中国の財産に相続税はかかる?日本在住者が確認すべき相続時の注意点

中国の財産に相続税はかかるのか
伊藤 千尋
千葉事務所長 / 代表社員 / 税理士伊藤 千尋
数十億規模の地主案件を数多く手掛ける不動産税務のエキスパート。土地評価に精通し地主や大手不動産会社他士業からも熱い信頼を得ている税理士。
中村優紀
中村法律事務所 代表パートナー弁護士 / ニューヨーク州弁護士中村優紀弁護士
中村法律事務所代表弁護士。日本及びニューヨーク州の資格を有する国際弁護士として、日本とアメリカの資産に関する国際相続、生前対策(エステートプランニング)に強みを持つ。65か国400人が所属する国際弁護士ネットワークWILLのアジア・パシフィック代表。

中国で財産を相続する場合はどうしたらいいのか?

このように疑問をお持ちの方も多くいるのではないでしょうか。

 

 

中国本土で財産を相続するときには、相続税というものはありません。

ただし、中国にある財産を相続する際には名義変更と送金の段取りが重要になります。

 

また、中国で相続税がかからない場合でも、例えば日本在住の方であれば、日本の相続税が課される可能性があります。

 

そもそもCRS(共通報告基準)という制度が存在し、海外口座の情報は各国の税務当局に自動で共有されます。

そのため、正確な把握と適切な申告が必要になるのです。

 

この記事では中国財産がある方から財産を相続する場合に気を付けるべき事項をまとめています。

この記事を読んで手続きを円滑に進められれば幸いです

第1章 中国に相続税はな

中国本土には相続税がなく、相続そのものに税金はかかりません。

 

ただし、香港・マカオ・台湾は独自制度で運用されています。

香港とマカオは相続税がなく、台湾には相続税が設けられています。

 

地域差は実務の細部に及ぶため、「本土」・「香港」・「マカオ」・「台湾」を分けて考え、各地域での最新の運用を確認しながら進めましょう。

 

また、中国には相続税はありませんが、中国にある財産を相続する場合にはその名義変更や送金手続きが重要になります。

次章では中国にある財産の名義変更、送金手続きについて確認していきます。

第2章 中国の財産の名義変更、日本への送金手続き

名義変更・送金手続きがうまく回るかどうかは、必要書類の整え方と手順の設計にかかっています。

作業は大きく、「財産の把握」、「名義変更(登記・銀行)」、「外貨両替と送金」という三つの段階に分かれます。

中国財産の相続手続順序

どの段階でも本人確認と書類の整合性が重視され、一枚の不足や表記の不一致が差し戻しの原因になりがちです。

 

相続人が一人なら、遺産分割の同意書がいらない分だけ手続きは進みやすいです。

ただし、氏名の表記や親族関係を示す書類に少しでも不一致・不足があると、役所や銀行から差し戻されて「出直し」が増え、結局は時間がかかります。

そのため、最初に提出書類の作りをきっちり設計することが大切です。

 

中国では他の国に比べてインターネット等で得られる情報が少ないため、いずれの手続きも非常に困難になるケースが多いです。

ここでは一般的な手続きの流れや方法を記載しますが、実際には現地専門家と対応を検討しながら進める必要があります。

 

アポスティーユ=国際的に文書の正しさを証明する仕組み(提出先の国が条約加盟国の場合に利用可)。

2-1 中国にある「財産の把握」

最初の一歩は、どこに何があるのかを把握し一覧にすることです。

 

不動産、銀行・証券、保険などを推定も含めて洗い出し、優先順位を付けて照会していきます。

 

 

 

 

 

中国国内での手続きでは、明確に正当な権限の確認ができない相手に情報を開示しません。

そのため、入念に書類を準備して手続きを進める必要があります。

 

また、現地の弁護士や専門職に委任して進める場合は、委任状の形式や本人確認の方法を事前にすり合わせておくと行き違いを防げます。

 

パスポート・戸籍・翻訳書類の氏名表記は最初に統一しておくと、後の差し戻しを大幅に減らせます。

2-2 中国における不動産の権利と「名義変更」手続き

中国の不動産は、建物の所有権と土地の使用権を一体として取り扱い、日本と同様に名義変更手続きを行います。

 

