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Service
税理士法人マインライフが提供するサービス
相続は一人ひとりの状況で大きく内容が変わります。
私たち税理士法人マインライフは、国内の相続税申告から海外財産を含む国際相続、事業承継や生前の相続対策まで、複雑な課題をワンストップでサポートしています。
相続税申告
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当事務所のメンバーは毎年数多くの相続税申告・相続対策に関与しており、高品質な相続税申告が可能です。経験豊かな税理士がお客様と直接お話しして、申告内容・財産評価の報告、一歩踏み込んだご提案をすることで、高品質な相続税申告をご提供することをお約束します。
国際相続サポート
海外財産・海外在住者が関わる相続をワンストップでサポート
当事務所は、海外に財産をお持ちの日本人や、海外在住の相続人、日本に住む外国籍の方々の相続手続きに対応しています。独自の専門家ネットワークを活用し、アメリカ、ヨーロッパ諸国、アジア諸国、オーストラリアなど、世界各国の専門家と連携。スムーズな相続手続きをサポートします。
相続対策
生前贈与・資産組換え等を含むオーダーメイド対策
相続税の節税効果を最大化するため、個別の財産状況や相続人のニーズに応じたオーダーメイドの相続対策を提供しています。独自の専門家ネットワークを活用し、アメリカ、ヨーロッパ諸国、アジア諸国、オーストラリアなど、各国の専門家と連携し、現地でのサポートも行っています。
事業承継
会社・株式の承継プランと税務をトータル支援
企業オーナー様の大切な事業を後継者へ円滑に承継するためのサポートを行っています。単に経営権や株式を移転するだけでなく、永続的な事業の発展を見据えた承継計画をオーダーメイドでご提案します。ヒアリングから計画立案、実行フォローまで、企業の状況に応じた柔軟な対応で事業承継を成功へと導きます。
Certified Tax Accountants
税理士のご紹介

“想い”と“財産”を守り抜く―― 国際相続のパートナーとして
国境を越える相続では、法律・税制・文化の壁が立ちはだかります。私たちは少数精鋭の強みを活かし、現地専門家と緊密に連携しながら、“難しいからこそ最後まで寄り添う”姿勢を大切にしてきました。
大切なご家族と財産を守るため、ぜひ一度ご相談ください。
統括代表社員 / 税理士
門倉 誉士希

千葉事務所長 / 代表社員 / 税理士
伊藤 千尋

東京事務所長 / 代表社員 / 税理士
久保 佑介

代表社員 / 税理士
川崎 朝輝
外部顧問

中村法律事務所
代表パートナー弁護士
ニューヨーク州弁護士
中村 優紀 弁護士

Global Tax office
代表税理士
金田一喜代美 税理士
Columns
国際相続・相続税対策に役立つコラム
国際相続サポート
アメリカの相続順位について/相続財産・州法による違い・相談先を解説
アメリカに住んでいた親が、現地で亡くなった——そんな知らせを受けたとき、 葬儀などはひと段落したものの、「親の遺産はどう手続きを進めればいいのか?」と悩まれる方は多くいらっしゃいます。 特に、 日本とアメリカのどちらの法律に従うべきなのか? アメリカで再婚していた場合、相続の扱いはどうなるのか? こうした疑問が、次々と出てくるはずです。 実は、アメリカでは相続に関わるルールは州法によって定められており、州ごとに内容が大きく異なります。 なぜ大きく異なるのかというと、アメリカは建国時に13の州が独立国のような状態で集まったため、 「家族・財産・不動産など“生活に関わるルール”は州が決める」 「国防や外交など“国家としての役割”だけを連邦政府が担当する」 という構造で成り立ったためです。 この原則が今も続いているため、相続も州ごとにまったく違う仕組みが存在しているのです。 そのため、アメリカの法律に従う場合は “どの州の法律が適用されるのか” までが重要になります。 この記事では、 ・どの法律(どの州法)が適用されるのか ・主な州(カリフォルニア・ニューヨーク・ハワイ)の相続順位と取り分 ・日本の相続との違い、注意点 をわかりやすく整理し、遺産手続きを進めるための最初の道しるべとして解説していきます。 まずは、この記事を参考に、状況を整理しながら、落ち着いて相続手続きを進めていきましょう。 【当記事は2026年1月1日時点の法令に基づき作成しております。】 第1章 アメリカで相続順位を考える場合、法律が適用される国を確定する 国によって法律が異なるため、アメリカなど海外が関係する相続の場合、どこの法律が適用されるのかを確定させる必要があります。 1-1 アメリカで相続順位を確定させるには、まず準拠法を確定させる まず、相続順位を確定するためには、準拠法を確定させなければなりません。 <日本の法律> 日本では、「相続は、被相続人の本国法による」と規定しています。(通則法第36条) そのため、被相続人(亡くなった人)の国籍のある国の法律を適用することになっています。 亡くなった方が日本国籍の場合 日本法を適用 亡くなった方がアメリカ国籍の場合 アメリカ法を適用 <アメリカの法律> アメリカは日本と異なり、資産の種類によって適用する法律が異なります。 不動産 その不動産がある州(又は国)の法律 動産や金融資産 亡くなった人の最終的なドミサイル(Domicile)がある州(又は国)の法律 ※ドミサイルとは、その人の固定的な本拠地で、仮にそこを離れても戻る意思を持っている場所のことを言います。日本でいう住所や居所地とは異なる考え方です。 1-2 ケース別 ➀ アメリカで亡くなったアメリカ人が所有していた日本の不動産 このケースを考えると 日本の考え方だと国籍で判断するため『アメリカ国籍だからアメリカ法(州法)を適用』 アメリカの考え方だと不動産の所在地で判断するため『不動産が日本にあるから日本法を適用』 と異なることになります。 実は、この場合、日本の法律に従うことになっています。(法律用語で反致といいます。) 通則法第41条に「当事者の本国法によるべき場合において、その国の法に従えば日本法によるべきときは、日本法による。」と規定されています。 つまり、 日本の原則 → アメリカ法に従え (当事者の本国法によるべき場合において) アメリカの原則 → 日本法に従え (その国の法に従えば日本法によるべきときは) この場合は、日本法によると定めています。 (日本法による。) ② 日本人(ドミサイルはアメリカ)が所有していたアメリカの金融資産 このケースも日本とアメリカで判断基準が異なります。 日本の考え方だと国籍で判断するため『日本国籍だから日本法を適用』 アメリカの考え方だとドミサイルで判断するため『アメリカ法を適用』 この場合は、アメリカの法律に基づき手続きをすることにならざるを得ないと考えられます。 なぜなら、アメリカの金融機関では日本の法律に従って手続きをしてもらえない可能性が高いためです。 実際に手続きを進めるにあたっては国際相続に精通する現地の専門家に確認をする必要があります。 1-3 分け方が確定している財産 州法に規定されている相続順位や取り分などを適用する前に、分け方が確定している場合があります。 具体的には、次の通りです。 1-3-1 遺言書(Will)がある場合 日本でも同様ですが、有効な遺言書がある場合は、その内容に従って財産を分けます。 1-3-2 受取人の指定(POD、TODR、TODD) 所有者が死亡したときに、財産を受け取る人をあらかじめ指定しておく制度です。 ・POD(Payable on Death)は銀行口座の受取人指定 ・TODR(Transfer on Death Registration)は証券の口座の受取人指定 ・TODD(Transfer on Death Deed)は不動産の死亡時譲渡証書 1-3-3 ジョイント・アカウント、ジョイント・テナンシー 複数の人が共同で財産を所有しておくことで、共同所有者のうちの一人が死亡した場合、その持分が自動的に生存する共同所有者に移転します。 ・ジョイント・アカウント:共同名義の銀行口座 ・ジョイント・テナンシー:不動産などの共同所有 1-3-4 リビングトラスト(生前信託) 信託契約で財産の管理・承継方法(誰に承継するかを含め)を指定しておく制度です。 1-3-5 生命保険や退職口座(401K、IRAなど) 生命保険や退職口座については契約で受取人を指定します。 これらの財産に該当しない場合には、州ごとに定められた法律に基づいて財産を分けることになります。 次章では主な州の財産の分け方について確認をしていきます。 第2章 主な州の相続順位の比較 冒頭で記載した通り、アメリカでは相続に関して州ごとに法律を定めているため、州ごとに相続順位や配偶者の取り分などが大きく異なります。 今回は、日本人に関係することの多いカリフォルニア、ニューヨーク、ハワイの3つの州について確認をします。 2-1 カリフォルニア州 <配偶者がいる場合> カリフォルニア州は、コミュニティ財産という考え方があります。 コミュニティ財産とは、婚姻期間中に夫婦で築いた財産で夫婦共有財産と考えます。 