
フランスの相続税は、日本に住んでいる人にも関係することがあります。
たとえば、フランスに不動産や銀行口座を持つ親が亡くなった場合、日本に住む子どもであっても、フランス側の相続税や相続手続きの確認が必要になることがあります。
さらに、日本の相続税もあわせて確認しなければならないケースがあります。
フランスに不動産や銀行口座を持つ親族がいる方にとって、相続が発生したときの税金はとても分かりにくい問題です。
特に注意したいのは、フランスの相続税は「財産がいくらあるか」だけで決まるものではないという点です。
亡くなった方がどこに住んでいたのか、相続する方が誰なのか、財産がフランスにあるのか、日本にも財産があるのかによって、フランスと日本の両方で税金や手続きの確認が必要になることがあります。
また、「フランスの相続税は高い」と聞いたことがある方も多いかもしれません。たしかに、相続する人との関係によっては税率が高くなるケースがあります。一方で、配偶者や登録パートナー、子どもなど、誰が財産を受け取るかによって扱いは大きく変わります。
この記事では、フランス相続税の基本、日本在住者が注意したいポイント、日本とフランスの二重課税、フランス特有のルールまで、できるだけ専門用語を使わずにわかりやすく解説します。
※本記事では、読者がイメージしやすいように、ユーロ表記には日本円の目安も併記しています。円換算は、1ユーロ=約185円として概算しています。実際の申告では、適用される為替レートや評価方法を専門家に確認してください。
【当記事は2026年7月時点の法令・公表情報に基づき作成しております。】
目次
第1章 フランスの相続税ってどんな税金?
結論から言うとフランスにも日本と同じように相続税はあります。
ただし、その税率や制度は日本と異なるものも多いので、ここでは基本的なフランスの相続税の制度について確認していきます。
1-1 フランスには相続税がある
フランスには、日本と同じように相続税があります。
フランスの相続税では、「亡くなった人が残した財産全体」にまとめて税金をかけるというよりも、財産を受け取る人ごとに、いくら受け取ったかを見て税金を計算します。
たとえば、同じフランス不動産を相続する場合でも、受け取る人が配偶者なのか、子どもなのか、兄弟姉妹なのか、親族以外の人なのかによって、税金は変わります。
そのため、フランス相続では、いきなり税率を見るのではなく、まず次の4つを整理することが大切です。
「フランスの相続税は何%ですか?」とすぐに税率だけを見るのではなく、まずは家族関係と財産の場所を整理することが大切です。
1-2 フランスの相続税は高い?税率の基本
フランスの相続税は、相続する人によっては高くなることがあります。ただし、「フランスの相続税は一律で高い」というわけではありません。
たとえば、配偶者やフランスの登録パートナー制度であるPACSのパートナー※は、原則として相続税が免除されます。
一方で親から子どもへの相続では、10万ユーロ(約1,850万円)を差し引いた後の金額に対して、段階的に税率がかかります。税率は5%から45%です。
財産を受け取る人 | フランス相続税の基本的な扱い |
配偶者 | 原則として相続税はかかりません |
フランスの登録パートナー、PACS | 原則として相続税はかかりません。ただし遺言書が重要です |
子ども | 1人あたり10万ユーロ差し引き後、累進税率(5%から45%) |
兄弟姉妹 | 条件を満たせば免除される場合がありますが、通常は35%または45% |
甥・姪 | 原則として55%になりやすいです |
親族以外の人 | 原則として60%になりやすいです |
つまり、フランス相続税では、財産の金額だけでなく、誰に渡すかがとても重要です。
フランスの登録パートナー制度
フランスには、結婚とは別に、カップルが公的に関係を登録する制度があります。
これを PACS(パックス)といいます。
PACSは、日本の読者には少しなじみの薄い制度ですが、簡単にいうと、結婚まではしていないものの、法律上一定の関係として認められるパートナー制度です。
フランスの公的情報でも、PACSは「2人の成人が共同生活を整えるために結ぶ契約」と説明されています。
1-3 生前贈与は「15年さかのぼって」相続税に影響することがある
フランスでは、生前贈与も相続税に大きく影響することがあります。
フランスでは、贈与についても、相手との関係に応じて差し引ける枠(控除枠)や税率があります。
そして、この差し引ける枠は、同じ贈る人から同じ受け取る人への贈与について、15年単位で考えられます。
たとえば、母が子どもに20万ユーロ(約3,700万円)を生前贈与した場合、親子間の差し引き枠10万ユーロ(約1,850万円)を贈与時に使います。
その後、15年以内に母が亡くなり、子どもがさらに10万ユーロ、約1,850万円を相続した場合、一般的には、相続時に親子間の10万ユーロの差し引き枠はもう使えません。
さらに、贈与時に使った低い税率の段階も相続時に再利用できない扱いになります。

