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Certified Tax Accountants
税理士のご紹介

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国境を越える相続では、法律・税制・文化の壁が立ちはだかります。私たちは少数精鋭の強みを活かし、現地専門家と緊密に連携しながら、“難しいからこそ最後まで寄り添う”姿勢を大切にしてきました。
大切なご家族と財産を守るため、ぜひ一度ご相談ください。
統括代表社員 / 税理士
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中村法律事務所
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国際相続・相続税対策に役立つコラム
国際相続サポート
税理士が教える。二重国籍の方の相続のポイント!
二重国籍と相続税の話は、最初はとても難しく感じます。 ですが、最初から細かい条件を全部覚える必要はありません。 大切なのは、日本の相続税がどこまでの財産にかかるのかを先に確認することです。 そのうえで、亡くなった方が二重国籍なのか、相続する人の一人が二重国籍なのかで、追加で気をつけるポイントを見ていくと整理しやすくなります。 第1章 二重国籍とは何か 相続税の話に入る前に、まずは「二重国籍」を簡単に確認しておきましょう。 法務省は、日本の国籍と外国の国籍をあわせて持つ人を「重国籍者」と案内しています。 一般には「二重国籍」と呼ばれることが多いので、この記事でもその言い方で進めます。 1-1 生まれたときから二重国籍のパターン 二重国籍になる人の中には、生まれたときから日本国籍と外国国籍の両方を持つ人がいます。 たとえば、日本人の父と米国人の母の子どもが米国で生まれた場合、日米の両方の国籍を持つことがあります。 1-2 途中から外国籍を持つようになるパターン 一方で、あとから外国籍を持つようになる人もいます。 ただし、ここは注意が必要です。 日本の国籍法では、自分の意思で外国の国籍を取得したときは、日本国籍を失うとされています。 本人は「二つの国籍を持っているつもり」でも、日本の法律ではそうではないことがあります。 相続税では、この違いがそのまま判定に影響することがあります。 1-3 国籍選択をした人も注意が必要 二重国籍の人には、国籍選択が必要になる場合があります。 二重国籍者は18歳に達する前に重国籍となった場合は22歳に達するまで、18歳に達した後に二重国籍となった場合はその時から2年以内までにいずれかの国籍を選択する必要があります。 ただし、日本国籍を選んだからといって、それだけで外国国籍が自動的に消えるとは限りません。相手国の制度によっては、外国国籍がそのまま残ることがあります。 国籍選択をした人ほど、書類で現在の状態を確認してから話を進めたほうが安心です。 1-4 相続税で特に大事なのは「昔」より「今」です 特に大事なのは、相続の時点で今も日本国籍があるかを確認することです。 途中で外国籍を取得した人や、国籍選択をした人は、本人が思っている国籍状態と、日本の法律上の扱いが違うことがあります。 たとえば、長く海外で暮らしている人が「昔は二重国籍だったけれど、今もそうだと思う」と考えているケースです。 もし途中で自分の意思で外国籍を取得していれば、日本の法律上は日本国籍を失っていることがありますし、日本国籍を選んだつもりでも、外国国籍の扱いは別途確認が必要なことがあります。 相続税で大切なのは、気持ちの上でどう思っているかではなく、相続の時点で法的にどうなっているかです。 ここを確認しないまま相続税の手続きを進めると、入口からずれてしまいます。 第2章 相続税がどこまでかかるかをフローチャートで確認 相続税で最初に確認したいのは、日本の相続税がどこまでの財産にかかるのかです。 ここは条件が細かく分かれるため、添付のフローチャートを見ながら確認してください。 次章以降で亡くなった方または相続人が「二重国籍」だった場合のポイントを詳しく解説します。 また、以下の判定表でも日本の相続税がかかる財産の範囲を判定できます。 ※1 外国人被相続人を除く 外国人被相続人…相続開始時に一定の在留資格を有するもの。 ※2 一時居住者を除く 一時居住者…相続開始時に一定の在留資格を有する者で、相続開始前15年以内の国内居住期間の合計が10年以下であるもの。 ※3 非居住被相続人の前提 非居住被相続人…相続開始前10年以内において、国内に住所を有していた期間中、継続して日本国籍がなかったもの。 第3章 亡くなった方が二重国籍だった時の相続のポイント ここでは亡くなった方が二重国籍だった場合のポイントを解説します。 3-1 二重国籍者でも亡くなった時点で日本国籍を有していれば日本国籍者と同様に扱う 亡くなった方が二重国籍でも、亡くなった時点で日本国籍を有していたのであれば日本国籍者と同様に扱います。 つまり、どこまで日本の相続税がかかるかは、相続の時点の住所などをフローチャートで確認します。 ここで大事なのは、「亡くなった方が二重国籍だから相続税も必ず特別になる」と考えないことです。 3-2 もう一つの論点は「準拠法」 亡くなった方が二重国籍だったときに、相続税とは別に出てくるのが準拠法です。 準拠法とは、「だれが相続人になるのか」、「どのように遺産を分けるのか」を、どの国の法律で決めるかというルールです。 日本の相続のルールでは、相続は原則として亡くなった方の本国法によります。 3-3 日本国籍を含む二重国籍なら、日本法で整理できることが多い 日本の相続のルールでは、二つ以上の国籍がある人について、国籍の一つが日本であれば、日本法をその人の本国法とすると定めています。 そのため、たとえば亡くなった方が日米二重国籍だった場合、相続のルールは日本法で整理できることが多いです。 たとえば、父が日米二重国籍で最後まで東京に住み、日本に自宅と預金、米国に証券口座や不動産を持っていたケースです。 この場合、相続税の課税範囲は第2章のフローチャートで確認します。 一方で、だれが相続人になるのか、遺言がなければどのように分けるのかといった基本的な相続ルールは、日本法を基準に考えることになります。 ただし、米国内の不動産などについては、現地での手続や現地法上の検討が別途必要になることがあります。 つまり、税金の問題、相続の準拠法の問題、現地手続の問題は分けて整理すると分かりやすいのです。 一言解説「反致」 亡くなった方が海外にも財産を有していたケースでは、「反致」という言葉が出てくることがあります。 反致とは、いったん外国法で考えることになっても、その外国のルールに従うと日本法で考えることになる場合をいいます。 特に外国に不動産を有しているようなケースでは、この反致が起こることがあります。 亡くなった方が二重国籍のケースでは、海外に財産を有していることも多いため、相続税だけではなく、こうした相続のルールの確認も必要になることがあります。 第4章 相続する人の一人が二重国籍だった時のポイント 相続する人の一人が二重国籍だったとしても、相続税では「二重国籍だから特別になる」というわけではありません。 なぜなら、亡くなった方が二重国籍だった場合と同様に、二重国籍でも被相続人が亡くなった時点で日本国籍を有していたのであれば日本国籍者と同様に扱うからです。 したがって、相続税の世界では、亡くなった時点でその人がどこに住んでいるかが入口になりますし、海外に住んでいる人については、最近10年の居住歴などを見ていきます。 つまり、このケースで大切なのは、二重国籍そのものより、相続人ごとに順番に居住地や国籍を確認することです。 なお、海外在住の二重国籍者については、いわゆる「10年ルール※」が関係しやすいため、その点をあわせて整理しておくことが大切です。 ※「10年ルール」とは、相続が始まる前10年以内に日本に住んでいたことがあるかを見るポイントです。詳しくは添付のURLを参照してください。 https://www.mine-life.jp/can-inheritance-tax-be-avoided-by-moving-abroad-the-truth-about-the-10-year-rule-and-future-amendments 4-1 相続税は、相続人ごとに判断 相続税は、家族全員をまとめて一つの答えにするものではありません。 財産を受け取る人ごとに、どこに住んでいるか、どの条件に当てはまるかを見ていきます。 ですから、相続人の一人が二重国籍だったとしても、その人だけを特別扱いするというより、その人を一人の相続人として個別に見ると考えると分かりやすいです。 たとえば、兄は東京在住、妹はロサンゼルス在住の日米二重国籍という家族では、同じ親の相続でも見方は同じではありません。 