具体的には、相続が発生したら以下の流れで手続きを進めます。

①不動産権証(不动产权证书)で用途、使用期限、権利の種類を確認します。

②死亡事実や親族関係を示す日本の書類を中国語に翻訳します。

③公証・アポスティーユを付して、不動産登記機関に継承登記を申請します。

 

地域によっては公告や追加照会が求められることがあり、提出書類の精度と、窓口の最新案内に合わせた準備がスピードを左右します。

 

農村の宅基地を含む物件は「房地一体」で扱われ、備考欄への注記など地域運用の差が大きいため、登記センターに事前照会して要件を確認しておくと安心です。

 

被相続人又は相続人が中国国籍の場合は、親族関係を示す書類として、親族関係公証書、出生公証書、死亡公証書などを中国国内の公証処で取得することもあります。

 

公証手続については、日本の公証役場ではなく、中国現地の公証処での公証が必要となる場合がありますので注意が必要です。

2-3 中国における預金の名義変更手続き

中国では預金の名義変更手続きも困難となります。

 

銀行では、被相続人の口座がいったん凍結され、相続人の申請に基づいて払戻しや名義変更が行われます。

ただし、中国の銀行では正当な権限の確認ができない相手に情報を開示しないので、その手続きも順調に進まないことが多いです。

 

具体的な必要書類は銀行ごとに細部が異なります。

事前に最新のリストを取り寄せ、戸籍・身分証の中国語訳、公証、委任状、銀行所定の相続書類、送金先口座の情報などをそろえてから窓口に向かうのが効率的です。

2-4 中国の預金を日本に送金する際のポイント

日本への送金時のポイントは、「相続を目的とする正当性の説明と裏付け資料を揃えられるか」になります。

中国の外貨・海外送金には目的と真実性の審査があり、用途、金額、回数の取り扱いは銀行の運用と提示書類の整合で決まります。

 

外貨両替と送金の際には以下の点に注意しましょう。

・名義変更の完了時期を確認しておく

・為替レートや手数料を見込んだ両替のタイミングを計画する

・相続目的での枠超えの扱い(中国人が外貨に両替して送金する金額が5万米ドルを超える際には所定の手続きを経る必要があります)を適用できるようにする

 

・着金予定日までを含めた計画表を先に作っておく

 

また、送金手続きと注意点については下記のような地域差があります。

・香港:外貨の出入りは比較的スムーズ。ただしKYC(本人確認)が厳格で、書類整合性のチェックが細かい。

・マカオ:相続税はないものの、不動産移転で印紙税などの周辺費用が発生し得る。費用見込みを事前に確認。

・台湾:相続税の申告スケジュールを送金計画と一体で組み立てる必要がある。(評価・書類準備の期間を要する)。

 

いずれの地域でも、銀行担当者と早めに要件をすり合わせておくと安心です。

第3章 日本で相続税がかかる場合も

相続人が日本の居住者である場合、海外の財産も相続税の対象になり得ます。

この記事では日本側の制度説明を最小限にとどめますが、「対象になる可能性がある」という前提で、評価資料の準備と期限管理を先に進めておくと、後戻りを避けられます。

後述するCRSの運用が広がっているため、「申告しなければ分からない」という考え方は通用しません。

3-1 中国にある財産でも相続人が日本にいれば日本の相続税の課税の対象

日本の居住者が財産を相続する場合は、中国にある財産も課税の対象になり得ます。

最終的な判定は居住地や国籍、経緯に左右されるため、判断が難しい場合は早めに専門家へ確認をとって、迷いのないスケジュールを引きましょう。

日本側での検討を最低限に抑えつつも、「対象になり得る」という前提で準備しておけば、後で制度の線引きを見直すことがあっても対応できます。

3-2 中国にある財産の評価

中国に財産がある場合、その価額を評価するというのも重要になります。

なぜなら、日本の相続税を計算する際には、中国にある財産の価額を算定して、日本の税率に乗じることになるからです。

 

財産の評価には資料の精度と段取りが重要になります。

不動産は権利証・登記情報・市場価格など現地資料にもとづいて評価し、預金は残高証明と基準日の外国為替レートで円換算します。

 

