相続対策
税理士が教える!贈与税がかからない合法テクニック8選【贈与契約書及びチェックリスト付き】
「どうせ渡す(受け取る)なら、合法に・シンプルに・ムダなく。」 今年から贈与を始める方も毎年贈与を行っている方もそう考えているかもしれません。 本記事は、「贈与税がかからない(または申告不要になる)制度・特例」を、プロの視点で使い方やNG例、証憑の残し方まで一気に整理しました。 以下に8つのテクニックの一覧表を添付します。 テクニック 対象となる贈与(援助) 手続き 金額の上限 チェックリスト ①生活・教育・医療・冠婚葬祭の 「都度払い」 扶養義務者から被扶養者への援助 なし 社会通念上適当と認められる金額 □ 扶養義務者からの援助ですか。 □ 必要な都度渡している又は扶養義務者が直接振り込んでいますか。 □ 使ったことが分かる証拠(領収書や振り込んだことが分かる通帳)を残していますか。 □ 生活費を負担する場合には社会通念上適当と認められる内容・金額ですか。 □ 香典・祝金は社会通念上相当な金額ですか。 ②暦年課税の年間110万円の基礎控除 通常の贈与(制限なし) 110万円を超えると贈与税申告が必要 暦年で110万円(申告不要の場合) □ (申告をしない場合)その年の受け取った金額の合計が110万円以下ですか。 □ 受贈者(受け取った人)単位で判定をしていますか。 □ 贈与契約書を作成しましたか。 □ 受贈者が受取った財産を管理していますか。 ③相続時精算課税制度を利用する 60歳以上の父母(祖父母)から 18歳以上の子(孫)への贈与 「相続時精算課税選択届出書」を 初回適用時に税務署へ提出 累計2,500万円 (毎年110万円の基礎控除あり) □ 初回適用時に選択届出を期限内に提出しましたか。 □ (申告をしない場合) その年に特定贈与者から受け取った金額の合計が110万円以下ですか。 □ 複数特定贈与者の年は110万円を按分して計算していますか。 ④夫婦間の「居住用不動産の配偶者控除」 婚姻20年以上の夫婦間の 居住用不動産又はその取得資金の贈与 適用時に贈与税申告が必要 2,000万円 (暦年贈与の基礎控除と併用で2,110万円) □ 婚姻20年以上の夫婦間の贈与ですか。 □ 贈与する不動産又は不動産の取得資金の対象は居住用ですか。 □ 翌年3月15日に贈与を受けた者が現実に居住をしていますか。 □ 過去に同じ配偶者から「居住用不動産の配偶者控除」を受けたことはありませんか。 □ 一定の添付書類(戸籍謄本等)を添付して贈与税申告書を提出しましたか。 ⑤住宅取得等資金の贈与非課税 直系尊属(父母・祖父母など)からマイホーム取得・新築・増改築の 対価に充てるための資金(住宅取得等資金)の贈与 (受贈者:18歳以上、贈与年の合計所得金額が2,000万円以下) 適用時に贈与税申告が必要 省エネ等住宅=1,000万円 その他の住宅=500万円 □ 特例の適用期間内(〜2026年12月31日)の贈与ですか。 □ 省エネ等1,000万円の枠を使う場合には証明書類を添付していますか。 □ 贈与を受けたお金は全て住宅の取得資金に充当しましたか。 □ 翌年3月15日までに申告・入居の期限を守っていますか。 ⑥教育資金の一括贈与 直系尊属(父母・祖父母など)から子や孫への教育資金の贈与 (受贈者:30歳未満、前年の合計所得金額が1,000万円以下) 金融機関での専用手続が必要 累計1,500万円 (「学校等以外」への費用は累計500万円) □ 現行制度の期限内(~2026年3月31日)に教育資金口座の開設等と非課税申告書の提出を行いましたか。 □ 受贈者は30歳未満・前年所得1,000万円以下、贈与者は直系尊属ですか。 □ 領収書の提出期限(支払日から1年以内又は翌年3月15日)を守っていますか。 ⑦結婚・子育て資金の一括贈与 直系尊属(祖父母、父母)から子・孫への結婚・子育て資金の贈与 (受贈者:18歳以上50歳未満、前年の合計所得金額が1,000万円以下) 金融機関での専用手続が必要 累計1,000万円 (結婚関係費は300万円が上限) □ 現行制度の期限内(~2027年3月31日)に専用口座開設・拠出と非課税申告書の提出を済ませましたか。 □ 受贈者は18歳以上50歳未満で、前年の合計所得金額が1,000万円以下ですか。 □ 費目の線引き(婚礼・家賃等・引越/不妊治療・妊娠・出産・産後ケア・子の医療・育児)と対象外の費目は国税庁HP等で確認しましたか。 ⑧障害者への贈与信託 親や親族など個人から特定障害者への贈与 金融機関での専用手続が必要 特別障害者=6,000万円 その他の特定障害者=3,000万円 □ 受益者が「特定障害者」(特別障害者または障害者のうち精神に障害がある方)に該当するか、証明書類で確認しましたか。 □ 信託設定日までに受託者経由で「障害者非課税信託申告書」を税務署へ提出していますか。 □ 払出しの使途が生活・療養の範囲に収まっており、居住用不動産の取得など不可の支出を計画していませんか。 贈与テクニック一覧表 グレーな“抜け道”は扱わず、正しい運用だけを紹介します。 贈与税では、近年大きな改正もありその論点も含めて記載しています。 税制は改正が続くため、利用する際には最新の国税庁HPの情報をご確認ください。 第1章 生活・教育・医療・冠婚葬祭の「都度払い」は原則非課税 意外と知られていませんが、親や祖父母などの扶養義務者※からの生活費・教育費は、通常必要な範囲(金額)で必要な都度に支払されるなら、贈与税の対象となりません。 ※ 扶養義務者とは具体的には次の者をいいます。 ①配偶者 ②直系血族(祖父母や両親、子供、孫など)及び兄弟姉妹 ③家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族(金銭を受けた者から見ておじ、おば、甥、姪など) ④三親等内の親族で生計を一にする者 また、医療費や妊娠・出産費、香典・祝金など社会通念上相当な金品も同じように贈与税の対象となりません。 ただし、誤った理解をしていると課税対象になることもあるので次のポイントに注意してください。 1-1ポイント (1)【必要となった都度贈与を行い、使ったことが分かる証拠を残す】 最大のポイントは、必要となった都度贈与を行い、必ず使ったことが分かる証拠を残しておくことです。 例えば毎月10万円の教育費が必要な場合に、一括して1年分の120万円を渡してしまうと預金・投資・不動産購入に転用していると見られる可能性があり贈与税の課税対象になります。 実務的には、疑われないためにも直接親や祖父母から支払先に振り込んでしまった方が安心です。 (2)【生活費を負担する場合、社会通念上適当と認められうる内容・金額か】 扶養義務者が生活費を代わりに支払う場合には、社会通念上適当と認められる内容・金額である必要があります。 例えば下記のような質問を受けることがあります。 「すでに就職をしていて十分な稼ぎがあり離れて暮らしている子供がいるが、生活費を負担しても贈与にならないか。」 結論としては、この場合は「贈与として課税対象になる可能性が高い」です。 子供に高額な所得があるような場合に、生活費として家賃等を負担するのは社会通念上適当と認められ ないと考えられるからです。 なお、根拠として国税庁の資料の中には下記のような記載があります。 『扶養義務者相互間において生活費に充てるために贈与を受けた場合に、贈与税の課税対象とならない「生活費」とは、その者の通常の日常生活を営むのに必要な費用(教育費を除きます。)をいい、通常の日常生活を営むのに必要な費用に該当するかどうかは、贈与を受けた者(被扶養者)の需要と贈与をした者(扶養者)の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲かどうかで判断することとなります。 』 出典「扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A」国税庁 1-2チェックリスト □ 扶養義務者からの援助ですか。 □ 必要な都度渡している又は扶養義務者が直接振り込んでいますか。 □ 使ったことが分かる証拠(領収書や振り込んだことが分かる通帳)を残していますか。 □ 生活費を負担する場合には社会通念上適当と認められる内容・金額ですか。 □ 香典・祝金は社会通念上相当な金額ですか。 第2章 暦年課税の年間110万円の基礎控除(申告不要) 贈与税の原則的方法である暦年課税制度では年間(毎年1月1日から12月31日)110万円までは申告・納税ともに不要になります。 具体的な計算としては、受贈者本人がその年にもらった合計額から110万円を差し引き、残額だけに贈与税がかかります。 したがって、年合計110万円以下は非課税かつ申告が不要になります 2-1ポイント (1)【判定は「贈与者ごと」ではなく「受贈者1人・年合計」で行う】 110万円の判定は贈与者(渡した人)ごとではなく、受贈者(受け取った人)ごとに年合計の金額で行います。 例えば祖父から100万円、祖母から100万円の200万円を1年間で受け取った場合 「祖父、祖母からそれぞれ110万円以下の金額をもらったので申告・納税はいらない」というのは誤りになります。 自分が受け取った年合計で110万円以下か判定することになるので、この場合1年間で200万円受け取っており、贈与税の申告・納税が必要になります。 (2)【贈与契約書など贈与の証拠を残す】 贈与は口頭でも成立しますが、後日のトラブルや税務調査に備え、「だれが・いつ・何を・いくら・どの方法で渡したか」が客観的に分かる資料を必ず残しましょう。 最も確実なのは、贈与の都度に贈与契約書を作成し、実際の資金移動は口座振込で行い、通帳や振込明細を保存する方法です。 なお、贈与を成立させるには、受贈者が使える状態にしておく必要があるため、通帳や印鑑なども受贈者が管理しておく必要があります。未成年者への贈与は、受贈者(受け取る人)名義の口座を用意し、法定代理人(原則:父母)が管理していれば大丈夫です。 また、暦年贈与を継続する場合でも、毎年の贈与ごとに契約書と振込記録を残すことが大切です(最初から複数年分を約束する書き方は避けてください)。 以下に金銭を贈与した場合の贈与契約書のひな型を添付しますのでご活用ください。 なお、第3章以降の贈与についても金銭を贈与する場合にはご活用いただけます。 贈与契約書 フォーマット 贈与契約書 フォーマット(未成年者用) 2-2チェックリスト □ (申告をしない場合)その年の受け取った金額の合計が110万円以下ですか。 □ 受贈者(受け取った人)単位で判定をしていますか。 □ 贈与契約書を作成しましたか。 □ 受贈者が受け取った財産を管理していますか。 コラム:相続対策で贈与する場合には生前贈与加算の改正に注意 相続対策として贈与を検討されている方は、令和6年以降から適用される改正にご注意ください。 贈与をする方の中には、贈与者(渡す人)の財産が多く将来の相続税を減らすために贈与をするという方も多いかと思います。 ただし、贈与した財産が全て無条件に相続税から控除されるわけではありません。 令和6年の改正以前でも贈与した財産のうち、相続開始前3年以内に相続で財産を受け取る者に行った贈与については、相続財産に足し戻して相続税の計算をする必要がありました。 これを一般的に生前贈与加算といいます。 この生前贈与加算制度ですが、令和6年以降の暦年贈与は相続開始前7年以内の贈与が原則加算されることになりました。 また、相続開始前7年以内で3年を超える部分について総額100万円まで加算除外される取り扱いがされます。 第3章 相続時精算課税制度を利用する 相続時精算課税は、贈与時の負担を軽くしつつ最終的に相続時に合算して精算する仕組みです。 具体的には「累計2,500万円まで贈与税がかからずに贈与することができるが、将来の相続時には相続財産に足し戻して相続税を計算する」という制度です(2,500万円超の金額には一律20%の贈与税がかかります)。 この制度を利用するためには、原則として以下の要件を満たす必要があります。 ・贈与者が60歳以上で受贈者18歳以上の直系卑属(親と子や祖父母と孫などの関係)の組合せである(年齢は贈与年1月1日現在) ・相続時精算課税を初めて使う年は、翌年2月1日~3月15日(贈与税の申告期間)に「相続時精算課税選択届出書」を税務署へ提出して選択の意思表示をする なお、改正があり令和6年以降は年110万円の基礎控除が設けられ、110万円を超える贈与をした場合に累計2,500万円に加算されていきます。 改正前は、相続時精算課税制度を選択した後の贈与については、110万円以下の少額であっても贈与税の申告が必要であり、すべて2,500万円の特別控除枠に算入されるとともに、相続時にはその全額を足し戻して相続税を計算する必要がありました。 一方、改正により令和6年1月1日以後の贈与からは、年間110万円以下の贈与については申告が不要となり、この部分は2,500万円の特別控除枠にも算入されず、相続時にも足し戻されないことになりました。 3-1ポイント (1)【贈与者ごとに選択が肝】 相続時精算課税は「贈与者ごと(父・母・祖父母など)に選択」する制度です。 ある贈与者についてこの制度を一度選択すると、その同じ贈与者(=特定贈与者)から将来受ける贈与は、以後すべて相続時精算課税で処理されます。 他方、別の贈与者については暦年課税を使うなど、贈与者ごとに使い分けが可能です。 例えば、父は相続時精算課税、母は暦年課税ということが可能ということになります。 (2)【同一年に複数の特定贈与者がいる場合、年110万円は受贈者単位で按分】 令和6年以降、相続時精算課税にも年110万円の基礎控除が導入されました。 ただしこの110万円は「贈与者ごと」ではなく「受贈者1人あたり・年合計」の枠です。 したがって、同一年に祖父と祖母の双方で相続時精算課税を選択して贈与を受けた場合、110万円は両者の金額の割合で按分して各贈与から控除します。 例えば、同年に祖父から600万円・祖母から400万円(ともに相続時精算課税制度を選択)の贈与を受けたなら、110万円は祖父66万円・祖母44万円に按分して各贈与から控除することになります。 そのうえで、2,500万円の特別控除は贈与者ごとに累計で適用します。 (3)【選択後は同一贈与者について暦年課税へ戻れない】 一度、その贈与者について相続時精算課税を選択・適用すると撤回不可です。 以後、その同一贈与者からの贈与はずっと相続時精算課税となり、暦年課税へ変更できません。 制度選択は将来の贈与計画や相続時の足し戻し(相続時精算課税は基礎控除を超える金額は期間制限なく加算)まで見据えて決めるのが安全です。 (4)【基礎控除の110万円は、足し戻しされない】 暦年贈与は生前贈与加算制度により、基礎控除の年間110万円以下の贈与でも相続開始前7年以内の贈与は原則相続財産に加算されます。 しかし、相続税精算課税は、基礎控除の110万円以下の贈与は相続開始前7年以内の贈与でも加算されません。 3-2チェックリスト □ 初回適用時に選択届出を期限内に提出しましたか。 □ (申告をしない場合) その年に特定贈与者から受け取った金額の合計が110万円以下ですか。 □ 複数特定贈与者の年は110万円を按分して計算していますか。 コラム:改正後、「暦年課税」と「精算課税」—どちらが有利? 第2章の暦年贈与と第3章の精算課税制度どちらを使うべきか悩んでいる方も多いかと思います。 お子様に贈与することを前提に一般的な考え方を以下のフローチャートでまとめましたのでご活用ください。 まず、将来相続税がかかる場合と将来相続税がかからない場合で大きく分かれます。 将来相続税がかからない場合には、将来相続の際に財産を受け取れば無税で財産を受け取れるので、贈与する場合も1年間の贈与額は110万円以下にして贈与税がかからないようにした方がよいです。 ただし、どうしても110万円超の財産を一度に贈与する必要がある場合には、相続時精算課税制度を利用しましょう。 将来相続税がかかる場合には第2章のコラムで解説した生前贈与加算の影響を考慮する必要があります。 将来相続が7年以内に発生しそうであれば、暦年贈与しても相続時に足し戻しになってしまうため、相続時精算課税制度を使って贈与をして令和6年の改正で新設された相続時精算課税制度の基礎控除110万円を活用しましょう。 例えば、相続開始の前年に110万円を贈与した場合、暦年贈与であれば生前贈与加算の対象になりますが、相続時精算課税制度で贈与していれば基礎控除以下なので足し戻しの対象になりません(相続時に財産を相続しないお孫様への贈与の場合には、生前贈与加算の対象にならないので暦年贈与で大丈夫です)。 将来の相続までまだ相当の期間がある場合には、暦年贈与で少額を長期間贈与するようにしましょう。 ただし、相続対策として将来値上がりが予想される高額な財産(未上場株式や開発前の土地など)を贈与する場合には、相続時精算課税制度で一度に贈与してしまった方が有利です。 なぜなら、暦年贈与で贈与すると高額な贈与税がかかりますし、相続まで保有していると値段が大幅に上がっている可能性がありますが、相続時精算課税制度で事前に贈与しておけば将来相続の際に足し戻す金額は安い贈与時の金額でよいからです。 第4章 夫婦間の「居住用不動産の配偶者控除」(おしどり贈与) 婚姻20年以上の夫婦が、居住用不動産又はその取得資金の贈与を受ける場合、基礎控除110万円に加え最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できる特例を「居住用不動産の配偶者控除」といいます。 なお、2,110万円以下の贈与で全額控除され贈与税が発生しない場合でも、特例の適用を受けるために贈与の翌年3月15日までに贈与税申告書を提出する必要があります。 贈与税申告書に下記の書類を添付して適用を受けます。 (主なもの) ・戸籍謄本/抄本(贈与日から10日経過後に作成) ・戸籍の附票の写し(同上) ・登記事項証明書等(取得の事実を証する書類) ・不動産そのものの贈与時は評価明細書等 4-1ポイント (1)【投資用は対象外】 この特例の対象は「居住用不動産」またはその取得資金に限られます。 賃貸用・別荘・セカンドハウスなどの投資・保養目的の物件は対象外です。 店舗兼住宅のように居住用とそれ以外が混在する場合は、一定の場合を除き居住用部分に限って適用されます(敷地のみの贈与でも要件次第で対象となります)。 (2)【居住の実態がないと適用不可】 適用には、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与で取得した家屋(または贈与資金で取得した家屋)に現実に居住し、その後も引き続き居住する見込みであることが求められます。 入居がこの期限に間に合わない、あるいは当初から短期売却を前提としているようなケースは要件を満たしません。 また、この特例は同じ配偶者からの贈与については一生に一度のみ適用可能です(再婚相手は別)。 タイミングや金額配分を慎重に設計しましょう。 4-2チェックリスト □ 婚姻20年以上の夫婦間の贈与ですか。 □ 贈与する不動産又は不動産の取得資金の対象は居住用ですか。 □ 翌年3月15日に贈与を受けた者が現実に居住をしていますか。 □ 過去に同じ配偶者から「居住用不動産の配偶者控除」を受けたことはありませんか。 □ 一定の添付書類(戸籍謄本等)を添付して贈与税申告書を提出しましたか。 コラム:「居住用不動産の配偶者控除」を使わず、相続で引き継いだ方が有利な場合も 不動産の贈与税評価額が2,110万円(配偶者控除2,000万円+基礎控除110万円)を超えるケースや、そもそも相続税がかからない見込みのご家庭では、この特例(おしどり贈与)を使わず、相続で引き継ぐ方がトータルで有利になることがあります。 ≪なぜ相続が有利になりやすいのか≫ ①小規模宅地等の特例 相続では、被相続人の居住の用に供されていた宅地について、330㎡まで評価額を80%減額できる特例(特定居住用宅地等)が使えます。 土地の評価が大きいほど効果が大きく、贈与で先に移してしまうとこの強力な減額を失うことがあります。 ②配偶者の税額軽減 相続税には、配偶者が取得した遺産が「1億6,000万円」または「法定相続分」までなら相続税がかからないという制度があります。 配偶者に自宅・敷地をまとめて相続させる設計と相性が良く、贈与よりも税負担が小さくなる場面が少なくありません。 ③不動産取得税、登録免許税の違い 相続で不動産を取得する場合、不動産取得税は課税されません。 しかし、贈与で取得すると不動産取得税の課税対象になります(おしどり贈与や相続時精算課税の適用を受けても同様です)。 また、登録免許税についても相続で取得した場合と贈与で取得した場合では税率が異なっています。(相続の方が低い) この差も相続有利の一因です。 したがって、「居住用不動産の配偶者控除」(おしどり贈与)を使う場合には専門家に相談して適用することをおすすめします。 第5章 住宅取得等資金の贈与非課税 直系尊属(父母・祖父母など)からマイホーム取得・新築・増改築の対価に充てるための資金(住宅取得等資金)の贈与については、要件を満たせば省エネ等住宅※は1,000万円、その他の住宅は500万円まで非課税となります。 今後も更新される可能性はありますが、現行では、2024年1月1日~2026年12月31日までの贈与に限り適用ができるとされています。 非課税の可否は、受贈者の年齢・所得、住宅性能の証明、床面積、資金の使途と時期、入居期限など、細かな条件をクリアできるかで決まります。 下記のポイントでも基本的なものは記載しますが、実際に適用する場合には国税庁HPや税理士に確認することをおすすめします。 ※省エネ等住宅:省エネ性能や耐震などの性能が一定以上の住宅(該当するかの判断はハウスメーカーや不動産会社にお問い合わせください。) 5-1ポイント (1)【年齢・所得要件、性能証明、居住期限を満たすこと】 ①受贈者(もらう側)については以下の要件を満たす必要があります。 ・18歳以上であること(贈与年1月1日現在) ・贈与年の合計所得金額が2,000万円以下であること(床面積40㎡以上50㎡未満の住宅は1,000万円以下) ・贈与者は受贈者の直系尊属(祖父母、父母等)であること 等 これらを満たさないと非課税の対象になりません。 ②住宅要件と「省エネ等住宅の証明」 対象は日本国内の自己居住用になります。(床面積は原則40~240㎡) 「省エネ等住宅」の1,000万円枠を使うには、住宅性能証明書等で、所定の省エネ/耐震/バリアフリーのいずれかの基準に適合していることを申告時に添付して証明します。 ③期限管理(資金充当・入居・申告) 「住宅取得等資金の贈与非課税」の特例の適用を受ける場合には、以下の期限管理に注意する必要があります。 ・翌年3月15日までに資金の全額を住宅の新築・取得・増改築の対価に充当すること。 ・翌年3月15日までに居住すること(または同日後遅滞なく居住が確実)。 ⇒翌年12月31日までに未入居だと原則適用不可となり修正申告が必要になります。 ・申告は翌年2月1日~3月15日に贈与税申告書+契約書写し等を提出する必要があります(非課税でも申告必須)。 (2)【使途の注意:既存ローンの繰上返済はNG】 この非課税はこれから行う新築・取得・増改築の“対価”に充てる資金が対象です。 したがって、よくある誤りですが既に組んだ住宅ローンの返済(繰上返済等)に充てるための贈与は対象外で、非課税になりません。 5-2チェックリスト □ 特例の適用期間内(〜2026年12月31日)の贈与ですか。 □ 省エネ等1,000万円の枠を使う場合には証明書類を添付していますか。 □ 贈与を受けたお金は全て住宅の取得資金に充当しましたか。 □ 翌年3月15日までに申告・入居の期限を守っていますか。 第6章 教育資金の一括贈与 直系尊属(父母・祖父母など)から30歳未満の子や孫へ、教育資金をまとめて贈与する場合、所定の手続きを踏めば最大1,500万円まで贈与税が非課税となる特例です(うち学校等以外への支払い分は累計500万円が上限)。 今後も更新される可能性はありますが、現行では2026年3月31日までの贈与に限り適用ができるものとされています。 なお、受贈者の前年合計所得金額1,000万円以下などの要件に加え、金融機関での専用手続(教育資金口座+非課税申告書)、および領収書の提出期限管理が必要になります。 6-1ポイント (1)【非課税枠の考え方】 非課税の上限は受贈者一人につき累計1,500万円です。 