兄は日本在住者として見ますし、妹は海外在住者として、日本国籍や最近10年の居住歴をフローチャートで確認します。 つまり、相続人の一人が二重国籍でも、結論はその人ごとに決まるということです。 ここを押さえておくと、家族で整理するときも迷いにくくなります。 4-2 日本に住んでいるなら、まず住所を見れば大丈夫です 相続する人が日本に住んでいるなら、まずは今の住所を見れば十分です。 この場合は、二重国籍であることより、日本在住であることが先に判断基準になります。 したがって、「自分は二重国籍だから特別な確認が必要なのでは」と考えすぎる必要はなく、まずは日本に住んでいる相続人として整理すると分かりやすいです。 たとえば、日米二重国籍の長男が今は東京に住み、親の相続で日本の預金と米国の証券口座を受け取る場面です。 長男は「自分は二重国籍だから、まず10年ルールを見ないといけないのでは」と思うかもしれません。 ですが、このケースでは、まず今日本に住んでいるという事実が判断基準の前に出ます。 ここを先に押さえると、必要以上に難しく考えずに済みます。 4-3 海外に住んでいるなら、日本国籍と最近10年を確認します 相続する人が海外に住んでいる場合は、日本国籍の有無や最近10年の居住歴が関係してきます。 特に大切になるのは、海外に住んでいて、相続の時点で日本国籍がある人です。 たとえば、長女がロサンゼルスに住み、7年前までは福岡に住んでいたケースでは、単に「今は米国在住」と考えるだけでは足りません。 今も日本国籍があるか、最近10年の中に日本在住の期間があるかを見ていく必要があります。 相続開始前に日本国籍を失っていた場合の注意 二重国籍及び10年ルールを考える際に混乱しやすいのは、相続開始前に日本国籍を失っていた場合の取り扱いです。 相続税でよく出てくる「10年ルール」は、海外に住んでいて、相続の時点で日本国籍がある人について確認するポイントです。 したがって、相続開始前に外国籍を選択し、その結果として日本国籍を失っているのであれば、10年ルールは関係ありません。 そのため、最初に確認したいのは、「最近10年で日本に住んでいたか」ではなく、相続の時点で今も日本国籍があるのかどうかです。本人は「昔は二重国籍だった」と思っていても、法律上はすでに日本国籍を失っていることがあります。 10年ルールの前に、まずは戸籍や国籍関係書類で現在の状態を確認しておくことが大切です。 第5章 二重国籍者が関係する相続が起きたら、やるべき3選 相続が起きたときは、いきなり税額計算に入るより、前提を整理することが大切です。 国税庁も、相続税の申告のためには、相続人の確認、遺言の有無、遺産と債務の確認、遺産の評価、遺産の分割などの準備が必要だと案内しています。二重国籍が関わる相続では、これに「今の国籍」と「住所歴」の確認を足すイメージで進めると分かりやすいです。 5-1 まず家族の状況を一枚にまとめる 最初にやるとよいのは、亡くなった方と相続する人について、今の住まい、今の国籍、日本と海外のどちらに住んでいるかを一枚にまとめることです。 ここが整理できるだけで、2章のフローチャートもかなり使いやすくなります。特に家族の中に海外在住者がいるときは、この整理表があるだけで相談が進みやすくなります。 5-2 次に、財産を日本と海外に分けて書き出します 国税庁も、相続税の準備として遺産と債務を確認し、一覧表を作ることを案内しています。 二重国籍や海外在住者が関わるときは、財産を日本の財産と海外の財産に分けて書き出すだけでも、かなり見通しがよくなります。評価の前に、まず整理です。 5-3 国籍と住所が分かる書類をそろえます 次に、戸籍、パスポート、住民票や除票、海外での居住資料など、国籍や住所が分かる書類をそろえていきます。 相続税の判定も、準拠法の確認も、前提資料がないと進みません。特に国際相続では、「どこに住んでいたか」「今も日本国籍があるのか」が大事なので、ここを後回しにしないことが大切です。 第6章 よくある質問 6-1 二重国籍だと、日本で相続税は必ずかかりますか 必ずではありません。 日本の相続税は、二重国籍という事実だけで決まるのではなく、まず相続の時点の住所を見て、その後に日本国籍や最近10年などを確認します。 ですから、まずは第2章のフローチャートで課税財産の範囲を確認することが大切です。 6-2 海外に住んでいれば、日本の相続税は関係ありませんか 一律には言えません。 海外に住んでいても、日本国籍があり、最近10年の中に日本在住の期間がある人などは、海外財産まで日本の相続税の対象になることがあります。ここは思い込みで判断せず、第2章のフローチャートで確認するのが安全です。 6-3 亡くなった方が二重国籍だと、何が増えますか 相続税の確認に加えて、準拠法の確認が増えます。 つまり、「日本の相続税がどこまでかかるか」だけではなく、「どの国の法律で相続人や相続分を決めるか」も確認が必要になります。 6-4 国籍選択をしていれば安心ですか 国籍選択をしていても、それだけで安心とは言い切れません。 日本国籍を選んでも、相手国の制度によっては外国国籍が残ることがあります。 相続税では、相続の時点で今も日本国籍があるのかどうかが大切なので、思い込みではなく書類で確認することが大切です。 6-5 まず何を相談すればよいですか 最初に相談したいのは、税額そのものより、家族の住所・国籍・財産の場所です。 ここが分かると、第2章のフローチャートで課税財産の範囲を確認しやすくなり、亡くなった方が二重国籍なら準拠法の話にも進みやすくなります。最初の整理が早いほど、その後の手続きも進めやすくなります。 第7章 二重国籍者の相続相談は税理士法人マインライフへ 二重国籍や海外在住の家族が関わる相続では、一般的な相続よりも、最初の整理がその後の申告のしやすさを左右します。 税理士法人マインライフは、新宿・津田沼を拠点に、相続・国際相続の専門家として豊富な実績を持つ少数精鋭の税理士法人です。年間数百件の相続税申告を担当しており、経験豊富な税理士が必ず最初から最後まで対応します。 マインライフが選ばれる理由 海外の財産をどう扱えばいいのかわからない」「外国税額控除を受けたいが手続きに不安がある」―― そのようなときは、ぜひ税理士法人マインライフへご相談ください。 初回面談は無料です。ご状況をお伺いし、今すぐできる最善の方法とスケジュールをご提案いたします。 最初の一歩を踏み出すことが、複雑な国際相続を解決へ導く最大のカギとなります。 第8章 まとめ いかがだったでしょうか。今回のコラムのポイントをまとめると、次のとおりです。 · 相続時点で二重国籍の場合には、日本国籍者と同様に扱う · 相続税は国籍より「住所」が重要で、日本在住なら海外財産も申告対象になりやすい · 二重国籍の相続は、法律と税金を分けて考えることで、全体像が見えやすくなる 基本的には、二重国籍であること自体と相続手続きや相続税の申告手続きには関連はありませんが、海外に財産がある、海外に住んでいる相続人がいるなどに該当すると、相続手続きは複雑なものになりますので、早い段階で専門家に相談して円滑な相続手続きを進めましょう。
国際相続サポート
オーストラリアに相続税はある?日本との違いと課税ルールを徹底解説
オーストラリアにある財産にオーストラリアの相続税はかかるのだろうか…。そんな疑問をお持ちですね。 相続税の制度は国(州)によって異なるため、オーストラリアの相続税は日本とは全く違う仕組みとなっています。 オーストラリアの相続税の制度について知り、今できる相続対策を考えていきましょう。 【当記事は2026年1月1日時点の法令に基づき作成しております。】 第1章 オーストラリアの相続税の基本知識 まずはオーストラリアの相続税の基本について確認していきましょう。 1-1 オーストラリアには相続税がない 結論、現在オーストラリアには相続税の制度はありません。過去には相続税の制度がありましたが、1979年に廃止されています。(州としての相続税は1980年代前半までに廃止されました。) したがって、オーストラリアにある財産にオーストラリアの相続税が課税されることはありません。(しかし、オーストラリアにある財産に他国の相続税が課税されることはあります。) 1-2 オーストラリアのキャピタルゲイン課税 オーストラリアに相続税はありませんが、キャピタルゲイン(値上がり益)に対する課税は存在します。 キャピタルゲインは通常、【売却額(時価)-取得価額】で計算することとなりますが、オーストラリアのキャピタルゲイン課税の制度には以下のような特徴があります。 (1)相続により取得した財産の取得価額 相続により取得した財産の取得価額について特別な規定があります。 亡くなった人(被相続人)が1985年9月19日以前に取得した財産を相続した場合は、原則、その被相続人の死亡時の時価がその財産の取得価額となります。この場合、相続人はキャピタルゲインに対する課税を受けずに取得価額を更新することができます。 