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国際相続・相続税対策に役立つコラム
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ニュージーランドの相続 相続税はない?日本で課税される?
「ニュージーランドに住んでいる親が高齢になってきた」 「オークランドの自宅や現地の預金を相続したら、現地の税金はどうなるのだろうか」 「日本では何か手続きが必要になるのだろうか」 このような不安を感じて、この記事にたどり着いた方もいるのではないでしょうか。 実は、ニュージーランドには現在、日本の相続税に相当する一般的な相続税はありません。ニュージーランドでは過去に遺産に対する税制がありましたが、現在は廃止されています。また、贈与税も廃止されています。 しかし、日本に住んでいる人が、ニュージーランドの財産を相続した場合、原則として、ニュージーランドの財産も日本の相続税の対象になります。 大切な家族の相続で、あとから申告漏れや思わぬ税負担に気づいて慌てないためにも、まずは全体像を確認していきましょう。 【当記事は2026年1月1日時点の法令に基づき作成しております。】 第1章 ニュージーランドの相続税などの課税制度 まずは、ニュージーランドの税制について確認をしていきます。 1-1 ニュージーランドでは相続税がない ニュージーランドには、現在、日本の相続税に相当する税金はありません。 かつては、ニュージーランドにも相続税がありましたが、1992年に廃止されました。 そのため、ニュージーランド国内の不動産や預金を相続したとしてもニュージーランドでは、相続税は課税されません。 1-2 ニュージーランドでは贈与税もない ニュージーランドでは、贈与税も2011年に廃止されています。 そのため、ニュージーランドでは、亡くなった時に相続により財産を引き継いだ場合も、生前に贈与で財産を引き継いだ場合も、基本的に相続税も贈与税も課税されません。 1-3 ニュージーランドには一般的なキャピタルゲイン税がない ニュージーランドでは、一般的なキャピタルゲイン税がありません。キャピタルゲイン税とは、不動産や株式などを売却して利益が出た場合に、その売却益に対してかかる税金のことです。 ただし、購入時から売却する目的で取得していた場合など一定の場合は課税されます。 ニュージーランドでは、現在、相続税、贈与税、一般的なキャピタルゲイン税もありません。 ただし、これはあくまでニュージーランドの税金についてです。 ニュージーランドの財産であっても日本に住んでいる人が相続や贈与により取得した場合、売却した場合などについては基本的に日本の税金の対象となります。 次は、日本の税金について整理をしていきます。 第2章 ニュージーランドでは課税されなくても日本では課税される場合がある ニュージーランドには現在、日本の相続税に相当する税金はありません。また、贈与税も廃止されており、一般的なキャピタルゲイン税もありません。 しかし、ニュージーランド側で税金がかからないとしても、日本で税金がかからないとは限りません。 どのような場合に日本の税金の対象になるのか、確認していきましょう。 2-1 こんな場合には日本の相続税の対象になる まず、日本国内にある財産を取得した場合には、亡くなった人や相続人が日本に住んでいない場合であっても、日本の相続税の対象になります。 さらに亡くなった人や相続人の住所、国籍、過去の日本居住歴、財産の所在地によって海外の財産も日本の相続税の対象になることがあります。 亡くなった方、または、相続人のいずれかが日本に住んでいる場合には、一定の例外を除き、海外にある財産も日本の相続税の対象となります。 つまり、ニュージーランドの不動産や預金であっても、亡くなった人もしくは相続人のいずれかが日本に住んでいる場合には、一定の例外を除き、日本の相続税の対象となります。 次のフローチャートで、海外にある財産も日本の相続税の対象に含まれるか判断することができます。 海外財産に日本の相続税がかかるかどうかの詳しい判定については、 「海外の財産に相続税はかかる?日本との違いや注意点を専門家が解説」をご参照ください。 【具体例】 たとえば、ニュージーランド在住の父が亡くなり、東京に住んでいる子どもが、オークランドの不動産とニュージーランドの預金を相続した日本人の親子のケースを考えてみましょう。 この場合、相続人である子どもが日本に住んでいる日本人のため、そのオークランドの不動産やニュージーランドの預金も、日本の相続税の対象になります。ニュージーランド側で相続税がかからないとしても、日本側では相続税を支払うことになる場合があります。 逆に、亡くなった人も相続人もニュージーランド在住であっても、日本国内にある不動産や預金を相続する場合には、その日本国内財産について日本の相続税が問題になります。つまり、国際相続では「どこの国に住んでいるか」だけでなく、「どこの国に財産があるか」も重要です。 👉専門家の視点:海外財産がある場合は「誰が取得するか」も重要 海外財産が日本の相続税の対象にならない相続人がいる場合には、日本の相続税負担を軽減できる可能性があります。日本の相続税では、相続人の区分によって、国内財産だけが課税対象になる人と、国外財産まで課税対象になる人がいるためです。 たとえば、相続人のうち一人が海外に長く住んでおり、日本の相続税上、ニュージーランドなどの海外財産が課税対象にならない場合、その相続人にニュージーランドの不動産や預金を取得させることを検討します。日本に住んでいる相続人がニュージーランド財産を取得した場合、その財産も日本の相続税の対象になるためです。 また、相続人の中に、ニュージーランドなどの海外財産が日本の相続税の対象にならない人がいる場合には、その人が国外財産を取得することを前提に、生前に日本国内の財産を国外財産へ組み替えることも検討余地があります。 ただし、税金だけを優先して財産の分け方を決めると、相続人間の不公平感や遺産分割トラブルにつながることもあります。税務上の有利不利だけでなく、家族全体の納得感も含めて判断することが大切です。 専門家に相談してみてください。 2-2 こんな場合には日本の贈与税の対象になる 日本の贈与税についても、相続税と同じように、贈与者・受贈者の住所、国籍、過去の日本居住歴、財産の所在地によって課税関係が変わります。 贈与税は、財産をもらった人である受贈者に課税される税金です。 そのため、ニュージーランド在住の親が、日本に住んでいる子どもにニュージーランドの預金や不動産を贈与する場合には、ニュージーランド側で贈与税がかからなくても、日本の贈与税の対象になる可能性があります。 次のフローチャートで、海外にある財産も日本の贈与税の対象に含まれるか判断することができます。 【具体例】 たとえば、ニュージーランド在住の親が、東京に住んでいる子どもに、ニュージーランドの銀行預金やオークランドの不動産を贈与する日本人の親子のケースを考えてみましょう。 この場合、贈与された財産がニュージーランドにあるとしても、受贈者である子どもが日本に住んでいる日本人ため、日本の贈与税の対象になります。したがって、ニュージーランド側では贈与税がかからないとしても、日本側では贈与税を支払うことになる場合があります。 一方で、親子ともにニュージーランド在住で、日本の贈与税上、子どもが国外財産について課税対象とならない区分に当てはまる場合には、同じニュージーランド財産の贈与でも、日本の贈与税の対象外となります。つまり、贈与は「誰から誰へ」「どこの国の財産を」「どのタイミングで移すか」が重要です。 👉専門家の視点:日本に帰国予定がある場合は「帰国前の贈与」も要検討 親子が現在ニュージーランドに住んでおり、将来的に日本へ帰国する予定がある場合には、帰国前にニュージーランド財産を贈与することを検討する余地があります。贈与税の課税範囲は、贈与時点の親子の住所等で決まるためです。 たとえば、親子がいずれもニュージーランドに長く住んでおり、日本の贈与税上、子どもがニュージーランド財産について課税対象にならない場合には、帰国前に親から子へニュージーランドの預金や不動産を贈与することを検討する余地があります。 日本に帰国した後に贈与を行うと、ニュージーランド財産であっても、原則として日本の贈与税の対象になる可能性があります。 また、帰国前に贈与しておくことで、生前に財産を子どもへ移転することができます。その結果、将来相続が発生した際に、その財産が親の相続財産から外れ、日本の相続税負担を軽減できる可能性があります。 帰国後に相続が発生した場合は、親子ともに日本居住者となっているため、ニュージーランド財産についても日本の相続税の対象になる可能性が高くなります。 2-3 こんな場合は日本の譲渡所得税の対象になる ニュージーランドには一般的なキャピタルゲイン税がありません。 そのため、ニュージーランド不動産を売却しても、売却目的で取得した場合など一定の場合を除き、ニュージーランドでは税金がかかりません。 しかし、ニュージーランドの不動産を日本に住んでいる人が売却し、その売却により譲渡益が生じた場合、その売却益について日本で譲渡所得に対する所得税・住民税が課税されます。 【具体例】 たとえば、日本に住んでいる子どもが、ニュージーランド在住の父からオークランドの不動産を相続し、その後、その不動産を売却した日本人の親子のケースを考えてみましょう。 まず、日本に住んでいる日本人の子どもが相続しているため、そのオークランドの不動産は日本の相続税の対象になります。 さらに、売却した際に譲渡益が生じていれば、その売却益は日本で譲渡所得に対する所得税・住民税の対象になります。つまり、相続時に相続税、売却時に譲渡所得課税 という二つの論点が発生し得ます。 ここで注意したいのは、売却益が「相続してからの値上がり分」だけではないことです。