夫婦共有の財産のため、コミュニティ財産はすべて配偶者が取得することになります。 そのため、配偶者がいる場合は、まず、コミュニティ財産とコミュニティ財産以外の財産(特有財産:結婚前から保有している財産や相続や贈与で取得した財産など)に分ける必要があります。 コミュニティ財産の分け方 すべて配偶者(遺言等がない場合) 特有財産の分け方 ケース1:配偶者+子ども1人 → 配偶者1/2、子1/2 ケース2:配偶者+子ども2人以上 → 配偶者1/3、子ども全体で2/3 ケース3:配偶者+子なし+親あり → 配偶者1/2、親1/2 ケース4:配偶者+子なし+親なし+兄弟姉妹あり → 配偶者1/2、兄弟姉妹1/2 ケース5:配偶者のみ(子・親・兄弟姉妹なし) → 配偶者100% <配偶者がいない場合> 配偶者がいない場合はコミュニティ財産と特有財産にわける必要がありません。 すべての財産について、以下の順番で相続することになります。 ①子ども→②親→③兄弟姉妹→④祖父母→⑤祖父母の子孫(おじおばやいとこ)→⑥亡くなった配偶者に子どもがいる場合はその子ども 2-2 ニューヨーク州 ニューヨーク州の場合は、コミュニティ財産という考え方はありません。 そのため、亡くなった方の財産すべてについて次の割合で相続することになります。 配偶者 子ども 親 兄弟姉妹 ケース1 5万ドル+ 残りの1/2 残りの1/2 0 0 ケース2 100% 不存在の場合 0 0 ケース3 不存在の場合 100% 0 0 ケース4 不存在の場合 不存在の場合 100% 0 ケース5 不存在の場合 不存在の場合 不存在の場合 100% 2-3 ハワイ州 <配偶者がいる場合> ハワイ州にもコミュニティ財産という考え方はありませんが、基本的に配偶者が財産を相続することになります。 そのため、子どもがいても基本的にすべて配偶者が取得することになります。 ケース1:配偶者+子なし+親なし → すべて配偶者 ケース2:配偶者+子あり → すべて配偶者 ケース3:配偶者+子なし+親あり → 配偶者40万ドルと残りの3/4、親は残りの1/4 ケース4:配偶者+子あり+被相続人に配偶者以外との子どもがいる → 配偶者22万ドルと残りの1/2、その子どもが残りの1/2 ケース5:配偶者+子あり+配偶者に被相続人以外との子どもがいる → 配偶者33万ドルと残りの1/2、被相続人の子どもが残りの1/2 <配偶者がいない場合> 配偶者がいない場合は、以下の順番で相続することになります。 子ども→②親→③兄弟姉妹や甥姪→④祖父母の子孫(おじおばやいとこ) このように州によって相続の順番や分け方が大きく異なっています。 そのため、まずはどこの法律が適用されるのかを明確にし、その法律に精通した専門家に依頼をする必要があります。 また、亡くなった方若しくは相続人のいずれかが日本に居住している場合、基本的に日本国外にある財産についてもすべて日本の相続税の対象となります。 次章で専門家を選ぶ際のPointを確認します。 第3章 専門家を選ぶ際の4つのPoint 現地の制度や相場を理解し、日本と現地の専門家が連携できる体制を作ることが、海外相続をスムーズに進める最大のポイントです。特に、日本の専門家を経由して現地の専門家を探すことで手間やリスクを大きく減らせます。 Point1 日本で、海外相続にも精通した専門家に紹介を受けるのが一番のPoint 日本で海外相続にも精通した専門家に紹介を受けるのが一番スムーズです。この後の3つのPointもケアしてもらえます。 自分で現地の専門家を探すのは難しく、報酬や支払いタイミングの交渉も容易ではありません。相場感がないまま契約すると、通常より高い額になるリスクもあります。 国際相続に精通した日本の専門家(税理士や弁護士)であれば、現地の信頼できる専門家とネットワークを持っていることが多く、このようなリスクも軽減できます。また、日本の税務も必要な場合は、一緒に依頼できるメリットもあります。 Point2 州ごとに法律や手続きが違うので適用する法律に精通した専門家を探す アメリカは州ごとに法律が違います。 どの州の法律が適用されるのか確認し、その州に精通した専門家を選ぶことが必要です。 カリフォルニア州の法律に基づいて手続きが必要なのにニューヨーク州専門の弁護士に依頼してしまうとスムーズに手続きが進まないことがあります。 Point3 報酬形態と相場を必ず確認する 現地専門家の報酬は、日本の専門家よりも高額になることが多いです。 それでも、現地での相場として高額なのか妥当なのかについては検討をする必要があります。 なお、主な報酬形態は『遺産総額の○%(例:2〜5%)』『タイムチャージ制(時間あたり○ドル)』のいずれかです。 Point4 報酬を支払うタイミングを確認する 海外の手続きは長期間になることが多いです。 亡くなった方の財産の名義変更手続きなどが完了するまでは、費用を一時的に相続人が立て替える必要があります。 契約によっては、報酬の一部を名義変更完了後に支払うことも可能です。支払時期によって相続人の資金負担が大きく変わるので注意が必要です。 現地の専門家選びは、費用や期間だけでなく、日本での税務との連携も欠かせません。 次の章では、日本の税務の注意点を取り上げます。 第4章 海外の手続きに長期間かかっても日本の相続税は待ってくれない 海外の手続きにどれだけ時間がかかっても、日本の相続税の期限は延びません。 日本の相続税の期限は「相続開始を知った日(通常は亡くなった日)の翌日から10か月以内」です。この期限内に相続税の申告と納税をする必要があります。 亡くなった方と相続人のいずれかでも日本に在住している場合、基本的に海外の財産も含めて日本の相続税の対象になります。 手続きが間に合わない場合は財産の分割が完了していないもの(未分割)として一度申告し納税をすることになります。 その後、手続きが完了し財産の分配が行われた後、必要に応じて申告書を修正し提出することになります。 なお、日本の相続税には各種特例が設けられておりますが、未分割の場合には適用できないものがあります。そのため、手続きが間に合わない場合にはそれらの特例を受けずに申告することになります。 第5章 アメリカに財産があり、お困りの場合はぜひ税理士法人マインライフへご相談ください 財産がアメリカにあり、どのような手続きをすればいいのかわからない・・・。 そのような難しいケースでも、最適なサポート体制が弊社には整っています。 税理士法人マインライフは、新宿・津田沼を拠点に、相続・国際相続の専門家として豊富な実績を持つ少数精鋭の税理士法人です。年間数百件の相続税申告を担当しており、経験豊富な税理士が必ず最初から最後まで対応します。 「海外の財産をどうしたらいいのかわからない・・・。」と感じている方は、ぜひ税理士法人マインライフへご相談ください。 初回面談は無料です。ご状況をお伺いし、今すぐできる最善の方法をご提案いたします。 第6章 まとめ いかがでしたか? アメリカが関係する相続では、「どこの国・どの州の法律が適用されるのか」を最初に押さえることが、いかに重要かイメージしていただけたのではないでしょうか。 このように、アメリカにお住まいのご家族やアメリカ所在の財産が関わる相続では、準拠法や州ごとの相続ルール、日本の相続税の期限、そして日本と現地専門家との連携を意識しながら、計画的に手続きを進めていくことが欠かせません。 この記事のまとめ ・アメリカが関係する相続では、まず「どこの国・どの州の法律(準拠法)が適用されるか」を確認する必要がある。日本法は国籍、アメリカ法は資産の種類やドミサイル(本拠地)によって適用される法律が変わる。 ・遺言書、POD/TOD/TODD、ジョイント・アカウント、リビングトラスト、生命保険や401K・IRAなど、あらかじめ受取人や承継方法が指定されている財産は、その指定どおりに承継され、それ以外の財産について各州の相続順位・取り分が適用される。 ・アメリカでは、州によっても配偶者や子ども、親、兄弟姉妹の相続順位や取り分が大きく異なるため、「どの州法が適用されるか」を明確にしたうえで、その州法に精通した現地専門家に依頼することが重要である。 ・海外の手続きが長期化しても、日本の相続税の申告・納付期限(相続開始を知った日の翌日から10か月)は延びず、亡くなった方または相続人のいずれかが日本に居住している場合は海外財産も含めて相続税の対象となる。手続きが間に合わない場合は未分割で一度申告し、後から修正することになり、一部特例が使えないこともある。 ・国際相続を円滑に進めるには、海外にも精通した日本の税理士・弁護士を窓口にし、報酬の相場や支払時期も確認しながら、適用される州法に詳しい現地専門家と連携して進めることが大切。 海外に財産がある相続で「何から手をつければいいのかわからない…」という方は、一人で抱え込まず、ぜひ税理士法人マインライフへご相談ください。 ※本記事における日本国外の情報は、一般に公表されている基本的な内容を平易に解説したものです。具体的な実務にあたっては現地専門家への確認が必要となります。
国際相続サポート
相続税の国際二重課税とは?課税パターンと国ごとの違いを整理