【例】 <前提> 状況:被相続人が購入した有価証券を相続人が売却した 被相続人の購入日:1985年8月31日(1985年9月19日以前) 被相続人の購入金額:100万円 被相続人の死亡時の時価:1,000万円 相続人の売却額:1,100万円 <キャピタルゲインの金額> 売却額1,100万円-取得価額1,000万円=キャピタルゲイン100万円 ※被相続人の購入日が1985年9月19日以前のため、取得価額は被相続人の死亡時の時価となります。 一方、亡くなった人(被相続人)が1985年9月20日以後に取得した財産を相続した場合、被相続人が実際に取得した時の取得価額を引き継ぎます。これは日本のキャピタルゲイン課税の制度と同様です。 【例】 <前提> 状況:被相続人が購入した有価証券を相続人が売却した 被相続人の購入日:1990年8月31日(1985年9月20日以後) 被相続人の購入金額:100万円 被相続人の死亡時の時価:1,000万円 相続人の売却額:1,100万円 <キャピタルゲインの金額> 売却額1,100万円-取得価額100万円=キャピタルゲイン1,000万円 ※被相続人の購入日が1985年9月20日以後のため、取得価額は被相続人の購入金額となります。 (2)贈与に伴うキャピタルゲイン課税 オーストラリアには贈与税の制度もありません。相続税と同様、1979年に廃止されています。 しかし、1985年9月20日以後に取得した財産を贈与し、その財産の贈与時の時価がその取得価額を上回っている場合には、【贈与時の時価-取得価額】の金額がキャピタルゲイン課税(所得税)の対象となります。 【例】 <前提> 状況:父が子に有価証券を贈与した 父の購入日:2020年8月31日(1985年9月20日以後) 父の購入金額:700万円 贈与時の時価:1,000万円 <キャピタルゲインの金額> 贈与時の時価1,000万円>取得価額700万円→したがって、キャピタルゲイン課税の対象。 贈与時の時価1,000万円-取得価額700万円=キャピタルゲイン300万円 (3)キャピタルゲインに対する所得税課税 オーストラリアの所得税は以下の算式で計算されます。 Step1 総合所得(給与所得など)-必要経費+キャピタルゲイン(軽減等適用後)=課税所得 Step2 課税所得×税率=所得税 所得税の税率は居住者と非居住者で異なっており、以下のようになっています。 居住者の適用税率:2027年6月30日終了課税年度(注1) (注1) 所得税の課税年度は毎年7月1日から翌年6月30日まで (注2) 上記税率にはメディケア税(課税所得の2%、ほとんどの居住者に適用)は含まれません 非居住者の適用税率:2027年6月30日終了課税年度 キャピタルゲインは同一年中に生じたキャピタルロス(値下がり損)と相殺し、総合所得(給与所得など)と合算し、税率を掛けて所得税を算定します。 オーストラリアの居住者に該当する方は、全世界で発生した所得に対してオーストラリアの所得税が課税されることとなります。したがって、オーストラリアの居住者に該当する方が贈与をすると、その贈与した財産の所在地に関係なくキャピタルゲインに対する所得税が課税されることとなります。 一方、オーストラリアの非居住者に該当する方は、オーストラリア国内で発生した所得に対してのみオーストラリアの所得税がかかります。したがって、オーストラリアの非居住者に該当する方がオーストラリアに所在する一定の財産を贈与すると、そのキャピタルゲインに対する所得税が課税されることとなります。 オーストラリアのキャピタルゲイン課税の対象となる財産の範囲 第2章 日本の相続税との関係 続いて、日本の相続税との関係について確認していきましょう。 2-1 日本の相続税の基本と課税範囲 日本の相続税は亡くなった人(被相続人)の日本にある財産だけが対象になる場合と、海外にある財産も含めてすべての財産が対象になる場合があります。 基本として、亡くなった人(被相続人)が日本国籍で日本に住んでいた場合、亡くなった人(被相続人)のすべての財産が日本の相続税の対象となります。 具体的には、ケース別に以下のフローチャートに沿って判断します。 【日本の相続税の対象となる財産の範囲のフローチャート】 また、以下の判定表でも日本の相続税がかかる財産の範囲を判定できます。 【日本の相続税がかかる範囲の判定表】 ※1 外国人被相続人を除く 外国人被相続人…相続開始時に一定の在留資格を有するもの。 ※2 一時居住者を除く 一時居住者…相続開始時に一定の在留資格を有する者で、相続開始前15年以内の国内居住期間の合計が10年以下であるもの。 ※3 非居住被相続人の前提 非居住被相続人…相続開始前10年以内において、国内に住所を有していた期間中、継続して日本国籍がなかったもの。 2-2 オーストラリアの財産に日本の相続税はかかるか 結論、上記で示したとおり、亡くなった人(被相続人)と相続人の居住地国や国籍などの状況によって、オーストラリアの財産に日本の相続税がかかる場合とかからない場合があります。 逆に言えば、オーストラリアの財産を日本の相続税や贈与税がかからないように移転する、という対策を考えることができます。 2-3 日本の相続税対策 日本の相続税対策として活用が検討されるのは、財産を持つ親や祖父母から子や孫への生前贈与です。 通常、日本にある財産を贈与した場合、日本の贈与税の対象となりますが、日本国外にある財産を贈与した場合については日本の贈与税がかからないケースがあります。 具体的には、ケース別に以下のフローチャートに沿って判断します。 【日本の贈与税の対象となる財産の範囲のフローチャート】 また、以下の判定表でも日本の贈与税がかかる財産の範囲を判定できます。 【日本の贈与税がかかる範囲の判定表】 ※1 外国人贈与者を除く 外国人贈与者…贈与時に一定の在留資格を有するもの。 ※2 一時居住者を除く 一時居住者…贈与時に一定の在留資格を有する者で、贈与前15年以内の国内居住期間の合計が10年以下であるもの。 ※3 非居住贈与者の前提 非居住贈与者…贈与前10年以内において、国内に住所を有していた期間中継続して日本国籍がなかったもの。 基本として、贈与者(財産をあげる人)が贈与時点において日本国籍で日本在住の場合、贈与するすべての財産が日本の贈与税の対象となります。 一方、贈与者(財産をあげる人)と受贈者(財産をもらう人)が共に日本国籍である前提で、贈与者(財産をあげる人)と受贈者(財産をもらう人)が共に贈与前10年以内に日本に住んでいない場合(上記表の⑮のケース)、日本国外にある財産の贈与については日本の贈与税はかかりません。 したがって、贈与者(財産をあげる人)と受贈者(財産をもらう人)が共に10年超海外に住んでいる状態で、今後どちらかが日本に帰国する予定があるならば、その帰国前に海外にある財産を贈与すれば日本の贈与税は課税されないこととなります。 【例】 <前提> 贈与者(財産をあげる人):父(日本国籍・10年超オーストラリアに居住・50代) 受贈者(財産をもらう人):子(日本国籍・10年超オーストラリアに居住・20代) 贈与する財産:オーストラリアの預金1,000万円 状況:転勤を機に父が帰国予定 <贈与税がかかるパターン> 父が日本に帰国した後にオーストラリアの預金を子に贈与 この場合オーストラリアの預金1,000万円の贈与が日本の贈与税の対象となり、お子様に177万円の贈与税が発生します。(同年中にこれ以外の贈与は無い前提の贈与税額) なお、オーストラリアには贈与税の制度がないため税金は発生しません。 <贈与税がかからないパターン> 父が日本に帰国する前にオーストラリアの預金を子に贈与 この場合オーストラリアの預金1,000万円の贈与は日本の贈与税の対象となりません。 また、オーストラリアには贈与税の制度がないため税金は発生しません。 第3章 外国税額控除 続いて、日本の税金とオーストラリアの税金の両方が課税されてしまった場合の対策について解説します。 3-1 オーストラリアと日本のキャピタルゲイン課税の関係 例えば、日本に住んでいる人がオーストラリアにある不動産を売却した場合、そのキャピタルゲイン(譲渡益)に対して日本の所得税(住民税)とオーストラリアの所得税が2重で課税されることがあります。 3-2 外国税額控除 この場合、日本の所得税の確定申告において、外国税額控除を適用し、税金が2重で課税されないような調整を行うことができます。 【例】 <前提> 状況:日本に住んでいる人がオーストラリアにある不動産を売却し、キャピタルゲインが発生 キャピタルゲインに対する日本の税金:約1,000万円 キャピタルゲインに対するオーストラリアの税金:約2,000万円 <外国税額控除のイメージ> 日本の税金約1,000万円-オーストラリアの税金約1,000万円(控除限度額)=日本での納税は限りなく少なくなる。 ※必ずしも全ての外国税額が控除できるわけではありません。 