子どもへの贈与だけに限りません。
兄弟姉妹、甥・姪、親族以外の人など、子ども以外の人に生前贈与をしていた場合でも、その人が相続や遺言によって財産を受け取るときには、過去15年以内の贈与が確認されます。
子ども以外への贈与では、そもそも差し引ける枠(控除枠)が小さかったり、税率が高かったりすることがあります。
つまり、「生前に渡しておけば、相続税は関係ない」とは限りません。フランスでは、過去の贈与が相続時に確認されることがあります。
特に、15年以内の贈与については、相続税の差し引き枠の使い方に影響する可能性があるので必ず記録に残しておきましょう。
記録しておくこと | 具体例 |
いつ贈与したか | 贈与日 |
誰から誰へ渡したか | 父から長男へ、母から長女へなど |
何を渡したか | 現金、不動産、株式など |
いくら相当か | ユーロでの評価額と日本円の目安 |
フランスで申告したか | 贈与申告書、ノタール書類など |
日本側で申告したか | 日本の贈与税の確認 |
生前贈与は、相続対策として有効な場合があります。
ただし、フランスと日本の両方の税金、家族間の公平、不動産の名義変更まで考えたうえで進める必要があります。
第2章 相続人が日本に住んでいてもフランス相続税が関係することがある
実は日本に住んでいてもフランスの相続税が課されるケースがあります。
この章ではどのような場合にフランスの相続税が課されることになるのか確認しましょう。
2-1 フランスに不動産や預金がある場合
日本に住んでいる人でも、フランスに財産がある場合は、フランス相続税が関係することがあります。
特に注意したいのが、フランスの不動産やフランスの銀行口座です。
【フランスの相続税が課される財産の例】
・パリ近郊の自宅
・フランスの別荘
・フランスの賃貸不動産
・フランスの銀行口座
・フランスの証券口座
・フランス法人の株式
亡くなった人がフランスに住んでいない場合でも、フランスにある財産はフランス側の相続税の対象になることがあります。
つまり、日本に住んでいる子どもが、フランスにある親の不動産を相続する場合、フランス側の手続きを避けて通ることは難しいと考えた方がよいでしょう。
また、不動産がある場合は、相続税だけでなく名義変更も問題になります。この名義変更では、後ほど説明する「ノタール」という専門家が関与することが多くあります。
2-2 フランスに住んでいる親が亡くなった場合
親がフランスに住んでいる場合は、さらに注意が必要です。
フランスでは、亡くなった人がフランスに住んでいた場合、フランス国内の財産だけでなく、国外にある財産もフランス側の確認対象になることがあります。
たとえば、父は日本国籍だが長年フランスに住んでいる、母はフランス国籍でフランス在住、フランスに自宅と銀行口座がある、日本にも預金や不動産がある、子どもは日本に住んでいる、というケースです。
この場合、「父は日本国籍だから日本だけの問題」と考えるのは危険です。フランス相続では、国籍だけでなく、どこに住んでいたか、どこに財産があるかが重要になります。
財産の場所 | 具体例 |
フランス | 自宅、銀行口座、証券口座、車、家財 |
日本 | 預金、不動産、有価証券、保険 |
その他の国 | 海外口座、海外不動産、投資商品 |
フランス側と日本側の両方で、どの財産が対象になるかを確認する必要があります。
【相続する人がフランスに住んでいた場合】
フランス相続では、亡くなった人だけでなく、財産を受け取る人がフランスに住んでいるかどうかも重要です。
たとえば、亡くなった親は日本に住んでいても、相続する子どもがフランスに長く住んでいる場合、フランス側の課税が問題になることがあります。
フランスでは、相続する人がフランスに住んでいて、かつ過去10年のうち少なくとも6年フランスに住んでいた場合、フランス国内外の財産がフランスで課税対象になり得ます。
ケース | 注意点 |
親は日本在住、子どもはフランス在住 | 子どものフランス居住歴を確認する必要があります |
兄弟の1人だけフランス在住 | その人が受け取る財産についてフランス課税が問題になることがあります |
元駐在員がフランスに長く住んでいた | 過去の居住期間が影響することがあります |
つまり、国際相続では、亡くなった人の住まいだけでなく、財産を受け取る人の住まいも確認する必要があります。
2-3 フランスの財産にも日本の相続税がかかることがある
次に、フランスの財産と日本の相続税との関係について確認していきましょう。
結論からいうと、フランスにある財産であっても、日本の相続税の対象になることがあります。
日本の相続税は、亡くなった人の日本にある財産だけが対象になる場合と、海外にある財産も含めてすべての財産が対象になる場合があります。
基本として、相続人が日本に住んでいる場合には、フランスにある財産も日本の相続税の対象になる可能性があります。
たとえば、日本に住んでいる子どもが、フランスにある親の不動産を相続した場合、そのフランス不動産も日本の相続税の計算に含める必要があるケースがあります。
具体的には、ケース別に以下のフローチャートに沿って判断します。