海外口座、海外株式、海外不動産などをお持ちの方が亡くなった場合、「日本でも海外でも相続税がかかるのではないか」と不安に感じる方は多いです。 特に、海外赴任経験がある方や、現在も海外金融資産を保有している方は、相続発生後に初めて「海外財産も日本の相続税の対象になる可能性がある」と知るケースがあります。 ただし、海外財産があるからといって、必ず二重課税になるわけではありません。 海外相続で二重課税に該当するかを判断するための考え方を、具体例と国ごとの違いを交えて解説します。 【当記事は2026年1月1日時点の法令に基づき作成しております。】 「二重課税」専門家の3つの視点👉 ・日本の相続税がかかるか ・海外でも相続税に相当する税金がかかるか ・その二重課税を外国税額控除などで調整できるか 第1章 海外相続で二重課税に該当するかを判断する 海外相続の二重課税は、「日本で課税されるか」「海外で課税されるか」「同じ種類の税金が重なっているか」の順番で確認します。 1-1 日本の相続税がかかるか(日本の相続税の課税範囲を確認する) まず確認すべきことは、海外財産が日本の相続税の対象になるかどうかです。 日本の相続税では、相続人が日本に住所を有している場合など、一定の要件に該当すると、国内財産だけでなく海外財産も含めて「取得したすべての財産」が課税の対象になります。 たとえば、日本人である日本居住者が海外預金を相続した場合「海外にある財産だから日本の相続税は関係ない」とはならず、「取得したすべての財産」に日本の相続税がかかります。 日本の相続税がかかるかどうかを判断する際には、主に次の点を確認します。 ・被相続人(亡くなった人)が相続時にどこに住んでいたか ・相続人が相続時にどこに住んでいるか ・被相続人と相続人の国籍 ・過去10年以内の日本居住歴 ・取得した財産が国内財産か国外財産か 【日本の相続税がかかる範囲の判定表】 ※1 外国人被相続人を除く 外国人被相続人…相続開始時に一定の在留資格を有するもの。 ※2 一時居住者を除く 一時居住者…相続開始時に一定の在留資格を有する者で、相続開始前15年以内の国内居住期間の合計が10年以下であるもの。 ※3 非居住被相続人の前提 非居住被相続人…相続開始前10年以内において、国内に住所を有していた期間中、継続して日本国籍がなかったもの。 特に日本居住の相続人が海外財産を取得する場合には、日本の相続税申告にその海外財産を含める必要があるかを早めに確認することが重要です。 1-2 海外でも相続税に相当する税金がかかるか 次に、海外側で相続税に相当する税金がかかる国であるかを確認します。 海外で課税されるかどうかは、国ごとに大きく異なります。相続税がある国もあれば、遺産税という形で課税する国もあり、相続税自体がない国もあります。 確認すべきポイントは次のとおりです。 ・財産がどの国にあるか ・被相続人(亡くなった人)がその国の居住者または国籍保有者だったか ・相続人がその国の居住者か ・その国に相続税、遺産税などがあるか たとえば米国では、相続に関するものとして「遺産税」があります。 米国遺産税は日本の相続税とは異なり、財産を遺す側である被相続人(亡くなった人)が納税義務者です。 被相続人(亡くなった人)が米国市民・米国居住者であるか、米国非居住者であるかにより税金の取扱いが異なります。 米国非居住者(日本居住)であっても、米国にある財産については米国遺産税の対象になります。 なお、州によっては連邦税以外の州税としての遺産税(相続税)が存在します。 一方で欧州については国ごとの確認が必要です。相続税はEUルールで決まるものではなく、各国ごとの情報を確認する必要があります。 また、国によっては、日本の相続税に相当する税金がない場合もあります。 シンガポール・中国・オーストラリア・ニュージーランドなどではそもそも相続税に相当する税金がありません。 つまり、海外相続では「海外財産があるか」だけでなく、「どの国に財産があるか」を国別に整理することが重要です。 1-3 二重課税を外国税額控除で調整できるか 相続税の外国税額控除とは、「海外財産」に対して日本と海外の両方で相続税がかかるときに、二重課税を調整するための制度です。(二重課税についての判断の基準は下記コラムをご参照ください。) たとえば、イギリスにある財産に対して、日本の相続税とイギリスの相続税の両方がかかってしまう場合 【例】 日本に住んでいる方が、日本に5億円の財産、イギリスに5億円の財産がある状態で亡くなった。 相続人は日本に住んでいる子ども1人。 日本の相続税:全世界の財産(10億円)に対して日本の相続税約4.5億円が発生 イギリスの相続税:イギリス財産(5億円)に対してイギリスの相続税約2億円が発生 日本の相続税約4.5億円から、外国税額控除によってイギリスの相続税約2億円を差し引き、残りの約2.5億円を納めることとなります。 つまり、「海外財産」について2国間において重複して相続税がかかるケースでは、海外で支払った相続税を日本の相続税から差し引けるように外国税額控除を活用することが重要です。(一定の控除限度額があります。) 相続税の外国税額控除とは?制度概要と日本で適用する手続きの全体像 (コラム)👉二重課税に該当するか判断する基準 ここまで確認してきましたが「相続税の二重課税」は、日本の相続税と海外の相続税に相当する税が「海外財産」に重なって課税されるケースを指します。 なお、日本の相続税と海外のキャピタルゲイン課税が生じるケースは、日本と海外の二国間で課税はされますが、税の種類が異なり相続税の二重課税が生じているとは言えません。 相続税の二重課税に該当するかは、次のように整理できます。 つまり、海外で何らかの税金を払ったとしても、それが「相続税に相当する税」なのか、それとも所得税、登録税、印紙税なのかを区別する必要があります。 なお、連邦税と州税(州独自のもの)として遺産税(相続税)が存在する米国の場合には、国際間の二重課税が発生した場合にも外国税額控除の対象は連邦税に限られるケースなどがあるため留意が必要です。 第2章 【具体例】二重課税が発生するパターンを整理する 本章では具体的にどのようなケースにおいて相続税の二重課税が生じるのか確認していきます。 また、制度の異なる海外の国が関与することによる留意点についても確認していきます。 2-1 日本と海外で相続税が課税されるケースを確認する(具体例) 日本と海外で相続税が課税される典型例は、日本の相続税の対象になる国外財産について、財産がある国でも相続税に相当する税金が課税されるケースです。 そのほか日本の財産であっても被相続人(亡くなった人)の住所地などが海外である場合、その国のルールにより相続税に相当する税金が課税されるケースがあります。 【具体例1:日本居住者が米国財産を相続したケース】 日本居住者である日本人が米国財産を相続したケースの具体例 被相続人(亡くなった人):日本に住んでいる日本人 相続人:日本に住んでいる日本人 対象財産:米国財産 日本相続税:国外財産として相続税の課税対象になります。 米国遺産税:米国財産は遺産税(相続税)の課税対象になります。 【結果】同じ米国財産に対して二重課税が生じます。 ※ 被相続人が日本人であるため日米相続税条約による特例計算があります。 専門家の視点👉 ~日米相続税条約~ 2026年現在、被相続人が米国市民または米国居住者の場合の米国遺産税の基礎控除額は1,500万ドル(約22億5,000万円/1ドル=150円)となっています。 一方、被相続人が米国非居住者の場合の基礎控除額は6万ドル(900万円/1ドル=150円)となっています。 つまり、米国非居住者である日本人にとっては基礎控除の適用に大きな差があります。 日米相続税条約では、被相続人が米国非居住者であったとしても日本人である場合には、米国市民、米国居住者の基礎控除額を基準とした特例計算が認められています。 <特例計算の例> 米国非居住者である日本人 全世界にある財産:300万ドル(うち米国財産:100万ドル) 基礎控除額【1,500万ドル】×(米国財産【100万ドル】 ÷ 全世界の財産【300万ドル】)=500万ドル(7.5億円/1ドル=150円) つまり米国では500万ドル(7.5億円/1ドル=150円)まで米国遺産税がかからないことになります。なお、この特例計算の適用を受けるには、米国遺産税の申告期限内に全世界財産を開示して申告し、日米相続税条約の適用をする必要があります。 【具体例2:日本居住者が米国市民から日本財産を相続したケース】 日本居住者が米国市民である被相続人から日本財産を相続したケースの具体例 被相続人(亡くなった人):米国市民 相続人:日本に住んでいる人 対象財産:日本財産 日本相続税:国内財産として相続税の課税対象になります。 米国遺産税:国外財産も遺産税(相続税)の課税対象になります。 【結果】同じ日本財産に対して二重課税が生じます。 ※この二重課税は日本財産に対するものであるため、日本の外国税額控除(対象は国外財産)では調整できず、米国側での二重課税の調整の可否を確認する必要があります。 【具体例3:被相続人がイギリスの長期居住者であったケース】 イギリス、フランス、ドイツ、スペインなどに財産がある場合も、国ごとの相続税制度を確認する必要があります。 