相続した不動産を売却する場合には、父がその不動産を購入した時の取得費を引き継いで計算します。 不動産を売却したときの譲渡益は、簡単にいうと、売却金額から「購入時の金額や購入手数料など」を差し引いて計算します。この購入時の金額や購入手数料などを、税務上は 取得費 といいます。 父がその不動産を購入した時の取得費を引き継ぐため、かなり昔に安い価格で購入していた場合には、売却代金との差額が大きくなり、日本での譲渡所得が大きくなる可能性があります。 👉専門家の視点:帰国前・相続前の売却で税負担を抑えられる可能性がある ニュージーランド不動産に大きな含み益がある場合、日本への帰国前や相続発生前に売却することで、将来の日本の税負担を抑えられる可能性があります。 日本の居住者は、原則として国内で生じた所得だけでなく、国外で生じた所得についても日本で課税されます。そのため、日本に住んでいる人がニュージーランド不動産を売却して譲渡益を得た場合、その譲渡益は日本で課税対象になります。 ニュージーランド在住者が将来的に日本へ帰国する予定で、ニュージーランド不動産に大きな含み益がある場合には、日本へ帰国する前に売却することを検討する余地があります。 日本へ帰国して日本の居住者になった後に売却すると、ニュージーランド不動産の売却益も日本の譲渡所得税の対象になる可能性があります。 一方、売却時点で日本の非居住者であり、日本の課税対象とならない場合には、日本での譲渡所得課税を避けられる可能性があります。 ただし、帰国前や相続前に売却する場合でも、ニュージーランド側で課税されないか、売却目的で取得した不動産ではないかなどの確認は必要です。 日本に住んでいる相続人がニュージーランドの財産を相続する場合も同様です。 たとえば、ニュージーランド在住の父が所有している不動産を日本在住の子どもが相続する予定のケースです。 この場合、子どもが相続後に売却すると、父が購入した時の取得費を引き継いで譲渡所得を計算するため、日本で大きな譲渡所得が発生する可能性があります。 一方、相続発生前に父が不動産を売却しておけば、子どもが相続後に不動産を売却して日本の譲渡所得税が発生する、という流れを避けられる可能性があります。 ただし、相続発生前に売却しても、売却代金が父の預金として残る場合、その預金は相続財産になります。相続前の売却は、日本の相続税そのものをなくす対策ではなく、相続後に大きな譲渡所得税が発生するリスクを抑えるための対策として検討するものです。 また、ニュージーランド側で課税されないか、現地の手続きに問題がないかも事前に確認しておきましょう。 このように、ニュージーランドでは相続税・贈与税・一般的なキャピタルゲイン税がないとしても、日本側では相続税・贈与税・譲渡所得税が問題になることがあります。 特に注意すべきなのは、次の3つです。 ・日本に住んでいる人がニュージーランド財産を相続する場合 ・日本に住んでいる人がニュージーランド財産の贈与を受ける場合 ・日本に住んでいる人が、相続後にニュージーランド不動産を売却する場合 ニュージーランド側で税金がかからない場合でも、日本で申告が必要になるケースはあります。 そのため、ニュージーランド財産を相続・贈与・売却する場合には、現地の税金だけでなく、日本側の税金まで含めて確認することが大切です。 ここまで、ニュージーランドと日本の税務について確認してきましたが、次はニュージーランドでの相続手続きについて確認をしていきます。 第3章 ニュージーランドの相続手続き ニュージーランドには相続税がありませんが、相続手続きは必要です。 ニュージーランドに不動産、銀行預金、投資口座などの財産がある場合には、現地の法律や金融機関のルールに従って、財産を相続人へ移すための手続きが必要になります。 特に重要なのが、プロベート手続きです。 3-1 プロベート手続きが必要 プロベートとは、人が亡くなった際に、その遺産を法的に管理・清算し、最終的に相続人へ分配するまでの一連の裁判手続きのことです。 プロベートが不要な日本では、相続人の話し合いにより誰がどの財産を取得するかを決めます。その内容に基づいて、不動産や預金の名義変更などができます。 しかし、プロベートが必要なニュージーランドでは、裁判所の監督のもとで、遺産の確定、債務・税金の清算、相続人への分配がされます。そのため、多くの費用(裁判所費用・弁護士費用)と時間(数か月~1年以上)を要することになります。 なお、個々の財産価額が少額な預金口座などの場合には、プロベートの手続きを経ずに名義変更をすることが可能な場合があります。 【「プロベート手続き」についてはこちらの記事をご参照ください】 3-2 ニュージーランドの法定相続分 遺言がない場合には、遺産は法定相続分で分配されます。 ニュージーランドの法定相続分については主に次のように規定されています。 ・配偶者(パートナーを含みます。以下同じ)と子どもがいる場合 まずは、すべての家財とNZD155,000(1NZD約90円として約1,400万円)を配偶者が取得し、残りの財産を配偶者が1/3、子どもが2/3取得 ・子どもがおらず、配偶者と親がいる場合 まずは、すべての家財とNZD155,000を配偶者が取得し、残りの財産を配偶者が2/3、親が1/3取得 ・配偶者がおり、子どもがいない場合 配偶者がすべて取得 ・子どもはいるが、配偶者がいない場合 子どもがすべて取得 3-3 ニュージーランド財産がある場合はニュージーランドで遺言書の作成をする ニュージーランドに不動産や預金などの財産がある場合には、ニュージーランドで有効な遺言書を作成しておくことをおすすめします。 日本で作成した遺言書でも、ニュージーランドで使える可能性はありますが、ニュージーランド財産についてそのままスムーズに手続が進むとは限りません。 また、ニュージーランドで有効な遺言書がないとされた場合には、手続きが煩雑になりますし、遺産の分け方は本人の希望ではなく、ニュージーランドの法定相続ルールに従うため、想定外の分配になる可能性もあります。 ニュージーランドで有効な遺言書があってもプロベートの手続きが避けられるということではありませんが、遺言書がない場合よりもスムーズです。 なお、日本でもニュージーランドでも遺言書を作成する場合には注意が必要です。後で作成した遺言書により、先に作成した遺言書が撤回されてしまうことがあるためです。 そのため、日本用の遺言書とニュージーランド用の遺言書を分ける場合には、それぞれの対象財産を明確にし、互いの遺言書を取り消さないように内容を調整して作成する必要があります。 第4章 ニュージーランドの相続は税理士法人マインライフへご相談ください ニュージーランドに財産があり、プロベート対策が必要かもしれない・・・。 そのような難しいケースでも、弊社には最適なサポート体制が整っています。 税理士法人マインライフは、新宿・津田沼を拠点に、相続・国際相続の専門家として豊富な実績を持つ少数精鋭の税理士法人です。 年間数百件の相続税申告を担当しており、経験豊富な税理士が必ず最初から最後まで対応します。 マインライフが選ばれる理由 強み 内容 ① 経験豊富な専門家が直接対応 少数精鋭体制で、常に経験豊富な税理士が対応。担当が途中で変わる心配がありません。 ② 相続税申告に特化し、豊富な実績 相続専門の法人だからこそ、1人当たりの担当件数も多く、実践的なノウハウが蓄積されています。 ③ 海外案件にも強い独自ネットワーク 弁護士・司法書士・現地専門家との連携体制が整っており、海外財産や海外在住者の手続きに対応可能です。 ④ 申告だけでなく、相続対策にも精通 単なる申告業務だけではなく、納税資金対策や二次相続設計など、将来を見据えたオーダーメイド提案が得意です。 「ニュージーランドの財産をどうしたらいいのかわからない・・・。」と感じている方は、ぜひ税理士法人マインライフへご相談ください。 初回面談は無料です。ご状況をお伺いし、今すぐできる最善の方法をご提案いたします。 第5章 まとめ ニュージーランドには相続税・贈与税がなく、一般的なキャピタルゲイン税もありません。 ただし、日本に住んでいる人がニュージーランド財産を相続・贈与・売却する場合には、日本の相続税・贈与税・譲渡所得課税が問題になることがあります。 また、ニュージーランドに財産がある場合には、現地でプロベートなどの相続手続きが必要になることがあり、遺言書がないと手続きが煩雑になったり、法定相続ルールにより想定外の分け方になったりする可能性があります。 そのため、ニュージーランドの相続では、「現地に相続税がないから安心」とは言い切れません。 日本の税金とニュージーランドの手続きをあわせて確認することが重要です。 ※本記事における日本国外の情報は、一般に公表されている基本的な内容を平易に解説したものです。具体的な実務にあたっては現地専門家への確認が必要となります。
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フランス相続税を徹底解説|日本在住者が注意すべきポイントとは