なお、オーストラリアの税金のうち、外国税額控除として差し引きできなかった1,000万円(オーストラリアの税金約2,000万円-外国税額控除の適用を受けた約1,000万円=残額1,000万円)について、日本において還付を受けることはできません。 第4章 オーストラリアの相続手続き 次にオーストラリアの相続手続きのポイントについて解説します。 4-1 プロベート手続きが求められる オーストラリアの相続手続きはプロベートという手続きが必要となることがあります。 プロベートとは、人が亡くなった際に、その遺産を法的に管理・清算し、最終的に相続人へ分配するまでの一連の裁判手続きのことです。 プロベートが不要な日本では、相続人の話し合いにより誰がどの財産を取得するかを決めます。その内容に基づいて、不動産や預金の名義変更などができます。 しかし、プロベートが必要なオーストラリアでは、裁判所の監督のもとで、遺産の確定、債務・税金の清算、相続人への分配がされます。そのため、多くの費用(裁判所費用・弁護士費用)と時間(数か月~1年以上)を要することになります。 現実には、オーストラリアでは相続税はかからないがプロベート手続きが必要になる、というケースが数多くあります。 【「プロベート」についてはこちらの記事をご参照ください。】 4-2 プロベート対策 このプロベート手続きを回避するために以下のような対策があります。 (1)財産を日本へ移す オーストラリアのプロベート手続きを回避するために最も有効な手段は、財産をオーストラリア国外へ移すことです。生前に計画的に行うのが良いでしょう。 ただし、財産を日本へ移す場合には、日本の相続税の対策も併せて考える必要があります。 日本の相続税は日本にある財産は必ず対象となるためです (2)オーストラリアでの生前贈与 例えば、親が子どもに贈与したオーストラリアの財産は親の財産でなくなりますので、将来親が亡くなったときのプロベート手続きの心配はいらなくなります。 また、前述した通り、贈与者(財産をあげる人)と受贈者(財産をもらう人)が共に10年超海外に住んでいる状態で、海外にある財産を贈与すれば日本の贈与税は課税されないこととなります。 そして、オーストラリアには贈与税の制度はありませんので、オーストラリアにある財産を贈与してもオーストラリアにおいて贈与税は課されないこととなります。(贈与する財産によってはキャピタルゲインに対する税金が発生します。) (3)トラスト(信託)やジョイント(共同所有)の活用 オーストラリアにある財産をトラスト(信託)やジョイント(共同所有)にすることは、プロベート手続きを回避する有効な手段となります。 トラスト(信託)とは、財産を所有している人が信託契約によって信頼できる第三者に持っている財産の運用や管理、最終的な処分までを任せるものです。その契約において自分が死亡した時はこの人に財産を渡す、ということを定めておけばプロベートを経ずに財産を移転することができます。 また、ジョイント(共同所有)とは、財産を共同所有にすることです。共同所有者が亡くなった場合にその所有権が残りの共同所有者に移転するため、プロベート手続きが不要となります。代表的なものとしてジョイント・アカウント(共同名義の預金口座)とジョイント・テナンシー(不動産の共同所有)があります。 第5章 オーストラリアの相続はぜひ税理士法人マインライフへご相談ください オーストラリアにある財産に日本の相続税がかかるかもしれない・・・。 また、オーストラリアにある財産のプロベート手続きが不安である・・・。 そのような難しいケースでも、弊社には最適なサポート体制が整っています。 税理士法人マインライフは、新宿・津田沼を拠点に、相続・国際相続の専門家として豊富な実績を持つ少数精鋭の税理士法人です。年間数百件の相続税申告を担当しており、経験豊富な税理士が必ず最初から最後まで対応します。 マインライフが選ばれる理由 強み 内容 ① 国際相続の経験が豊富な専門家が直接対応 少数精鋭体制で、経験豊富な税理士が必ず対応。 担当が途中で変わる心配がありません。 ② 相続税申告・対策に特化し、豊富な実績 相続専門の法人だからこそ、相続に特有の実践的なノウハウが蓄積されています。 ③ 海外案件にも強い独自ネットワーク 海外の専門家との連携体制が整っており、亡くなった方が外国国籍の場合の手続きの対応が可能です。 ④ 申告だけでなく、相続対策にも精通 単なる税計算だけではなく、納税資金対策や二次相続対策など、将来を見据えたオーダーメイドの提案が得意です。 「オーストラリア財産の相続手続きをどうしたらいいのかわからない・・・。」と感じている方は、ぜひ税理士法人マインライフへご相談ください。 初回面談は無料です。ご状況をお伺いし、今すぐできる最善の方法をご提案いたします。 第6章 まとめ いかがでしたでしょうか。 オーストラリアの相続には以下のようなポイントがあります。 ・オーストラリアには相続税の制度はない ・オーストラリアにはキャピタルゲイン(値上がり益)に対する課税制度は存在する ・オーストラリアには贈与税の制度は存在しないが、贈与した財産によってはキャピタルゲイン課税の対象となることがある ・日本の相続税は基本として亡くなった人(被相続人)が日本国籍で日本に住んでいた場合、亡くなった人(被相続人)のすべての財産が日本の相続税の対象となる ・日本の相続税対策として生前贈与は有効 ・日本の贈与税は日本国外にある財産を贈与した場合についてはかからないケースがある ・日本の税金とオーストラリアの税金の両方が課税されてしまった場合は外国税額控除を適用する ・オーストラリアの相続手続きは原則的にプロベート手続きが必要となる ・プロベート対策として、財産をオーストラリア国外に移す、子どもに贈与する、トラスト(信託)やジョイント(共同所有)を活用する、といった方法がある ・オーストラリアに財産がある場合の相続で困ったら「税理士法人マインライフ」へ! オーストラリアに財産がある場合の相続手続きは日本とオーストラリアの法律が絡み大変複雑なものとなります。通常、この手続きを個人一人で行うのは相当な時間と労力を要します。 当記事でオーストラリアの相続制度について理解を深めていただき、読者の皆様が円満な相続を迎えられることを願っております。 国際相続にあたってはやるべきことがたくさんありますが、まずは一歩を踏み出し解決できるところから一つずつ進めていきましょう! ※本記事における日本国外の情報は、一般に公表されている基本的な内容を平易に解説したものです。具体的な実務にあたっては現地専門家への確認が必要となります。
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ジョイントアカウントと税金(相続税・贈与税)
「パートナーとの間でジョイントアカウント(共同名義口座)を開設している」 「両親がジョイントアカウントを保有していたが日本の税金は大丈夫だろうか」 私は税理士として、日々、アメリカなど海外に居住経験のある方やその親族の方から、相談を受けます。 その中でも、海外財産と関連して日本の贈与税や相続税取り扱いについて、よくご相談を受けることがあります。 ジョイントアカウントを開設してると、贈与税となるケースと相続税を考慮しなければいけないケースなど、場面に応じて検討すべきことが増えていきます。 本コラムではジョイントアカウントについてその内容・日本の税金について解説します。 あなたのジョイントアカウントに関する疑問を解決しますのでぜひ最後まで読んでみてくださいね。 第1章 ジョイントアカウントについて ジョイントアカウントとは日本にはなじみのないものですが、そもそもどのようなものなのでしょうか。 ジョイントアカウントは「家族で一緒に使える便利な口座」ですが、税金の世界では「このお金は誰の財産か」が問われます。ここでは基本の定義と、典型例としての「夫婦共有」を通じて、押さえるべきポイントを整理します。 1-1 ジョイントアカウントとは ジョイントアカウントとは、共同名義口座のことで複数名が同一の口座の名義人(口座権利者)として登録され、当該口座を共同で管理・利用する仕組みをいいます。 日本では見られませんが、海外の金融機関では一般的に利用されております。 典型例:「夫婦共有」のジョイントアカウント たとえば、次のような使い方はよく見られます。 夫婦の生活費用口座として共同で使う 夫:ジョイントアカウントへ入金(原資) 妻:家賃・光熱費・食費などを口座から支払う(出金) 税金上は「名義が夫婦共同」でも、「入金原資(誰が元手)・使途(誰の何のために使われているか)」によって、相続税や贈与税の判断が変わることがあります。 つまりジョイントアカウントは、便利な口座ではあるものの「誰の帰属」であるかが見えづらくなりやすい点が特徴です。 1-2 ジョイントアカウントの3つのメリット ジョイントアカウントを利用することで以下のメリットがあります。 (メリット1)利便性 夫婦で「生活費の支払い口座」を分けていると、支払いが散らばり、残高確認や精算が煩雑になりがちです。 ジョイントアカウントで一本化しておけば、生活費(家賃・食費・日用品など)を同じ口座から支払えるため家計の全体像が見えるため便利に運用することが出来ます。 (メリット2)権限の分散 夫婦一方の管理能力の喪失(認知症など)又は死亡に備えることが出来ます。 日本では、被相続人(亡くなった人)の死亡後、預金が凍結され出金することはできません。 一方ジョイントアカウントは死亡により所有権が他方の名義人(夫・妻など)に自動的に移転することから、自由にジョイントアカウントを利用し続けることが出来ます。 (メリット3)簡素化(死亡時の手続) ジョイントアカウントでは、前述の通り名義人の一方が死亡した場合に、所有権が他方の名義人(夫・妻など)に自動的に移転します。 これにより、現地国でのプロベート手続きが回避され、他方の名義人へ預金残高を移転させることが出来ます。 なお、生存者受給権が付いていないジョイントアカウントでは上記効果は発生しません。 (プロベート回避は第4章で詳しく見ていきます) 誤解が多い点は、手続が簡単になることと日本の相続税・贈与税の論点があるということは別問題ということです。 税金上は「誰の財産が、誰に移ったのか」を実態で整理する必要があります。 (税金は第2章、第3章で詳しく見ていきます) 第2章 日本の贈与税の取り扱い ジョイントアカウントを利用する上でどんな時に贈与税がかかるのか確認していきます。 2-1 口座開設時、入金時の贈与税の取り扱い ジョイントアカウントでは、例えば夫婦の一方が自己資金で口座を開設し、その口座へ資金を入れたとしても、その時点で直ちに相手方へ贈与税がかかるわけではありません。 ジョイントアカウントは名義人であれば誰でも引き出せる一方、開設時、入金時点では相手方が将来いくらを自分のために引き出すかが未確定であるため、単に夫婦の一方の資金拠出で口座が開設されたことだけをもって、相手方に贈与税を課すことは原則ありません。 ただし、そもそも相手方に無償で自由に使わせるための口座開設と認定できるような場合は別です。 2-2 出金時の贈与税の取り扱い 例えばジョイントアカウントの資金拠出をしていない名義人が、口座から資金を引き出し、使用した場合には原則贈与税がかかります。 もっとも、ジョイントアカウントからの出金であれば何でも課税されるわけではありません。課税が問題になるのは、上記の通りそもそも資金拠出をしていない人が、その口座から自分の利益のために資金を引き出し使用したり、その人名義の不動産などの購入資金に充てたりした場合です。 このような場合には、資金拠出した人からその名義人に対して贈与税の課税がされます。 2-3 生活費は課税されない 夫婦や親子などの一定の扶養義務者からの生活費等として、ジョイントアカウントから出金しているような場合には贈与税はかかりません。 ただし、非課税になるのは、生活費や教育費として必要な都度、直接その支払いに充てるものに限られます。生活費名目で口座から引き出したお金を株式や不動産などの購入資金に回したりした場合には、贈与税がかかるため注意が必要です。 <具体例> 夫が自己資金9,000万円を原資として妻とのジョイントアカウントを開設。 その後1,200万円を追加で入金した。 👉口座開設・入金時は直ちに妻に贈与税がかかるわけではありません。 妻が生活費等として200万円を出金し、使用した。 👉贈与税はかかりません。 相続対策として1億円を出金し、夫婦共有(持分は各1/2)の海外でコンドミニアムを購入した。 👉妻の共有持分(1億円×1/2=5,000万円)については拠出者以外が自己の利益のために取得したものとして、贈与税が課税されます。 第3章 日本の相続税の取り扱い ジョイントアカウントを所有している人が亡くなった場合に相続税がかかるのか確認していきます。 なお、本章では、相続開始時に生じる日本の課税関係を、便宜上「相続税の取り扱い」として解説します。 3-1 相続があった場合の取り扱い ジョイントアカウントへ資金を拠出していた口座名義人が亡くなった場合には相続税がかかります。 相続税の対象となる財産には、現金や預貯金だけでなく、金銭に見積もることができる経済的価値のあるものが広く含まれます。したがって、ジョイントアカウントの残高が海外にある場合でも、日本に居住している人については、国内財産だけでなく海外財産も相続税の課税の対象になります。 もっとも、海外にあるジョイントアカウントは、プロベートがある現地国の法律上「プロベート対象の遺産(日本でいう遺産分割の対象となる遺産)ではない」とされます。 ただし、上記海外での取り扱いにかかわらず、亡くなった人に帰属していたジョイントアカウントが生存名義人へ移ることについては、日本では原則、相続税(一定の場合には贈与税とする実務上の判断があります。)がかかることになります。 3-2 「亡くなった人の拠出部分」が課税対象 ジョイントアカウントを所有している人が亡くなった場合の相続税の課税対象は、「ジョイントアカウントの残高のうち、実質的に誰の財産(誰が拠出)だったのか」です。 実務では、口座開設時の原資、その後の追加入金、入出金の使途、誰が管理・運用していたかを確認することとなります。 そのため、申告時には、預金通帳、残高証明書、ステートメント、送金記録、口座開設書類などを基に、取引経緯を確認しておくことが重要です。 3-3 ジョイントアカウントの手続き 生存者受給権付のジョイントアカウントでは、死亡時の手続きは、日本の預金の相続手続きとは大きく異なります。 日本の預金では特に遺言がない場合には、相続人の分割協議により取得者を決める必要があります。 海外のジョイントアカウントの口座名義人のうち一方が亡くなった場合には、残高は生存名義人に帰属するとされており、この移転は、通常のプロベート手続の対象とはされません。したがって、少なくともその口座残高については、現地でプロベートを経ずに、生存名義人へ自動的に移る仕組みになっています。 <具体例> 夫が自己資金5,000万円で妻とのジョイントアカウントを開設し、妻は資金を拠出していなかった。 👉夫が亡くなった場合には、ジョイントアカウントの5,000万円は妻へ自動的に移り、プロベートを経ずに承継されます。 👉その5,000万円を他の遺産とともに相続により取得したものとして相続税が課税されます。 夫の資金で形成された口座であるため日本の課税の対象になります。 ~例えば、資金の拠出が「夫及び妻で2,500万円ずつ」の場合には~ 👉夫の拠出部分である2,500万円を他の遺産とともに相続により取得したものとして相続税が課税されます。 <専門家の視点👉税金と手続きの違い> 実務上、海外のジョイントアカウントについては日本の「遺言・遺産分割協議」の対象財産となりません。 一方で日本の税金上はここまで説明した通り課税の対象となる財産であるため以下の誤解が生じております。 (誤)遺言書(又は分割協議書)にジョイントアカウント(夫婦共同)は子供へ相続する旨の記載をした。 (正)ジョイントアカウントは上記の相続手続きによらず、生存名義人(夫または妻)が所有することになる。 よって子供が取得することはできません。 第4章 ジョイントアカウントによるプロベート回避 ジョイントアカウントは上述までの通り相続時にプロベートを経ずに、生存名義人へ自動的に移すことが出来る仕組みです。 プロベートの手続きは費用も時間もかかるため、実務上はその手続きを回避するためのプランニングが重要です。 4-1 海外財産にはプロベートが必要な国がある 海外にある財産については、その国によっては、プロベート(人が亡くなった際に、その遺産を法的に管理・清算し、最終的に相続人へ分配するまでの一連の裁判手続きの制度)が必要となります。 代表的な国にはアメリカやイギリス、オーストラリア、香港、シンガポール、カナダ、ニュージーランド、マレーシアなどの国で採用されております。 プロベートのデメリットは、まず時間がかかることです。その手続きは半年から3年かかることもあります。 また、費用が高額になることがあります。具体的には裁判所に支払う費用、弁護士費用などが発生します。 特に、プロベート対象財産が少額であっても、多額の費用や時間がかかり、コスト倒れになることもあります。 【プロベートの仕組みの詳細記事はこちら】 プロベートとは?仕組み・流れ・回避方法を税理士がわかりやすく解説 4-2 ジョイントアカウントによるプロベート回避 ジョイントアカウントは、生存名義人に自動的に移転します。 この移転は遺言による承継ではないため、その口座残高については、通常のプロベート財産として裁判所の分配手続を経るのではなく、契約上の仕組みによって生存者へ移るのが基本です。 プロベートの完了を待たずに又はプロベート手続きをせずに、生存名義人が管理・払戻しを受けられるため「プロベート回避手段」として有効です。 