たとえばイギリスでは、イギリス財産のほか、被相続人が一定期間イギリス居住者(長期イギリス居住者:long-term UK resident)であった場合には全世界の財産が課税対象になり得ます。 日本居住者がイギリスから帰国(長期イギリス居住者に該当)した被相続人から日本財産を相続したケースの具体例 被相続人(亡くなった人):イギリスに20年住んでいた(その後日本に帰国し2年後に亡くなった) 相続人:日本に住んでいる人 対象財産:日本財産 日本相続税:国内財産として相続税の課税対象になります。 イギリス相続税:国外財産も相続税の課税対象になります。 【結果】同じ日本財産に対して二重課税が生じます。 ※この二重課税も日本財産に対するものであるため、日本の外国税額控除では調整できず、イギリス側での調整措置の確認が必要です。 【理由】イギリス国内に財産はないが、long-term UK resident (長期イギリス居住者)に該当する。 よって全世界にある財産がイギリス相続税の課税の対象となります。 このように、海外側の課税範囲は「財産の所在地」だけでなく、「被相続人や相続人の居住地など」によって変わることがあります。 2-2 課税タイミングのズレによる留意点を確認する(具体例) 国際相続では、日本と海外で申告期限や手続きの進み方が異なるため、課税タイミングのズレにも注意が必要です。 日本の相続税申告は、原則として被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。一方、海外では国によって相続税額が確定しない事情やそもそも申告期限が異なります。 【具体例1:日本の申告期限までに海外税額が確定しないケース】 海外相続では、現地の相続手続(プロベート)が長引き、日本の相続税申告期限である10か月以内に海外の相続税額が確定しないケースがあります。 特に米国・イギリスなどでは、被相続人(亡くなった人)の財産を正式に相続人へ移転するために、裁判所を通じた「プロベート(Probate)」手続が必要になる場合があります。 たとえば、米国不動産などを保有していたケースでは、次のような流れになることがあります。 被相続人(亡くなった人):日本居住の日本人 相続人:日本居住者 対象財産:米国不動産 ①現地裁判所でプロベート開始 ↓ ② 遺言書の有効性確認、相続人確認、遺産管理人などを任命 ↓ ③ 現地弁護士・会計士による財産調査、財産評価を実施 ↓ ④ 米国遺産税の申告・納税額が確定 ↓ ⑤ 裁判所の許可後、財産分配 【結果】このようなケースでは、米国のプロベートだけで1年以上かかることもあります。 一方、日本の相続税申告期限は「10か月」です。 つまり、日本の申告期限の時点では、米国遺産税額が未確定という状況になることがあります。 この場合、日本の相続税申告では、仮に国際間の二重課税が生じると想定されていたとしても、プロベートが完了しておらず税額が未確定のため、外国税額控除の適用はできず、申告を行うことになります。 また、プロベート開始後は、裁判所の承認が得られるまで、対象資産は原則として凍結されることになります。 日本の相続税の計算に含めることとなった海外の財産につき自由に処分できないことは納税資金の確保の観点からも留意する必要があります。 その後、プロベートが完了し税額も確定した段階で、外国税額控除を適用した申告書を再提出(更正の請求手続き)し、還付を受けることを検討することとなります。 プロベートが必要な国では生前にプロベート回避を検討することが重要です。 (プロベートの詳細についてはこちらの記事をご参照ください) 【具体例2:海外の申告期限が日本と異なるケース】 海外相続では、日本と海外で申告期限が異なるため、外国税額控除の適用可否に注意が必要です。 日本の相続税申告期限は「相続開始を知った日の翌日から10か月以内」です。 一方、海外では国ごとに申告期限や延長制度があるなど日本とは異なります。 日本より海外の申告期限が長いケースは海外税額が日本の申告時点では未確定という状況がありえます。 二重課税が生じても海外税額が未確定では、外国税額控除の適用はできず、申告を行うことになります。 日本より申告期限が長くなるケースがある国 米国:遺産税申告の期限は、原則として死亡日から9か月以内です。 ただし、期限前に申請を行うことで、6か月の延長が認められる場合があります。 そのため、実務上は最大15か月程度まで申告期間が延びるケースがあります。 フランス:フランス国内で相続発生した場合は6か月以内に申告する必要があります。 フランス国外で相続発生した場合は12か月以内に申告する必要があります。 フランス財産を保有していたケース 被相続人(亡くなった人):日本居住の日本人 相続人:日本居住者 対象財産:フランス財産 フランス相続税の申告手続きを期限内(12か月以内)ギリギリに完了させた。 【結果】日本の外国税額控除の適用には、日本の申告期限(10か月以内)までにフランスでの申告を完了させる必要があります。事例では日本の当初申告の際にはフランスとの二重課税を調整できません。 その後、フランスでの申告・納税が完了した段階で、更正の請求により外国税額控除の適用と還付を検討します。 第3章 国ごとの違いを整理する 海外相続では、国ごとに課税方式や手続きの進め方が異なるため、日本との違いを押さえておくことが重要です。 3-1 米国 米国の相続税は、基礎控除額の大きさと、国だけでなく州独自の遺産税が存在するケースがあることが特徴です。 「専門家の視点👉」での解説の通り、米国市民または米国居住者の場合基礎控除額は1,500万ドル(約22億5,000万円/1ドル=150円)です。米国非居住者であったとしても日本人である場合には、米国市民、米国居住者の基礎控除額を基準とした特例計算が認められています。 よって、そもそも米国遺産税がかからないケースも多いです。 なお、連邦税と州税としての遺産税(相続税)が米国には存在します。 日米相続税条約が対象とするのは連邦税であり、州税としての遺産税は条約の対象外です。 州税に日本の外国税額控除を適用できるかは取扱いが明確でない部分があるため、州税が課された場合には、日本の相続税と二重負担となるリスクも含めて個別に確認が必要です。 【2026年最新版】アメリカの相続税(遺産税)を徹底解説|日本との違い・二重課税の防ぎ方【プロが解説】 3-2 欧州 欧州は国ごとに相続税の仕組みが異なります。ここでは、フランスを例に確認します。 フランスの相続税は、相続人と被相続人(亡くなった人)の親族関係や取得財産の額に応じて税率が変わる累進税率が特徴です。 兄弟姉妹が相続する場合、課税額に応じて35%または45%の税率が適用されることがあります。 日本に比べて税負担が重くなるケースもあるので留意が必要です。 たとえば、フランス財産に日本とフランスの相続税が二重に課税された場合には外国税額控除が適用できます。 ただし外国税額控除には限度額があり、日本で海外財産に課される相続税の金額が限度になります。 相続財産の合計:1億円(日本7,000万円+フランス3,000万円) 日本の相続税:1,000万円 フランス相続税:400万円 ➀【フランス相続税】 400万円 ➁【フランス財産に係る日本相続税】 1,000万円 ×(3,000万円 ÷ 1億円)= 300万円 →控除できるのは少ない方の②300万円となります。 海外での税負担が重い場合には、日本の相続税計算では海外で課された税金の全額を控除できません。 3-3 相続税がない国の扱いを確認する 国によっては、日本の相続税に相当する税金がない場合もあります。 たとえば、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどでは、日本のような相続税はありません。 現地に相続税がない国では、日本と海外で相続税同士の二重課税は通常発生しません。 ただし、相続時または相続後の売却時にキャピタルゲイン課税が発生する場合があります。 また、現地に相続税がない場合でも、日本居住者が海外財産を相続する場合には、日本の相続税申告に含める必要があるかを確認することが重要です。 【徹底解剖】シンガポール移住と相続税のポイント オーストラリアに相続税はある?日本との違いと課税ルールを徹底解説 中国の財産に相続税はかかる?日本在住者が確認すべき相続時の注意点 第4章 国際相続・贈与の相談は「税理士法人マインライフ」へ 相続財産が国際間をまたぐものであるため手続きが複雑になるかもしれない・・・。 そのような難しいケースでも、弊社には最適なサポート体制が整っています。 税理士法人マインライフは、新宿・津田沼を拠点に、相続・国際相続の専門家として豊富な実績を持つ少数精鋭の税理士法人です。年間数百件の相続税申告を担当しており、経験豊富な税理士が必ず最初から最後まで対応します。 マインライフが選ばれる理由 強み 内容 ① 国際相続の経験が豊富な専門家が直接対応 少数精鋭体制で、経験豊富な税理士が必ず対応。 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税理士が教える。二重国籍の方の相続のポイント!