フランスの相続税は、日本に住んでいる人にも関係することがあります。 たとえば、フランスに不動産や銀行口座を持つ親が亡くなった場合、日本に住む子どもであっても、フランス側の相続税や相続手続きの確認が必要になることがあります。 さらに、日本の相続税もあわせて確認しなければならないケースがあります。 フランスに不動産や銀行口座を持つ親族がいる方にとって、相続が発生したときの税金はとても分かりにくい問題です。 特に注意したいのは、フランスの相続税は「財産がいくらあるか」だけで決まるものではないという点です。 亡くなった方がどこに住んでいたのか、相続する方が誰なのか、財産がフランスにあるのか、日本にも財産があるのかによって、フランスと日本の両方で税金や手続きの確認が必要になることがあります。 また、「フランスの相続税は高い」と聞いたことがある方も多いかもしれません。たしかに、相続する人との関係によっては税率が高くなるケースがあります。一方で、配偶者や登録パートナー、子どもなど、誰が財産を受け取るかによって扱いは大きく変わります。 この記事では、フランス相続税の基本、日本在住者が注意したいポイント、日本とフランスの二重課税、フランス特有のルールまで、できるだけ専門用語を使わずにわかりやすく解説します。 ※本記事では、読者がイメージしやすいように、ユーロ表記には日本円の目安も併記しています。円換算は、1ユーロ=約185円として概算しています。実際の申告では、適用される為替レートや評価方法を専門家に確認してください。 【当記事は2026年7月時点の法令・公表情報に基づき作成しております。】 第1章 フランスの相続税ってどんな税金? 結論から言うとフランスにも日本と同じように相続税はあります。 ただし、その税率や制度は日本と異なるものも多いので、ここでは基本的なフランスの相続税の制度について確認していきます。 1-1 フランスには相続税がある フランスには、日本と同じように相続税があります。 フランスの相続税では、「亡くなった人が残した財産全体」にまとめて税金をかけるというよりも、財産を受け取る人ごとに、いくら受け取ったかを見て税金を計算します。 たとえば、同じフランス不動産を相続する場合でも、受け取る人が配偶者なのか、子どもなのか、兄弟姉妹なのか、親族以外の人なのかによって、税金は変わります。 そのため、フランス相続では、いきなり税率を見るのではなく、まず次の4つを整理することが大切です。 「フランスの相続税は何%ですか?」とすぐに税率だけを見るのではなく、まずは家族関係と財産の場所を整理することが大切です。 1-2 フランスの相続税は高い?税率の基本 フランスの相続税は、相続する人によっては高くなることがあります。ただし、「フランスの相続税は一律で高い」というわけではありません。 たとえば、配偶者やフランスの登録パートナー制度であるPACSのパートナー※は、原則として相続税が免除されます。 一方で親から子どもへの相続では、10万ユーロ(約1,850万円)を差し引いた後の金額に対して、段階的に税率がかかります。税率は5%から45%です。 財産を受け取る人 フランス相続税の基本的な扱い 配偶者 原則として相続税はかかりません フランスの登録パートナー、PACS 原則として相続税はかかりません。ただし遺言書が重要です 子ども 1人あたり10万ユーロ差し引き後、累進税率(5%から45%) 兄弟姉妹 条件を満たせば免除される場合がありますが、通常は35%または45% 甥・姪 原則として55%になりやすいです 親族以外の人 原則として60%になりやすいです つまり、フランス相続税では、財産の金額だけでなく、誰に渡すかがとても重要です。 フランスの登録パートナー制度 フランスには、結婚とは別に、カップルが公的に関係を登録する制度があります。 これを PACS(パックス)といいます。 PACSは、日本の読者には少しなじみの薄い制度ですが、簡単にいうと、結婚まではしていないものの、法律上一定の関係として認められるパートナー制度です。 フランスの公的情報でも、PACSは「2人の成人が共同生活を整えるために結ぶ契約」と説明されています。 1-3 生前贈与は「15年さかのぼって」相続税に影響することがある フランスでは、生前贈与も相続税に大きく影響することがあります。 フランスでは、贈与についても、相手との関係に応じて差し引ける枠(控除枠)や税率があります。 そして、この差し引ける枠は、同じ贈る人から同じ受け取る人への贈与について、15年単位で考えられます。 たとえば、母が子どもに20万ユーロ(約3,700万円)を生前贈与した場合、親子間の差し引き枠10万ユーロ(約1,850万円)を贈与時に使います。 その後、15年以内に母が亡くなり、子どもがさらに10万ユーロ、約1,850万円を相続した場合、一般的には、相続時に親子間の10万ユーロの差し引き枠はもう使えません。 さらに、贈与時に使った低い税率の段階も相続時に再利用できない扱いになります。 子どもへの贈与だけに限りません。 兄弟姉妹、甥・姪、親族以外の人など、子ども以外の人に生前贈与をしていた場合でも、その人が相続や遺言によって財産を受け取るときには、過去15年以内の贈与が確認されます。 子ども以外への贈与では、そもそも差し引ける枠(控除枠)が小さかったり、税率が高かったりすることがあります。 つまり、「生前に渡しておけば、相続税は関係ない」とは限りません。フランスでは、過去の贈与が相続時に確認されることがあります。 特に、15年以内の贈与については、相続税の差し引き枠の使い方に影響する可能性があるので必ず記録に残しておきましょう。 記録しておくこと 具体例 いつ贈与したか 贈与日 誰から誰へ渡したか 父から長男へ、母から長女へなど 何を渡したか 現金、不動産、株式など いくら相当か ユーロでの評価額と日本円の目安 フランスで申告したか 贈与申告書、ノタール書類など 日本側で申告したか 日本の贈与税の確認 生前贈与は、相続対策として有効な場合があります。 ただし、フランスと日本の両方の税金、家族間の公平、不動産の名義変更まで考えたうえで進める必要があります。 第2章 相続人が日本に住んでいてもフランス相続税が関係することがある 実は日本に住んでいてもフランスの相続税が課されるケースがあります。 この章ではどのような場合にフランスの相続税が課されることになるのか確認しましょう。 2-1 フランスに不動産や預金がある場合 日本に住んでいる人でも、フランスに財産がある場合は、フランス相続税が関係することがあります。 特に注意したいのが、フランスの不動産やフランスの銀行口座です。 【フランスの相続税が課される財産の例】 ・パリ近郊の自宅 ・フランスの別荘 ・フランスの賃貸不動産 ・フランスの銀行口座 ・フランスの証券口座 ・フランス法人の株式 亡くなった人がフランスに住んでいない場合でも、フランスにある財産はフランス側の相続税の対象になることがあります。 つまり、日本に住んでいる子どもが、フランスにある親の不動産を相続する場合、フランス側の手続きを避けて通ることは難しいと考えた方がよいでしょう。 また、不動産がある場合は、相続税だけでなく名義変更も問題になります。この名義変更では、後ほど説明する「ノタール」という専門家が関与することが多くあります。 2-2 フランスに住んでいる親が亡くなった場合 親がフランスに住んでいる場合は、さらに注意が必要です。 フランスでは、亡くなった人がフランスに住んでいた場合、フランス国内の財産だけでなく、国外にある財産もフランス側の確認対象になることがあります。 たとえば、父は日本国籍だが長年フランスに住んでいる、母はフランス国籍でフランス在住、フランスに自宅と銀行口座がある、日本にも預金や不動産がある、子どもは日本に住んでいる、というケースです。 この場合、「父は日本国籍だから日本だけの問題」と考えるのは危険です。フランス相続では、国籍だけでなく、どこに住んでいたか、どこに財産があるかが重要になります。 財産の場所 具体例 フランス 自宅、銀行口座、証券口座、車、家財 日本 預金、不動産、有価証券、保険 その他の国 海外口座、海外不動産、投資商品 フランス側と日本側の両方で、どの財産が対象になるかを確認する必要があります。 【相続する人がフランスに住んでいた場合】 フランス相続では、亡くなった人だけでなく、財産を受け取る人がフランスに住んでいるかどうかも重要です。 たとえば、亡くなった親は日本に住んでいても、相続する子どもがフランスに長く住んでいる場合、フランス側の課税が問題になることがあります。 フランスでは、相続する人がフランスに住んでいて、かつ過去10年のうち少なくとも6年フランスに住んでいた場合、フランス国内外の財産がフランスで課税対象になり得ます。 ケース 注意点 親は日本在住、子どもはフランス在住 子どものフランス居住歴を確認する必要があります 兄弟の1人だけフランス在住 その人が受け取る財産についてフランス課税が問題になることがあります 元駐在員がフランスに長く住んでいた 過去の居住期間が影響することがあります つまり、国際相続では、亡くなった人の住まいだけでなく、財産を受け取る人の住まいも確認する必要があります。 2-3 フランスの財産にも日本の相続税がかかることがある 次に、フランスの財産と日本の相続税との関係について確認していきましょう。 結論からいうと、フランスにある財産であっても、日本の相続税の対象になることがあります。 日本の相続税は、亡くなった人の日本にある財産だけが対象になる場合と、海外にある財産も含めてすべての財産が対象になる場合があります。 基本として、相続人が日本に住んでいる場合には、フランスにある財産も日本の相続税の対象になる可能性があります。 たとえば、日本に住んでいる子どもが、フランスにある親の不動産を相続した場合、そのフランス不動産も日本の相続税の計算に含める必要があるケースがあります。 具体的には、ケース別に以下のフローチャートに沿って判断します。 また、以下の判定表でも日本の相続税がかかる財産の範囲を判定できます。 ※1 外国人被相続人を除く 外国人被相続人…相続開始時に一定の在留資格を有するもの。 ※2 一時居住者を除く 一時居住者…相続開始時に一定の在留資格を有する者で、相続開始前15年以内の国内居住期間の合計が10年以下であるもの。 ※3 非居住被相続人の前提 非居住被相続人…相続開始前10年以内において、国内に住所を有していた期間中、継続して日本国籍がなかったもの。 2-4 日本とフランスの両方で相続税がかかることはある? はい、あります。 国際相続では、同じ財産について、フランスと日本の両方で相続税が問題になることがあります。 例えば被相続人がフランス在住のフランス人の場合でフランスだけでなく日本にも不動産を有しているとします。 この場合フランスでは日本にある不動産の価格も含めて相続税がかかりますし、その不動産に対して日本の相続税もかかります。 