このうち、学習塾・習い事など「学校等以外」に支払う費用は累計500万円までが上限で、両者合計で1,500万円を超える非課税の贈与はできません(学校=入学金・授業料・給食費・修学旅行費等、学校等以外=塾・水泳・ピアノ・通学定期・留学渡航費など)。 また、受贈者が23歳到達後に支払う学校等以外の費用は、教育訓練給付の対象講座に限られる点にも注意が必要です。 (2)【対象者の要件(年齢・所得・贈与者)】 受贈者は教育資金管理契約の締結日に30歳未満であること、かつ前年の合計所得金額が1,000万円以下であることが必要です。 また、贈与者は受贈者の直系尊属に限られます。これらの要件を満たさない場合は特例の適用ができません。 (3)【手続と証憑(「教育資金口座」+非課税申告+領収書提出) 適用を受けるには、信託銀行・銀行・証券会社等で教育資金口座(信託受益権/預入/有価証券購入)を設定し、拠出時(口座開設等の日)までにその金融機関経由で「教育資金非課税申告書」を提出します。 拠出後は、払出方法に応じて領収書を支払日から1年以内または翌年3月15日までに金融機関へ提出する必要があります。 対象は教育資金として社会通念上相当と認められる実支出のみです。 支払先(学校・塾等)への直接支払が原則で、宛名・日付・金額・内容が分かる領収書の確保が必要になります。 6-2チェックリスト □ 現行制度の期限内(~2026年3月31日)に教育資金口座の開設等と非課税申告書の提出を行いましたか。 □ 受贈者は30歳未満・前年所得1,000万円以下、贈与者は直系尊属ですか。 □ 領収書の提出期限(支払日から1年以内又は翌年3月15日)を守っていますか。 コラム:教育資金は一括贈与すべき?それとも第1章の都度支援の方がいい? 結論としては都度支援で対応できるものは、都度支援で十分です。 一括贈与は、入学金・施設費・留学費など大口や複数年分を早めに確保できますが、専用口座での管理と領収書提出が必須で、受贈者の所得要件や制度期限、終了時の残額課税、学校外費用には上限があるなど複雑かつ手続きも煩雑です。 また、第7章のコラムで記載していますが、一括贈与については、使い切れず残額が出れば相続税や贈与税の対象となるため、卒業時までの支払計画と提出期限の管理が不可欠です。 一方、日々の学費・塾代・通学定期など「通常必要な教育費」は、扶養義務者が必要の都度に学校・塾等へ直接支払えば原則贈与税の対象外(社会通念上相当額に限る)で申告も不要です。 したがって、一般的には都度支援の方が使い勝手はいいです。 第7章 結婚・子育て資金の一括贈与 直系尊属(祖父母、父母)から18〜50歳未満の子・孫へ結婚・子育て資金を一括拠出し、金融機関の領収書確認を条件に、1,000万円まで非課税(結婚関係費は300万円が上限)で贈与をすることができる制度です。 受贈者は契約締結日に18歳以上50歳未満であることが必要で、前年の合計所得金額が1,000万円を超える受贈者は適用することができません。 今後も更新される可能性はありますが、現行制度上では拠出(預け入れ)の期限は2027年3月31日までで、契約は原則として受贈者が50歳に達した日などで終了します。 7-1ポイント (1)【制度の「枠」と上限の考え方】 非課税枠は受贈者単位で累計1,000万円です。 このうち結婚関係費は300万円が上限で、1,000万円に加算されるわけではありません(つまり、1,300万円非課税にはならない)。 結婚関係費には婚礼(挙式・披露宴)・結婚を機に賃貸する住居の家賃等・引越費用が含まれ、子育て関係費には不妊治療・妊娠・出産・産後ケア・子の医療費・子の育児費が含まれます。 非課税とならない費目(婚活サービス、結納、指輪、新婚旅行、家具・家電など)も明示されているため、事前に国税庁のHP等で費目の線引きを確認しましょう。 (2)【専用口座+領収書で用途証明する】 拠出は金融機関の専用口座(結婚・子育て資金管理契約)で受け入れ、「結婚・子育て資金非課税申告書」を金融機関経由で提出します。 拠出後は領収書等を金融機関に提出して、結婚・子育て資金に充当された事実の確認・記録・保存を受けるのが必須フローです。 教育資金の一括贈与の非課税と併用は可能ですが、同一の支出を二重に非課税にすることはできません。 費目の重複が疑われる支出は、どちらの制度で処理するかを領収書の取り方とともに決めておくと安全です。 7-2チェックリスト □ 現行制度の期限内(~2027年3月31日)に専用口座開設・拠出と非課税申告書の提出を済ませましたか。 □ 受贈者は18歳以上50歳未満で、前年の合計所得金額が1,000万円以下ですか。 □ 費目の線引き(婚礼・家賃等・引越/不妊治療・妊娠・出産・産後ケア・子の医療・育児)と対象外の費目は国税庁HP等で確認しましたか。 コラム:教育資金の一括贈与や結婚子育て資金の一括贈与後に贈与者が亡くなった際に残額が残っていた場合 教育資金・結婚子育て資金の非課税制度を利用中に贈与者が死亡した場合、口座や信託に残っている管理残額(=非課税拠出額-制度上認められる支出額)は、原則として贈与者の遺産に取り込まれ、相続税の課税対象になるとされています。しかし、教育資金については、受贈者が23歳未満・在学中等なら非課税とされるため、相続税がかからないケースが多くありました。 ただし、令和5年4月1日以後取得分で贈与者の遺産が5億円超の場合は受贈者の状況に係わらず残額にも相続税が課税されることになったので注意が必要です。 第8章 障害者への贈与信託 親や親族など個人が、特定障害者※を受益者として信託銀行等と結ぶ信託(特定障害者扶養信託契約)に財産を拠出すると、一定額まで贈与税が非課税になります。 制度対象者になるかの可否は「証明書類(障害者手帳・医師の診断書等)」で確認します。 非課税枠は特別障害者なら最大6,000万円、その他の特定障害者なら最大3,000万円が上限(受益者1人あたりの累計額)になります。 生活費や医療費など、受益者の生活・療養のために使うことを前提とした制度です。 ※特定障害者:特別障害者に加え、障害者のうち精神に障害のある方を含む概念です。 8-1ポイント (1)【非課税枠の考え方及び利用方法】 非課税の上限は受益者1人につき累計で、特別障害者=6,000万円、その他の特定障害者=3,000万円になります。複数の人からの拠出や複数回の拠出でも、受益者側で合計して累計に加算されます。 信託設定日までに、受託者(信託銀行等)の営業所を通じて「障害者非課税信託申告書」を所轄税務署に提出する必要があります。 (2)【使える費目の線引き(生活・療養優先/不動産取得は不可) 原則として生活費・療養費など日常の生計維持に関する支出が対象になります。 一方で、居住用不動産の取得のための払出しは不可と明示されています(生活・療養の需要に応じたものとは認められないため)。 8-2チェックリスト □ 受益者が「特定障害者」(特別障害者または障害者のうち精神に障害がある方)に該当するか、証明書類で確認しましたか。 □ 信託設定日までに受託者経由で「障害者非課税信託申告書」を税務署へ提出していますか。 □ 払出しの使途が生活・療養の範囲に収まっており、居住用不動産の取得など不可の支出を計画していませんか。 第9章 贈与を行う場合の注意点 贈与は制度選択・年次設計・証憑整備で結果が大きく変わります。 「制度の併用可否を取り違える」、「連年贈与(定期贈与)に見える運用をしてしまう」、「受贈者が実質管理できていない名義財産(名義預金)を作る」これらは代表的なリスクです。 本章では、実務で誤りやすいや問題になりやすい4点を要点整理します。 9-1各制度の併用可否の関係 (1)相続時精算課税と暦年課税 相続時精算課税は贈与者ごとに選択し、同一贈与者について撤回不可です。 ただし、同一年に他の贈与者からは暦年課税を用いることは可能です(別人なら併用可)。 令和6年以降は基礎控除110万円が相続時精算課税にも導入され、暦年贈与の基礎控除110万円と相続時精算課税の基礎控除110万円は併用して適用ができます。 (2)住宅取得等資金の非課税 × 相続時精算課税 住宅取得等資金の非課税(500万円/省エネ等1,000万円)を先に適用し、枠超過分について相続時精算課税(2,500万円特別控除+年110万円)を使う併用が可能です(要件充足が前提)。 (3)教育資金・結婚子育て資金との関係 いずれも別建ての非課税制度で、併用できないものはありませんが、同じ支出を二重に非課税にはできません。 教育資金贈与や結婚子育て資金の制度両方で同一費目を重複適用しないように注意しましょう。 9-2 連年贈与(定期贈与)に見えない設計にする 第2章でも少し述べましたが、連年贈与に見られないように設計する必要があります 例えば「毎年100万円を10年」と最初に約束してしまうと、1,000万円を10年で分割払いしたものとみなされ、初年に1,000万円贈与したものとして課税される可能性があります。 毎年ごとに贈与契約を完結させ、金額・時期・財産の種類を機械的に固定しない、「都度の資金移動と記録(振込・契約書)を残す」ことが安全運用の要点です。 9-3 名義財産(名義預金)にしない 受贈者が通帳・印鑑を実質管理していない、贈与の事実を知らないといった場合、名義人と実質所有者が異なるとして相続財産に算入される典型があります。 受贈者名義口座へ振込し、受贈者が把握・管理し、用途証憑を保存することで贈与の実体を整えるのが重要です。 9-4 贈与しすぎない 相続対策のために事前に子供に財産を贈与しすぎると問題が起こることがあります。 実際に私の係わった方の中でも相続税がかからないように財産のほとんどを子供に移転していたが、不慮の事故で子供の方が先になくなってしまったということがありました。 子供に配偶者や子供がいなければ相続税を払って自分のもとに財産が戻ってくることになりますが、配偶者や子供がいた場合には配偶者や子供に相続されることになります。 私が経験した案件では亡くなった子供の配偶者と仲が悪くなかったため、大きな問題にはなりませんでしたが、子供の配偶者が外国籍の方で全ての財産をもって母国に帰ってしまったという話も聞いたことがあります。 したがって、少なくとも自身の今後の生活費や生活の拠点となる財産などは贈与せず取っておくようにしましょう。 第10章 まとめ いかがだったでしょうか。 この記事では、非課税・申告不要になり得る各制度の使いどころと落とし穴を横断的に整理しました。 8つのテクニックのまとめ ① 扶養義務者の「都度払い」(生活・教育・医療・冠婚葬祭) 社会通念上相当額を必要の都度に直接支払すれば原則非課税 ② 暦年贈与(少額で長期間贈与する方向き) 年110万円まで非課税・申告不要。毎年ごとに都度契約+振込記録を残しましょう。 ③ 相続時精算課税制度(値上がり資産・一括移転向き) 年110万円の基礎控除+累計2,500万円の特別控除 ④ 居住用不動産の配偶者控除(おしどり贈与)(相続と比較して有利な時に適用) 婚姻20年以上で適用可能。基礎110万円+最大2,000万円控除。居住の実態が必須になります。 ⑤ 住宅取得等資金の非課税(マイホーム) 省エネ等住宅1,000万円、その他の住宅500万円の非課税枠。申告が必須になります。 ⑥ 教育資金の一括贈与 一定の要件を満たせば累計1,500万円の非課税枠。金融機関で専用口座の作成が必要。 ⑦ 結婚・子育て資金の一括贈与 一定の要件を満たせば累計1,000万円の非課税枠。金融機関で専用口座の作成が必要。 ⑧ 特定贈与信託(障害者扶養信託) 生活・療養費に限定。申告書の提出が必須。 最後に、必ず最新の国税庁情報で要件・期限を確認し、判断に迷う点は専門家へ早めに相談をしましょう。 「合法に・シンプルに・ムダなく」 を合言葉に、今日から実行に移しましょう。
国際相続サポート
東京で国際相続の手続きや相談をするなら税理士法人マインライフへ