二重国籍と相続税の話は、最初はとても難しく感じます。 ですが、最初から細かい条件を全部覚える必要はありません。 大切なのは、日本の相続税がどこまでの財産にかかるのかを先に確認することです。 そのうえで、亡くなった方が二重国籍なのか、相続する人の一人が二重国籍なのかで、追加で気をつけるポイントを見ていくと整理しやすくなります。 第1章 二重国籍とは何か 相続税の話に入る前に、まずは「二重国籍」を簡単に確認しておきましょう。 法務省は、日本の国籍と外国の国籍をあわせて持つ人を「重国籍者」と案内しています。 一般には「二重国籍」と呼ばれることが多いので、この記事でもその言い方で進めます。 1-1 生まれたときから二重国籍のパターン 二重国籍になる人の中には、生まれたときから日本国籍と外国国籍の両方を持つ人がいます。 たとえば、日本人の父と米国人の母の子どもが米国で生まれた場合、日米の両方の国籍を持つことがあります。 1-2 途中から外国籍を持つようになるパターン 一方で、あとから外国籍を持つようになる人もいます。 ただし、ここは注意が必要です。 日本の国籍法では、自分の意思で外国の国籍を取得したときは、日本国籍を失うとされています。 本人は「二つの国籍を持っているつもり」でも、日本の法律ではそうではないことがあります。 相続税では、この違いがそのまま判定に影響することがあります。 1-3 国籍選択をした人も注意が必要 二重国籍の人には、国籍選択が必要になる場合があります。 二重国籍者は18歳に達する前に重国籍となった場合は22歳に達するまで、18歳に達した後に二重国籍となった場合はその時から2年以内までにいずれかの国籍を選択する必要があります。 ただし、日本国籍を選んだからといって、それだけで外国国籍が自動的に消えるとは限りません。相手国の制度によっては、外国国籍がそのまま残ることがあります。 国籍選択をした人ほど、書類で現在の状態を確認してから話を進めたほうが安心です。 1-4 相続税で特に大事なのは「昔」より「今」です 特に大事なのは、相続の時点で今も日本国籍があるかを確認することです。 途中で外国籍を取得した人や、国籍選択をした人は、本人が思っている国籍状態と、日本の法律上の扱いが違うことがあります。 たとえば、長く海外で暮らしている人が「昔は二重国籍だったけれど、今もそうだと思う」と考えているケースです。 もし途中で自分の意思で外国籍を取得していれば、日本の法律上は日本国籍を失っていることがありますし、日本国籍を選んだつもりでも、外国国籍の扱いは別途確認が必要なことがあります。 相続税で大切なのは、気持ちの上でどう思っているかではなく、相続の時点で法的にどうなっているかです。 ここを確認しないまま相続税の手続きを進めると、入口からずれてしまいます。 第2章 相続税がどこまでかかるかをフローチャートで確認 相続税で最初に確認したいのは、日本の相続税がどこまでの財産にかかるのかです。 ここは条件が細かく分かれるため、添付のフローチャートを見ながら確認してください。 次章以降で亡くなった方または相続人が「二重国籍」だった場合のポイントを詳しく解説します。 また、以下の判定表でも日本の相続税がかかる財産の範囲を判定できます。 ※1 外国人被相続人を除く 外国人被相続人…相続開始時に一定の在留資格を有するもの。 ※2 一時居住者を除く 一時居住者…相続開始時に一定の在留資格を有する者で、相続開始前15年以内の国内居住期間の合計が10年以下であるもの。 ※3 非居住被相続人の前提 非居住被相続人…相続開始前10年以内において、国内に住所を有していた期間中、継続して日本国籍がなかったもの。 第3章 亡くなった方が二重国籍だった時の相続のポイント ここでは亡くなった方が二重国籍だった場合のポイントを解説します。 3-1 二重国籍者でも亡くなった時点で日本国籍を有していれば日本国籍者と同様に扱う 亡くなった方が二重国籍でも、亡くなった時点で日本国籍を有していたのであれば日本国籍者と同様に扱います。 つまり、どこまで日本の相続税がかかるかは、相続の時点の住所などをフローチャートで確認します。 ここで大事なのは、「亡くなった方が二重国籍だから相続税も必ず特別になる」と考えないことです。 3-2 もう一つの論点は「準拠法」 亡くなった方が二重国籍だったときに、相続税とは別に出てくるのが準拠法です。 準拠法とは、「だれが相続人になるのか」、「どのように遺産を分けるのか」を、どの国の法律で決めるかというルールです。 日本の相続のルールでは、相続は原則として亡くなった方の本国法によります。 3-3 日本国籍を含む二重国籍なら、日本法で整理できることが多い 日本の相続のルールでは、二つ以上の国籍がある人について、国籍の一つが日本であれば、日本法をその人の本国法とすると定めています。 そのため、たとえば亡くなった方が日米二重国籍だった場合、相続のルールは日本法で整理できることが多いです。 たとえば、父が日米二重国籍で最後まで東京に住み、日本に自宅と預金、米国に証券口座や不動産を持っていたケースです。 この場合、相続税の課税範囲は第2章のフローチャートで確認します。 一方で、だれが相続人になるのか、遺言がなければどのように分けるのかといった基本的な相続ルールは、日本法を基準に考えることになります。 ただし、米国内の不動産などについては、現地での手続や現地法上の検討が別途必要になることがあります。 つまり、税金の問題、相続の準拠法の問題、現地手続の問題は分けて整理すると分かりやすいのです。 一言解説「反致」 亡くなった方が海外にも財産を有していたケースでは、「反致」という言葉が出てくることがあります。 反致とは、いったん外国法で考えることになっても、その外国のルールに従うと日本法で考えることになる場合をいいます。 特に外国に不動産を有しているようなケースでは、この反致が起こることがあります。 亡くなった方が二重国籍のケースでは、海外に財産を有していることも多いため、相続税だけではなく、こうした相続のルールの確認も必要になることがあります。 第4章 相続する人の一人が二重国籍だった時のポイント 相続する人の一人が二重国籍だったとしても、相続税では「二重国籍だから特別になる」というわけではありません。 なぜなら、亡くなった方が二重国籍だった場合と同様に、二重国籍でも被相続人が亡くなった時点で日本国籍を有していたのであれば日本国籍者と同様に扱うからです。 したがって、相続税の世界では、亡くなった時点でその人がどこに住んでいるかが入口になりますし、海外に住んでいる人については、最近10年の居住歴などを見ていきます。 つまり、このケースで大切なのは、二重国籍そのものより、相続人ごとに順番に居住地や国籍を確認することです。 なお、海外在住の二重国籍者については、いわゆる「10年ルール※」が関係しやすいため、その点をあわせて整理しておくことが大切です。 ※「10年ルール」とは、相続が始まる前10年以内に日本に住んでいたことがあるかを見るポイントです。詳しくは添付のURLを参照してください。 https://www.mine-life.jp/can-inheritance-tax-be-avoided-by-moving-abroad-the-truth-about-the-10-year-rule-and-future-amendments 4-1 相続税は、相続人ごとに判断 相続税は、家族全員をまとめて一つの答えにするものではありません。 財産を受け取る人ごとに、どこに住んでいるか、どの条件に当てはまるかを見ていきます。 ですから、相続人の一人が二重国籍だったとしても、その人だけを特別扱いするというより、その人を一人の相続人として個別に見ると考えると分かりやすいです。 たとえば、兄は東京在住、妹はロサンゼルス在住の日米二重国籍という家族では、同じ親の相続でも見方は同じではありません。 兄は日本在住者として見ますし、妹は海外在住者として、日本国籍や最近10年の居住歴をフローチャートで確認します。 つまり、相続人の一人が二重国籍でも、結論はその人ごとに決まるということです。 ここを押さえておくと、家族で整理するときも迷いにくくなります。 4-2 日本に住んでいるなら、まず住所を見れば大丈夫です 相続する人が日本に住んでいるなら、まずは今の住所を見れば十分です。 この場合は、二重国籍であることより、日本在住であることが先に判断基準になります。 したがって、「自分は二重国籍だから特別な確認が必要なのでは」と考えすぎる必要はなく、まずは日本に住んでいる相続人として整理すると分かりやすいです。 たとえば、日米二重国籍の長男が今は東京に住み、親の相続で日本の預金と米国の証券口座を受け取る場面です。 