2-5 外国税額控除を適用できる場合がある 「外国税額控除」とは、簡単にいうと、フランスでも日本でも相続税に相当する税金がかかる場合に、日本の相続税からフランスで支払った税金の一部を差し引ける制度です。 フランスにある財産についてフランスの相続税がかかり、その同じ財産が日本の相続税の対象にもなる場合には、日本の相続税申告で外国税額控除の適用を検討することになります。 具体例で見ると、次のようなイメージです。 【例】 前提:日本に住んでいる方が、日本に7億円の財産、フランスに3億円の財産を持った状態で亡くなった。 相続人は日本に住んでいる子ども1人。 日本の相続税:全世界の財産10億円に対して、日本の相続税4億円が発生 フランスの相続税:フランスにある財産3億円に対して、フランスの相続税1億円が発生 この場合、日本では、日本の財産7億円だけでなく、フランスの財産3億円も含めた全世界の財産10億円をもとに相続税を計算します。 一方で、フランスでも、フランスにある財産3億円についてフランスの相続税がかかっています。 このままだと、フランスの財産について、日本とフランスの両方で相続税がかかることになります。 そこで、日本の相続税申告では、外国税額控除によって、フランスで支払った相続税相当額を日本の相続税から差し引ける場合があります。 上記の例では、日本の相続税4億円から、フランスの相続税1億円を差し引き、結果として日本で実際に納める税金は3億円となるイメージです。 ただし、フランスで支払った税金を必ず全額差し引けるわけではありません。 日本の相続税申告で外国税額控除の適用を受ける場合、控除できる金額は、原則として次のいずれか少ない金額となります。 ・フランスで支払った相続税相当額 上記例では、フランスの相続税1億円 ・日本の相続税のうち、フランス財産に対応する部分の金額 上記例では、 日本の相続税4億円 × フランス財産3億円 ÷ 全世界財産10億円 = 1.2億円 この例では、フランスで支払った相続税相当額1億円と、日本の相続税のうちフランス財産に対応する部分1.2億円を比べて、少ない金額である1億円が外国税額控除の対象となります。 そのため、日本の相続税4億円から1億円を差し引き、実際に日本で納める税金は3億円となります。 一方で、日本にある財産についてフランス側で税金がかかった場合には、その税額を日本の相続税から控除できるとは限りません。 この場合には、フランス側の制度において、日本で支払った相続税をフランス側で控除できるかを確認する必要があります。 また、外国税額控除の対象になるのは、原則として相続税に相当する税金です。 フランスで支払った税金であっても、不動産売却時の税金、所得税、登録税、手続き費用などは、相続税の外国税額控除とは別に整理する必要があります。 フランスと日本の両方で相続税がかかる場合には、基本的にはこの外国税額控除の適用を検討します。 外国税額控除の適用を忘れてしまうと、結果として税金を二重に負担したままになる可能性があります。 フランス側の税額が確定する前に、日本の相続税申告期限が来る場合もあります。 日本の相続税申告期限は原則として、相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。 一方、フランスでは、死亡がフランスで発生した場合は原則6か月以内、フランス国外で発生した場合は原則12か月以内に相続申告が必要とされています。 特にフランス国外で亡くなったケースでは、日本の申告期限の方が先に到来する可能性があるため、外国税額控除の取扱いも含め、早めに日本側の税理士とフランス側の専門家に相談することが大切です。 第3章 フランス相続で日本人が特に注意したいこと 第2章でフランスの「相続税」の基礎知識について確認しましたが、税制度ではありませんがフランス特有の相続手続きのルールがあります。 3-1 フランスにも日本の「遺留分」のような最低限の取り分のルールがある 遺留分とは、一定の相続人に法律上保障されている「最低限受け取れる相続分」のことです。 フランスには、日本の「遺留分」に近い考え方があります。簡単にいうと、子どもには最低限守られる取り分があるというルールです。 子どもに守られる取り分は、子どもの人数によって変わります。子どもが1人なら財産の2分の1、子どもが2人なら財産の3分の2、子どもが3人以上なら財産の4分の3が、子ども側に守られる部分です。 そのため、配偶者にすべて残したい、フランス不動産を長男だけに残したい、子どもには何も残したくない、親族以外の人に全財産を残したい、といった希望がある場合は注意が必要です。 実際にどの国のルールが適用されるかは、亡くなった人の居住地、国籍、遺言書の内容、財産の場所によって変わります。ただし、フランスに不動産がある場合は、税金だけでなく、誰にどれだけ渡せるかも早めに確認しましょう。 3-2 フランスでは「ノタール」という専門家が重要な役割を持つ フランス相続では、「ノタール」という専門家が重要です。ノタールは日本語では公証人と訳されることがありますが、日本の公証人とまったく同じ役割ではありません。 フランスでは、相続人の確認、不動産の名義変更に必要な書類の作成、遺言書の確認、相続財産の整理、相続税申告に関する手続きなどで、ノタールが大きな役割を持ちます。 日本でいえば、相続税については税理士、不動産の名義変更については司法書士、遺言や相続人間の法的整理については弁護士や公証人に相談するような場面でも、フランスではノタールが相続手続きの中心的な窓口になることがあります。 ただし、相続人同士で争いがある場合の紛争対応や訴訟は、ノタールではなく弁護士が関与する場面もあります。また、日本の相続税申告については、日本側の税理士に確認する必要があります。 特に、フランスに不動産がある場合は、ノタールなしで手続きを進めるのは難しいと考えた方がよいでしょう。 場面 ノタールの役割 フランス不動産がある 名義変更に必要な書類を作成する 相続人を確認する 誰が相続人かを証明する 遺言書がある 内容を確認し、手続きに反映する 財産を分ける 相続人間の分配を整理する 相続税申告 申告や評価に関わることがある 日本側では税理士に相談し、フランス側ではノタールと連携するという流れになることが多いです。 3-3 フランスの登録パートナーは、相続税では配偶者に近い扱いを受ける フランスには、PACSという登録パートナー制度があります。PACSとは、結婚とは別に、2人の関係を公的に登録する制度です。 PACSのパートナーは、相続税では配偶者に近い扱いを受けます。税金だけを見ると、PACSのパートナーは非常に有利です。 たとえば、単なる事実婚の相手や親族以外の人に財産を残す場合、60%という高い税率が問題になることがあります。しかし、PACSのパートナーであれば、相続税の面では配偶者に近い扱いを受けます。 3-4 ただし、登録パートナーは当然に相続人になるわけではない PACSのパートナーは、相続税では有利です。 しかし、遺言書がなければ、当然に財産を相続できるわけではありません。 つまり、PACSについては、相続税の面と、財産を受け取る権利を分けて考える必要があります。 項目 PACSの扱い 相続税 原則として免除されます 自動的に相続できるか 原則として自動ではありません 財産を残すために必要なもの 遺言書が重要です 子どもがいる場合 子どもの最低限の取り分に注意が必要です 「PACSだから安心」ではありません。PACSのパートナーに財産を残したい場合は、PACS+遺言書をセットで考える必要があります。 第4章 ケース別で理解する ここまで大まかにフランスの相続税やフランスの相続制度、日本在住の方や日本人に影響が出る場合を確認してきましたが具体的なケース別に確認しましょう。 4-1 日本に住んでいる子どもがフランスの不動産を相続するケース まず、日本に住んでいる子どもが、フランスにある親の不動産を相続するケースです。 たとえば、父がパリ近郊に50万ユーロ(約9,250万円)の自宅を持っており、子どもは日本に住んでいる場合です。 このケースでは、フランス相続税、フランス手続き、日本の相続税の3つが大きな論点になります。 まず、フランス不動産はフランス側の相続税・名義変更手続きの対象になり得ます。さらに、日本に住む子どもがその不動産を相続する場合、日本の相続税も確認する必要があります。 フランス不動産は、相続後に売却するのか、家族で使うのか、賃貸するのかによっても注意点が変わります。相続税だけでなく、相続後の管理方針まで話し合っておくことが大切です。 4-2 フランスに住んでいる親の財産を日本の家族が相続するケース 次に、フランスに住んでいる親が亡くなり、日本に住む家族が財産を相続するケースです。 このケースでは、親がフランスに住んでいたことが重要です。 亡くなった人がフランスに税務上の住所を持っていた場合、フランス国内外の財産がフランス側で確認対象になる可能性があります。 このケースでは、国籍だけで判断しないことが大切です。 父が日本国籍であっても、長年フランスに住んでいる場合、フランス側の相続税や相続手続きが関係することがあります。 4-3 配偶者に財産を残すケース 次のケース以降からは被相続人がフランスに居住していてフランスの相続税がかかる前提になります。 その上でここでは配偶者に財産を残したいという場合のケースです。 フランスでは、配偶者は相続税の面で非常に優遇されています。 配偶者が相続する場合、フランス相続税は原則としてかかりません。 そのため、夫から妻へ、妻から夫へ財産を残すケースでは、フランス相続税の負担は少なくなることがあります。 つまり、配偶者に財産を残す場合は、税金だけでなく、家族全体の財産分けも考える必要があります。「配偶者は相続税がかからないから安心」と考えるのではなく、子どもの取り分や不動産の使い方まで整理しましょう。 