事業承継:株式を承継し、相続税負担を大幅に抑えた事例

年商:2億円
従業員数:10人
業種:製造業
効果:株式の承継、相続税の圧縮

事例概要

役員報酬が高く、会社は赤字。でも個人の税負担は重いという状況。
税額シミュレーションとキャッシュフローの可視化を行いながら、株式承継のタイミングまで設計して実行した事例です。
結果として、株式を低い評価で承継しつつ、将来の相続税負担も大幅に圧縮できる見込みとなりました。

ご依頼の背景

背景

先代の社長(父)は82歳、2代目社長(息子)は53歳。
製造業を営む会社です。
会社の売上は順調。ただし、父が代表者として多額の役員報酬を受け取っていたため、会社は毎期赤字となってます。

状況と問題点

・会社は毎期利益が生じていないため、法人税等の負担はほとんどない
・一方で父個人は、多額の役員報酬+賃貸収入等があり、所得税・住民税の負担が多額に発生
・さらに父は、自宅のほか賃貸不動産等を含め相当額の財産を保有しており、将来の相続税が多額になる見込み
・会社は一定の資産を保有していたものの赤字が続いていたため、株式評価額はそれほど高くない

解決までの道のり

当法人からのご提案

状況を踏まえて、3つの視点からご提案をしました。

提案1)現状の把握し、「支給額を変更した場合」の影響を可視化する

父個人は、毎年の所得税・住民税の負担が大きく、将来の相続税も多額に発生する見込みでした。
そこで、次の観点で税額シミュレーションを行い、数字で見える化しました。

シミュレーションしたこと
・毎年の税金負担(現状のままの場合)
・代表を子どもに譲り、父の役員報酬をなくした場合の税負担の軽減額
・退職金を支給する/しない場合の影響 など

シミュレーションの結果、役員報酬・退職金ともに「支給なし」が最も税負担を抑えられるという結論になりました。
退職金は所得税などでは優遇がありますが、本件では相続税まで含めたトータルの税負担を比較した結果、支給しない方が有利となりました。
特に役員報酬については、「現状どおり支給を続けた場合」と「支給をなくした場合」とでは、所得税・住民税の負担に相続税の影響まで考慮すると、年間で千数百万円の差が生じていました。

提案2)株式承継(贈与)の「タイミング」を設計する

会社の株式は高額ではないものの、後継者へ贈与で移転すると一定の贈与税の負担が生じる金額でした。
また、父の役員報酬をなくすことで、会社は赤字から黒字に転換し、今後は資産が増えて株価も上がることが想定されました。

赤字が続いている状態の株価が一番低くなると考える方が多いかもしれませんが、贈与をする際の税務上の評価は、赤字が続いているときよりも、黒字転換直後の方が、株価が低く出るケースが多くあり、本件もそのケースに該当しました。
そこで本件では、役員報酬をなくした直後ではなく、しばらく経過し黒字に転換した後に株式贈与を実行しました。
また贈与は、通常の暦年贈与ではなく、相続時精算課税制度を用いて贈与税負担の圧縮を図りました。

※相続時精算課税制度には「特別控除(上限2,500万円)」があり、これを超える部分は原則一律20%で計算されます。
さらに、令和6年(2024年)以後の贈与からは、相続時精算課税でも年110万円の基礎控除が創設されています。また、相続時精算課税制度は相続時に足し戻す(精算する)必要がありますが、足し戻しを行う際は贈与時の価額になります。

これにより、贈与時の税金の支払いを抑えつつ株式を低い価額で固定することができました。
今後、会社利益が積み上がり株価が増大しても、株式は既に後継者の所有であるため、先代の相続税には影響しないことになります。

提案3)会社承継に合わせた相続対策も同時に実施する

会社承継だけでなく、個人側の財産も踏まえて相続対策(納税資金確保を含む)をご提案し、将来に備えていただきました。
まだ相続が発生する前で、かつ、試算ベースですが、全体で数億円規模の税負担の軽減が見込まれる状態となっています。

得られた結果

・役員報酬の見直しにより、父個人の所得税・住民税負担を大幅に圧縮
・株式承継のタイミングを設計し、株式を低い評価で後継者へ移転
・相続時精算課税制度を活用し、贈与時の税金の支払を抑制
・会社承継と同時に相続対策も進め、将来の相続税・納税資金不安を軽減

案件のポイント

この事例では、先代にご理解いただくことが一番のハードルでした。
将来も見据えたシミュレーション、会社を存続していくため・納税資金を確保するためのキャッシュフローの可視化を行い、ご決断をいただけました。

担当 川崎 からお客様へ

税金は様々なタイミングで発生します。
対策時の税金が安くなっても、追加で発生する税金やコストにより効果がほとんどないこともあります。全体を見通すことで、最適な方法を見つけることができます。

また、単に税金が安くなれば良いというものでもありません。
将来を見越し、その時その時の法令に基づいた最適な対策を実行することが重要となります。

国際相続に精通した税理士が、海外財産の評価から申告までワンストップで対応します。
他の税理士に断られた複雑案件であっても、私たちは解決します。まずはお気軽にご相談ください。

国際相続に精通した税理士が、海外財産の評価から申告までワンストップで対応します。