長男は「自分は二重国籍だから、まず10年ルールを見ないといけないのでは」と思うかもしれません。 ですが、このケースでは、まず今日本に住んでいるという事実が判断基準の前に出ます。 ここを先に押さえると、必要以上に難しく考えずに済みます。 4-3 海外に住んでいるなら、日本国籍と最近10年を確認します 相続する人が海外に住んでいる場合は、日本国籍の有無や最近10年の居住歴が関係してきます。 特に大切になるのは、海外に住んでいて、相続の時点で日本国籍がある人です。 たとえば、長女がロサンゼルスに住み、7年前までは福岡に住んでいたケースでは、単に「今は米国在住」と考えるだけでは足りません。 今も日本国籍があるか、最近10年の中に日本在住の期間があるかを見ていく必要があります。 相続開始前に日本国籍を失っていた場合の注意 二重国籍及び10年ルールを考える際に混乱しやすいのは、相続開始前に日本国籍を失っていた場合の取り扱いです。 相続税でよく出てくる「10年ルール」は、海外に住んでいて、相続の時点で日本国籍がある人について確認するポイントです。 したがって、相続開始前に外国籍を選択し、その結果として日本国籍を失っているのであれば、10年ルールは関係ありません。 そのため、最初に確認したいのは、「最近10年で日本に住んでいたか」ではなく、相続の時点で今も日本国籍があるのかどうかです。本人は「昔は二重国籍だった」と思っていても、法律上はすでに日本国籍を失っていることがあります。 10年ルールの前に、まずは戸籍や国籍関係書類で現在の状態を確認しておくことが大切です。 第5章 二重国籍者が関係する相続が起きたら、やるべき3選 相続が起きたときは、いきなり税額計算に入るより、前提を整理することが大切です。 国税庁も、相続税の申告のためには、相続人の確認、遺言の有無、遺産と債務の確認、遺産の評価、遺産の分割などの準備が必要だと案内しています。二重国籍が関わる相続では、これに「今の国籍」と「住所歴」の確認を足すイメージで進めると分かりやすいです。 5-1 まず家族の状況を一枚にまとめる 最初にやるとよいのは、亡くなった方と相続する人について、今の住まい、今の国籍、日本と海外のどちらに住んでいるかを一枚にまとめることです。 ここが整理できるだけで、2章のフローチャートもかなり使いやすくなります。特に家族の中に海外在住者がいるときは、この整理表があるだけで相談が進みやすくなります。 5-2 次に、財産を日本と海外に分けて書き出します 国税庁も、相続税の準備として遺産と債務を確認し、一覧表を作ることを案内しています。 二重国籍や海外在住者が関わるときは、財産を日本の財産と海外の財産に分けて書き出すだけでも、かなり見通しがよくなります。評価の前に、まず整理です。 5-3 国籍と住所が分かる書類をそろえます 次に、戸籍、パスポート、住民票や除票、海外での居住資料など、国籍や住所が分かる書類をそろえていきます。 相続税の判定も、準拠法の確認も、前提資料がないと進みません。特に国際相続では、「どこに住んでいたか」「今も日本国籍があるのか」が大事なので、ここを後回しにしないことが大切です。 第6章 よくある質問 6-1 二重国籍だと、日本で相続税は必ずかかりますか 必ずではありません。 日本の相続税は、二重国籍という事実だけで決まるのではなく、まず相続の時点の住所を見て、その後に日本国籍や最近10年などを確認します。 ですから、まずは第2章のフローチャートで課税財産の範囲を確認することが大切です。 6-2 海外に住んでいれば、日本の相続税は関係ありませんか 一律には言えません。 海外に住んでいても、日本国籍があり、最近10年の中に日本在住の期間がある人などは、海外財産まで日本の相続税の対象になることがあります。ここは思い込みで判断せず、第2章のフローチャートで確認するのが安全です。 6-3 亡くなった方が二重国籍だと、何が増えますか 相続税の確認に加えて、準拠法の確認が増えます。 つまり、「日本の相続税がどこまでかかるか」だけではなく、「どの国の法律で相続人や相続分を決めるか」も確認が必要になります。 6-4 国籍選択をしていれば安心ですか 国籍選択をしていても、それだけで安心とは言い切れません。 日本国籍を選んでも、相手国の制度によっては外国国籍が残ることがあります。 相続税では、相続の時点で今も日本国籍があるのかどうかが大切なので、思い込みではなく書類で確認することが大切です。 6-5 まず何を相談すればよいですか 最初に相談したいのは、税額そのものより、家族の住所・国籍・財産の場所です。 ここが分かると、第2章のフローチャートで課税財産の範囲を確認しやすくなり、亡くなった方が二重国籍なら準拠法の話にも進みやすくなります。最初の整理が早いほど、その後の手続きも進めやすくなります。 第7章 二重国籍者の相続相談は税理士法人マインライフへ 二重国籍や海外在住の家族が関わる相続では、一般的な相続よりも、最初の整理がその後の申告のしやすさを左右します。 税理士法人マインライフは、新宿・津田沼を拠点に、相続・国際相続の専門家として豊富な実績を持つ少数精鋭の税理士法人です。年間数百件の相続税申告を担当しており、経験豊富な税理士が必ず最初から最後まで対応します。 マインライフが選ばれる理由 海外の財産をどう扱えばいいのかわからない」「外国税額控除を受けたいが手続きに不安がある」―― そのようなときは、ぜひ税理士法人マインライフへご相談ください。 初回面談は無料です。ご状況をお伺いし、今すぐできる最善の方法とスケジュールをご提案いたします。 最初の一歩を踏み出すことが、複雑な国際相続を解決へ導く最大のカギとなります。 第8章 まとめ いかがだったでしょうか。今回のコラムのポイントをまとめると、次のとおりです。 · 相続時点で二重国籍の場合には、日本国籍者と同様に扱う · 相続税は国籍より「住所」が重要で、日本在住なら海外財産も申告対象になりやすい · 二重国籍の相続は、法律と税金を分けて考えることで、全体像が見えやすくなる 基本的には、二重国籍であること自体と相続手続きや相続税の申告手続きには関連はありませんが、海外に財産がある、海外に住んでいる相続人がいるなどに該当すると、相続手続きは複雑なものになりますので、早い段階で専門家に相談して円滑な相続手続きを進めましょう。
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オーストラリアに相続税はある?日本との違いと課税ルールを徹底解説
オーストラリアにある財産にオーストラリアの相続税はかかるのだろうか…。そんな疑問をお持ちですね。 相続税の制度は国(州)によって異なるため、オーストラリアの相続税は日本とは全く違う仕組みとなっています。 オーストラリアの相続税の制度について知り、今できる相続対策を考えていきましょう。 【当記事は2026年1月1日時点の法令に基づき作成しております。】 第1章 オーストラリアの相続税の基本知識 まずはオーストラリアの相続税の基本について確認していきましょう。 1-1 オーストラリアには相続税がない 結論、現在オーストラリアには相続税の制度はありません。過去には相続税の制度がありましたが、1979年に廃止されています。(州としての相続税は1980年代前半までに廃止されました。) したがって、オーストラリアにある財産にオーストラリアの相続税が課税されることはありません。(しかし、オーストラリアにある財産に他国の相続税が課税されることはあります。) 1-2 オーストラリアのキャピタルゲイン課税 オーストラリアに相続税はありませんが、キャピタルゲイン(値上がり益)に対する課税は存在します。 キャピタルゲインは通常、【売却額(時価)-取得価額】で計算することとなりますが、オーストラリアのキャピタルゲイン課税の制度には以下のような特徴があります。 (1)相続により取得した財産の取得価額 相続により取得した財産の取得価額について特別な規定があります。 亡くなった人(被相続人)が1985年9月19日以前に取得した財産を相続した場合は、原則、その被相続人の死亡時の時価がその財産の取得価額となります。この場合、相続人はキャピタルゲインに対する課税を受けずに取得価額を更新することができます。 【例】 <前提> 状況:被相続人が購入した有価証券を相続人が売却した 被相続人の購入日:1985年8月31日(1985年9月19日以前) 被相続人の購入金額:100万円 被相続人の死亡時の時価:1,000万円 相続人の売却額:1,100万円 <キャピタルゲインの金額> 売却額1,100万円-取得価額1,000万円=キャピタルゲイン100万円 ※被相続人の購入日が1985年9月19日以前のため、取得価額は被相続人の死亡時の時価となります。 