その口座残高を現地国のプロベートの対象外にできる点は大きなメリットといえます。 第5章 国際相続・贈与の相談は「税理士法人マインライフ」へ 相続財産が国際間をまたぐものであるため手続きが複雑になるかもしれない・・・。 そのような難しいケースでも、弊社には最適なサポート体制が整っています。 税理士法人マインライフは、新宿・津田沼を拠点に、相続・国際相続の専門家として豊富な実績を持つ少数精鋭の税理士法人です。年間数百件の相続税申告を担当しており、経験豊富な税理士が必ず最初から最後まで対応します。 マインライフが選ばれる理由 強み 内容 ① 国際相続の経験が豊富な専門家が直接対応 少数精鋭体制で、経験豊富な税理士が必ず対応。 担当が途中で変わる心配がありません。 ② 相続税申告・対策に特化し、豊富な実績 相続専門の法人だからこそ、相続に特有の実践的なノウハウが蓄積されています。 ③ 海外案件にも強い独自ネットワーク 海外の専門家との連携体制が整っており、海外の財産や海外在住者の手続きに対応が可能です。 ④ 申告だけでなく、相続対策にも精通 単なる税計算だけではなく、納税資金対策や二次相続対策など、将来を見据えたオーダーメイドの提案が得意です。 ぜひ税理士法人マインライフへご相談ください。 初回面談は無料です。ご状況をお伺いし、今すぐできる最善の方法をご提案いたします。 第6章 まとめ いかがだったでしょうか。 日本の制度にはない「ジョイントアカウント」について 第一章ではその仕組みをメリットふまえて解説しました。 第二章及び第三章では具体例とともに贈与税・相続税の税金を中心に解説しました。 第四章ではプロベート回避手段としてのジョイントアカウントのメリットを解説しました。 国際相続ではあまり日本ではなじみのない海外独自の財産・制度が多く存在します。 そこで大切になるのは日本と海外双方の制度に精通した税理士や現地専門家です。 手続きの漏れや課税リスクを回避するためにも専門家への相談が最善の方法になります。
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アメリカ人の夫が亡くなったら?日本人妻が知っておくべき相続手続きと税金
アメリカ人である夫が亡くなり、何をすれば良いか分からない、、、。 そんなお悩みをお持ちですね。 当記事では、日本に住むアメリカ人のご主人が亡くなった場合に日本に住む日本人の奥様が行うべき相続手続きについて解説をさせていただきます。 しなければいけないことを整理し、手続きの完了に向けた第一歩を踏み出しましょう。 第1章 アメリカ人の夫が亡くなった場合の相続手続き まずは日本に住むアメリカ人の夫が亡くなった場合の相続手続きについて整理します。 1-1 アメリカ人の夫が亡くなった場合特有の手続き 日本人の夫が亡くなった場合との大きな違いは、日本にあるアメリカ大使館または領事館への連絡が必要となる点です。 具体的には、アメリカ人の夫の死亡地を管轄する大使館または領事館に以下の情報を郵送または窓口にて提出します。 死亡届記載事項証明書(病院から発行される死亡診断書をお住いの市区町村役場に提出することにより取得できます) 亡くなられた方のご遺族の名前、住所、電話番号 亡くなられた方のアメリカのソーシャルセキュリティー番号 ご遺体を日本で火葬・埋葬するか、あるいはご遺体・ご遺骨をアメリカへ空輸して埋葬するのかどうか 上記の情報の提出後、「アメリカ政府発行の英文の死亡報告書」がご遺族に発行されます。 この死亡報告書は、アメリカの年金や保険金請求の手続き、アメリカにある財産の相続手続きで必要となります。 この詳しい手続きについては、以下の在日米国大使館・領事館のホームページにて説明されています。 【在日米国大使館・領事館のホームページ】 https://jp.usembassy.gov/ja/services-ja/death-of-a-u-s-citizen-ja/ 1-2 日本にある財産の相続手続き 亡くなった人(被相続人)がアメリカ人で生活の本拠地(ドミサイル)が日本にある場合、基本的には日本国内の財産については日本の法律に従って相続手続きを進めることとなります。そして、実際の相続手続きにあたっては亡くなった人(被相続人)の相続人を確定するための書類等が必要となります。 しかし、アメリカ人には日本の戸籍が無いため不動産の相続登記や金融機関に提出すべき必要書類が揃わないという問題が生じます。 亡くなった人(被相続人)がアメリカ人でその配偶者が日本人である場合、配偶者の戸籍には結婚の事実等が記載されている可能性もあります。しかし、それだけでは不十分な内容であることが多いです。 そのため、戸籍に代わって以下のような書類を集める必要があります。 【戸籍に代わる書類】 ・アメリカ人である被相続人及びその両親、きょうだい等の出生証明書、婚姻証明書、死亡証明書 等 例えば、出生証明書は、配偶者や親族が、被相続人が出生した地を管轄するカウンティ(郡)に請求をしたり、オンラインで取得をすることができます。 ・宣誓供述書(相続人が被相続人との関係及び被相続人の法定相続人を確認する内容のもの) 宣誓供述書は、相続人の個人情報の他、両親やきょうだい等の家族関係を記載したものをアメリカで公証してもらいます。 特に、戸籍のように「他に子どもはいない」ことの証明は、アメリカの公的書類ではできないので、この宣誓供述書で被相続人の子どもは他にはいないことを述べてもらうことがあります。 ・外国人登録原票、日本における出生届、婚姻届 等(日本に居住する被相続人の場合) 外国人登録原票は、主に弁護士を通じて取得することが多いです。日本での子ども等の家族関係が書かれていますので、法定相続人の調査・確定に有用です。 なお、これらの書類は外国語で作成されるため、手続きに使用するにあたっては日本語訳を添付する必要があります。 通常、日本にある財産の相続手続きにあたっては以下の書類が必要となります。 ・相続を証明する書類(戸籍) ・住所を証明する書類(住民票等) ・遺産分割協議書と印鑑証明書(遺言が無い場合) 1-3 アメリカにある財産の相続手続き(プロベート手続き) アメリカにある財産について相続による名義変更手続きを行う場合、実際の名義変更手続きについて日本の法律に従って進められることはほとんどありません。財産が所在する州の法律に従わなければ名義変更手続きができないことが通常です。 アメリカにある不動産や有価証券等の財産を相続するにあたっては、原則としてアメリカでのプロベート手続き(遺産を裁判所の監督のもとで整理・分配する手続き)が必要となります。このプロベート手続きにおいては、現地の弁護士や裁判所の関与が無ければ解約や名義変更といった相続手続きができないこととなります。 プロベート手続きには相当の時間と専門家に対する費用を要することになります。 【「プロベート手続き」についてはこちらの記事をご参照ください】 1-4 アメリカの年金停止と遺族年金(Social Security)の受取り手続き 日本に住むアメリカ人の夫がアメリカでの勤務歴により米国年金(Social Security)を受給していた、または、受給資格があった場合は以下の手続きを行う必要があります。 ・米国のSocial Security Administration(SSA)に電話で連絡をし、米国年金の受給者であるアメリカ人の夫が死亡した事実を伝え、年金の支給停止と過払い分の返還(※)の要否を確認する (※)亡くなった後の期間に対応する年金は支給対象外となるため、既に振り込まれた分があれば返還が必要となる場合があります。 ・遺族年金の給付の有無の確認を行う 配偶者や子どもは条件を満たせば毎月の遺族年金や一時金を受け取れる可能性があります。 なお、アメリカ大使館または領事館がアメリカの遺族年金に関する相談・申請窓口になっています。 「アメリカ人の夫が日本で亡くなり、アメリカの遺族年金について相談したい。」と連絡すると、必要書類や進め方を教えてもらえます。 【在日米国大使館・領事館のホームページ】 https://jp.usembassy.gov/ja/services-ja/social-security-ja/ 第2章 アメリカ人の夫が亡くなったときの日本の相続税 次にアメリカ人の夫が亡くなったときの日本の相続税について確認しましょう。 2-1 日本の相続税の対象となる財産の範囲 亡くなった人(被相続人)が日本に住んでいるアメリカ人で、その相続人が日本に住んでいる日本人の場合、日本の相続税はその亡くなった人(被相続人)の全世界にある財産が対象となります。 【日本の相続税の課税範囲判定のフローチャート】 また、以下の判定表でも日本の相続税がかかる財産の範囲を判定できます。 【日本の相続税がかかる範囲の判定表】 ※1 外国人被相続人を除く 外国人被相続人…相続開始時に一定の在留資格を有するもの。 ※2 一時居住者を除く 一時居住者…相続開始時に一定の在留資格を有する者で、相続開始前15年以内の国内居住期間の合計が10年以下であるもの。 ※3 非居住被相続人の前提 非居住被相続人…相続開始前10年以内において、国内に住所を有していた期間中、継続して日本国籍がなかったもの。 なお、日本の相続税は亡くなった人の財産(相続税の対象となる財産)が基礎控除額を超えなければ発生しません。 この相続税の基礎控除額は、【3,000万円+(600万円×法定相続人の数)】で計算されます。 なお、被相続人がアメリカ人の場合も日本の相続税を計算する上での「法定相続人の数」や、「法定相続分」は日本の民法に基づいて判断することとなります。 2-2 アメリカの遺族年金は日本の相続税の対象となる 通常、遺族年金は日本の相続税の対象ではありません。 しかし、2026年現在の課税実務上、アメリカの遺族年金については日本の相続税の対象となることとなっています。 この点について、日本の遺族年金とアメリカの遺族年金でその取扱いが大きく異なりますので留意が必要です。 なお、配偶者が受け取るアメリカの遺族年金の相続税計算上の評価額は、「配偶者が将来受け取る年金額の現在価値」となります。配偶者が将来受け取る年金額は相続開始日時点の配偶者の年齢における平均余命に基づき計算します。 【アメリカ遺族年金の相続税計算上の評価額の計算式】 1年当たりの受給額(平均)※×複利年金現価率=相続税計算上の評価額 ※受給額は変動するため亡くなった時点での受給額を基準とします。 【具体例】 ・前提 相続開始日(亡くなった日):令和7年1月 遺族年金受給者:昭和27年1月生まれの女性→「完全生命表」の平均余命は17年 1年当たりの受給額:月650ドル×12か月×相続開始日TTBレート157円=1,224,600円 予定利率:2.5% ・計算 1年当たりの受給額1,224,600円×複利年金現価率13.712=16,791,715円 実際の評価額の計算は下記国税庁HPに必要情報を入力すれば自動計算されます。 【国税庁ホームページ】 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/nofu-shomei/teikikin/shusinteiki.html 2-3 配偶者は「配偶者の税額軽減」の適用を受けることが可能 日本の相続税においては「配偶者の税額軽減」という制度があります。 これは、亡くなった人(被相続人)の配偶者が遺産を相続する場合、一定額まで相続税がかからず、配偶者の税額が軽減される制度です。これにより配偶者の場合、相続する財産が1億6,000万円、もしくは、法定相続分のどちらか多い方までであれば相続税がかかりません。 第3章 アメリカ人の夫が亡くなったときのアメリカの遺産税 アメリカにある日本の相続税に相当する税金として遺産税があります。 アメリカ人の夫が亡くなったときのアメリカの遺産税について確認しましょう。 【「アメリカの相続税(遺産税)」についてはこちらの記事をご参照ください】 3-1 アメリカの遺産税の基礎控除額はとても大きい 2026年現在、亡くなった方(被相続人)がアメリカ人の場合のアメリカ連邦遺産税の基礎控除額は1,500万ドルとなっています。1ドル150円の為替レートで換算すると22.5億円となります。(アメリカ非居住者の場合には控除額が制限される場合あります。) したがって、アメリカ人の場合にはほとんどのケースでアメリカの連邦遺産税は課税されない、というのが実態となります。 なお、このアメリカ遺産税の基礎控除額は毎年のように改正が行われており、実際に遺産税の計算をする際にはその年の基礎控除額の確認が必須となります。 3-2 アメリカにも配偶者の優遇措置がある 仮に亡くなった方(被相続人)の遺産がアメリカの連邦遺産税の基礎控除額を超えた場合、日本の相続税と同様に配偶者には配偶者控除という税制優遇があります。 配偶者がアメリカ人の場合、この配偶者控除は無制限となるためこれに対応する連邦遺産税は発生しないこととなります。 3-3 州税として遺産税に注意 アメリカには、連邦税としての遺産税の他に州によっては州税としての遺産税(相続税)が存在します。連邦税の遺産税はかからない場合でも州税としての遺産税(相続税)はかかる、といった場合もあります。 財産が所在する州の遺産税(相続税)のルールについてもしっかりと確認をする必要があります。 3-4 日本とアメリカの両方で相続税がかかる場合には外国税額控除を適用 複数カ国による二重課税を防ぐために「外国税額控除」という制度があります。 日本在住のアメリカ人の方が亡くなった場合、日本の相続税とアメリカの遺産税(日本の相続税に当たる税金)の両方がかかってしまう二重課税のリスクがあります。 アメリカの遺産税は亡くなった方がアメリカ人の場合、その全世界の財産が対象となります。 一方、日本の相続税も上記2-1のフローチャートの結果に応じて日本国内の財産、または、日本国内・国外すべての財産に課税されることとなります。 つまり、亡くなった方の財産に対してアメリカと日本両方の相続税(遺産税)がかかることある、ということになります。 この複数カ国による二重課税を排除するために「外国税額控除」という制度があります。 【例】 前提:日本に住んでいる方が、日本に20億円の財産、アメリカに20億円の財産がある状態で亡くなった。 相続人は日本に住んでいる子ども1人。 日本の相続税:全世界の財産(40億円)に対して日本の相続税20億円が発生 アメリカの相続税:アメリカにある財産(20億円)に対してアメリカの遺産税4億円が発生 この場合、全世界の財産にかかる日本の相続税20億円から、外国税額控除によってアメリカの遺産税4億円を差し引き、残りの16億円だけを納めることとなります。 なお、実務上は日本の相続税の申告期限(原則被相続人が亡くなってから10ヶ月以内)までにアメリカの遺産税が確定しないことが多いです。 その場合、日本の相続税の申告期限までに一旦20億円を納税します。 そして、アメリカの遺産税4億円が確定次第、当該4億円の外国税額控除を適用した申告書を再提出(更正の請求手続き)し、4億円の還付を受けることとなります。 この外国税額控除の適用に当たっては日本の相続税を計算する税理士と、アメリカの遺産税を計算する会計士・弁護士等の専門家との連携が不可欠となります。 アメリカの専門家を選定する際には、アメリカの遺産税に精通した専門家に依頼しましょう。 【「外国税額控除」についてはこちらの記事をご参照ください】 第4章 トラブルを防ぐための対策 アメリカ人の夫が亡くなった場合の相続手続きにおいて最もポイントとなるのは、アメリカに財産がある場合に必要となるプロベート手続きをいかに回避するか、という点です。 アメリカ人の夫が亡くなった場合の相続手続きの具体的なトラブル対策について確認しましょう。 4-1 プロベート手続きの回避 財産の移動・トラスト・共同所有 アメリカ人の夫がアメリカに財産を持っている場合、その財産を相続するためには原則としてプロベート手続き(遺産を裁判所の監督のもとで整理・分配する手続き)が必要となります。そして、このプロベート手続きには、現地の弁護士や裁判所の関与が必要となり、相当の時間と専門家に対する費用を要することになります。 アメリカ人の夫から財産を相続するにあたっては、このアメリカのプロベート手続きをいかに回避すべきか、というのが最大のポイントとなります。 以下に具体的なプロベート手続きの回避方法をご紹介します。 〇財産の移動 プロベート手続きはアメリカにある財産が対象となります。したがって、財産をアメリカ国外に移せばプロベート手続きの心配はなくなります。 シンプルですが、相続が発生する前にアメリカにある財産を日本に移す、というのはアメリカでの手続きを回避する上で最も有効であり確実な方法となります。 本件の事例とは異なりますが、亡くなった人(被相続人)がアメリカに住んでいるアメリカ人で、日本に銀行口座を残して亡くなったときは、その相続手続には理論上、アメリカの法律が適用されます。その結果、相続人間での相続割合(誰がいくら相続するか)や相続手続き等についてトラブルが生じる可能性があります。 〇トラスト アメリカにある財産にトラスト(信託)を設定することは、プロベート手続きを回避する有効な手段となります。 トラスト(信託)とは、財産を所有している人が信託契約によって信頼できる第三者に持っている財産の運用や管理、最終的な処分までを任せるものです。その契約において自分が死亡した時はこの人に財産を渡す、ということを定めておけばプロベートを経ずに財産を移転することができます。 〇共同所有(ジョイント) 共同所有(ジョイント)とは、財産を共同所有にすることです。共同所有者が亡くなった場合にその所有権が残りの共同所有者に移転するため、プロベート手続きが不要となります。代表的なものとしてジョイント・アカウント(共同名義の預金口座)とジョイント・テナンシー(不動産の共同所有)があります。 