4-4 フランスの登録パートナーに財産を残すケース フランスの登録パートナー、つまりPACSのパートナーに財産を残す場合、相続税では配偶者に近い扱いを受けます。 PACSのパートナーは、遺言で受け取る財産について相続税が免除されるとされています。 ただし、PACSのパートナーは、遺言書がないと当然に相続人になるわけではありません。 PACSは税金面では有利ですが、遺言書がないと財産を受け取れない可能性があります。「PACSだから安心」ではなく、「PACSと遺言書をセットで準備する」と考えましょう。 4-5 子どもに財産を残すケース 親から子どもへ財産を残す場合、フランス相続税では、子ども1人あたり10万ユーロ(約1,850万円)の差し引き枠があります。 ただし、フランス不動産の価値が高い場合や、預金・証券も多い場合は、子どもへの相続でも税金が発生する可能性があります。 4-6 親族以外の人に財産を残すケース 親族以外の人に財産を残す場合は、フランス相続では特に注意が必要です。 親族以外の人に相続させる場合、原則として60%という高い税率が問題になることがあります。 ・友人に財産を残したい ・事実婚の相手に財産を残したい ・長年世話をしてくれた人に財産を渡したい ・血縁関係のない第三者にフランス不動産を残したい この場合、税金が非常に重くなる可能性があります。 また、親族以外の人は、遺言書がなければ財産を受け取れない可能性が高いです。 さらに、子どもがいる場合は、子どもの最低限の取り分にも注意が必要です 第5章 国際相続は「税理士法人マインライフ」へ 国際相続は、国内相続とは比べものにならないほど複雑で、専門家の存在が成功の分かれ道となります。 税理士法人マインライフは、新宿・津田沼を拠点に、相続・国際相続の専門家として豊富な実績を持つ少数精鋭の税理士法人です。年間数百件の相続税申告を担当しており、経験豊富な税理士が必ず最初から最後まで対応します。 マインライフが選ばれる理由 「海外の財産をどう扱えばいいのかわからない」「外国税額控除を受けたいが手続きに不安がある」―― そのようなときは、ぜひ税理士法人マインライフへご相談ください。 初回面談は無料です。ご状況をお伺いし、今すぐできる最善の方法とスケジュールをご提案いたします。 最初の一歩を踏み出すことが、複雑な国際相続を解決へ導く最大のカギとなります。 第6章 まとめ いかがだったでしょうか。 本コラムでは、日本在住者がフランスの財産を相続するケースを前提に、フランス相続を「税務」(フランス相続税・日本の相続税・外国税額控除)と「相続手続き」(ノタール・遺言書・遺留分)の両面から整理しました。 フランス相続で重要なのは、「相続税率が高いかどうか」だけではありません。 亡くなった人がどこに住んでいたか、相続する人がどこに住んでいるか、財産がどこにあるか、誰が相続するかによって、フランス相続税の対象になる範囲や税負担が変わります。 特に、フランスに不動産や預金がある場合、親がフランスに住んでいる場合、相続人がフランスに長く住んでいる場合は注意が必要です。 「フランスに財産がある」時点で、国際相続として整理する必要があります。 早めに財産一覧、登記資料、銀行口座、遺言書、生前贈与の記録を整理し、日本側の税理士とフランス側のノタールに相談することで、申告漏れ、手続きの遅れ、不要な税負担、家族間のトラブルを防ぎやすくなります。
国際相続サポート
アメリカの相続順位について/相続財産・州法による違い・相談先を解説
アメリカに住んでいた親が、現地で亡くなった——そんな知らせを受けたとき、 葬儀などはひと段落したものの、「親の遺産はどう手続きを進めればいいのか?」と悩まれる方は多くいらっしゃいます。 特に、 日本とアメリカのどちらの法律に従うべきなのか? アメリカで再婚していた場合、相続の扱いはどうなるのか? こうした疑問が、次々と出てくるはずです。 実は、アメリカでは相続に関わるルールは州法によって定められており、州ごとに内容が大きく異なります。 なぜ大きく異なるのかというと、アメリカは建国時に13の州が独立国のような状態で集まったため、 「家族・財産・不動産など“生活に関わるルール”は州が決める」 「国防や外交など“国家としての役割”だけを連邦政府が担当する」 という構造で成り立ったためです。 この原則が今も続いているため、相続も州ごとにまったく違う仕組みが存在しているのです。 そのため、アメリカの法律に従う場合は “どの州の法律が適用されるのか” までが重要になります。 この記事では、 ・どの法律(どの州法)が適用されるのか ・主な州(カリフォルニア・ニューヨーク・ハワイ)の相続順位と取り分 ・日本の相続との違い、注意点 をわかりやすく整理し、遺産手続きを進めるための最初の道しるべとして解説していきます。 まずは、この記事を参考に、状況を整理しながら、落ち着いて相続手続きを進めていきましょう。 【当記事は2026年1月1日時点の法令に基づき作成しております。】 第1章 アメリカで相続順位を考える場合、法律が適用される国を確定する 国によって法律が異なるため、アメリカなど海外が関係する相続の場合、どこの法律が適用されるのかを確定させる必要があります。 1-1 アメリカで相続順位を確定させるには、まず準拠法を確定させる まず、相続順位を確定するためには、準拠法を確定させなければなりません。 <日本の法律> 日本では、「相続は、被相続人の本国法による」と規定しています。(通則法第36条) そのため、被相続人(亡くなった人)の国籍のある国の法律を適用することになっています。 亡くなった方が日本国籍の場合 日本法を適用 亡くなった方がアメリカ国籍の場合 アメリカ法を適用 <アメリカの法律> アメリカは日本と異なり、資産の種類によって適用する法律が異なります。 不動産 その不動産がある州(又は国)の法律 動産や金融資産 亡くなった人の最終的なドミサイル(Domicile)がある州(又は国)の法律 ※ドミサイルとは、その人の固定的な本拠地で、仮にそこを離れても戻る意思を持っている場所のことを言います。日本でいう住所や居所地とは異なる考え方です。 1-2 ケース別 ➀ アメリカで亡くなったアメリカ人が所有していた日本の不動産 このケースを考えると 日本の考え方だと国籍で判断するため『アメリカ国籍だからアメリカ法(州法)を適用』 アメリカの考え方だと不動産の所在地で判断するため『不動産が日本にあるから日本法を適用』 と異なることになります。 実は、この場合、日本の法律に従うことになっています。(法律用語で反致といいます。) 通則法第41条に「当事者の本国法によるべき場合において、その国の法に従えば日本法によるべきときは、日本法による。」と規定されています。 つまり、 日本の原則 → アメリカ法に従え (当事者の本国法によるべき場合において) アメリカの原則 → 日本法に従え (その国の法に従えば日本法によるべきときは) この場合は、日本法によると定めています。 (日本法による。) ② 日本人(ドミサイルはアメリカ)が所有していたアメリカの金融資産 このケースも日本とアメリカで判断基準が異なります。 日本の考え方だと国籍で判断するため『日本国籍だから日本法を適用』 アメリカの考え方だとドミサイルで判断するため『アメリカ法を適用』 この場合は、アメリカの法律に基づき手続きをすることにならざるを得ないと考えられます。 なぜなら、アメリカの金融機関では日本の法律に従って手続きをしてもらえない可能性が高いためです。 実際に手続きを進めるにあたっては国際相続に精通する現地の専門家に確認をする必要があります。 1-3 分け方が確定している財産 州法に規定されている相続順位や取り分などを適用する前に、分け方が確定している場合があります。 具体的には、次の通りです。 1-3-1 遺言書(Will)がある場合 日本でも同様ですが、有効な遺言書がある場合は、その内容に従って財産を分けます。 1-3-2 受取人の指定(POD、TODR、TODD) 所有者が死亡したときに、財産を受け取る人をあらかじめ指定しておく制度です。 ・POD(Payable on Death)は銀行口座の受取人指定 ・TODR(Transfer on Death Registration)は証券の口座の受取人指定 ・TODD(Transfer on Death Deed)は不動産の死亡時譲渡証書 1-3-3 ジョイント・アカウント、ジョイント・テナンシー 複数の人が共同で財産を所有しておくことで、共同所有者のうちの一人が死亡した場合、その持分が自動的に生存する共同所有者に移転します。 ・ジョイント・アカウント:共同名義の銀行口座 ・ジョイント・テナンシー:不動産などの共同所有 1-3-4 リビングトラスト(生前信託) 信託契約で財産の管理・承継方法(誰に承継するかを含め)を指定しておく制度です。 1-3-5 生命保険や退職口座(401K、IRAなど) 生命保険や退職口座については契約で受取人を指定します。 これらの財産に該当しない場合には、州ごとに定められた法律に基づいて財産を分けることになります。 次章では主な州の財産の分け方について確認をしていきます。 第2章 主な州の相続順位の比較 冒頭で記載した通り、アメリカでは相続に関して州ごとに法律を定めているため、州ごとに相続順位や配偶者の取り分などが大きく異なります。 今回は、日本人に関係することの多いカリフォルニア、ニューヨーク、ハワイの3つの州について確認をします。 2-1 カリフォルニア州 <配偶者がいる場合> カリフォルニア州は、コミュニティ財産という考え方があります。 コミュニティ財産とは、婚姻期間中に夫婦で築いた財産で夫婦共有財産と考えます。 夫婦共有の財産のため、コミュニティ財産はすべて配偶者が取得することになります。 そのため、配偶者がいる場合は、まず、コミュニティ財産とコミュニティ財産以外の財産(特有財産:結婚前から保有している財産や相続や贈与で取得した財産など)に分ける必要があります。 