取り寄せや翻訳、公証に時間を要するため、申告期限から逆算して、誰がいつ、どの資料を用意するかを明確にし、換算の根拠やレートの出所をあわせてファイルしておくと、後日の問合せにも強くなります。

3-3 CRS制度に注意

CRS(共通報告基準)は、各国の税務当局が金融口座情報を自動的に交換する国際的な枠組みです。

例えばCRS参加国であるシンガポールに預金を持っている人が亡くなった場合には、日本の税務署がシンガポールの税務当局に要請をすればその方のシンガポールにある預金情報を取得することができるのです。

この制度により、以前は外国の預金まで税務署が調査することは難しかったのですが、容易に把握することができるようになりました。

 

中国本土、香港、マカオはいずれも参加し、2018年から情報交換が始まっています。

 

実務では、口座や残高を最初から正確に把握し、名寄せされても困らない状態に整えておくこと、そして日本側で適切に申告・整理しておくことが、追加の手間や修正を避けるうえで最も効果的です。

金額の多少にかかわらず、対象や条件に応じて情報は交換され得るため、最初から適切に申告をすることが安安心に繋がります。

第4章 専門家に早めに相談するのが安心

国際相続では、言語、制度、タイムラインという複数の壁が同時に立ちはだかります。

名義変更、送金、日本側の評価と申告といった一連の作業を一本の線で設計できる体制が整えば、必要書類の順番や提出先、確認の手戻りが減り、全体のスピードが一気に上がります。

4-1 国際相続に強い税理士なら安心

 

国際相続に強い税理士を窓口に一本化できると、迷いが消えます。

翻訳、公証、アポスティーユの要否と順番、銀行の要求書類の事前確認表づくり、評価基準日の設定や為替レートの根拠管理、そしてCRS時代に求められる説明可能性を担保した書類整備まで、流れ全体を見通して組み立てられることが、時間と費用の無駄を減らす最大の効果です。

4-2 事前の準備で手間を減らせます

生前から情報を「見える化」しておくと、相続時の負担は劇的に小さくなります。

銀行名・支店・口座番号を含む口座一覧、不動産の所在地・証書番号・用途・使用期限を記した権利証と登記情報、投資や保険の契約一覧、戸籍やパスポートなど重要書類の保管場所、銀行担当や登記窓口、代理人といった現地の連絡先など。

これらを一つの場所に集約し、氏名表記を最初にそろえるだけで、後の差し戻しや重複作業が目に見えて減ります。

4-3 専門家の関与で家族トラブルも防げます

第三者が関与すると、感情と作業を分離でき、誤解の芽を早い段階で摘み取れます。

相続人が1人のときでも、銀行や登記で伝えるべき「言い回し」や、証跡の残し方、期日の管理を支援してもらうことで、スムーズに完了へ近づけます。

第5章 国際相続は「税理士法人マインライフ」へ

国際相続は、国内相続とは比べものにならないほど複雑で、専門家の存在が成功の分かれ道となります。

 

税理士法人マインライフは、新宿・津田沼を拠点に、相続・国際相続の専門家として豊富な実績を持つ少数精鋭の税理士法人です。年間数百件の相続税申告を担当しており、経験豊富な税理士が必ず最初から最後まで対応します。

 

マインライフが選ばれる理由

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最初の一歩を踏み出すことが、複雑な国際相続を解決へ導く最大のカギとなります。

第6章 まとめ

いかがだったでしょうか。

中国本土には相続税がありませんが、放置して良いわけではなく、実務の中心は名義変更(登記・銀行)と日本への送金です。

 

さらにCRS(共通報告基準)により海外口座情報は各国税務当局へ共有され得るため、正確な把握と整った書類が不可欠です。香港・マカオ・台湾は本土と制度が異なる点にも注意しましょう。

 

「中国に財産がある」「相続人が海外在住」と分かった時点で、すでに国際相続の土俵です。

 

早めに相談すれば、書類の差し戻しや送金の行き詰まりを減らし、スムーズな手続き・不要な税負担の回避・家族関係の円満維持につながります。

最初の一歩が、安心の相続への最短ルートです。

 

国際相続に精通した税理士が、海外財産の評価から申告までワンストップで対応します。
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