新宿・津田沼を拠点に、相続税申告/国際相続/相続対策に特化した「相続専門」の税理士法人です。 案件ごとに専門性の高い税理士が前面に立ち、質の高い申告と提案を提供します。 初回面談は無料です。 まずは安心してご相談ください。 税理士法人マインライフについて──相続・国際相続に強い、少数精鋭の専門チームです マインライフが選ばれる理由 ①経験の深さが、品質の差になる 相続税は税理士の経験値によって結果が大きく変わる分野。私たちは相続税申告の実務経験が100件超の税理士が必ず担当し、財産評価から申告内容のご説明、踏み込んだご提案まで直接対応します。外部任せにしない「顔が見える品質」で、ブレのない申告を実現します。 相続税申告の担当は一般的な税理士の年間1~2件に対して、私たちは税理士一人あたり年間約50件の相続税申告を担当。高度論点は所内の税理士と外部顧問で多面的に検討し、他では難しい処理にも対応できる体制を整えています。 ②国際相続までワンストップ 海外資産や海外在住相続人が絡むケースでは、各国の専門家と連携し、日本側の窓口として一気通貫でサポート。英語にも対応可能で、アメリカ、シンガポール、欧州各国など幅広いネットワークを活用します。国内・海外の名義変更や外国税額控除を含む論点まで、まとめてご相談いただけます。 ③税務調査を見据えた盤石の準備 過去の申告・税務署対応の知見をもとに、必要書類リストの整備や評価根拠の明確化など調査対応を前提にした設計で申告を仕上げます。外部顧問とも連携し、抜けや見落としのない準備でリスクを抑えます。 また、税理士法人マインライフでは「書面添付制度(税理士法第33条の2)」を標準装備します。この制度は『税理士が税務署の代わりに、納税者をしっかり調べました』という専門家の所見を述べる意見書を作成し、申告書に添付する制度です。提出することにより、そもそもの税務調査を数%に下げます。 ④わかりやすさに徹するプロの説明力 税理士専門学校の講師経験者が在籍。専門用語に頼らず、本質からかみくだいてお伝えする姿勢を徹底しています。これは「高い専門性と提案力で顧客の発展に貢献する」という基本理念にも根差しています。 金融機関での外部セミナー開催/メガバンク内部行員勉強会などでもわかりやすく専門的な内容は大変好評いただいております。 YouTube「相続税理士カドクラの恐縮チャンネル」相続に関する情報を、どこよりも分かりやすく解説します! 第1章 プランの内容 税理士法人マインライフでは、お客様の状況に応じ以下の国際相続のサポートを行います。 国際相続の状況 主なサポート 海外に財産がある ・日本の相続税申告・評価 ・海外での名義変更やプロベート要否の判断 ・金融機関・現地専門家との連携 ・翻訳・認証の段取り 相続人が海外在住 or 外国籍 ・署名証明・領事認証・アポスティーユの要否判断 ・本人確認書類の整合(氏名表記ゆれ等) ・相続登記・銀行手続の要件整理 ・納税管理人の選任・届出 被相続人が外国籍 ・課税範囲の確認(居住歴・国籍等) ・準拠法の整理 ・日本申告と各国手続の並走管理 ・必要書類の翻訳・認証手配 必要に応じて外部専門家の弁護士(海外・日本)、司法書士などと連携しワンストップで国際相続のサポートを行います。 ※プロベート=遺産の内容や相続人を裁判所の管理下で確認・整理する手続きです。 詳しくは下記の記事をご参照ください。 「プロベートの記事(後日投稿予定)」 ※アポスティーユ=ハーグ条約加盟国間で公文書を海外で使うために、文書が正規に作成されたものであることを証明するもの。 以下のご相談・サポートをしております。 事例① 被相続人が外国籍で、海外にも財産があったケース 【状況】 被相続人は外国籍で日本に居住。財産は日本と海外の両方にあります。 【サポート】 日本側:当法人で財産の評価(日本・海外)と日本の相続税申告、必要書類の整理、期限管理を行います。相続税相当の課税がある国の場合には外国税額控除により二重課税の調整。 海外側:提携の日本の弁護士と現地の弁護士で連携して、プロベート(裁判所の手続き)や名義変更・換金を進めます。相続税相当の課税がある国の場合には必要に応じて現地の専門家と連携し海外の申告を進めます。 日本の申告に必要な海外資産の評価額・基準日を早めに固めるため、海外の進行と並走します。 【結果】 海外の名義変更・換金・海外の申告と日本の申告を同時並行で期限内に無事完了。 事例② 相続人の一人が海外在住だったケース 【状況】 相続人のうち一人が海外居住。財産は日本にあります。 【サポート】 納税管理人が必要なため選任後、納税管理人届出書の提出。場合によっては当法人にてお受けします。 海外にいる相続人の署名証明(署名の本物確認)と在留証明の取得方法を案内。必要に応じて翻訳を行います。 必要書類リストを提示し、抜け漏れを防止。 時差や郵送時間を見込みつつ、申告期限(10か月)から逆算して「分割協議~申告まで」のスケジュールを提示。 アメリカでは年間10万ドルを超える財産をアメリカ以外の国から相続で受けると「Form3520」の提出が必要。現地の専門家と連携し海外の申告を進めます。 財産が海外にもあるケースでは、海外居住の相続人については過去の住所履歴などから日本での納税義務・課税される範囲を確定させます。 【結果】 期限内に協議成立し、申告・納税まで完了。 第2章 国際相続を依頼する場合の費用 税理士法人マインライフでは、以下の報酬規定により国際相続のサポートを行います。 報酬規定について【国際相続サポート】👈 遺産総額 報酬額 (税込金額) ~7,500万円 1,155,000円 ~1億円 1,443,750円 ~2億円 2,310,000円 ~3億円 3,080,000円 3億円~ 別途お見積もり ※ 国際相続サポート(上記報酬表)は、日本の相続税申告が必要となる場合で以下に該当するものを対象とします。 〇相続財産が海外に所在している 〇被相続人または相続人に海外居住者がおり、海外の相続税申告が必要 〇被相続人または相続人に外国籍の方がいる 〇相続人が日本語を話せない ※ 上記の報酬には、海外財産の相続手続きや海外の相続税申告にかかる現地の専門家の報酬は含んでおりません。 ※ 上記の報酬には、日本における遺産分割協議書の作成、書面添付制度の対応、2次相続税対策シミュレーションの作成が含まれております。 ※ 土地の数や相続人の人数による報酬の加算はございません ※ 「遺産総額」とは、相続税計算上の財産評価額の総額のことであり、 小規模宅地等の特例、生命保険金・死亡退職金の非課税、借入金等の債務、配偶者の税額軽減を控除する前の金額となります。 ※ 財産に非上場株式を含む場合、延納・物納をご希望の場合は、内容に応じて別途お見積りさせていただきます。 ※ ご依頼の時期が申告期限まで3か月を切っている場合、お急ぎ対応料金の加算をお願いすることがございます。 ※ 特殊事情により通常よりも多くの作業が必要となる場合 (例:有価証券を100銘柄以上有している場合、遺産分割案に基づく相続税シミュレーションの作成が10パターン以上に及ぶ場合など) は、別途お見積りさせていただくことがございます。 ※ 税務調査が実施される場合には日当110,000円、また修正申告が必要な場合は別途修正申告手数料(税込220,000円~)を頂戴しております。 ※ 戸籍等の資料取得代行をご依頼いただいた場合には、これにかかる手数料と実費のご負担をお願いいたします。 ※ 財産の現地調査やご訪問に伴う旅費交通費等の実費のご負担をお願いいたします。 ※ 所得税の準確定申告につきましては、別途お見積もりさせていただきます。 第3章 国際相続をご依頼いただく場合の流れ 税理士法人マインライフでは、国際相続のサポートを初回面談から相続税申告まで以下の流れで行います。 ①無料の初回面談・ヒアリング まずは相続人や被相続人の国籍、居住地、国内外の財産の種類や規模などを丁寧にヒアリングします。 特に国際相続の場合、国ごとに制度や必要書類が異なるため、最初の情報整理が非常に重要です。お客様の不安や疑問もこの段階でしっかり伺い、全体の流れを分かりやすくご説明します。 その後、ヒアリング内容に基づいて必要な対応範囲を整理し、見積りを作成、ご提示いたします。 ②相続人・財産調査 次に、相続人と国内外の財産の状況を確認します。 海外の不動産、証券口座、銀行預金などは評価方法や手続きが日本と異なるため、特殊な評価・証明書類の取得が必要です。私たち が中心となって必要な書類のリスト化や取得方法のご案内を行い、相続人が迷わず準備を進められるようサポートします。 取得した資料を基に、日本の相続税額を確定し申告書を提出します。必要に応じて正しく外国税額控除を適用し、二重課税を回避 します。相続税の外国税額控除の記事はこちら 相続税申告は高度な専門知識を要し、誤りがあると余計な税負担や追徴課税が発生することとなります。私たちは豊富な経験を活かして正確な申告を行います。また、申告後に税務署から問い合わせがあった場合も税務署とのやり取りを代理対応します。 ③海外専門家との連携 相続財産が所在する国ごとに法律や会計の専門家と連携し、必要な書類の収集や手続きを進めます。 言語や制度の壁がある部分も、私たちが窓口となることでスムーズに対応可能です。現地弁護士や会計士等と直接連絡を取りながら、期限内に必要資料を揃えられるよう調整します。 ④外国税額控除・相続税申告 整理した資料を基に、日本での相続税申告を代理し、外国税額控除を正しく適用して二重課税を回避します。 国際相続の申告は高度な専門知識を要し、誤りがあると余計な税負担や追徴課税につながりかねません。私たちは豊富な経験を活かして正確な申告を行い、必要に応じて税務署とのやり取りも代理対応します。 第4章 お悩みは無料相談へ 税理士法人マインライフでは、国際相続に関する疑問点やお悩みを解消するために、初回無料相談を実施しています。 こんなお悩みはありませんか? 「相続人が日本国外在住で手続きが複雑」「海外の不動産や有価証券の評価方法が分からない」「二重課税によって税負担が増えないか不安」「外国税額控除が正しく使えるか心配」「海外の専門家とのやり取りが難しい」など 国際相続に精通した税理士が疑問点やお悩みを伺い、不安を解消します。 以下のご相談例についてアドバイス・サポートを行っております。 相談例① 相続人が日本国外在住で手続きが複雑 課題:日本と海外のやり取りが複雑で、必要書類・手順が不明確。 相続開始から申告までのスケジュールを提示し、必要書類・翻訳などの流れを整理。 私たちが日本側の窓口となり、英語での連絡や現地専門家との調整方針を決定。 連絡経路・役割分担が一本化し、海外居住の相続人でも負担を最小化して手続きを進められます。 相談例② 海外の不動産や有価証券の評価方法が分からない 課題:評価基準・根拠資料・現地証憑の集め方が不明。 評価方針と収集すべき証憑をリストで可視化。各財産の相続税評価は私たちが行います。 評価プロセスと根拠・必要資料が明確になり、海外資産も含めて申告準備をスムーズに進めます。 相談例③ 二重課税によって税負担が増えないか不安 課題:海外でも課税がありそうで、日本と重複しないか心配。 対象国の課税有無・範囲を確認します。外国税額控除の適用可能性や適用時の留意点を説明します。 二重課税リスクへの対処方針が定まり、安心して国内外の手続きを進められます。 相談例④ 海外の専門家とのやり取りが難しい 課題:現地の弁護士・会計士などの専門家とのコミュニケーションや段取りに不安。 財産所在国の提携専門家ネットワークを提示し、私たちがハブとなってやり取りを代行。英語対応も行います。 国をまたぐ実務をワンストップで進行し、相続人の時間的・心理的負担が大幅に軽減できます。 そのほか、ヒアリング内容に基づいて必要な対応範囲を整理し、見積りを作成、ご提示いたします。 ご相談は、新宿・津田沼にオフィスを設置しておりますので、ご希望の場所にお越しください。 直接お会いすることが難しい方には、オンラインでも相談を行っております。 初回無料相談はこちらから↓ LINEで相談👈 面談予約はこちらから👈 第5章 国際相続専門の強み 国際相続に強い税理士に必ず依頼してください。 ①手続きをスムーズに進められる 国際相続専門の税理士に依頼することで複雑な国際相続も円滑に進められるという点が最大のメリットです。 相続税の申告に必要な書類を的確にリストアップし、役所や金融機関、さらには様々な専門家と連携して手続きを任せられるため、依頼者自身が一から調べて動く手間を大幅に省けます。 経験豊富な税理士に任せれば安心して手続きを進めることができます。 ②税金を払いすぎるリスクを防げる 国際相続では、二重課税や不要な税負担のリスクが国内相続に比べてはるかに大きいのが現実です。 たとえば、日本の相続税と米国の遺産税の両方が課税されるケースもあります。 しかし、国際相続専門の税理士であれば、租税条約や外国税額控除といった制度を正確に適用して計算し、税金を最小限に抑えることが可能です。 ③税務調査時にも安心して税理士に任せることができる 国際相続専門の税理士であれば、税務調査が入っても安心して対応を任せられます。 近年、国際的な資産移動や海外口座の情報開示が進んだことにより、税務署が国際相続案件に注目するケースは増えています。 国際相続では、海外財産の申告漏れや評価の誤り、二重課税調整の計算ミスなどが指摘されやすく、一般的な相続案件に比べて税務調査の対象となる可能性が高いのが実情です。 しかし、国際相続専門の税理士であれば、事前の申告段階でリスクを洗い出し、調査で問われやすいポイントに備えた対応を準備が可能です。 また、実際に税務調査が行われた場合でも、税理士が前面に立って説明や資料提出を行うため、依頼者本人が直接やり取りをして不安を感じる必要はありません。 「調査が入ったらどうしよう」という不安を和らげ、安心して相続を進められることを実現します。 第6章 税理士の紹介 国際相続は、国内相続とは比べものにならないほど複雑で、専門家の存在が成功の分かれ道となります。 税理士法人マインライフは、新宿・津田沼と東京近郊を拠点に、相続・国際相続の専門家として豊富な実績を持つ少数精鋭の税理士法人です。年間数百件の相続税申告を担当しており、経験豊富な税理士が必ず最初から最後まで対応します。 法人名称 税理士法人マインライフ 税理士法人番号 第5095号 代表社員 統括代表社員 門倉 誉士希 (税理士登録番号129249) 代表社員 伊藤 千尋 (税理士登録番号136705) 代表社員 久保 佑介 (税理士登録番号140334) 代表社員 川崎 朝輝 (税理士登録番号145456 ) 所属団体 東京税理士会 四谷支部(東京事務所) 千葉税理士会 千葉西支部(千葉事務所) 所在地 東京事務所(本社) 〒160-0022 東京都新宿区新宿4-3-17 FORECAST新宿SOUTH 6階 TEL:03-6856-4314 千葉事務所 〒275-0016 千葉県習志野市津田沼7-10-8 最新の税理士紹介のページはこちら👈 第7章 まとめ 本記事では、「東京で国際相続の手続きや相談をする」場合において弊社の以下の内容を説明させていただきました。 第1章 東京で国際相続をする場合の費用 第2章 プランの内容 第3章 国際相続をご依頼いただく場合の流れ 第4章 お悩みは無料相談へ 第5章 国際相続専門の強み 第6章 税理士の紹介 国際相続は、国内相続とは比べものにならないほど複雑です。 「海外の財産をどう扱えばいいのかわからない」「外国税額控除を受けたいが手続きに不安がある」―― 少しでも不安がある場合には、ぜひ税理士法人マインライフへご相談ください。 初回面談は無料です。ご状況をお伺いし、今すぐできる最善の方法とスケジュールをご提案いたします。
国際相続サポート
失敗しない国際相続!国際相続に強い税理士の見極め方6選!
ご両親の相続手続きについて調べ始めたとき、当初は日本国内で完結する手続きだと思っていたのではないでしょうか。 ところが実際に財産や相続人を確認すると、「相続人の一人が海外に住んでいる」「相続財産の一部が海外にある」といった状況が判明し、突然「国際相続」という言葉に直面し戸惑っているかと思います。 結論からお伝えすると、相続に海外が絡む場合は国際相続の経験やネットワークを持つ税理士に早めに相談することが必須です。 国際相続は、国内の相続よりも格段に複雑で、法律・税制・言語が絡み合うため、専門家のサポートなしに完結させることは不可能です。 また、専門家の中でも国際相続の経験がない税理士に頼んでしまうと「手続きが進まない」「税金を払いすぎてしまう」といった深刻なトラブルに発展する可能性があります。 本記事では、実際に依頼すべき「国際相続に強い税理士」の選び方や相談するメリットを分かりやすく解説します。 海外に関わる相続で悩みを抱えている方は、ぜひ参考にしてください。 第1章 国際相続の相続手続き 国際相続が必要な場合は、なぜ非常に複雑な手続きとなるのか、国際相続の手続きが必要な場合を簡潔にお伝えしたうえで、国際相続だからこその特徴をまとめました。 1-1. 国際相続の手続きが必要な場合とは 結論から言えば、「海外に被相続人の財産がある」、「相続人が海外に住んでいる」といった場合は国際相続の手続きが必要です。 例えば、被相続人が日本に住みながら海外に不動産や銀行口座を持っていた場合、または相続人が海外在住の場合、通常の日本の相続の手続きだけでは処理できません。 国や地域ごとに相続制度や課税ルールが異なるため、国際相続の枠組みで対応しなければならないのです。 1-2. 国際相続の手続きは複雑 国際相続の手続きは、日本での手続きと海外での手続きの両方が必要になるため複雑です。 具体的には、海外に財産がある場合には日本での遺産分割協議や相続税申告と並行して、現地でのプロベート(裁判所手続き)や相続税の申告が必要になるケースがあります。 現地での申告やプロベートはその国の言語・制度・税制が絡み合うため、現地の弁護士とのやり取りが必須になります。 その結果、通常の相続より時間も労力もかかることになってしまいます。 1-3. 国際相続の手続きは早期の対応がカギ 国際相続の成功は初動の早さで決まります。 国際相続であっても、日本の相続税申告期限は相続開始から10か月以内と定められています。 ところが、海外の金融機関や裁判所から必要な証明書や残高証明を取り寄せるには、数か月以上を要することが多いです。 それに加えて国際相続は翻訳や認証手続きも加わるため、国内手続きに比べて格段に時間がかかります。 また、申告期限間近で税理士に依頼するなど手続きに動くと以下のようなデメリットがあります。 ・税理士に依頼する場合、申告期限間近では通常のケースよりも追加で報酬が必要になる。 ・概算の内容で申告をして後々で修正申告をすることになり、延滞税や加算税(ペナルティ)がかかる。 そのため、相続が始まった段階から迅速に動き、専門家と連携しながら準備を進めることが重要です。 1-4. 国際相続の専門家に任せた方が良い 間違いなく国際相続は国際相続の経験がある専門家に依頼すべきです。 制度の違いや二重課税リスクを正しく処理できるのは、経験豊富な国際相続に強い税理士や弁護士のチームだけです。 実際に私が係わってきた中でも、以下のようなケースが多いです。 ・当初普段から付き合いのある税理士に依頼していたが、手続きが全く進まず途中から弊社に依頼していただいた。 ・相続を専門とする税理士に依頼しようと相談にいったが国際相続は対応できないと言われた。 日本の相続税の申告件数を税理士の登録者数で割ると一人当たり年間1~2件になります。 しかし、実際には弊社のように年間100件以上相続税申告を行っている税理士法人もあるため、税理士の中には相続税申告は1年間に1件も行わない税理士も多くいるので特殊な業務とされているのです。 国際相続はその中でも100件に2~3件程度になると思います。 税理士と普段接点がない方だと、どの税理士も手続きできるだろうと考えがちですが、実際に国際相続を円滑に進めることができる税理士は少ないということがお分かりになるかと思います。 したがって、国際相続の経験のある専門家に相談することが、最も効率的で安全な方法です。 第2章 国際相続に強い税理士の選び方 では、国際相続に強い税理士を選ぶときには、どんなところに注意して判断すれば良いでしょうか。 大事な6つの視点を踏まえ、自分に合った税理士を探してみてください。 2-1. 海外の専門家とネットワークがある 国際相続では海外の士業と連携できるネットワークをもった税理士が必要です。 理想論では ・日本の税務申告だけでなく、海外現地でのプロベート手続きや税務申告まで全ての知識がある。 ・日本だけでなく海外においても全ての手続きを行うことができる そんな専門家が理想です。 ただし、現実にすべてを一人又は一つの事務所で手続きを行うことは不可能です。 日本でも登記業務は司法書士の先生にお願いするように、海外の手続きは海外の専門家との協業が必須になります。 この現地とのネットワークがあるということが国際相続に強い税理士の必須条件になります。 2-2. 国際相続案件の取り扱い実績が豊富 国際相続では、通常の相続税申告はもちろん特に国際相続の経験豊富な税理士に依頼することをおすすめします。 国際相続は前述したように手続きが複雑なため時間がかかるだけでなく、日本ではない海外特有の制度に基づいた財産をどのように相続税申告に織り込むか検討するなど、非常に高度な税務判断が必要になります。 それだけ国際相続は専門性が高く、机上の知識だけでは乗り越えられないケースも多いため、経験の多さは信頼性に直結します。 【コラム】 ~ジョイント口座~ 日本にはない制度でアメリカにはジョイント口座というものがあります。 ジョイント口座とは共有で一つの銀行口座を保有することができる口座です。 一般的には夫婦で口座を作って共同で管理・利用する目的で作られます。 この夫婦で作ったジョイント口座は、夫婦の片方が亡くなった場合には、自動的に残りの名義人に口座資産が承継される設計になっていることが多いです。 ジョイント口座は日本の金融機関では認められていない制度ですが、日本の相続税申告では『被相続人が実際に出資した割合』を相続財産に計上する必要があります。 したがって、被相続人が全額出資していた場合には残高の全額を計上しなければなりません。 しかし、実務経験の少ない税理士の中には、名義を理由に誤って半分しか計上しないミスもよく見ます。 2-3. 日本の税制だけでなく海外の税制度や租税条約に詳しい 国際相続では日本の税制だけでなく海外の制度や租税条約の理解が不可欠です。 税金そのものは条約等で課税が回避されていても、海外での届出や申告の義務が残ることがあるからです。 具体例として、日本人が米国に財産を持つ場合、日米租税条約により相続税が実際に二重に課されることは少ないです。 ただし、米国では課税ゼロでもIRSへの書類提出(Form 706-NAやForm 8833など)が必要になります。 この申告を怠るとペナルティを受けるリスクがあります。 このように、国際相続では海外税制や条約に詳しい専門家の助言を受けることで、余計なリスクを避けることができます。 2-4. 料金が明確である 税理士を選ぶ際には「料金が明確である」ということも重要です。 しかし、実際に弊社に相談に来られたお客様の中にも過去に他の税理士が行った相続税申告の手続きにおいてこんな不安を口にされることが多々あります。 「見積もりより高い金額を請求された」 「追加作業ごとに費用が積み上がっていった」 「総額が最後まで分からなかった」 相続税申告は通常一生で2回程度経験するかしないかの大切な手続きです。 料金が不透明なままでは、安心して任せられません。 特に国際相続は期間が長く費用がかさみがちです。 報酬体系が透明な税理士を選ぶことが、安心につながります。 【税理士法人マインライフでは初回面談は無料かつ、明確な料金表を提示しています。】 遺産総額 報酬額(税込金額) ~7,500万円 1,155,000円 ~1億円 1,443,750円 ~2億円 2,310,000円 ~3億円 3,080,000円 3億円~ 別途お見積り ※ 国際相続サポート(上記報酬表)は、日本の相続税申告が必要となる場合で以下に該当するものを対象とします。 〇相続財産が海外に所在している 〇被相続人または相続人に海外居住者がおり、海外の相続税申告が必要 〇被相続人または相続人に外国籍の方がいる 〇相続人が日本語を話せない ※ 上記の報酬には、海外財産の相続手続きや海外の相続税申告にかかる現地の専門家の報酬は含んでおりません。 ※ 上記の報酬には、日本における遺産分割協議書の作成、書面添付制度の対応、2次相続税対策シミュレーションの作成が含まれております。 ※ 土地の数や相続人の人数による報酬の加算はございません ※ 「遺産総額」とは、相続税計算上の財産評価額の総額のことであり、 小規模宅地等の特例、生命保険金・死亡退職金の非課税、借入金等の債務、配偶者の税額軽減を控除する前の金額となります。 ※ 財産に非上場株式を含む場合、延納・物納をご希望の場合は、内容に応じて別途お見積りさせていただきます。 ※ ご依頼の時期が申告期限まで3か月を切っている場合、お急ぎ対応料金の加算をお願いすることがございます。 ※ 特殊事情により通常よりも多くの作業が必要となる場合 (例:有価証券を100銘柄以上有している場合、遺産分割案に基づく相続税シミュレーションの作成が10パターン以上に及ぶ場合など) は、別途お見積りさせていただくことがございます。 ※ 税務調査が実施される場合には日当110,000円、また修正申告が必要な場合は別途修正申告手数料(税込220,000円~)を頂戴しております。 ※ 戸籍等の資料取得代行をご依頼いただいた場合には、これにかかる手数料と実費のご負担をお願いいたします。 ※ 財産の現地調査やご訪問に伴う旅費交通費等の実費のご負担をお願いいたします。 ※ 所得税の準確定申告につきましては、別途お見積もりさせていただきます。 2-5. レスポンスが早い 国際相続においては「時間との戦い」が避けられません。 日本での相続税の申告期限(10か月)は通常の相続でも国際相続でも同じですが、海外財産や海外在住相続人が関わる場合、通常以上に調整や書類取得に時間を要します。 例えば、海外の財産のプロベート手続きには少なくとも数か月かかりますし、相続人が海外に住んでいる場合に必要な署名(サイン)証明の取得や在留証明の取得にも日数がかかります。 つまり、行動が遅いと期限内に手続きを終えるのが困難になりかねないのです。 国際相続の経験が豊富な税理士は、どの手続きに時間がかかるかを把握しており、先手を打って準備を進めてくれるため安心です。 逆に動きが遅い税理士に任せてしまうと、申告期限に間に合わず加算税や延滞税といったペナルティが発生するリスクすらあります。 2-6. 自分との相性 最後に意外と見落とされがちですが「自分との相性」こそが長期戦になりやすい国際相続では「成功のカギ」となります。 国際相続の案件は、国内完結の相続よりも解決までの期間が長引きがちです。 1年を超えることも珍しくなく、依頼者と税理士の間で頻繁にやり取りを重ねる必要があります。 もしコミュニケーションがスムーズに取れなかったり、人間的な信頼関係を築けなかったりすると、ストレスが大きくなり、かえって手続き全体に悪影響を与えかねません。 実際に相談する際には、初回面談での説明の分かりやすさやレスポンスの早さ、質問に真摯に答えてくれるかどうかなどを確認してみるとよいでしょう。 「専門知識があるかどうか」だけでなく、「安心して最後まで任せられる人物かどうか」を見極めることが、国際相続における税理士選びの最重要ポイントのひとつです。 第3章 国際相続に強い税理士に相談するメリット 国際相続に強い税理士に依頼することは、さまざまなメリットがあります。 ここではその中でも代表的なもの3点を挙げています。 3-1. 手続きをスムーズに進められる 結論として、専門家に依頼することで複雑な国際相続も円滑に進められるという点が最大のメリットです。 相続税の申告に必要な書類を的確にリストアップし、役所や金融機関、さらには様々な専門家と連携して手続きを任せられるため、依頼者自身が一から調べて動く手間を大幅に省けます。 経験豊富な税理士に任せれば安心して手続きを進めることができます。 3-2. 税金を払いすぎるリスクを防げる 国際相続では、二重課税や不要な税負担のリスクが国内相続に比べてはるかに大きいのが現実です。 たとえば、日本の相続税と米国の遺産税の両方が課税されるケースもあります。 しかし、国際相続に精通した税理士であれば、租税条約や外国税額控除といった制度を正確に適用して、正確に計算し、税金を最小限に抑えることが可能です。 これは依頼者が独力で調べるのは極めて困難な領域です。 3-3. 税務調査時にも安心して税理士に任せることができる 国際相続に強い税理士がいれば、税務調査が入っても安心して対応を任せられます。 近年、国際的な資産移動や海外口座の情報開示が進んだことにより、税務署が国際相続案件に注目するケースは増えています。 国際相続では、海外財産の申告漏れや評価の誤り、二重課税調整の計算ミスなどが指摘されやすく、一般的な相続案件に比べて税務調査の対象となる可能性が高いのが実情です。 しかし、国際相続に精通した税理士であれば、事前の申告段階でリスクを洗い出し、調査で問われやすいポイントに備えた対応を準備してくれます。 また、実際に税務調査が行われた場合でも、税理士が前面に立って説明や資料提出を行うため、依頼者本人が直接やり取りをして不安を感じる必要はありません。 「調査が入ったらどうしよう」という不安を和らげ、安心して相続を進められることこそ、専門家に依頼するメリットのひとつです。 第4章 国際相続で起こりやすいトラブルと注意点 私が今まで国際相続の対応をしてきた中で、国際相続ならではのトラブルや注意点が数多くありました。 間違いなく言えるのは、国際相続は通常の相続と比べてトラブルや注意点が多いということです。 どういったことが問題になりうるのかをわかった上で対応してくれる税理士に依頼することの重要性を理解してください。 4-1. 海外にいる相続人と連絡が取れない 海外に住んでいる相続人と連絡がつかないというのが相続手続きが進まない最大の要因の一つです。 住所不明や連絡不能のケースでは、日本の家庭裁判所で不在者財産管理人の選任手続きが必要になることもあります。 これには時間も費用もかかるため、早めに把握して対策を講じることが大切です。 4-2. 国ごとのルールが違うため思わぬ税金が発生 国際相続の大きな落とし穴は、各国の税制や相続制度が異なることです。 例えば、日本では相続税課税ですが、米国では遺産税課税という違いがあり、同じ財産に二重に課税されることもあります。 こうしたリスクを未然に防ぐためにも、租税条約や国ごとのルールを理解している税理士に依頼する必要があります。 4-3. 手続きを進めるのに時間と費用がかかる 国際相続は、翻訳や公証、裁判所手続きなどが必須となる場合が多く、国内相続の数倍の時間とコストがかかるのが実情です。 依頼前にあらかじめスケジュールや費用の見通しを確認しておくことが、予期せぬトラブルを防ぐポイントです。 第5章 国際相続の手続きの流れと専門家の関わり一覧 国際相続は、国内相続と異なり「国をまたいだ手続き」が必要になる点が大きな特徴です。 財産や相続人の居住地によって、手続きの進め方や関わる専門家が大きく変わってきます。 まずは全体像をつかむために、以下のようなケース分けが考えられます。 ケース 相続人の住所 (ケース4のみ被相続人の国籍) 財産のある場所 主な課題 関与する専門家 1 海外在住者あり 日本国内のみ 書類の署名取得や公証・翻訳に時間がかかる 日本:税理士・司法書士・弁護士 2 日本国内のみ 海外財産あり 海外財産の評価・プロベート※による長期化 日本:税理士、弁護士 海外:現地弁護士・現地会計士等 3 海外在住者あり 海外財産あり 時差・言語・制度差による調整負担、二重課税リスク 日本:税理士、弁護士 海外:現地弁護士・現地会計士等 4 被相続人が外国人 海外財産あり 準拠する法の確認が必須、二重課税リスク 日本:税理士・弁護士 海外:被相続人本国の専門家(弁護士等) ※プロベート:裁判所による遺産承認手続き 5-1. 財産は国内にあるが、相続人のいずれかが海外にいる場合 このケースでは、財産は日本国内にしかないため、基本的な相続手続きは日本の法律に基づきます。 ただし、相続人が海外に住んでいる場合、署名や同意書類を取り付けるのに時間がかかるのが特徴です。 具体的には、在外公館(大使館・領事館)で署名証明を受ける必要があります。 この場合書類を国際郵便でやり取りするため、数週間〜数か月かかることもあります。 このため、早めに専門家に依頼し、署名書類のフォーマットを整えてから相続人へ送付するのがスムーズです。 5-2. 国外に財産があるが、相続人は全員国内にいる場合 相続人が全員日本に住んでいても、財産が海外にある場合は現地での手続きが必要となります。 たとえば、米国に不動産や証券口座がある場合はプロベート(遺産承認手続き)が必要になるケースが多く、裁判所を通さないと名義変更や解約ができません。 プロベートには数か月〜数年かかることもあり、その間に日本の相続税申告期限(10か月)は到来します。 また、不動産であれば現地の鑑定評価書を入手して翻訳しておくといった準備が欠かせません。 このため、日本の税理士と並行して現地の弁護士・会計士を早めに手配する必要があります。 国際相続の経験が豊富な専門家であれば、現地とのネットワークを有しており円滑に相続手続きを進めることができます。 5-3. 財産も相続人も海外にいる場合 最も複雑で時間を要するのがこのケースです。 その理由としては下記の2点が大きな理由です。 ・財産の評価は、海外の銀行や不動産業者から資料を取り寄せる必要がある。 ・相続人同士のやり取りは時差・言語の壁があり間に専門家がたち調整をする必要がある また、日本と海外の双方で相続税がかかる可能性(二重課税リスク)があります。 このような場合は、日系と現地の専門家が連携してサポートする体制が必須です。特に、税理士が租税条約や外国税額控除を駆使して調整しないと、余計な税負担が生じることがあります。 5-4. 被相続人が外国人の場合 被相続人が外国籍の場合は、相続に適用される法律が本国法か日本法かをまず確認する必要があります。 民法では「被相続人の本国法が相続に適用される」とされているため、その国の相続制度を無視することはできません。 ただし、財産が日本にある場合は日本法が優先されることもあるため、準拠法の判断が非常に重要になります。 また、戸籍が存在しないため、出生証明や婚姻証明などを本国から取り寄せる作業が必要になります。 相続税については、被相続人や相続人が外国籍であっても、日本に住所や財産があれば課税対象になります。 このケースも日本の税理士・弁護士に加えて、被相続人の国の弁護士や会計士のサポートが必須になりますので早期に専門家に依頼することを強くおすすめします。 第6章 国際相続は「税理士法人マインライフ」へ 国際相続は、国内相続とは比べものにならないほど複雑で、専門家の存在が成功の分かれ道となります。 税理士法人マインライフは、新宿・津田沼を拠点に、相続・国際相続の専門家として豊富な実績を持つ少数精鋭の税理士法人です。年間数百件の相続税申告を担当しており、経験豊富な税理士が必ず最初から最後まで対応します。 「海外の財産をどう扱えばいいのかわからない」「外国税額控除を受けたいが手続きに不安がある」―― そのようなときは、ぜひ税理士法人マインライフへご相談ください。 初回面談は無料です。ご状況をお伺いし、今すぐできる最善の方法とスケジュールをご提案いたします。 最初の一歩を踏み出すことが、複雑な国際相続を解決へ導く最大のカギとなります。 第7章 まとめ いかがだったでしょうか。 国際相続は、制度の違い・言語の壁・申告期限の厳しさから、放置すると大きなトラブルに発展する可能性があるとお分かりいただけたかと思います。 税理士には様々な特性や専門がありますが、国際相続を安心して任せられる税理士の特徴は以下の5つ6つです。 ・海外の専門家とネットワークがある ・国際相続案件の取り扱い実績が豊富 ・日本の税制だけでなく海外の税制度や租税条約に詳しい ・料金が明確である ・レスポンスが早い ・自分との相性 「海外財産がある」「相続人が海外在住」と分かった時点で、すでに国際相続の枠組みに入っている可能性が高いため、できるだけ早く専門家に相談することが不可欠です。 国際相続に強い税理士に依頼することで、スムーズな手続き、過大な税負担の回避、そして相続人同士の円満な関係維持が実現できます。早めの一歩が、安心の相続につながります。
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サラリーマンの「節税教科書」/12の見落としチェックで月の小遣い◯万円アップ!?