コミュニティ財産の分け方 すべて配偶者(遺言等がない場合) 特有財産の分け方 ケース1:配偶者+子ども1人 → 配偶者1/2、子1/2 ケース2:配偶者+子ども2人以上 → 配偶者1/3、子ども全体で2/3 ケース3:配偶者+子なし+親あり → 配偶者1/2、親1/2 ケース4:配偶者+子なし+親なし+兄弟姉妹あり → 配偶者1/2、兄弟姉妹1/2 ケース5:配偶者のみ(子・親・兄弟姉妹なし) → 配偶者100% <配偶者がいない場合> 配偶者がいない場合はコミュニティ財産と特有財産にわける必要がありません。 すべての財産について、以下の順番で相続することになります。 ①子ども→②親→③兄弟姉妹→④祖父母→⑤祖父母の子孫(おじおばやいとこ)→⑥亡くなった配偶者に子どもがいる場合はその子ども 2-2 ニューヨーク州 ニューヨーク州の場合は、コミュニティ財産という考え方はありません。 そのため、亡くなった方の財産すべてについて次の割合で相続することになります。 配偶者 子ども 親 兄弟姉妹 ケース1 5万ドル+ 残りの1/2 残りの1/2 0 0 ケース2 100% 不存在の場合 0 0 ケース3 不存在の場合 100% 0 0 ケース4 不存在の場合 不存在の場合 100% 0 ケース5 不存在の場合 不存在の場合 不存在の場合 100% 2-3 ハワイ州 <配偶者がいる場合> ハワイ州にもコミュニティ財産という考え方はありませんが、基本的に配偶者が財産を相続することになります。 そのため、子どもがいても基本的にすべて配偶者が取得することになります。 ケース1:配偶者+子なし+親なし → すべて配偶者 ケース2:配偶者+子あり → すべて配偶者 ケース3:配偶者+子なし+親あり → 配偶者40万ドルと残りの3/4、親は残りの1/4 ケース4:配偶者+子あり+被相続人に配偶者以外との子どもがいる → 配偶者22万ドルと残りの1/2、その子どもが残りの1/2 ケース5:配偶者+子あり+配偶者に被相続人以外との子どもがいる → 配偶者33万ドルと残りの1/2、被相続人の子どもが残りの1/2 <配偶者がいない場合> 配偶者がいない場合は、以下の順番で相続することになります。 子ども→②親→③兄弟姉妹や甥姪→④祖父母の子孫(おじおばやいとこ) このように州によって相続の順番や分け方が大きく異なっています。 そのため、まずはどこの法律が適用されるのかを明確にし、その法律に精通した専門家に依頼をする必要があります。 また、亡くなった方若しくは相続人のいずれかが日本に居住している場合、基本的に日本国外にある財産についてもすべて日本の相続税の対象となります。 次章で専門家を選ぶ際のPointを確認します。 第3章 専門家を選ぶ際の4つのPoint 現地の制度や相場を理解し、日本と現地の専門家が連携できる体制を作ることが、海外相続をスムーズに進める最大のポイントです。特に、日本の専門家を経由して現地の専門家を探すことで手間やリスクを大きく減らせます。 Point1 日本で、海外相続にも精通した専門家に紹介を受けるのが一番のPoint 日本で海外相続にも精通した専門家に紹介を受けるのが一番スムーズです。この後の3つのPointもケアしてもらえます。 自分で現地の専門家を探すのは難しく、報酬や支払いタイミングの交渉も容易ではありません。相場感がないまま契約すると、通常より高い額になるリスクもあります。 国際相続に精通した日本の専門家(税理士や弁護士)であれば、現地の信頼できる専門家とネットワークを持っていることが多く、このようなリスクも軽減できます。また、日本の税務も必要な場合は、一緒に依頼できるメリットもあります。 Point2 州ごとに法律や手続きが違うので適用する法律に精通した専門家を探す アメリカは州ごとに法律が違います。 どの州の法律が適用されるのか確認し、その州に精通した専門家を選ぶことが必要です。 カリフォルニア州の法律に基づいて手続きが必要なのにニューヨーク州専門の弁護士に依頼してしまうとスムーズに手続きが進まないことがあります。 Point3 報酬形態と相場を必ず確認する 現地専門家の報酬は、日本の専門家よりも高額になることが多いです。 それでも、現地での相場として高額なのか妥当なのかについては検討をする必要があります。 なお、主な報酬形態は『遺産総額の○%(例:2〜5%)』『タイムチャージ制(時間あたり○ドル)』のいずれかです。 Point4 報酬を支払うタイミングを確認する 海外の手続きは長期間になることが多いです。 亡くなった方の財産の名義変更手続きなどが完了するまでは、費用を一時的に相続人が立て替える必要があります。 契約によっては、報酬の一部を名義変更完了後に支払うことも可能です。支払時期によって相続人の資金負担が大きく変わるので注意が必要です。 現地の専門家選びは、費用や期間だけでなく、日本での税務との連携も欠かせません。 次の章では、日本の税務の注意点を取り上げます。 第4章 海外の手続きに長期間かかっても日本の相続税は待ってくれない 海外の手続きにどれだけ時間がかかっても、日本の相続税の期限は延びません。 日本の相続税の期限は「相続開始を知った日(通常は亡くなった日)の翌日から10か月以内」です。この期限内に相続税の申告と納税をする必要があります。 亡くなった方と相続人のいずれかでも日本に在住している場合、基本的に海外の財産も含めて日本の相続税の対象になります。 手続きが間に合わない場合は財産の分割が完了していないもの(未分割)として一度申告し納税をすることになります。 その後、手続きが完了し財産の分配が行われた後、必要に応じて申告書を修正し提出することになります。 なお、日本の相続税には各種特例が設けられておりますが、未分割の場合には適用できないものがあります。そのため、手続きが間に合わない場合にはそれらの特例を受けずに申告することになります。 第5章 アメリカに財産があり、お困りの場合はぜひ税理士法人マインライフへご相談ください 財産がアメリカにあり、どのような手続きをすればいいのかわからない・・・。 そのような難しいケースでも、最適なサポート体制が弊社には整っています。 税理士法人マインライフは、新宿・津田沼を拠点に、相続・国際相続の専門家として豊富な実績を持つ少数精鋭の税理士法人です。年間数百件の相続税申告を担当しており、経験豊富な税理士が必ず最初から最後まで対応します。 「海外の財産をどうしたらいいのかわからない・・・。」と感じている方は、ぜひ税理士法人マインライフへご相談ください。 初回面談は無料です。ご状況をお伺いし、今すぐできる最善の方法をご提案いたします。 第6章 まとめ いかがでしたか? アメリカが関係する相続では、「どこの国・どの州の法律が適用されるのか」を最初に押さえることが、いかに重要かイメージしていただけたのではないでしょうか。 このように、アメリカにお住まいのご家族やアメリカ所在の財産が関わる相続では、準拠法や州ごとの相続ルール、日本の相続税の期限、そして日本と現地専門家との連携を意識しながら、計画的に手続きを進めていくことが欠かせません。 この記事のまとめ ・アメリカが関係する相続では、まず「どこの国・どの州の法律(準拠法)が適用されるか」を確認する必要がある。日本法は国籍、アメリカ法は資産の種類やドミサイル(本拠地)によって適用される法律が変わる。 ・遺言書、POD/TOD/TODD、ジョイント・アカウント、リビングトラスト、生命保険や401K・IRAなど、あらかじめ受取人や承継方法が指定されている財産は、その指定どおりに承継され、それ以外の財産について各州の相続順位・取り分が適用される。 ・アメリカでは、州によっても配偶者や子ども、親、兄弟姉妹の相続順位や取り分が大きく異なるため、「どの州法が適用されるか」を明確にしたうえで、その州法に精通した現地専門家に依頼することが重要である。 ・海外の手続きが長期化しても、日本の相続税の申告・納付期限(相続開始を知った日の翌日から10か月)は延びず、亡くなった方または相続人のいずれかが日本に居住している場合は海外財産も含めて相続税の対象となる。手続きが間に合わない場合は未分割で一度申告し、後から修正することになり、一部特例が使えないこともある。 ・国際相続を円滑に進めるには、海外にも精通した日本の税理士・弁護士を窓口にし、報酬の相場や支払時期も確認しながら、適用される州法に詳しい現地専門家と連携して進めることが大切。 海外に財産がある相続で「何から手をつければいいのかわからない…」という方は、一人で抱え込まず、ぜひ税理士法人マインライフへご相談ください。 ※本記事における日本国外の情報は、一般に公表されている基本的な内容を平易に解説したものです。具体的な実務にあたっては現地専門家への確認が必要となります。
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相続税の国際二重課税とは?課税パターンと国ごとの違いを整理
