3分でわかる!あなたは国外財産調書が必要か?【フローチャート付き】

3分でわかる!あなたは国外財産調書が必要か?【フローチャート付き】
川崎 朝輝
代表社員 / 税理士川崎 朝輝
相続税申告にとどまらず高度な知識と判断力を要する会社オーナーの事業承継案件も数多く担当。理系出身の数字に強い税理士。鋭い分析力で、複雑な税務も理論的に分かりやすく解決。他の税理士からの相談も絶えないプロ中のプロ。

海外の銀行口座や株式、不動産をお持ちの方へ。
「国外財産調書」という言葉をどこかで耳にしたことはありませんか?

実は、ここ数年、国税庁は国外財産の把握にかなりの力を入れています。
その一環として設けられたのが「国外財産調書」です。

最近は、海外に財産を保有されている方も増えており、「自分も提出の対象になるのでは?」と悩まれる方も増えています。

国外財産調書は、毎年12月31日時点で国外にある財産の合計が5,000万円を超える場合に提出が義務づけられている届出書です。

とはいえ、
「提出が必要かどうかよく分からない」
「もし出さなかったらどうなるのか不安」
「書き方が難しそうで挫折しそう」
こうした疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか?

この記事では、3分で提出要否を判定できるフローチャートを用意しました。
さらに、制度の詳細、提出しなかった場合のペナルティと提出するメリット、作成方法までを、税理士の視点で分かりやすく解説します。
「提出が必要かどうか」この記事を読めば整理できます。
ぜひ最後までご覧いただき、制度を正しく理解し、今ある不安を取り除いてください。

まずは、国外財産調書の提出が必要か否かについて確認をしていきましょう。

第1章 3分で分かる!国外財産調書の提出要否フローチャート

国外財産調書の提出が必要かどうかは、いくつかの条件を確認するだけで判断できます。

ここでは、3分で提出要否を判定できるフローチャートをご用意しました。

なお、判定を行う際の注意点(相続財産やローン付き不動産、共有財産の扱いなど)は、1-3で補足していますので、併せてご確認ください。

国外財産調書の提出要否フローチャート

次に、制度の概要や提出する様式について確認をしましょう。

 

1-1 国外財産調書の制度概要

国外財産調書は、毎年12月31日時点で国外にある財産の合計が5,000万円を超える場合に、日本の居住者に提出が義務づけられている届出書です。
なお、提出期限は翌年の6月30日までです。

提出する際の様式は次の通りです。

国外財産調書合計表国外財産調書

 

1-2 国外財産調書を提出しないとペナルティ、提出すれば優遇も

国外財産調書は提出しないとペナルティが課されます。反対に、提出すれば税務上の優遇もあります。

1-2-1 提出がない場合のペナルティ

国外財産調書を提出しなかったり、記載すべき項目が欠けていたりした場合、その財産について所得税や相続税の申告漏れがあると、過少申告加算税や無申告加算税が通常より5%重くなります。
・過少申告加算税=申告額が少なかった場合のペナルティ
・無申告加算税=申告すべき税金を申告しなかった場合のペナルティ

さらに、偽りの記載や正当な理由のない未提出の場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されることもあります。
そのため、国外財産調書を提出すべき方は、必ず提出しましょう。

1-2-2 提出した場合の優遇

提出期限内に国外財産調書を提出していれば、その財産に関して所得税や相続税の申告漏れがあった場合でも、過少申告加算税や無申告加算税が5%軽減されます。

 

1-3 提出要否を判断する際の3つの注意点

注意1 ローン付きの海外不動産

ローン付きの不動産を所有している場合、ローン残高を差引く前の不動産評価額で判定します。
たとえば7,000万円の海外不動産を所有し、ローン残高が3,000万円ある場合、実質は4,000万円ですが、国外財産調書の判定額はローン残高を差引く前の7,000万円となります。
したがって、この不動産だけを所有している場合でも 「7,000万円>5,000万円」となり、提出対象です。

注意2 共有財産の場合

国外財産を夫婦や親族と共有している場合は、その持分の割合に応じて計算します。
しかし、持分が定まっていない場合や持分が明らかになっていない場合は、各共有者の持分は相等しいものと推定して計算することになっています。
海外でよく見られるジョイントアカウント(共同口座)やジョイントテナンシー(共同名義不動産)も同様に取り扱うことになっています。

注意3 相続で取得した国外財産

国外財産を相続した場合、相続をした年の国外財産調書では考慮する必要がありません。
しかし、翌年の年末に引き続き保有している場合は考慮する必要があります。

次の章では国内財産か国外財産かを判定するPointを確認していきます。

第2章 国内財産か国外財産か?判定の2つのPoint

次の2つのポイントを押さえれば、ほとんどの方はお持ちの財産について判断できると思います。
なお、この判定は相続税法に基づいて行われます。細かく知りたい方は国税庁の資料(参考)をご確認ください。

Point1 預金・有価証券は「口座の所在地」で判定!