物価の高騰が止まらない。 スーパーでの買い物、電気代やガス代の請求書…。 生活費がじわじわ増えているのに、手取りは変わらない。 そして、給与明細やボーナス明細をみると「こんなにたくさん引かれるのか」と感じませんか? まだまだ子どもの学費もかかるのに大丈夫なのか??と不安になりますよね。 税金対策について耳にすることもあるけどよくわからなくて手が出せないという方も多いと思います。 しかし、実際に “払いすぎている税金”を抑えられる方法がいくつもあります。 そして、実は、一度実行してしまえば、そのまま継続、もしくは、毎年同じことをするだけで同じ効果が得られる対策が多いです。 対策している人としていない人で毎年数十万円の差が出てくることもあります。 この記事では、サラリーマンがおさえるべき節税策を整理し、「今年すぐにできること」から「将来の安心につながる仕組みづくり」まで、優先順位をつけて紹介します。 「どれから手をつければいいのか分からない」という方でも、この記事を読み終える頃には、あなた専用の“マイ節税プラン”が手に入ります。 少しでも早く、対策を実行し手取りアップを目指しましょう!! 税金対策はその人の状況にあったものや同じ対策をしても人によって効果が異なります。 まずは、どのような効果があるのかを理解するためにもサラリーマンが支払う税金の基本を簡単に確認しましょう。 第1章 サラリーマンの税金ってどうなってるの? サラリーマンの税金は、図の流れで計算します。 納める税金が計算されるまでに控除できるものがいくつもあります。第2章以降で紹介する税金対策は控除の種類が違うのでどの控除なのかが分かると理解が深まります。 ① 給与所得控除 給与所得控除とは、サラリーマンに認められたみなし経費です。 まず、所得税と住民税は“もうけ”にかかる税金です。 たとえば、ある八百屋さんの売上が1,000万円あったとします。 野菜の仕入れやお店の家賃などの経費に700万円使ったとしたら、残りの300万円が“もうけ”です。 所得税と住民税はこの“もうけ”の300万円に対してかかります。 サラリーマンもスーツ代や新聞代など仕事のためにお金を使いますが、1つ1つ経費を計算するのは大変です。そこで国が用意した制度が給与所得控除です。 「サラリーマンも仕事に必要なお金がかかるはずだから、実際に払っていなくても、収入に応じて“みなし経費”を差し引きますよ」という仕組みです。 控除の金額は収入に応じて自動的に決まっています。 年収500万円の場合 500万円×20%+44万円=144万円 になります。 なお、介護や子育て世帯の場合、上の表で計算する金額に加えて次の金額も控除することができます。 (給与等の収入金額(上限1,000万円)-850万円)×10% 年収900万円の場合(介護や子育て世帯) 195万円+(900万円-850万円)×10%=200万円 年収1,200万円の場合(介護や子育て世帯) 195万円+(1,000万円-850万円)×10%=210万円 給与所得控除は、年収に応じて自動的に決まり、意図的に操作できるものではないため、基本的に税金対策で活用するものではありません。 ② 所得控除 所得控除とは、生活をしていく上で必要なお金には税金をかけないように控除してくれる仕組みです。 国民年金や健康保険料(社会保険料)の支払、家族を養うために必要な生活費、医療費がたくさんかかったなど、必要不可欠な費用については税金をかけないようにしてくれています。 ~所得控除をお小遣いで考えてみる~ 月のお小遣い:5万円 生活などで必ず出るお金 合計 3万円 ・ ランチ代 : 1日1,000円 × 20日 =20,000円 ・ 仕事上のコーヒー代 : 5,000円 ・ スマホ代などの通信費 : 5,000円 残り(自由に使えるお金) 2万円 必ず出るお金の3万円を所得控除と考えると、お小遣い全体の5万円から3万円を控除した自由に使えるお金の2万円にのみ税金がかかるということです。 実際に自由に使えるからといって、お小遣いの2万円に税金がかかったら我慢なりませんが…。 ただ、この2万円、いや、お小遣いの5万円が税金を徴収された後の手取りの一部です。節税が成功すれば手取りが増え、この5万円のお小遣いも増えるはずです!! 所得控除を上手く使う(生活に必要なお金が多いと判断してもらう)ことにより税金を抑えることができます。 給与収入(年収)から給与所得控除、所得控除を控除した金額(課税所得)に定められた税率を乗じて税金を計算します。次は税率について説明します。 ③ 税率 所得税 所得税は図のように、もうけが大きい人ほど税率が上がっていきます。 例:課税所得が500万円の人の場合 195万円×5%+(330万円−195万円)×10%+(500万円−330万円)×20%=572,500円 500万円すべてに20%をかけるのではなく、段階的に税率が適用されます。 また、②の所得控除は税率をかける前に控除するため、税率が高い人(所得が高い人)ほど節税の効果が大きくなります。 (例:100万円控除ができる場合、税率が20%なら20万円の効果、45%なら45万円の効果) 住民税 住民税は、「所得割(原則一律10%)」と「均等割(定額・数千円程度)」の2つで構成されます。 自治体の非課税要件に該当しない場合は、10%の所得割に均等割が加わります(均等割の金額は自治体により多少異なります)。 なお、住民税は前年の所得に基づき翌年度に課税されます。つまり、今年の収入に応じた住民税は来年徴収されるため、住民税の節税の効果は1年遅れて現れます。 ④ 税額控除 税額控除は、税率を乗じて計算された税金の額から“そのまま差し引いて”くれます。 そのため、控除される金額が同額であれば、所得の高い人も低い人も同じ効果になります。 税額控除は、国がこういう行動をしてくれた人には応援したいという目的で作られています。つまり、国が行う税制支援と考えられます。 例えば、住宅ローン控除は住む家を買う人を応援する制度で年末のローン残高の0.7%(令和7年に居住開始の場合)を税金から控除してくれます。 いかがでしょうか?サラリーマンが納める税金について理解できましたか? ざっくりで構いませんので計算構造(収入 → 控除 → 税率 → 税額控除の流れ)を理解し、次章の具体的な節税策を確認していきましょう。 第2章 サラリーマンが使える12の節税策【一覧表/チェックリスト】 まずは、節税策の一覧表をご覧ください。 それぞれの制度について、この一覧表をみながら第3章の各制度の解説をご確認ください。 対策したいと思う制度をチェックし、ご自身で必要な対策を記録しておきましょう。 【一覧表/チェックリスト】 【PDF ダウンロード用】 第3章 節税策の詳細内容 3-1 ふるさと納税 ★★★★★(特におすすめ) ふるさと納税は、サラリーマンがすぐにできるおすすめの節税策です。 はっきり言って、やらないのはもったいないです。 具体的な内容について確認をしていきましょう。 3-1-1 ふるさと納税とは? 応援したい自治体に寄附すると、翌年の住民税や所得税が軽くなる制度です。 実質の自己負担は2,000円で、返礼品も受け取れます。 ※その年の寄附は12/31までが対象(まだの方はお早めに)。 3-1-2 ポイント付与の禁止(令和7年10月以降) 寄附サイトのポイント付与が廃止されました。 これは、自己負担2,000円で返礼品がもらえるだけでなく、ポイントが付与されるのはお得すぎて制度のバランスが崩れるという指摘があったためです。 ポイント付与されなくなってもお得であることは変わりませんので、やる価値は十分にあるでしょう。 3-1-3 ふるさと納税の限度額 ふるさと納税の限度額とは、2,000円の自己負担額で自治体に寄付できる限度額のことです。 税金を多く納めている人ほどふるさと納税の限度額は増えます。 例えば、年収650万円/配偶者を扶養/子ども1人(16歳未満)場合の限度額は約7万円です。 同じ年収、家族構成でも他の控除の有無などによって限度額が異なります。ふるさと納税のサイトなどでご自身の限度額について細かく調べることができます。 必ず、ご自身の限度額を確認の上、実行しましょう。 限度額を超えてふるさと納税をすると、自己負担が2,000円でおさまらず負担額が増えてしまいます。 ふるさと納税をする方法はネットショッピングとほとんど同じで難しくありません。 なお、ふるさと納税の限度額が少ない人は、費用対効果を考えるとあまりお得にならない場合があります。 限度額内であれば、1万円の寄付額でも、10万円の寄付額でも自己負担の2,000円は変わりません。 1万円の寄付でもらえる返礼品と自己負担の2,000円を比べると高くつく場合もあります。 3-1-4 控除を受けるための2つの手続き 控除を受けるための手続きは、「ワンストップ特例」と「確定申告」の2つあります。 ワンストップ特例:その年の寄附先が5自治体以内。寄附時にもらう申請書を翌年 1/10必着で提出。 確定申告:寄附先が6自治体以上、または医療費控除などで申告する人。翌年3/15までに申告。 ~返礼品選びのコツ~ 冷凍品をまとめて頼むのはやめましょう。冷凍庫に入らなくなります。 冷凍庫に入らず、その日の夕食が決まってしまうことも・・・。 私はその経験を経て、返礼品は豪華な冷凍グルメではなく、米やトイレットペーパーやティッシュなどの生活必需品にして、浮いたお金で(ふるさと納税関係なく)食べたい時に豪華なグルメを食べます。 3-2 住宅ローン控除 ★★★★★(住宅購入を検討中の方、必見!!) 住宅ローン控除は控除額が大きく、家計への影響は年間数十万円にもなります。 マイホームを購入するか迷われている方は、この制度の有無で購入判断を左右する材料になるくらい大きな制度です。 3-2-1住宅ローンとは? 住宅ローン控除とは、ローンでのマイホームを買う人を国が後押しする税制優遇(第1章の④税額控除)です。 年末のローン残高×0.7%(令和7年に居住開始の場合の控除率で控除額には上限があります)をその年の所得税から直接差し引くことができます。 所得税で控除しきれない金額の一部は、翌年の住民税から控除することができます。 なお、控除の上限や適用できる年数については、購入する住宅の省エネ性や子育て世帯かどうかにより異なります。住宅の要件、控除率や控除上限については頻繁に改正が行われていますのでご注意ください。 控除率や上限などを下表に纏めました。(令和7年に居住開始した場合になります。) ※エネルギーは「エネルギー消費性能向上住宅」、特定エネルギーは「特定エネルギー消費性能向上住宅」の略です。認定住宅を含め、それぞれ一定の基準が設けられています。 子育て世帯とは、40歳未満の夫婦の方や19歳未満の子どもを扶養している世帯などです。 実際に適用を受ける場合には、細かな要件や基準が設けられておりますので事前によく検討をするようにしましょう。 また、ご夫婦でペアローンにすると、ご夫婦それぞれで住宅ローン控除の適用を受けることもできます。借入方法なども検討をする必要があります。 3-2-2 控除を受けるための手続き 住宅ローン控除の適用を受ける初年度は必ず確定申告をする必要があります。