海外口座、海外株式、海外不動産などをお持ちの方が亡くなった場合、「日本でも海外でも相続税がかかるのではないか」と不安に感じる方は多いです。 特に、海外赴任経験がある方や、現在も海外金融資産を保有している方は、相続発生後に初めて「海外財産も日本の相続税の対象になる可能性がある」と知るケースがあります。 ただし、海外財産があるからといって、必ず二重課税になるわけではありません。 海外相続で二重課税に該当するかを判断するための考え方を、具体例と国ごとの違いを交えて解説します。 【当記事は2026年1月1日時点の法令に基づき作成しております。】 「二重課税」専門家の3つの視点👉 ・日本の相続税がかかるか ・海外でも相続税に相当する税金がかかるか ・その二重課税を外国税額控除などで調整できるか 第1章 海外相続で二重課税に該当するかを判断する 海外相続の二重課税は、「日本で課税されるか」「海外で課税されるか」「同じ種類の税金が重なっているか」の順番で確認します。 1-1 日本の相続税がかかるか(日本の相続税の課税範囲を確認する) まず確認すべきことは、海外財産が日本の相続税の対象になるかどうかです。 日本の相続税では、相続人が日本に住所を有している場合など、一定の要件に該当すると、国内財産だけでなく海外財産も含めて「取得したすべての財産」が課税の対象になります。 たとえば、日本人である日本居住者が海外預金を相続した場合「海外にある財産だから日本の相続税は関係ない」とはならず、「取得したすべての財産」に日本の相続税がかかります。 日本の相続税がかかるかどうかを判断する際には、主に次の点を確認します。 ・被相続人(亡くなった人)が相続時にどこに住んでいたか ・相続人が相続時にどこに住んでいるか ・被相続人と相続人の国籍 ・過去10年以内の日本居住歴 ・取得した財産が国内財産か国外財産か 【日本の相続税がかかる範囲の判定表】 ※1 外国人被相続人を除く 外国人被相続人…相続開始時に一定の在留資格を有するもの。 ※2 一時居住者を除く 一時居住者…相続開始時に一定の在留資格を有する者で、相続開始前15年以内の国内居住期間の合計が10年以下であるもの。 ※3 非居住被相続人の前提 非居住被相続人…相続開始前10年以内において、国内に住所を有していた期間中、継続して日本国籍がなかったもの。 特に日本居住の相続人が海外財産を取得する場合には、日本の相続税申告にその海外財産を含める必要があるかを早めに確認することが重要です。 1-2 海外でも相続税に相当する税金がかかるか 次に、海外側で相続税に相当する税金がかかる国であるかを確認します。 海外で課税されるかどうかは、国ごとに大きく異なります。相続税がある国もあれば、遺産税という形で課税する国もあり、相続税自体がない国もあります。 確認すべきポイントは次のとおりです。 ・財産がどの国にあるか ・被相続人(亡くなった人)がその国の居住者または国籍保有者だったか ・相続人がその国の居住者か ・その国に相続税、遺産税などがあるか たとえば米国では、相続に関するものとして「遺産税」があります。 米国遺産税は日本の相続税とは異なり、財産を遺す側である被相続人(亡くなった人)が納税義務者です。 被相続人(亡くなった人)が米国市民・米国居住者であるか、米国非居住者であるかにより税金の取扱いが異なります。 米国非居住者(日本居住)であっても、米国にある財産については米国遺産税の対象になります。 なお、州によっては連邦税以外の州税としての遺産税(相続税)が存在します。 一方で欧州については国ごとの確認が必要です。相続税はEUルールで決まるものではなく、各国ごとの情報を確認する必要があります。 また、国によっては、日本の相続税に相当する税金がない場合もあります。 シンガポール・中国・オーストラリア・ニュージーランドなどではそもそも相続税に相当する税金がありません。 つまり、海外相続では「海外財産があるか」だけでなく、「どの国に財産があるか」を国別に整理することが重要です。 1-3 二重課税を外国税額控除で調整できるか 相続税の外国税額控除とは、「海外財産」に対して日本と海外の両方で相続税がかかるときに、二重課税を調整するための制度です。(二重課税についての判断の基準は下記コラムをご参照ください。) たとえば、イギリスにある財産に対して、日本の相続税とイギリスの相続税の両方がかかってしまう場合 【例】 日本に住んでいる方が、日本に5億円の財産、イギリスに5億円の財産がある状態で亡くなった。 相続人は日本に住んでいる子ども1人。 日本の相続税:全世界の財産(10億円)に対して日本の相続税約4.5億円が発生 イギリスの相続税:イギリス財産(5億円)に対してイギリスの相続税約2億円が発生 日本の相続税約4.5億円から、外国税額控除によってイギリスの相続税約2億円を差し引き、残りの約2.5億円を納めることとなります。 つまり、「海外財産」について2国間において重複して相続税がかかるケースでは、海外で支払った相続税を日本の相続税から差し引けるように外国税額控除を活用することが重要です。(一定の控除限度額があります。) 相続税の外国税額控除とは?制度概要と日本で適用する手続きの全体像 (コラム)👉二重課税に該当するか判断する基準 ここまで確認してきましたが「相続税の二重課税」は、日本の相続税と海外の相続税に相当する税が「海外財産」に重なって課税されるケースを指します。 なお、日本の相続税と海外のキャピタルゲイン課税が生じるケースは、日本と海外の二国間で課税はされますが、税の種類が異なり相続税の二重課税が生じているとは言えません。 相続税の二重課税に該当するかは、次のように整理できます。 つまり、海外で何らかの税金を払ったとしても、それが「相続税に相当する税」なのか、それとも所得税、登録税、印紙税なのかを区別する必要があります。 なお、連邦税と州税(州独自のもの)として遺産税(相続税)が存在する米国の場合には、国際間の二重課税が発生した場合にも外国税額控除の対象は連邦税に限られるケースなどがあるため留意が必要です。 第2章 【具体例】二重課税が発生するパターンを整理する 本章では具体的にどのようなケースにおいて相続税の二重課税が生じるのか確認していきます。 また、制度の異なる海外の国が関与することによる留意点についても確認していきます。 2-1 日本と海外で相続税が課税されるケースを確認する(具体例) 日本と海外で相続税が課税される典型例は、日本の相続税の対象になる国外財産について、財産がある国でも相続税に相当する税金が課税されるケースです。 そのほか日本の財産であっても被相続人(亡くなった人)の住所地などが海外である場合、その国のルールにより相続税に相当する税金が課税されるケースがあります。 【具体例1:日本居住者が米国財産を相続したケース】 日本居住者である日本人が米国財産を相続したケースの具体例 被相続人(亡くなった人):日本に住んでいる日本人 相続人:日本に住んでいる日本人 対象財産:米国財産 日本相続税:国外財産として相続税の課税対象になります。 米国遺産税:米国財産は遺産税(相続税)の課税対象になります。 【結果】同じ米国財産に対して二重課税が生じます。 ※ 被相続人が日本人であるため日米相続税条約による特例計算があります。 専門家の視点👉 ~日米相続税条約~ 2026年現在、被相続人が米国市民または米国居住者の場合の米国遺産税の基礎控除額は1,500万ドル(約22億5,000万円/1ドル=150円)となっています。 一方、被相続人が米国非居住者の場合の基礎控除額は6万ドル(900万円/1ドル=150円)となっています。 つまり、米国非居住者である日本人にとっては基礎控除の適用に大きな差があります。 日米相続税条約では、被相続人が米国非居住者であったとしても日本人である場合には、米国市民、米国居住者の基礎控除額を基準とした特例計算が認められています。 <特例計算の例> 米国非居住者である日本人 全世界にある財産:300万ドル(うち米国財産:100万ドル) 基礎控除額【1,500万ドル】×(米国財産【100万ドル】 ÷ 全世界の財産【300万ドル】)=500万ドル(7.5億円/1ドル=150円) つまり米国では500万ドル(7.5億円/1ドル=150円)まで米国遺産税がかからないことになります。なお、この特例計算の適用を受けるには、米国遺産税の申告期限内に全世界財産を開示して申告し、日米相続税条約の適用をする必要があります。 【具体例2:日本居住者が米国市民から日本財産を相続したケース】 日本居住者が米国市民である被相続人から日本財産を相続したケースの具体例 被相続人(亡くなった人):米国市民 相続人:日本に住んでいる人 対象財産:日本財産 日本相続税:国内財産として相続税の課税対象になります。 米国遺産税:国外財産も遺産税(相続税)の課税対象になります。 【結果】同じ日本財産に対して二重課税が生じます。 ※この二重課税は日本財産に対するものであるため、日本の外国税額控除(対象は国外財産)では調整できず、米国側での二重課税の調整の可否を確認する必要があります。 【具体例3:被相続人がイギリスの長期居住者であったケース】 イギリス、フランス、ドイツ、スペインなどに財産がある場合も、国ごとの相続税制度を確認する必要があります。 たとえばイギリスでは、イギリス財産のほか、被相続人が一定期間イギリス居住者(長期イギリス居住者:long-term UK resident)であった場合には全世界の財産が課税対象になり得ます。 日本居住者がイギリスから帰国(長期イギリス居住者に該当)した被相続人から日本財産を相続したケースの具体例 被相続人(亡くなった人):イギリスに20年住んでいた(その後日本に帰国し2年後に亡くなった) 相続人:日本に住んでいる人 対象財産:日本財産 日本相続税:国内財産として相続税の課税対象になります。 イギリス相続税:国外財産も相続税の課税対象になります。 【結果】同じ日本財産に対して二重課税が生じます。 ※この二重課税も日本財産に対するものであるため、日本の外国税額控除では調整できず、イギリス側での調整措置の確認が必要です。 【理由】イギリス国内に財産はないが、long-term UK resident (長期イギリス居住者)に該当する。 よって全世界にある財産がイギリス相続税の課税の対象となります。 このように、海外側の課税範囲は「財産の所在地」だけでなく、「被相続人や相続人の居住地など」によって変わることがあります。 2-2 課税タイミングのズレによる留意点を確認する(具体例) 国際相続では、日本と海外で申告期限や手続きの進み方が異なるため、課税タイミングのズレにも注意が必要です。 日本の相続税申告は、原則として被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。一方、海外では国によって相続税額が確定しない事情やそもそも申告期限が異なります。 