へ変更できません。 制度選択は将来の贈与計画や相続時の足し戻し(相続時精算課税は基礎控除を超える金額は期間制限なく加算)まで見据えて決めるのが安全です。 (4)【基礎控除の110万円は、足し戻しされない】 暦年贈与は生前贈与加算制度により、基礎控除の年間110万円以下の贈与でも相続開始前7年以内の贈与は原則相続財産に加算されます。 しかし、相続税精算課税は、基礎控除の110万円以下の贈与は相続開始前7年以内の贈与でも加算されません。 3-2チェックリスト □ 初回適用時に選択届出を期限内に提出しましたか。 □ (申告をしない場合) その年に特定贈与者から受け取った金額の合計が110万円以下ですか。 □ 複数特定贈与者の年は110万円を按分して計算していますか。 コラム:改正後、「暦年課税」と「精算課税」—どちらが有利? 第2章の暦年贈与と第3章の精算課税制度どちらを使うべきか悩んでいる方も多いかと思います。 お子様に贈与することを前提に一般的な考え方を以下のフローチャートでまとめましたのでご活用ください。 まず、将来相続税がかかる場合と将来相続税がかからない場合で大きく分かれます。 将来相続税がかからない場合には、将来相続の際に財産を受け取れば無税で財産を受け取れるので、贈与する場合も1年間の贈与額は110万円以下にして贈与税がかからないようにした方がよいです。 ただし、どうしても110万円超の財産を一度に贈与する必要がある場合には、相続時精算課税制度を利用しましょう。 将来相続税がかかる場合には第2章のコラムで解説した生前贈与加算の影響を考慮する必要があります。 将来相続が7年以内に発生しそうであれば、暦年贈与しても相続時に足し戻しになってしまうため、相続時精算課税制度を使って贈与をして令和6年の改正で新設された相続時精算課税制度の基礎控除110万円を活用しましょう。 例えば、相続開始の前年に110万円を贈与した場合、暦年贈与であれば生前贈与加算の対象になりますが、相続時精算課税制度で贈与していれば基礎控除以下なので足し戻しの対象になりません(相続時に財産を相続しないお孫様への贈与の場合には、生前贈与加算の対象にならないので暦年贈与で大丈夫です)。 将来の相続までまだ相当の期間がある場合には、暦年贈与で少額を長期間贈与するようにしましょう。 ただし、相続対策として将来値上がりが予想される高額な財産(未上場株式や開発前の土地など)を贈与する場合には、相続時精算課税制度で一度に贈与してしまった方が有利です。 なぜなら、暦年贈与で贈与すると高額な贈与税がかかりますし、相続まで保有していると値段が大幅に上がっている可能性がありますが、相続時精算課税制度で事前に贈与しておけば将来相続の際に足し戻す金額は安い贈与時の金額でよいからです。 第4章 夫婦間の「居住用不動産の配偶者控除」(おしどり贈与) 婚姻20年以上の夫婦が、居住用不動産又はその取得資金の贈与を受ける場合、基礎控除110万円に加え最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できる特例を「居住用不動産の配偶者控除」といいます。 なお、2,110万円以下の贈与で全額控除され贈与税が発生しない場合でも、特例の適用を受けるために贈与の翌年3月15日までに贈与税申告書を提出する必要があります。 贈与税申告書に下記の書類を添付して適用を受けます。 (主なもの) ・戸籍謄本/抄本(贈与日から10日経過後に作成) ・戸籍の附票の写し(同上) ・登記事項証明書等(取得の事実を証する書類) ・不動産そのものの贈与時は評価明細書等 4-1ポイント (1)【投資用は対象外】 この特例の対象は「居住用不動産」またはその取得資金に限られます。 賃貸用・別荘・セカンドハウスなどの投資・保養目的の物件は対象外です。 店舗兼住宅のように居住用とそれ以外が混在する場合は、一定の場合を除き居住用部分に限って適用されます(敷地のみの贈与でも要件次第で対象となります)。 (2)【居住の実態がないと適用不可】 適用には、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与で取得した家屋(または贈与資金で取得した家屋)に現実に居住し、その後も引き続き居住する見込みであることが求められます。 入居がこの期限に間に合わない、あるいは当初から短期売却を前提としているようなケースは要件を満たしません。 