また、以下の判定表でも日本の相続税がかかる財産の範囲を判定できます。

※1 外国人被相続人を除く
外国人被相続人…相続開始時に一定の在留資格を有するもの。
※2 一時居住者を除く
一時居住者…相続開始時に一定の在留資格を有する者で、相続開始前15年以内の国内居住期間の合計が10年以下であるもの。
※3 非居住被相続人の前提
非居住被相続人…相続開始前10年以内において、国内に住所を有していた期間中、継続して日本国籍がなかったもの。
2-4 日本とフランスの両方で相続税がかかることはある?
はい、あります。
国際相続では、同じ財産について、フランスと日本の両方で相続税が問題になることがあります。
例えば被相続人がフランス在住のフランス人の場合でフランスだけでなく日本にも不動産を有しているとします。
この場合フランスでは日本にある不動産の価格も含めて相続税がかかりますし、その不動産に対して日本の相続税もかかります。

2-5 外国税額控除を適用できる場合がある
「外国税額控除」とは、簡単にいうと、フランスでも日本でも相続税に相当する税金がかかる場合に、日本の相続税からフランスで支払った税金の一部を差し引ける制度です。
フランスにある財産についてフランスの相続税がかかり、その同じ財産が日本の相続税の対象にもなる場合には、日本の相続税申告で外国税額控除の適用を検討することになります。
具体例で見ると、次のようなイメージです。
【例】
前提:日本に住んでいる方が、日本に7億円の財産、フランスに3億円の財産を持った状態で亡くなった。
相続人は日本に住んでいる子ども1人。
日本の相続税:全世界の財産10億円に対して、日本の相続税4億円が発生
フランスの相続税:フランスにある財産3億円に対して、フランスの相続税1億円が発生
この場合、日本では、日本の財産7億円だけでなく、フランスの財産3億円も含めた全世界の財産10億円をもとに相続税を計算します。
一方で、フランスでも、フランスにある財産3億円についてフランスの相続税がかかっています。
このままだと、フランスの財産について、日本とフランスの両方で相続税がかかることになります。
そこで、日本の相続税申告では、外国税額控除によって、フランスで支払った相続税相当額を日本の相続税から差し引ける場合があります。
上記の例では、日本の相続税4億円から、フランスの相続税1億円を差し引き、結果として日本で実際に納める税金は3億円となるイメージです。
ただし、フランスで支払った税金を必ず全額差し引けるわけではありません。
日本の相続税申告で外国税額控除の適用を受ける場合、控除できる金額は、原則として次のいずれか少ない金額となります。
・フランスで支払った相続税相当額
上記例では、フランスの相続税1億円
・日本の相続税のうち、フランス財産に対応する部分の金額
上記例では、
日本の相続税4億円 × フランス財産3億円 ÷ 全世界財産10億円 = 1.2億円
この例では、フランスで支払った相続税相当額1億円と、日本の相続税のうちフランス財産に対応する部分1.2億円を比べて、少ない金額である1億円が外国税額控除の対象となります。
そのため、日本の相続税4億円から1億円を差し引き、実際に日本で納める税金は3億円となります。
一方で、日本にある財産についてフランス側で税金がかかった場合には、その税額を日本の相続税から控除できるとは限りません。
この場合には、フランス側の制度において、日本で支払った相続税をフランス側で控除できるかを確認する必要があります。
また、外国税額控除の対象になるのは、原則として相続税に相当する税金です。
フランスで支払った税金であっても、不動産売却時の税金、所得税、登録税、手続き費用などは、相続税の外国税額控除とは別に整理する必要があります。
フランスと日本の両方で相続税がかかる場合には、基本的にはこの外国税額控除の適用を検討します。
外国税額控除の適用を忘れてしまうと、結果として税金を二重に負担したままになる可能性があります。
フランス側の税額が確定する前に、日本の相続税申告期限が来る場合もあります。
日本の相続税申告期限は原則として、相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。
一方、フランスでは、死亡がフランスで発生した場合は原則6か月以内、フランス国外で発生した場合は原則12か月以内に相続申告が必要とされています。
特にフランス国外で亡くなったケースでは、日本の申告期限の方が先に到来する可能性があるため、外国税額控除の取扱いも含め、早めに日本側の税理士とフランス側の専門家に相談することが大切です。