預金や有価証券は、管理している金融機関や証券会社の所在地で判断します。
外貨預金や外国株式であっても、日本国内の証券会社で管理されていれば 国内財産(対象外)
一方、日本の株式であっても、海外の証券会社で管理していれば 国外財産(対象)となります。

Point2 不動産は「物件の所在地」で判定!

日本にある不動産は、国内財産(対象外)
一方、海外にある不動産は、国外財産(対象)となります。
たとえ、日本の不動産会社から購入したとしても、所在が海外であれば国外財産に該当します。

プラスα 暗号資産は「所有者の住所地」で判定!

暗号資産は国外の取引所で取引をしていたとしても所有者の住所地で判断します。
国外財産調書は日本の居住者に提出義務があるもので、その日本の居住者にとって暗号資産は国内財産(対象外)となります。
最近は暗号資産で大きな利益を得ている方も多いですが、国外財産調書については心配する必要はありません。

財産の所在
出典:国税庁ホームページ 国外財産調書制度(FAQ)令和7年6月

次の章では、国外財産の評価方法と外貨から円への換算ルールについて確認します。

第3章 国外財産の評価と為替換算

国外財産調書では、毎年12月31日時点に保有している国外財産の価額を円換算して記載する必要があります。
対象財産の価額をどのように評価し、どの為替レートで換算するのかを正しく理解しておくことが大切です。

3-1 評価額の出し方

国外財産は、その年の12月31日における「時価」を計算する必要があります。

「時価」というのは、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額のことをいいます。
つまり、実際にその財産を売買するときの一般的な値段ということです。
しかし、「時価」を求めやすい財産と求めにくい財産があります。
「時価」を求めにくい財産は、合理的に見積もった価額などを用いて計算することになります。

【時価を求めやすい財産】

現金・預金 : その年12月31日の残高
上場株式等 : 金融商品取引所等の公表するその年の12月31日の最終価格
        (ない場合は、その直近の日の最終価格)
未収入金・貸付金 : その年12月31日の元本の額

【時価を求めにくい財産】

土地、建物

① 固定資産税の評価額を使う方法
その国で日本の固定資産税に相当する税金がある場合は、税金を計算するための不動産の評価額(課税標準額)を使います。
② 購入価額を基準に見積もる方法
購入時の価格に、その国の不動産統計指数などを参考にして合理的な変動率を乗じて価額を見積もります。
③ 実際の売却価額を使う方法
国外財産調書の提出までの間に売却した場合、その売却価額を評価額とします。
④ 建物は償却して評価する方法
建物に限り、購入価額から経過年数に応じた償却費を控除して計算します。

金融市場で取引のない有価証券(非上場株式など)

① 直近に売買が成立していて、適正と認められるものがあればその価額
② 実際の売却価額を使う方法
  国外財産調書の提出までの間に売却した場合、その売却価額を評価額とします。
③ 法人の純資産価額に持株割合を乗じて計算した金額
④ いずれの計算も難しい場合は取得した価額

貴金属、書画骨とう及び美術工芸品

① 直近に売買が成立していて、適正と認められるものがあればその価額
② 実際の売却価額を使う方法
  国外財産調書の提出までの間に売却した場合、その売却価額を評価額とします。
③ いずれの計算も難しい場合は取得した価額

【評価する場合の注意】

ローンがある場合

海外不動産などにローンが付いている場合でも、ローン残高を差し引かずに不動産の評価額全体で判定します。
(例:7,000万円の不動産に3,000万円のローンがあっても、4,000万円ではなく7,000万円で計算します。)

共有財産の場合

夫婦や親族と共有している財産は、持分割合に応じて評価します。
持分が明らかでない場合は「等分して所有している」と推定されます。
海外によくあるジョイントアカウントやジョイントテナンシーも、同様に持分割合で計算します。

 

3-2 為替換算の基準

その年の12月31日における最終のTTBにより為替換算を行います。
財産債務調書には、邦貨(円)で提出の要否の判定、及び、記載をする必要があります。
国外財産ついてはその国の通貨で評価するため、最後に円に換算する必要があります。
その際に用いるのが、取引金融機関が公表するその年の12月31日における最終の対顧客直物電信買相場(TTB)又はこれに準ずる相場(同日にこれらの相場がない場合には、同日前のこれらの相場のうち、同日に最も近い日のこれらの相場)になります。

一通り、国外財産調書について確認をしてきました。
次の章では、よくあるQ&Aについて確認をしていきましょう。

第4章 よくある疑問Q&A

Q1 期限後に提出した場合はどうなる?