また、この特例は同じ配偶者からの贈与については一生に一度のみ適用可能です(再婚相手は別)。 タイミングや金額配分を慎重に設計しましょう。 4-2チェックリスト □ 婚姻20年以上の夫婦間の贈与ですか。 □ 贈与する不動産又は不動産の取得資金の対象は居住用ですか。 □ 翌年3月15日に贈与を受けた者が現実に居住をしていますか。 □ 過去に同じ配偶者から「居住用不動産の配偶者控除」を受けたことはありませんか。 □ 一定の添付書類(戸籍謄本等)を添付して贈与税申告書を提出しましたか。 コラム:「居住用不動産の配偶者控除」を使わず、相続で引き継いだ方が有利な場合も 不動産の贈与税評価額が2,110万円(配偶者控除2,000万円+基礎控除110万円)を超えるケースや、そもそも相続税がかからない見込みのご家庭では、この特例(おしどり贈与)を使わず、相続で引き継ぐ方がトータルで有利になることがあります。 ≪なぜ相続が有利になりやすいのか≫ ①小規模宅地等の特例  相続では、被相続人の居住の用に供されていた宅地について、330㎡まで評価額を80%減額できる特例(特定居住用宅地等)が使えます。 土地の評価が大きいほど効果が大きく、贈与で先に移してしまうとこの強力な減額を失うことがあります。 ②配偶者の税額軽減  相続税には、配偶者が取得した遺産が「1億6,000万円」または「法定相続分」までなら相続税がかからないという制度があります。 配偶者に自宅・敷地をまとめて相続させる設計と相性が良く、贈与よりも税負担が小さくなる場面が少なくありません。 ③不動産取得税、登録免許税の違い  相続で不動産を取得する場合、不動産取得税は課税されません。 しかし、贈与で取得すると不動産取得税の課税対象になります(おしどり贈与や相続時精算課税の適用を受けても同様です)。 また、登録免許税についても相続で取得した場合と贈与で取得した場合では税率が異なっています。(相続の方が低い) この差も相続有利の一因です。 したがって、「居住用不動産の配偶者控除」(おしどり贈与)を使う場合には専門家に相談して適用することをおすすめします。 第5章 住宅取得等資金の贈与非課税 直系尊属(父母・祖父母など)からマイホーム取得・新築・増改築の対価に充てるための資金(住宅取得等資金)の贈与については、要件を満たせば省エネ等住宅※は1,000万円、その他の住宅は500万円まで非課税となります。 今後も更新される可能性はありますが、現行では、2024年1月1日~2026年12月31日までの贈与に限り適用ができるとされています。 非課税の可否は、受贈者の年齢・所得、住宅性能の証明、床面積、資金の使途と時期、入居期限など、細かな条件をクリアできるかで決まります。 下記のポイントでも基本的なものは記載しますが、実際に適用する場合には国税庁HPや税理士に確認することをおすすめします。 ※省エネ等住宅:省エネ性能や耐震などの性能が一定以上の住宅(該当するかの判断はハウスメーカーや不動産会社にお問い合わせください。) 5-1ポイント (1)【年齢・所得要件、性能証明、居住期限を満たすこと】 ①受贈者(もらう側)については以下の要件を満たす必要があります。 ・18歳以上であること(贈与年1月1日現在) ・贈与年の合計所得金額が2,000万円以下であること(床面積40㎡以上50㎡未満の住宅は1,000万円以下) ・贈与者は受贈者の直系尊属(祖父母、父母等)であること 等 これらを満たさないと非課税の対象になりません。 ②住宅要件と「省エネ等住宅の証明」 対象は日本国内の自己居住用になります。(床面積は原則40~240㎡) 「省エネ等住宅」の1,000万円枠を使うには、住宅性能証明書等で、所定の省エネ/耐震/バリアフリーのいずれかの基準に適合していることを申告時に添付して証明します。 ③期限管理(資金充当・入居・申告) 「住宅取得等資金の贈与非課税」の特例の適用を受ける場合には、以下の期限管理に注意する必要があります。 ・翌年3月15日までに資金の全額を住宅の新築・取得・増改築の対価に充当すること。 ・翌年3月15日までに居住すること(または同日後遅滞なく居住が確実)。 ⇒翌年12月31日までに未入居だと原則適用不可となり修正申告が必要になります。 ・申告は翌年2月1日~3月15日に贈与税申告書+契約書写し等を提出する必要があります(非課税でも申告必須)。 (2)【使途の注意:既存ローンの繰上返済はNG】 この非課税はこれから行う新築・取得・増改築の“対価”に充てる資金が対象です。 したがって、よくある誤りですが既に組んだ住宅ローンの返済(繰上返済等)に充てるための贈与は対象外で、非課税になりません。 5-2チェックリスト □ 特例の適用期間内(〜2026年12月31日)の贈与ですか。 □ 省エネ等1,000万円の枠を使う場合には証明書類を添付していますか。 □ 贈与を受けたお金は全て住宅の取得資金に充当しましたか。 □ 翌年3月15日までに申告・入居の期限を守っていますか。 第6章 教育資金の一括贈与 直系尊属(父母・祖父母など)から30歳未満の子や孫へ、教育資金をまとめて贈与する場合、所定の手続きを踏めば最大1,500万円まで贈与税が非課税となる特例です(うち学校等以外への支払い分は累計500万円が上限)。 今後も更新される可能性はありますが、現行では2026年3月31日までの贈与に限り適用ができるものとされています。 なお、受贈者の前年合計所得金額1,000万円以下などの要件に加え、金融機関での専用手続(教育資金口座+非課税申告書)、および領収書の提出期限管理が必要になります。 6-1ポイント (1)【非課税枠の考え方】 非課税の上限は受贈者一人につき累計1,500万円です。 このうち、学習塾・習い事など「学校等以外」に支払う費用は累計500万円までが上限で、両者合計で1,500万円を超える非課税の贈与はできません(学校=入学金・授業料・給食費・修学旅行費等、学校等以外=塾・水泳・ピアノ・通学定期・留学渡航費など)。 また、受贈者が23歳到達後に支払う学校等以外の費用は、教育訓練給付の対象講座に限られる点にも注意が必要です。 (2)【対象者の要件(年齢・所得・贈与者)】 受贈者は教育資金管理契約の締結日に30歳未満であること、かつ前年の合計所得金額が1,000万円以下であることが必要です。 また、贈与者は受贈者の直系尊属に限られます。これらの要件を満たさない場合は特例の適用ができません。 (3)【手続と証憑(「教育資金口座」+非課税申告+領収書提出) 適用を受けるには、信託銀行・銀行・証券会社等で教育資金口座(信託受益権/預入/有価証券購入)を設定し、拠出時(口座開設等の日)までにその金融機関経由で「教育資金非課税申告書」を提出します。 拠出後は、払出方法に応じて領収書を支払日から1年以内または翌年3月15日までに金融機関へ提出する必要があります。 対象は教育資金として社会通念上相当と認められる実支出のみです。 支払先(学校・塾等)への直接支払が原則で、宛名・日付・金額・内容が分かる領収書の確保が必要になります。 6-2チェックリスト □ 現行制度の期限内(~2026年3月31日)に教育資金口座の開設等と非課税申告書の提出を行いましたか。 □ 受贈者は30歳未満・前年所得1,000万円以下、贈与者は直系尊属ですか。 □ 領収書の提出期限(支払日から1年以内又は翌年3月15日)を守っていますか。 コラム:教育資金は一括贈与すべき?それとも第1章の都度支援の方がいい? 結論としては都度支援で対応できるものは、都度支援で十分です。 一括贈与は、入学金・施設費・留学費など大口や複数年分を早めに確保できますが、専用口座での管理と領収書提出が必須で、受贈者の所得要件や制度期限、終了時の残額課税、学校外費用には上限があるなど複雑かつ手続きも煩雑です。 また、第7章のコラムで記載していますが、一括贈与については、使い切れず残額が出れば相続税や贈与税の対象となるため、卒業時までの支払計画と提出期限の管理が不可欠です。 一方、日々の学費・塾代・通学定期など「通常必要な教育費」は、扶養義務者が必要の都度に学校・塾等へ直接支払えば原則贈与税の対象外(社会通念上相当額に限る)で申告も不要です。 したがって、一般的には都度支援の方が使い勝手はいいです。 第7章 結婚・子育て資金の一括贈与 直系尊属(祖父母、父母)から18〜50歳未満の子・孫へ結婚・子育て資金を一括拠出し、金融機関の領収書確認を条件に、1,000万円まで非課税(結婚関係費は300万円が上限)で贈与をすることができる制度です。 受贈者は契約締結日に18歳以上50歳未満であることが必要で、前年の合計所得金額が1,000万円を超える受贈者は適用することができません。 今後も更新される可能性はありますが、現行制度上では拠出(預け入れ)の期限は2027年3月31日までで、契約は原則として受贈者が50歳に達した日などで終了します。 