第3章 フランス相続で日本人が特に注意したいこと
第2章でフランスの「相続税」の基礎知識について確認しましたが、税制度ではありませんがフランス特有の相続手続きのルールがあります。
3-1 フランスにも日本の「遺留分」のような最低限の取り分のルールがある
遺留分とは、一定の相続人に法律上保障されている「最低限受け取れる相続分」のことです。
フランスには、日本の「遺留分」に近い考え方があります。簡単にいうと、子どもには最低限守られる取り分があるというルールです。
子どもに守られる取り分は、子どもの人数によって変わります。子どもが1人なら財産の2分の1、子どもが2人なら財産の3分の2、子どもが3人以上なら財産の4分の3が、子ども側に守られる部分です。
そのため、配偶者にすべて残したい、フランス不動産を長男だけに残したい、子どもには何も残したくない、親族以外の人に全財産を残したい、といった希望がある場合は注意が必要です。
実際にどの国のルールが適用されるかは、亡くなった人の居住地、国籍、遺言書の内容、財産の場所によって変わります。ただし、フランスに不動産がある場合は、税金だけでなく、誰にどれだけ渡せるかも早めに確認しましょう。
3-2 フランスでは「ノタール」という専門家が重要な役割を持つ
フランス相続では、「ノタール」という専門家が重要です。ノタールは日本語では公証人と訳されることがありますが、日本の公証人とまったく同じ役割ではありません。
フランスでは、相続人の確認、不動産の名義変更に必要な書類の作成、遺言書の確認、相続財産の整理、相続税申告に関する手続きなどで、ノタールが大きな役割を持ちます。
日本でいえば、相続税については税理士、不動産の名義変更については司法書士、遺言や相続人間の法的整理については弁護士や公証人に相談するような場面でも、フランスではノタールが相続手続きの中心的な窓口になることがあります。
ただし、相続人同士で争いがある場合の紛争対応や訴訟は、ノタールではなく弁護士が関与する場面もあります。また、日本の相続税申告については、日本側の税理士に確認する必要があります。
特に、フランスに不動産がある場合は、ノタールなしで手続きを進めるのは難しいと考えた方がよいでしょう。
場面 | ノタールの役割 |
フランス不動産がある | 名義変更に必要な書類を作成する |
相続人を確認する | 誰が相続人かを証明する |
遺言書がある | 内容を確認し、手続きに反映する |
財産を分ける | 相続人間の分配を整理する |
相続税申告 | 申告や評価に関わることがある |
日本側では税理士に相談し、フランス側ではノタールと連携するという流れになることが多いです。
3-3 フランスの登録パートナーは、相続税では配偶者に近い扱いを受ける
フランスには、PACSという登録パートナー制度があります。PACSとは、結婚とは別に、2人の関係を公的に登録する制度です。
PACSのパートナーは、相続税では配偶者に近い扱いを受けます。税金だけを見ると、PACSのパートナーは非常に有利です。
たとえば、単なる事実婚の相手や親族以外の人に財産を残す場合、60%という高い税率が問題になることがあります。しかし、PACSのパートナーであれば、相続税の面では配偶者に近い扱いを受けます。
3-4 ただし、登録パートナーは当然に相続人になるわけではない
PACSのパートナーは、相続税では有利です。
しかし、遺言書がなければ、当然に財産を相続できるわけではありません。
つまり、PACSについては、相続税の面と、財産を受け取る権利を分けて考える必要があります。
項目 | PACSの扱い |
相続税 | 原則として免除されます |
自動的に相続できるか | 原則として自動ではありません |
財産を残すために必要なもの | 遺言書が重要です |
子どもがいる場合 | 子どもの最低限の取り分に注意が必要です |
「PACSだから安心」ではありません。PACSのパートナーに財産を残したい場合は、PACS+遺言書をセットで考える必要があります。
第4章 ケース別で理解する
ここまで大まかにフランスの相続税やフランスの相続制度、日本在住の方や日本人に影響が出る場合を確認してきましたが具体的なケース別に確認しましょう。
4-1 日本に住んでいる子どもがフランスの不動産を相続するケース
まず、日本に住んでいる子どもが、フランスにある親の不動産を相続するケースです。
たとえば、父がパリ近郊に50万ユーロ(約9,250万円)の自宅を持っており、子どもは日本に住んでいる場合です。