一方、亡くなった人(被相続人)が1985年9月20日以後に取得した財産を相続した場合、被相続人が実際に取得した時の取得価額を引き継ぎます。これは日本のキャピタルゲイン課税の制度と同様です。 【例】 <前提> 状況:被相続人が購入した有価証券を相続人が売却した 被相続人の購入日:1990年8月31日(1985年9月20日以後) 被相続人の購入金額:100万円 被相続人の死亡時の時価:1,000万円 相続人の売却額:1,100万円 <キャピタルゲインの金額> 売却額1,100万円-取得価額100万円=キャピタルゲイン1,000万円 ※被相続人の購入日が1985年9月20日以後のため、取得価額は被相続人の購入金額となります。 (2)贈与に伴うキャピタルゲイン課税 オーストラリアには贈与税の制度もありません。相続税と同様、1979年に廃止されています。 しかし、1985年9月20日以後に取得した財産を贈与し、その財産の贈与時の時価がその取得価額を上回っている場合には、【贈与時の時価-取得価額】の金額がキャピタルゲイン課税(所得税)の対象となります。 【例】 <前提> 状況:父が子に有価証券を贈与した 父の購入日:2020年8月31日(1985年9月20日以後) 父の購入金額:700万円 贈与時の時価:1,000万円 <キャピタルゲインの金額> 贈与時の時価1,000万円>取得価額700万円→したがって、キャピタルゲイン課税の対象。 贈与時の時価1,000万円-取得価額700万円=キャピタルゲイン300万円 (3)キャピタルゲインに対する所得税課税 オーストラリアの所得税は以下の算式で計算されます。 Step1 総合所得(給与所得など)-必要経費+キャピタルゲイン(軽減等適用後)=課税所得 Step2 課税所得×税率=所得税 所得税の税率は居住者と非居住者で異なっており、以下のようになっています。 居住者の適用税率:2027年6月30日終了課税年度(注1) (注1) 所得税の課税年度は毎年7月1日から翌年6月30日まで (注2) 上記税率にはメディケア税(課税所得の2%、ほとんどの居住者に適用)は含まれません 非居住者の適用税率:2027年6月30日終了課税年度 キャピタルゲインは同一年中に生じたキャピタルロス(値下がり損)と相殺し、総合所得(給与所得など)と合算し、税率を掛けて所得税を算定します。 オーストラリアの居住者に該当する方は、全世界で発生した所得に対してオーストラリアの所得税が課税されることとなります。したがって、オーストラリアの居住者に該当する方が贈与をすると、その贈与した財産の所在地に関係なくキャピタルゲインに対する所得税が課税されることとなります。 一方、オーストラリアの非居住者に該当する方は、オーストラリア国内で発生した所得に対してのみオーストラリアの所得税がかかります。したがって、オーストラリアの非居住者に該当する方がオーストラリアに所在する一定の財産を贈与すると、そのキャピタルゲインに対する所得税が課税されることとなります。 オーストラリアのキャピタルゲイン課税の対象となる財産の範囲 第2章 日本の相続税との関係 続いて、日本の相続税との関係について確認していきましょう。 2-1 日本の相続税の基本と課税範囲 日本の相続税は亡くなった人(被相続人)の日本にある財産だけが対象になる場合と、海外にある財産も含めてすべての財産が対象になる場合があります。 基本として、亡くなった人(被相続人)が日本国籍で日本に住んでいた場合、亡くなった人(被相続人)のすべての財産が日本の相続税の対象となります。 具体的には、ケース別に以下のフローチャートに沿って判断します。 【日本の相続税の対象となる財産の範囲のフローチャート】 また、以下の判定表でも日本の相続税がかかる財産の範囲を判定できます。 【日本の相続税がかかる範囲の判定表】 ※1 外国人被相続人を除く 外国人被相続人…相続開始時に一定の在留資格を有するもの。 ※2 一時居住者を除く 一時居住者…相続開始時に一定の在留資格を有する者で、相続開始前15年以内の国内居住期間の合計が10年以下であるもの。 ※3 非居住被相続人の前提 非居住被相続人…相続開始前10年以内において、国内に住所を有していた期間中、継続して日本国籍がなかったもの。 2-2 オーストラリアの財産に日本の相続税はかかるか 結論、上記で示したとおり、亡くなった人(被相続人)と相続人の居住地国や国籍などの状況によって、オーストラリアの財産に日本の相続税がかかる場合とかからない場合があります。 逆に言えば、オーストラリアの財産を日本の相続税や贈与税がかからないように移転する、という対策を考えることができます。 2-3 日本の相続税対策 日本の相続税対策として活用が検討されるのは、財産を持つ親や祖父母から子や孫への生前贈与です。 通常、日本にある財産を贈与した場合、日本の贈与税の対象となりますが、日本国外にある財産を贈与した場合については日本の贈与税がかからないケースがあります。 具体的には、ケース別に以下のフローチャートに沿って判断します。 【日本の贈与税の対象となる財産の範囲のフローチャート】 また、以下の判定表でも日本の贈与税がかかる財産の範囲を判定できます。 【日本の贈与税がかかる範囲の判定表】 ※1 外国人贈与者を除く 外国人贈与者…贈与時に一定の在留資格を有するもの。 ※2 一時居住者を除く 一時居住者…贈与時に一定の在留資格を有する者で、贈与前15年以内の国内居住期間の合計が10年以下であるもの。 ※3 非居住贈与者の前提 非居住贈与者…贈与前10年以内において、国内に住所を有していた期間中継続して日本国籍がなかったもの。 基本として、贈与者(財産をあげる人)が贈与時点において日本国籍で日本在住の場合、贈与するすべての財産が日本の贈与税の対象となります。 一方、贈与者(財産をあげる人)と受贈者(財産をもらう人)が共に日本国籍である前提で、贈与者(財産をあげる人)と受贈者(財産をもらう人)が共に贈与前10年以内に日本に住んでいない場合(上記表の⑮のケース)、日本国外にある財産の贈与については日本の贈与税はかかりません。 したがって、贈与者(財産をあげる人)と受贈者(財産をもらう人)が共に10年超海外に住んでいる状態で、今後どちらかが日本に帰国する予定があるならば、その帰国前に海外にある財産を贈与すれば日本の贈与税は課税されないこととなります。 【例】 <前提> 贈与者(財産をあげる人):父(日本国籍・10年超オーストラリアに居住・50代) 受贈者(財産をもらう人):子(日本国籍・10年超オーストラリアに居住・20代) 贈与する財産:オーストラリアの預金1,000万円 状況:転勤を機に父が帰国予定 <贈与税がかかるパターン> 父が日本に帰国した後にオーストラリアの預金を子に贈与 この場合オーストラリアの預金1,000万円の贈与が日本の贈与税の対象となり、お子様に177万円の贈与税が発生します。(同年中にこれ以外の贈与は無い前提の贈与税額) なお、オーストラリアには贈与税の制度がないため税金は発生しません。 <贈与税がかからないパターン> 父が日本に帰国する前にオーストラリアの預金を子に贈与 この場合オーストラリアの預金1,000万円の贈与は日本の贈与税の対象となりません。 また、オーストラリアには贈与税の制度がないため税金は発生しません。 第3章 外国税額控除 続いて、日本の税金とオーストラリアの税金の両方が課税されてしまった場合の対策について解説します。 3-1 オーストラリアと日本のキャピタルゲイン課税の関係 例えば、日本に住んでいる人がオーストラリアにある不動産を売却した場合、そのキャピタルゲイン(譲渡益)に対して日本の所得税(住民税)とオーストラリアの所得税が2重で課税されることがあります。 3-2 外国税額控除 この場合、日本の所得税の確定申告において、外国税額控除を適用し、税金が2重で課税されないような調整を行うことができます。 【例】 <前提> 状況:日本に住んでいる人がオーストラリアにある不動産を売却し、キャピタルゲインが発生 キャピタルゲインに対する日本の税金:約1,000万円 キャピタルゲインに対するオーストラリアの税金:約2,000万円 <外国税額控除のイメージ> 日本の税金約1,000万円-オーストラリアの税金約1,000万円(控除限度額)=日本での納税は限りなく少なくなる。 ※必ずしも全ての外国税額が控除できるわけではありません。 なお、オーストラリアの税金のうち、外国税額控除として差し引きできなかった1,000万円(オーストラリアの税金約2,000万円-外国税額控除の適用を受けた約1,000万円=残額1,000万円)について、日本において還付を受けることはできません。 第4章 オーストラリアの相続手続き 次にオーストラリアの相続手続きのポイントについて解説します。 