A1 期限後でも、自主的に提出したものであれば、期限内に提出したものとみなされて、『1-2-2 提出した場合の優遇』を受けられます。
ただし、所得税や相続税の調査があり、修正されることを予知した後に提出した場合は対象外となります。

Q2 提出したあとに誤りや記載漏れがみつかったらどうすればいいの?

A2 誤りや記載漏れに気づいたら、直した内容ですべての国外財産を記載しなおして再提出します。
誤りや記載漏れの部分だけではなく、すべての国外財産を記載して提出する必要があります。
この場合もQ1と同じく、自主的に提出したものであれば期限内に提出されたものとみなされて、『1-2-2 提出した場合の優遇』を受けられます。

誤りや記載漏れに気づいたらそのままにせず、早めに再提出しましょう。

Q3 国外財産調書と財産債務調書はどう違うの?両方提出しないといけないの?

A3 提出の要件に該当する人は両方とも提出が必要になります。
両方とも提出する場合には、国外財産調書に記載した国外財産については、財産債務調書には詳細に記載する必要はありません。
なお、財産債務調書とは一定の所得や財産がある方が提出する書類で国外財産調書と比較すると次の通りになります。

項目国外財産調書財産債務調書

提出
すべき人

居住者
(非永住者を除く)で、
国外財産の合計が
5,000万円超の人

次の➀と➁のいずれかに該当する人

➀所得が2,000万円を超え
かつ
総資産が3億円以上又は
有価証券等を1億円以上

➁居住者で総資産が10億円以上

対象財産国外にある財産のみ国内、国外問わずすべての財産・債務
基準日12月31日
提出期限翌年6月30日
提出先所轄税務署
ペナルティ相続税・所得税とも
加算税を5%加重
(死亡した方の所得税を除く)
所得税のみ加算税を5%加重
(相続税は加重なし)
優遇相続税・所得税とも加算税を5%軽減
刑罰

虚偽記載または
提出義務不履行の場合

1年以下の懲役または
50万円以下の罰金

明示なし

疑問になりやすい項目についてQ&A形式で解説していきました。
しかし、いろいろな財産があり自分で作成して提出するには不安な方もいらっしゃると思います。
次の章では、税理士に相談するメリットについて触れていきます。

第5章 税理士に相談するメリット

国税庁はCRSなどの制度により、他国の金融機関からの情報提供を受け、国外資産の把握を強化しています。
しかも、国外財産調書は実務上ミスが起こりやすい制度です。
税理士に相談することで次のようなメリットが得られます。

5-1 記載漏れや評価ミスを防げる

国外財産調書は、財産ごとに評価方法や換算レートを正しく適用する必要があります。
税理士に依頼することで、記載漏れや評価ミスを防ぎ、安心して提出できます。

5-2 新しい視点からの提案が受けられる

調書を作成する過程では、財産の全体像を把握します。
税理士が関与すれば、所得税や将来の相続税を見据えた財産管理・運用の提案を受けられることもあります。

5-3 税務に関する相談を継続的に受けることができる

税務に関する相談は内容が多岐にわたり、短期的な対応だけでなく長期的な視点で考えることが大切です。
例えば、所得税の対策は1年だけだとあまり効果が見えにくくても、毎年継続することで大きな効果をもたらすことがあります。
また、相続税の対策は、早い段階から長期的に取り組むことでより効果が高まります。
そのため、信頼のできる税理士に継続的に相談できる体制を整えておくことは、大事な資産を守るためにとても大切です。

第6章 ご相談は、信頼と実績の「税理士法人マインライフ」へ

財産が海外にあり、国外財産調書の提出が必要そう・・・。
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第7章 まとめ

いかがだったでしょうか?

国外財産調書は、海外に資産をお持ちの方にとって無視できない重要な制度です。
国外財産が5,000万円を超える居住者にとっては提出が必須です。
また、未提出や虚偽記載には加算税の加重や刑罰のリスクがあり、正しく提出していれば加算税の軽減という優遇措置も受けられます。

さらに、判定方法や評価の仕組みは複雑で、ローン・共有・相続財産など誤解しやすい点も多いため注意が必要です。

制度を正しく理解し、早めに対応することが何よりも大切です。もし少しでも不安があれば、ぜひ税理士にご相談ください。

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