【具体例1:日本の申告期限までに海外税額が確定しないケース】 海外相続では、現地の相続手続(プロベート)が長引き、日本の相続税申告期限である10か月以内に海外の相続税額が確定しないケースがあります。 特に米国・イギリスなどでは、被相続人(亡くなった人)の財産を正式に相続人へ移転するために、裁判所を通じた「プロベート(Probate)」手続が必要になる場合があります。 たとえば、米国不動産などを保有していたケースでは、次のような流れになることがあります。 被相続人(亡くなった人):日本居住の日本人 相続人:日本居住者 対象財産:米国不動産 ①現地裁判所でプロベート開始 ↓ ② 遺言書の有効性確認、相続人確認、遺産管理人などを任命 ↓ ③ 現地弁護士・会計士による財産調査、財産評価を実施 ↓ ④ 米国遺産税の申告・納税額が確定 ↓ ⑤ 裁判所の許可後、財産分配 【結果】このようなケースでは、米国のプロベートだけで1年以上かかることもあります。 一方、日本の相続税申告期限は「10か月」です。 つまり、日本の申告期限の時点では、米国遺産税額が未確定という状況になることがあります。 この場合、日本の相続税申告では、仮に国際間の二重課税が生じると想定されていたとしても、プロベートが完了しておらず税額が未確定のため、外国税額控除の適用はできず、申告を行うことになります。 また、プロベート開始後は、裁判所の承認が得られるまで、対象資産は原則として凍結されることになります。 日本の相続税の計算に含めることとなった海外の財産につき自由に処分できないことは納税資金の確保の観点からも留意する必要があります。 その後、プロベートが完了し税額も確定した段階で、外国税額控除を適用した申告書を再提出(更正の請求手続き)し、還付を受けることを検討することとなります。 プロベートが必要な国では生前にプロベート回避を検討することが重要です。 (プロベートの詳細についてはこちらの記事をご参照ください) 【具体例2:海外の申告期限が日本と異なるケース】 海外相続では、日本と海外で申告期限が異なるため、外国税額控除の適用可否に注意が必要です。 日本の相続税申告期限は「相続開始を知った日の翌日から10か月以内」です。 一方、海外では国ごとに申告期限や延長制度があるなど日本とは異なります。 日本より海外の申告期限が長いケースは海外税額が日本の申告時点では未確定という状況がありえます。 二重課税が生じても海外税額が未確定では、外国税額控除の適用はできず、申告を行うことになります。 日本より申告期限が長くなるケースがある国 米国:遺産税申告の期限は、原則として死亡日から9か月以内です。 ただし、期限前に申請を行うことで、6か月の延長が認められる場合があります。 そのため、実務上は最大15か月程度まで申告期間が延びるケースがあります。 フランス:フランス国内で相続発生した場合は6か月以内に申告する必要があります。 フランス国外で相続発生した場合は12か月以内に申告する必要があります。 フランス財産を保有していたケース 被相続人(亡くなった人):日本居住の日本人 相続人:日本居住者 対象財産:フランス財産 フランス相続税の申告手続きを期限内(12か月以内)ギリギリに完了させた。 【結果】日本の外国税額控除の適用には、日本の申告期限(10か月以内)までにフランスでの申告を完了させる必要があります。事例では日本の当初申告の際にはフランスとの二重課税を調整できません。 その後、フランスでの申告・納税が完了した段階で、更正の請求により外国税額控除の適用と還付を検討します。 第3章 国ごとの違いを整理する 海外相続では、国ごとに課税方式や手続きの進め方が異なるため、日本との違いを押さえておくことが重要です。 3-1 米国 米国の相続税は、基礎控除額の大きさと、国だけでなく州独自の遺産税が存在するケースがあることが特徴です。 「専門家の視点👉」での解説の通り、米国市民または米国居住者の場合基礎控除額は1,500万ドル(約22億5,000万円/1ドル=150円)です。米国非居住者であったとしても日本人である場合には、米国市民、米国居住者の基礎控除額を基準とした特例計算が認められています。 よって、そもそも米国遺産税がかからないケースも多いです。 なお、連邦税と州税としての遺産税(相続税)が米国には存在します。 日米相続税条約が対象とするのは連邦税であり、州税としての遺産税は条約の対象外です。 州税に日本の外国税額控除を適用できるかは取扱いが明確でない部分があるため、州税が課された場合には、日本の相続税と二重負担となるリスクも含めて個別に確認が必要です。 【2026年最新版】アメリカの相続税(遺産税)を徹底解説|日本との違い・二重課税の防ぎ方【プロが解説】 3-2 欧州 欧州は国ごとに相続税の仕組みが異なります。ここでは、フランスを例に確認します。 フランスの相続税は、相続人と被相続人(亡くなった人)の親族関係や取得財産の額に応じて税率が変わる累進税率が特徴です。 兄弟姉妹が相続する場合、課税額に応じて35%または45%の税率が適用されることがあります。 日本に比べて税負担が重くなるケースもあるので留意が必要です。 たとえば、フランス財産に日本とフランスの相続税が二重に課税された場合には外国税額控除が適用できます。 ただし外国税額控除には限度額があり、日本で海外財産に課される相続税の金額が限度になります。 相続財産の合計:1億円(日本7,000万円+フランス3,000万円) 日本の相続税:1,000万円 フランス相続税:400万円 ➀【フランス相続税】 400万円 ➁【フランス財産に係る日本相続税】 1,000万円 ×(3,000万円 ÷ 1億円)= 300万円 →控除できるのは少ない方の②300万円となります。 海外での税負担が重い場合には、日本の相続税計算では海外で課された税金の全額を控除できません。 3-3 相続税がない国の扱いを確認する 国によっては、日本の相続税に相当する税金がない場合もあります。 たとえば、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどでは、日本のような相続税はありません。 現地に相続税がない国では、日本と海外で相続税同士の二重課税は通常発生しません。 ただし、相続時または相続後の売却時にキャピタルゲイン課税が発生する場合があります。 また、現地に相続税がない場合でも、日本居住者が海外財産を相続する場合には、日本の相続税申告に含める必要があるかを確認することが重要です。 【徹底解剖】シンガポール移住と相続税のポイント オーストラリアに相続税はある?日本との違いと課税ルールを徹底解説 中国の財産に相続税はかかる?日本在住者が確認すべき相続時の注意点 第4章 国際相続・贈与の相談は「税理士法人マインライフ」へ 相続財産が国際間をまたぐものであるため手続きが複雑になるかもしれない・・・。 そのような難しいケースでも、弊社には最適なサポート体制が整っています。 税理士法人マインライフは、新宿・津田沼を拠点に、相続・国際相続の専門家として豊富な実績を持つ少数精鋭の税理士法人です。年間数百件の相続税申告を担当しており、経験豊富な税理士が必ず最初から最後まで対応します。 マインライフが選ばれる理由 強み 内容 ① 国際相続の経験が豊富な専門家が直接対応 少数精鋭体制で、経験豊富な税理士が必ず対応。 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FAQ
よくあるご質問
お客様からいただくことが多いご質問についてまとめています。
Q.
初回相談は無料ですか?費用はいつ、どのように発生しますか。
はい、初回相談は無料です。
まず(対面/オンラインで)状況をお聞きし、業務内容・進め方・お見積書をご案内します。
内容にご同意いただきご契約後に着手し、以降はお見積書どおりの費用がかかります。
追加の作業が必要になりそうなときは、事前にご説明し、あらためてお見積りします。
お客様のご同意なしに費用が発生することはありませんのでご安心ください。
Q.
海外在住の日本人ですが、対応可能ですか。
大丈夫です。
日本の相続税は、海外在住でも課税される場合があります。
当法人はZoomによるウェブ面談の対応もしておりますので、海外からのご相談も可能です。
必要に応じて海外の弁護士・公証人・会計士とも連携します。
Q.
依頼する必要があるかどうかも分からないのですが、この段階で相談しても大丈夫ですか。
もちろんです。少しでも早くご相談いただくことをおすすめします。
特に国際相続は書類集め・翻訳・各国の手続き調整に時間がかかります。
早い段階で論点整理とスケジュール作りをしておくと安心です。
Q.
海外にある財産の相続手続きは、どこから始めればよいですか。
まずは情報の整理からです。
財産の種類・所在国・名義などを確認し、国ごとに必要な手続きをチェックします。
たとえば米国の財産は内容によって、裁判所を通す手続き(プロベート)や金融機関ごとの書類が必要になることがあります。
当法人が現地の弁護士や金融機関と連携しながら進めます。
Q.
海外で作成した遺言書は、日本でも有効ですか。
有効と認められる可能性があります。
遺言の形式は、作成した国や本国のルールを満たせば有効になることがあります。
ただし、日本での手続き(登記や銀行)には翻訳や認証(アポスティーユ等)が必要になる場合があります。
個別の内容を確認したうえでご案内します。
Q.
海外の財産の手続きはどうなりますか。
海外の財産は、原則としてその国での手続きが必要になります。
また、遺産が海外の財産だけでも日本の相続税の申告が必要になる場合があります。
一方、名義変更や解約は財産がある国のルールで行う必要があり、現地の手続き(プロベート・公証・銀行手続き等)が求められることもあります。
当法人が、日本側の申告と海外側の手続きの段取りをまとめてサポートいたします。