4-1 プロベート手続きが求められる オーストラリアの相続手続きはプロベートという手続きが必要となることがあります。 プロベートとは、人が亡くなった際に、その遺産を法的に管理・清算し、最終的に相続人へ分配するまでの一連の裁判手続きのことです。 プロベートが不要な日本では、相続人の話し合いにより誰がどの財産を取得するかを決めます。その内容に基づいて、不動産や預金の名義変更などができます。 しかし、プロベートが必要なオーストラリアでは、裁判所の監督のもとで、遺産の確定、債務・税金の清算、相続人への分配がされます。そのため、多くの費用(裁判所費用・弁護士費用)と時間(数か月~1年以上)を要することになります。 現実には、オーストラリアでは相続税はかからないがプロベート手続きが必要になる、というケースが数多くあります。 【「プロベート」についてはこちらの記事をご参照ください。】 4-2 プロベート対策 このプロベート手続きを回避するために以下のような対策があります。 (1)財産を日本へ移す オーストラリアのプロベート手続きを回避するために最も有効な手段は、財産をオーストラリア国外へ移すことです。生前に計画的に行うのが良いでしょう。 ただし、財産を日本へ移す場合には、日本の相続税の対策も併せて考える必要があります。 日本の相続税は日本にある財産は必ず対象となるためです (2)オーストラリアでの生前贈与 例えば、親が子どもに贈与したオーストラリアの財産は親の財産でなくなりますので、将来親が亡くなったときのプロベート手続きの心配はいらなくなります。 また、前述した通り、贈与者(財産をあげる人)と受贈者(財産をもらう人)が共に10年超海外に住んでいる状態で、海外にある財産を贈与すれば日本の贈与税は課税されないこととなります。 そして、オーストラリアには贈与税の制度はありませんので、オーストラリアにある財産を贈与してもオーストラリアにおいて贈与税は課されないこととなります。(贈与する財産によってはキャピタルゲインに対する税金が発生します。) (3)トラスト(信託)やジョイント(共同所有)の活用 オーストラリアにある財産をトラスト(信託)やジョイント(共同所有)にすることは、プロベート手続きを回避する有効な手段となります。 トラスト(信託)とは、財産を所有している人が信託契約によって信頼できる第三者に持っている財産の運用や管理、最終的な処分までを任せるものです。その契約において自分が死亡した時はこの人に財産を渡す、ということを定めておけばプロベートを経ずに財産を移転することができます。 また、ジョイント(共同所有)とは、財産を共同所有にすることです。共同所有者が亡くなった場合にその所有権が残りの共同所有者に移転するため、プロベート手続きが不要となります。代表的なものとしてジョイント・アカウント(共同名義の預金口座)とジョイント・テナンシー(不動産の共同所有)があります。 第5章 オーストラリアの相続はぜひ税理士法人マインライフへご相談ください オーストラリアにある財産に日本の相続税がかかるかもしれない・・・。 また、オーストラリアにある財産のプロベート手続きが不安である・・・。 そのような難しいケースでも、弊社には最適なサポート体制が整っています。 税理士法人マインライフは、新宿・津田沼を拠点に、相続・国際相続の専門家として豊富な実績を持つ少数精鋭の税理士法人です。年間数百件の相続税申告を担当しており、経験豊富な税理士が必ず最初から最後まで対応します。 マインライフが選ばれる理由 強み 内容 ① 国際相続の経験が豊富な専門家が直接対応 少数精鋭体制で、経験豊富な税理士が必ず対応。 担当が途中で変わる心配がありません。 ② 相続税申告・対策に特化し、豊富な実績 相続専門の法人だからこそ、相続に特有の実践的なノウハウが蓄積されています。 ③ 海外案件にも強い独自ネットワーク 海外の専門家との連携体制が整っており、亡くなった方が外国国籍の場合の手続きの対応が可能です。 ④ 申告だけでなく、相続対策にも精通 単なる税計算だけではなく、納税資金対策や二次相続対策など、将来を見据えたオーダーメイドの提案が得意です。 「オーストラリア財産の相続手続きをどうしたらいいのかわからない・・・。」と感じている方は、ぜひ税理士法人マインライフへご相談ください。 初回面談は無料です。ご状況をお伺いし、今すぐできる最善の方法をご提案いたします。 第6章 まとめ いかがでしたでしょうか。 オーストラリアの相続には以下のようなポイントがあります。 ・オーストラリアには相続税の制度はない ・オーストラリアにはキャピタルゲイン(値上がり益)に対する課税制度は存在する ・オーストラリアには贈与税の制度は存在しないが、贈与した財産によってはキャピタルゲイン課税の対象となることがある ・日本の相続税は基本として亡くなった人(被相続人)が日本国籍で日本に住んでいた場合、亡くなった人(被相続人)のすべての財産が日本の相続税の対象となる ・日本の相続税対策として生前贈与は有効 ・日本の贈与税は日本国外にある財産を贈与した場合についてはかからないケースがある ・日本の税金とオーストラリアの税金の両方が課税されてしまった場合は外国税額控除を適用する ・オーストラリアの相続手続きは原則的にプロベート手続きが必要となる ・プロベート対策として、財産をオーストラリア国外に移す、子どもに贈与する、トラスト(信託)やジョイント(共同所有)を活用する、といった方法がある ・オーストラリアに財産がある場合の相続で困ったら「税理士法人マインライフ」へ! オーストラリアに財産がある場合の相続手続きは日本とオーストラリアの法律が絡み大変複雑なものとなります。通常、この手続きを個人一人で行うのは相当な時間と労力を要します。 当記事でオーストラリアの相続制度について理解を深めていただき、読者の皆様が円満な相続を迎えられることを願っております。 国際相続にあたってはやるべきことがたくさんありますが、まずは一歩を踏み出し解決できるところから一つずつ進めていきましょう! ※本記事における日本国外の情報は、一般に公表されている基本的な内容を平易に解説したものです。具体的な実務にあたっては現地専門家への確認が必要となります。
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よくあるご質問
お客様からいただくことが多いご質問についてまとめています。
Q.
初回相談は無料ですか?費用はいつ、どのように発生しますか。
はい、初回相談は無料です。
まず(対面/オンラインで)状況をお聞きし、業務内容・進め方・お見積書をご案内します。
内容にご同意いただきご契約後に着手し、以降はお見積書どおりの費用がかかります。
追加の作業が必要になりそうなときは、事前にご説明し、あらためてお見積りします。
お客様のご同意なしに費用が発生することはありませんのでご安心ください。
Q.
海外在住の日本人ですが、対応可能ですか。
大丈夫です。
日本の相続税は、海外在住でも課税される場合があります。
当法人はZoomによるウェブ面談の対応もしておりますので、海外からのご相談も可能です。
必要に応じて海外の弁護士・公証人・会計士とも連携します。
Q.
依頼する必要があるかどうかも分からないのですが、この段階で相談しても大丈夫ですか。
もちろんです。少しでも早くご相談いただくことをおすすめします。
特に国際相続は書類集め・翻訳・各国の手続き調整に時間がかかります。
早い段階で論点整理とスケジュール作りをしておくと安心です。
Q.
海外にある財産の相続手続きは、どこから始めればよいですか。
まずは情報の整理からです。
財産の種類・所在国・名義などを確認し、国ごとに必要な手続きをチェックします。
たとえば米国の財産は内容によって、裁判所を通す手続き(プロベート)や金融機関ごとの書類が必要になることがあります。
当法人が現地の弁護士や金融機関と連携しながら進めます。
Q.
海外で作成した遺言書は、日本でも有効ですか。
有効と認められる可能性があります。
遺言の形式は、作成した国や本国のルールを満たせば有効になることがあります。
ただし、日本での手続き(登記や銀行)には翻訳や認証(アポスティーユ等)が必要になる場合があります。
個別の内容を確認したうえでご案内します。
Q.
海外の財産の手続きはどうなりますか。
海外の財産は、原則としてその国での手続きが必要になります。
また、遺産が海外の財産だけでも日本の相続税の申告が必要になる場合があります。
一方、名義変更や解約は財産がある国のルールで行う必要があり、現地の手続き(プロベート・公証・銀行手続き等)が求められることもあります。
当法人が、日本側の申告と海外側の手続きの段取りをまとめてサポートいたします。