7-1ポイント (1)【制度の「枠」と上限の考え方】 非課税枠は受贈者単位で累計1,000万円です。 このうち結婚関係費は300万円が上限で、1,000万円に加算されるわけではありません(つまり、1,300万円非課税にはならない)。 結婚関係費には婚礼(挙式・披露宴)・結婚を機に賃貸する住居の家賃等・引越費用が含まれ、子育て関係費には不妊治療・妊娠・出産・産後ケア・子の医療費・子の育児費が含まれます。 非課税とならない費目(婚活サービス、結納、指輪、新婚旅行、家具・家電など)も明示されているため、事前に国税庁のHP等で費目の線引きを確認しましょう。 (2)【専用口座+領収書で用途証明する】 拠出は金融機関の専用口座(結婚・子育て資金管理契約)で受け入れ、「結婚・子育て資金非課税申告書」を金融機関経由で提出します。 拠出後は領収書等を金融機関に提出して、結婚・子育て資金に充当された事実の確認・記録・保存を受けるのが必須フローです。 教育資金の一括贈与の非課税と併用は可能ですが、同一の支出を二重に非課税にすることはできません。 費目の重複が疑われる支出は、どちらの制度で処理するかを領収書の取り方とともに決めておくと安全です。 7-2チェックリスト □ 現行制度の期限内(~2027年3月31日)に専用口座開設・拠出と非課税申告書の提出を済ませましたか。 □ 受贈者は18歳以上50歳未満で、前年の合計所得金額が1,000万円以下ですか。 □ 費目の線引き(婚礼・家賃等・引越/不妊治療・妊娠・出産・産後ケア・子の医療・育児)と対象外の費目は国税庁HP等で確認しましたか。 コラム:教育資金の一括贈与や結婚子育て資金の一括贈与後に贈与者が亡くなった際に残額が残っていた場合 教育資金・結婚子育て資金の非課税制度を利用中に贈与者が死亡した場合、口座や信託に残っている管理残額(=非課税拠出額-制度上認められる支出額)は、原則として贈与者の遺産に取り込まれ、相続税の課税対象になるとされています。しかし、教育資金については、受贈者が23歳未満・在学中等なら非課税とされるため、相続税がかからないケースが多くありました。 ただし、令和5年4月1日以後取得分で贈与者の遺産が5億円超の場合は受贈者の状況に係わらず残額にも相続税が課税されることになったので注意が必要です。   第8章 障害者への贈与信託 親や親族など個人が、特定障害者※を受益者として信託銀行等と結ぶ信託(特定障害者扶養信託契約)に財産を拠出すると、一定額まで贈与税が非課税になります。 制度対象者になるかの可否は「証明書類(障害者手帳・医師の診断書等)」で確認します。 非課税枠は特別障害者なら最大6,000万円、その他の特定障害者なら最大3,000万円が上限(受益者1人あたりの累計額)になります。 生活費や医療費など、受益者の生活・療養のために使うことを前提とした制度です。 ※特定障害者:特別障害者に加え、障害者のうち精神に障害のある方を含む概念です。 8-1ポイント (1)【非課税枠の考え方及び利用方法】 非課税の上限は受益者1人につき累計で、特別障害者=6,000万円、その他の特定障害者=3,000万円になります。複数の人からの拠出や複数回の拠出でも、受益者側で合計して累計に加算されます。 信託設定日までに、受託者(信託銀行等)の営業所を通じて「障害者非課税信託申告書」を所轄税務署に提出する必要があります。 (2)【使える費目の線引き(生活・療養優先/不動産取得は不可) 原則として生活費・療養費など日常の生計維持に関する支出が対象になります。 一方で、居住用不動産の取得のための払出しは不可と明示されています(生活・療養の需要に応じたものとは認められないため)。 8-2チェックリスト □ 受益者が「特定障害者」(特別障害者または障害者のうち精神に障害がある方)に該当するか、証明書類で確認しましたか。 □ 信託設定日までに受託者経由で「障害者非課税信託申告書」を税務署へ提出していますか。 □ 払出しの使途が生活・療養の範囲に収まっており、居住用不動産の取得など不可の支出を計画していませんか。 第9章 贈与を行う場合の注意点 贈与は制度選択・年次設計・証憑整備で結果が大きく変わります。 「制度の併用可否を取り違える」、「連年贈与(定期贈与)に見える運用をしてしまう」、「受贈者が実質管理できていない名義財産(名義預金)を作る」これらは代表的なリスクです。 