このケースでは、フランス相続税、フランス手続き、日本の相続税の3つが大きな論点になります。
まず、フランス不動産はフランス側の相続税・名義変更手続きの対象になり得ます。さらに、日本に住む子どもがその不動産を相続する場合、日本の相続税も確認する必要があります。
フランス不動産は、相続後に売却するのか、家族で使うのか、賃貸するのかによっても注意点が変わります。相続税だけでなく、相続後の管理方針まで話し合っておくことが大切です。
4-2 フランスに住んでいる親の財産を日本の家族が相続するケース
次に、フランスに住んでいる親が亡くなり、日本に住む家族が財産を相続するケースです。

このケースでは、親がフランスに住んでいたことが重要です。
亡くなった人がフランスに税務上の住所を持っていた場合、フランス国内外の財産がフランス側で確認対象になる可能性があります。
このケースでは、国籍だけで判断しないことが大切です。
父が日本国籍であっても、長年フランスに住んでいる場合、フランス側の相続税や相続手続きが関係することがあります。
4-3 配偶者に財産を残すケース
次のケース以降からは被相続人がフランスに居住していてフランスの相続税がかかる前提になります。
その上でここでは配偶者に財産を残したいという場合のケースです。

フランスでは、配偶者は相続税の面で非常に優遇されています。
配偶者が相続する場合、フランス相続税は原則としてかかりません。
そのため、夫から妻へ、妻から夫へ財産を残すケースでは、フランス相続税の負担は少なくなることがあります。
つまり、配偶者に財産を残す場合は、税金だけでなく、家族全体の財産分けも考える必要があります。「配偶者は相続税がかからないから安心」と考えるのではなく、子どもの取り分や不動産の使い方まで整理しましょう。
4-4 フランスの登録パートナーに財産を残すケース

フランスの登録パートナー、つまりPACSのパートナーに財産を残す場合、相続税では配偶者に近い扱いを受けます。
PACSのパートナーは、遺言で受け取る財産について相続税が免除されるとされています。
ただし、PACSのパートナーは、遺言書がないと当然に相続人になるわけではありません。
PACSは税金面では有利ですが、遺言書がないと財産を受け取れない可能性があります。「PACSだから安心」ではなく、「PACSと遺言書をセットで準備する」と考えましょう。
4-5 子どもに財産を残すケース

親から子どもへ財産を残す場合、フランス相続税では、子ども1人あたり10万ユーロ(約1,850万円)の差し引き枠があります。
ただし、フランス不動産の価値が高い場合や、預金・証券も多い場合は、子どもへの相続でも税金が発生する可能性があります。
4-6 親族以外の人に財産を残すケース

親族以外の人に財産を残す場合は、フランス相続では特に注意が必要です。
親族以外の人に相続させる場合、原則として60%という高い税率が問題になることがあります。
・友人に財産を残したい
・事実婚の相手に財産を残したい
・長年世話をしてくれた人に財産を渡したい
・血縁関係のない第三者にフランス不動産を残したい
この場合、税金が非常に重くなる可能性があります。
また、親族以外の人は、遺言書がなければ財産を受け取れない可能性が高いです。
さらに、子どもがいる場合は、子どもの最低限の取り分にも注意が必要です
第5章 国際相続は「税理士法人マインライフ」へ
国際相続は、国内相続とは比べものにならないほど複雑で、専門家の存在が成功の分かれ道となります。
税理士法人マインライフは、新宿・津田沼を拠点に、相続・国際相続の専門家として豊富な実績を持つ少数精鋭の税理士法人です。年間数百件の相続税申告を担当しており、経験豊富な税理士が必ず最初から最後まで対応します。
マインライフが選ばれる理由

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第6章 まとめ
いかがだったでしょうか。
本コラムでは、日本在住者がフランスの財産を相続するケースを前提に、フランス相続を「税務」(フランス相続税・日本の相続税・外国税額控除)と「相続手続き」(ノタール・遺言書・遺留分)の両面から整理しました。
フランス相続で重要なのは、「相続税率が高いかどうか」だけではありません。
亡くなった人がどこに住んでいたか、相続する人がどこに住んでいるか、財産がどこにあるか、誰が相続するかによって、フランス相続税の対象になる範囲や税負担が変わります。
特に、フランスに不動産や預金がある場合、親がフランスに住んでいる場合、相続人がフランスに長く住んでいる場合は注意が必要です。
「フランスに財産がある」時点で、国際相続として整理する必要があります。
早めに財産一覧、登記資料、銀行口座、遺言書、生前贈与の記録を整理し、日本側の税理士とフランス側のノタールに相談することで、申告漏れ、手続きの遅れ、不要な税負担、家族間のトラブルを防ぎやすくなります。