4-2 日本と海外のそれぞれで効力のある遺言書を作成する 日本の遺言と同様にアメリカでも遺言(Will)を作成し、遺言で指定した通りに相続財産を分配することが可能です。 日本またはアメリカの方式で作成した遺言書が他方の国においても法的に有効となる場合もありますが、実際にスムーズに手続きが進められるかというと難しい場合が多いです。日本とアメリカに財産がある場合には、日本の財産については日本の方式に従った遺言書を作成し、アメリカにある財産についてはアメリカの方式に従った遺言を作成することがポイントです。一方の国の方式のみで遺言書を作成した場合よりもスムーズに手続きを進めることができます。 ただし、気を付けなくてはいけないのがアメリカにある財産についてアメリカの方式の遺言書があったとしてもそれだけではプロベート手続きを回避することはできない、という点です。トラストと組み合わせることなどにより、プロベート手続きの回避もできるようにしておくことが重要です。 4-3 海外に財産がある場合には専門家に相談を ご主人がアメリカ人で相続が発生した場合、そのご相談は国際相続に精通した日本の専門家(税理士や弁護士)に依頼されることをお勧めします。 日本にお住まいのアメリカ人の日本の相続税・アメリカの遺産税、両国での相続対策を検討する上ではアメリカの法律だけでなく、日本の法律についても精通している必要があります。両者は密接に関わり合うためです。 また、トラストの設定などアメリカ現地の専門家のサポートが必要となった場合、自分で現地の専門家を探すのは難しく、報酬や支払いタイミングの交渉も容易ではありません。相場感がないまま契約すると、通常より高い金額になるリスクもあります。 国際相続に精通した日本の専門家(税理士や弁護士)であれば、現地の信頼できる専門家とネットワークを持っていることが多く、このようなリスクも軽減できます。 第5章 アメリカ人夫の相続はぜひ税理士法人マインライフへご相談ください アメリカ人の夫の遺産に日本の相続税やアメリカの遺産税がかかるかもしれない・・・。 また、アメリカ人の夫がアメリカに財産を持っていて、プロベート手続きが不安である・・・。 そのような難しいケースでも、弊社には最適なサポート体制が整っています。 税理士法人マインライフは、新宿・津田沼を拠点に、相続・国際相続の専門家として豊富な実績を持つ少数精鋭の税理士法人です。年間数百件の相続税申告を担当しており、経験豊富な税理士が必ず最初から最後まで対応します。 「アメリカ人の夫の相続手続きをどうしたらいいのかわからない・・・。」と感じている方は、ぜひ税理士法人マインライフへご相談ください。 初回面談は無料です。ご状況をお伺いし、今すぐできる最善の方法をご提案いたします。 第6章 まとめ いかがでしたでしょうか。 アメリカ人の夫が亡くなった場合の相続手続きには以下のようなポイントがあります。 ・日本に住むアメリカ人が亡くなった場合は日本にあるアメリカ大使館または領事館への連絡が必要 ・日本にある財産の相続手続きには戸籍に代わる出生証明書、婚姻証明書、死亡証明書、宣誓供述書等が必要になる ・アメリカにある財産の相続手続きには原則としてプロベート手続きが必要となる ・亡くなったアメリカ人の夫が米国年金を受給していた場合にはその相続人が遺族年金を受け取れる場合がある ・米国の遺族年金は日本の相続税の対象となる ・日本の相続税の計算上、配偶者が財産を受け取った場合には配偶者の税額軽減の制度の適用が可能 ・アメリカの連邦遺産税は基礎控除額が多額であるため発生しないことが多い ・アメリカの連邦遺産税にも配偶者の優遇措置がある ・アメリカの連邦税としての遺産税はかからなくとも、州税としての遺産税がかかることがあるので注意が必要 ・日本の相続税とアメリカの遺産税の両方がかかる場合には外国税額控除の適用を検討する ・アメリカのプロベート手続きを回避する手段として、財産をアメリカ国外に移動したり、トラストや共同所有(ジョイント)とする方法がある ・遺言を作成する場合には財産のある国それぞれの方式で作成することがおすすめ(遺言だけではプロベートの回避はできないことに注意) ・アメリカ人のご主人が亡くなった場合の相続手続きは国際相続に精通した日本の専門家(税理士や弁護士)に相談した方が良い ・アメリカ人夫の相続で困ったら「税理士法人マインライフ」へ! アメリカ人のご主人が亡くなった場合の相続手続きは日本人が亡くなった場合とは異なり、日本とアメリカ双方の法律が絡み大変複雑なものとなります。 通常、この手続きを個人一人で行うのは相当な時間と労力を要するものと想定されます。 当記事を参考にしていただき、相続のためにすべきことを整理していただいた上で、ご相続人の皆様が円満な相続を迎えられることを願っております。 国際相続にあたってはやるべきことがたくさんありますが、まず今できることを一つずつ進めていきましょう!
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お客様の声
弊社にご依頼いただいたお客様のご感想です。
相続税申告
「着実かつ正確に相続税の算出・手続きを進めてくれた」
神奈川県・70代・男性
相続税申告
「同様の悩みを持つ友人にも是非紹介したい先生です」
神奈川県・50代・男性
相続税申告
「その後の身の振り方に決心がつきました」
埼玉県・60代・女性
相続税申告
「私たちの気持ちに寄り添って対応していただきました」
神奈川県・70代・女性
相続対策
「綿密な資料やシミュレーションをもとに丁寧な説明をいただき提案内容も納得」
神奈川県・60代・男性
相続税申告
「短期間かつ時差があるにもかかわらず必要書類を間に合わせてくれた」
スペイン(バルセロナ)・50代・女性
相続税申告
「コロナ禍、申告期限まで猶予のない中ご親切ご丁寧に対応いただいた」
千葉県・50代・男性
相続税申告
「業務の的確さはもちろん、明るい対応で前向きな気持ちにしていただけて助けられました」
埼玉県・70代・女性
相続対策
「相続した大切な資産を次に繋げていくために、納得のいく対策がとれました」
東京都・50代・女性
相続税申告
「準備すべき書類などをわかりやすく教えていただき、行うべきことがはっきりした」
東京都・50代・男性
相続税申告
「対応がとてもスピーディーだった」
神奈川県・30代・男性
相続税申告
「最後の面談を皆で笑顔で迎えられた」
神奈川県・30代・女性
FAQ
よくあるご質問
お客様からいただくことが多いご質問についてまとめています。
Q.
初回相談は無料ですか?費用はいつ、どのように発生しますか。
はい、初回相談は無料です。
まず(対面/オンラインで)状況をお聞きし、業務内容・進め方・お見積書をご案内します。
内容にご同意いただきご契約後に着手し、以降はお見積書どおりの費用がかかります。
追加の作業が必要になりそうなときは、事前にご説明し、あらためてお見積りします。
お客様のご同意なしに費用が発生することはありませんのでご安心ください。
Q.
海外在住の日本人ですが、対応可能ですか。
大丈夫です。
日本の相続税は、海外在住でも課税される場合があります。
当法人はZoomによるウェブ面談の対応もしておりますので、海外からのご相談も可能です。
必要に応じて海外の弁護士・公証人・会計士とも連携します。
Q.
依頼する必要があるかどうかも分からないのですが、この段階で相談しても大丈夫ですか。
もちろんです。少しでも早くご相談いただくことをおすすめします。
特に国際相続は書類集め・翻訳・各国の手続き調整に時間がかかります。
早い段階で論点整理とスケジュール作りをしておくと安心です。
Q.
海外にある財産の相続手続きは、どこから始めればよいですか。
まずは情報の整理からです。
財産の種類・所在国・名義などを確認し、国ごとに必要な手続きをチェックします。
たとえば米国の財産は内容によって、裁判所を通す手続き(プロベート)や金融機関ごとの書類が必要になることがあります。
当法人が現地の弁護士や金融機関と連携しながら進めます。
Q.
海外で作成した遺言書は、日本でも有効ですか。
有効と認められる可能性があります。
遺言の形式は、作成した国や本国のルールを満たせば有効になることがあります。
ただし、日本での手続き(登記や銀行)には翻訳や認証(アポスティーユ等)が必要になる場合があります。
個別の内容を確認したうえでご案内します。
Q.
海外の財産の手続きはどうなりますか。
海外の財産は、原則としてその国での手続きが必要になります。
また、遺産が海外の財産だけでも日本の相続税の申告が必要になる場合があります。
一方、名義変更や解約は財産がある国のルールで行う必要があり、現地の手続き(プロベート・公証・銀行手続き等)が求められることもあります。
当法人が、日本側の申告と海外側の手続きの段取りをまとめてサポートいたします。