本章では、実務で誤りやすいや問題になりやすい4点を要点整理します。 9-1各制度の併用可否の関係 (1)相続時精算課税と暦年課税 相続時精算課税は贈与者ごとに選択し、同一贈与者について撤回不可です。 ただし、同一年に他の贈与者からは暦年課税を用いることは可能です(別人なら併用可)。 令和6年以降は基礎控除110万円が相続時精算課税にも導入され、暦年贈与の基礎控除110万円と相続時精算課税の基礎控除110万円は併用して適用ができます。 (2)住宅取得等資金の非課税 × 相続時精算課税 住宅取得等資金の非課税(500万円/省エネ等1,000万円)を先に適用し、枠超過分について相続時精算課税(2,500万円特別控除+年110万円)を使う併用が可能です(要件充足が前提)。 (3)教育資金・結婚子育て資金との関係 いずれも別建ての非課税制度で、併用できないものはありませんが、同じ支出を二重に非課税にはできません。 教育資金贈与や結婚子育て資金の制度両方で同一費目を重複適用しないように注意しましょう。 9-2 連年贈与(定期贈与)に見えない設計にする 第2章でも少し述べましたが、連年贈与に見られないように設計する必要があります 例えば「毎年100万円を10年」と最初に約束してしまうと、1,000万円を10年で分割払いしたものとみなされ、初年に1,000万円贈与したものとして課税される可能性があります。 毎年ごとに贈与契約を完結させ、金額・時期・財産の種類を機械的に固定しない、「都度の資金移動と記録(振込・契約書)を残す」ことが安全運用の要点です。 9-3 名義財産(名義預金)にしない 受贈者が通帳・印鑑を実質管理していない、贈与の事実を知らないといった場合、名義人と実質所有者が異なるとして相続財産に算入される典型があります。 受贈者名義口座へ振込し、受贈者が把握・管理し、用途証憑を保存することで贈与の実体を整えるのが重要です。 9-4 贈与しすぎない 相続対策のために事前に子供に財産を贈与しすぎると問題が起こることがあります。 実際に私の係わった方の中でも相続税がかからないように財産のほとんどを子供に移転していたが、不慮の事故で子供の方が先になくなってしまったということがありました。 子供に配偶者や子供がいなければ相続税を払って自分のもとに財産が戻ってくることになりますが、配偶者や子供がいた場合には配偶者や子供に相続されることになります。 私が経験した案件では亡くなった子供の配偶者と仲が悪くなかったため、大きな問題にはなりませんでしたが、子供の配偶者が外国籍の方で全ての財産をもって母国に帰ってしまったという話も聞いたことがあります。 したがって、少なくとも自身の今後の生活費や生活の拠点となる財産などは贈与せず取っておくようにしましょう。 第10章 まとめ いかがだったでしょうか。 この記事では、非課税・申告不要になり得る各制度の使いどころと落とし穴を横断的に整理しました。 8つのテクニックのまとめ ① 扶養義務者の「都度払い」(生活・教育・医療・冠婚葬祭)  社会通念上相当額を必要の都度に直接支払すれば原則非課税 ② 暦年贈与(少額で長期間贈与する方向き)  年110万円まで非課税・申告不要。毎年ごとに都度契約+振込記録を残しましょう。 ③ 相続時精算課税制度(値上がり資産・一括移転向き)  年110万円の基礎控除+累計2,500万円の特別控除 ④ 居住用不動産の配偶者控除(おしどり贈与)(相続と比較して有利な時に適用)  婚姻20年以上で適用可能。基礎110万円+最大2,000万円控除。居住の実態が必須になります。 ⑤ 住宅取得等資金の非課税(マイホーム)  省エネ等住宅1,000万円、その他の住宅500万円の非課税枠。申告が必須になります。 ⑥ 教育資金の一括贈与  一定の要件を満たせば累計1,500万円の非課税枠。金融機関で専用口座の作成が必要。 ⑦ 結婚・子育て資金の一括贈与  一定の要件を満たせば累計1,000万円の非課税枠。金融機関で専用口座の作成が必要。 ⑧ 特定贈与信託(障害者扶養信託)  生活・療養費に限定。申告書の提出が必須。 最後に、必ず最新の国税庁情報で要件・期限を確認し、判断に迷う点は専門家へ早めに相談をしましょう。 「合法に・シンプルに・ムダなく」 を合言葉に、今日から実行に移しましょう。
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