2年目以降は年末調整で適用を受けることが可能です。 年末調整とは? 会社が、1年分の給与と各種控除の情報をもとに、毎月の源泉徴収(前払いしていた所得税)を清算し、税額を正しく調整する手続きです。 つまり、1年間の税金の清算を会社が代わりにやってくれる仕組みです。 そのため、収入が給与だけの人などは、原則として確定申告は不要になります(※医療費控除やふるさと納税の確定申告、複数社から給与がある等は除く)。 これにより、ほとんどの従業員は確定申告をする必要がありませんし、税務署も受け付ける確定申告の数が少なくなります。 ~年末調整を飲み会の清算で考えてみる~ 幹事が事前に1人5,000円ずつ集金していましたが、実際の会計はクーポン適用で1人4,800円になりました。そのため、幹事が参加者全員に差額200円を返金して清算しました。 年末調整に当てはめると… ・ 5,000円集金 → 毎月の給料から見込みで多めに引く(源泉徴収) ・ クーポン適用 → 保険料控除・配偶者控除などをまとめて反映 ・ 幹事が清算 → 会社が年末に正しい税額を再計算 ・ 200円返金 → 払いすぎた税金の還付 → 参加者(従業員)一人ひとりがレジで会計(確定申告)しなくても、正しい金額の支払(納税)になります。 ※年末調整により控除を受けることができる規定は、確定申告でも適用を受けることができます。 勤務先の会社に資料の提出などが間に合わず、年末調整で控除してもらえなかった場合などは確定申告を行いましょう。 3-3 新NISAとiDeCo ★★★★☆(制度の違いと使い分け方) 新NISA=将来の運用益に税金がかからない制度(利益・配当・売却益が非課税)。 iDeCo=拠出する掛金が「所得控除」になり、拠出した年の税金が軽くなる年金制度(60歳まで引き出し不可)。 3-3-1 新NISAとは? 新NISAは、投資により生まれた利益(配当や売却益など)を非課税にする制度です。通常、投資で得た利益には約20%の所得税等と住民税がかかります。(投資により生じた利益についての税率は基本的に一律です。) NISA制度は改正により令和6年から投資できる金額の上限が増えるなど使い勝手が良くなりました。 “新”が付いているのは令和6年以降のNISA制度のことです。 年間上限:つみたて投資枠 120万円/成長投資枠 240万円(併用で年360万円まで)です。 非課税保有限度額は1,800万円(うち成長枠は1,200万円まで)です。 非課税期間は無期限、売却すると売却分の枠が翌年に復活します。 3-3-2 iDeCo(個人型確定拠出年金)とは? iDeCoは、自分でつくる年金制度です。 給与の一部を将来の自分のために年金として積み立てます。 その積み立てのために拠出した掛金は、全額が控除(第1章の②所得控除)できます。 所得控除のため、所得が高く税率の高い人ほど効果が大きくなります。 なお、自分でつくる年金制度のため、拠出した掛金は原則として60歳までは引き出すことができません。 また、勤務先の年金制度により拠出できる掛金の上限が異なります。 令和7年の掛金限度額は次の通りです。掛金限度額は改正により頻繁に変更されているためご注意ください。 ・企業型DCなし:月23,000円まで ・企業型DCあり:月20,000円まで 拠出した掛金は自分で選んだ運用商品で運用することになりますが、そこで生じた運用益は非課税になります。 60歳を超えて受取る際は、一時金受取だと退職所得控除、年金受取だと公的年金等控除が受けられ一定の金額までは税金がかかりません。 3-3-3 新NISAとiDeCoの違いのまとめと使い分け 新NISAとiDeCoの違いをまとめると以下の通りになります。 最も注意すべき点はiDeCoの引き出せる時期が60歳以降という点です。 節税にはなりますが、それ以上に掛金を拠出するため、毎月の手取額は減少します。 日々の生活資金が厳しい方や、教育費などにお金がたくさんかかる時期はおすすめできません。 将来に備え貯蓄する資金がある方は、単に銀行に預けておくよりも、iDeCoを活用して税制優遇を受けながら積み立てるのがよいでしょう。 新NISAも運用益が非課税となる制度のため、運用により利益が出ないとメリットがありません。 運用が損の場合は新NISAを活用しても税制のメリットは全くありませんし、資産が目減りしてしまいます。 運用は慎重に行いましょう。 生活費や教育費など流動性が必要な時期は新NISAに比重を置き、資金に余裕が出てきたら老後資金の確保のためにiDeCoの掛金を増額するというのが無理ない活用方法だと思います。 ~新NISAとiDeCoをダイエットで考えてみる~ 皆さんは、ジム通いをしたことがありますか? 脂肪を燃焼するためには、ランニングなどの有酸素運動も効果的ですが、筋トレをして筋力をUPすることで代謝を上げることも効果的といわれています。 新NISAとiDeCoの違いは筋トレとランニングの違いに似ています。 ・新NISAは筋トレ →すぐには変化が見えにくいけれど、続けるほど代謝(お金を増やす力)が上がります。 将来、放っておいても太りにくい(税金を取られにくい)体質(家計)ができます。 ・iDeCoはランニング →やればすぐに脂肪(税金)が減り、成果が出るのも早いです。 しかし、長く続けないとすぐに戻ってしまいます。 これは、どちらか一方ではなく合わせて行うことで効果が上がるでしょう。 筋トレをして代謝を上げながら、時間や体力の余裕に応じてランニングをすることが大事です。 両方を上手く組み合わせて、健康で強い家計体質を作りましょう!! 3-3-4 新NISAとiDeCoを受けるための手続き 新NISAについては、証券会社や銀行でNISA専用口座を開設し、その口座で投資や運用を行えば自動的に非課税として取り扱われます。 iDeCoについては、年末調整で控除することができます。 毎年10月ごろに国民年金基金連合会から受け取る「小規模企業共済等掛金払込証明書」を会社に提出して年末調整で精算してもらうようにしましょう。 3-4 社会保険料控除 ★★★★☆(家族分も忘れずに) 社会保険料は、健康保険料や厚生年金保険料などが該当します。 ご自身の社会保険料だけでなく、家族の分も控除できる場合がありますので控除をうまく使うことで税金を抑えることができます。 3-4-1 社会保険料控除とは その年に支払った社会保険料を、所得から差し引ける(所得控除)制度です。 会社員なら、給与から天引きされる健康保険料・厚生年金保険料などが自動的に対象になります。 3-4-2 家族分も控除できる(生計一親族) 自分の分だけでなく、生計一親族分を払っている場合は、社会保険料控除に含められます。 ※「生計一」とは、同居が原則ですが、仕送り等で家計を一体で賄っていれば同居でなくても該当します。 例:大学生の子どもの国民年金保険料、配偶者の国民年金保険料や介護保険料など 3-4-3 いちばん大事:払った人の控除になる!! 社会保険料控除は実際の支払者から差し引かれます。 妻の年金から天引きや妻の口座から引落しされている場合は、妻が支払者となり妻の控除となります。 したがって、夫から控除することができません。 夫から控除するためには、夫の口座からの引落し、もしくは、現金払いにする必要があります。 (給与から天引される社会保険料などは基本的に支払方法を変更することができません。) 社会保険料控除は所得控除のため、税率の高い人から適用を受けた方が有利です。 奥様の税率が低い(若しくは税金が発生しない)のであれば、ご主人から控除した方が世帯全体では有利になります。 3-4-4 控除を受けるための手続き 年末調整で控除することができます。 「社会保険料控除証明書」や「領収書・口座振替控えなど」を会社に提出して年末調整で清算してもらうようにしましょう。 3-5 医療費控除・セルフメディケーション税制 ★★★☆☆(狙える年にまとめて使う) 医療費控除は、医療費の負担が多い年に税金の優遇が受けられる制度です。 医療費を同じ年にまとめることで税金を抑えられる場合があります。 3-5-1 医療費控除とは? 1年間(1月〜12月)に支払った医療費が多い年に、所得から差し引ける所得控除(200万円限度)です。 自分や家族(生計を一にしている配偶者・子ども・親など)の医療費を合計して、10万円(所得が200万円未満の場合は所得の5%)を超えた分が控除の対象になります。 なお、医療費の負担が多い場合に差し引ける制度のため、入院給付金など補填されたものは除く必要があります。 3-5-2 対象になる医療費 対象になる医療費は次のような治療目的の支出です。 ・病院・歯科での診療費・治療費 ・処方箋による薬代 ・通院のための交通費(公共交通機関分) ・入院費・部屋代・食事代(自己負担分) ・出産費用(分娩料・入院費など) ・整骨院・整体(治療目的のものに限る) 美容目的や予防目的の支出(美容整形・サプリ・予防接種など)は対象外です。 あくまで『治療のために支出』したものが対象です。 3-5-3 控除を受けるための手続き 医療費控除は年末調整では対応できません。 控除を受けるためには確定申告が必要です。 なお、医療費の領収書などは、税務署への提出は不要ですが、保管をしておく必要があります。 適用を受ける年の領収証は大事に保管をしておきましょう。 3-5-4 よくある誤解と効率的に使う方法 医療費控除は、10万円超えたらすべて控除できるわけではありません。 年間の医療費合計が11万円の場合、控除できるのは11万円ではなく1万円(11万円-10万円)だけです。 そのため、医療費の支払が多い年はできる限りその年に医療費を集めることで有利になります。 たとえば、入院や出産などがあり、今年すでに11万円の医療費の支払いがあったとします。そして、歯医者で20万円のインプラント治療を勧められました。 急いで今年中にインプラント治療をするのとスケジュールに無理がない翌年に行うのとどちらが良いでしょうか? (翌年、医療費がかからない前提で考えます。) ・今年インプラント治療受けた場合 今年 医療費31万円 → 控除21万円 翌年 医療費 0 → 控除0 控除合計 21万円 ・翌年インプラント治療を受けた場合 今年 医療費11万円 → 控除1万円 翌年 医療費20万円 → 控除10万円 控除合計 11万円 このように、今回のケースでは今年治療を受けた方が、控除額が10万円多くなります。 医療費の支払を調整することは難しいですが、年末年始に必要な通院や歯医者など多少の調整ができるものもあると思います。 可能な限り、医療費の支払が多くなる年に医療費の支払いをまとめることで控除を多く取りましょう。 ただし、医療費控除の上限は200万円になっていますのでご注意ください。 また、医療費控除は生計一親族の分を合計できます。また、医療費控除は所得控除です。 そのため、所得の高い人から控除をした方が有利になります。ご夫婦共働きの場合は、所得の高い方から控除をするようにしましょう。 なお、社会保険料と同じく、実際の負担者からの控除となりますのでご注意ください。 3-5-5 セルフメディケーション税制の検討も 医療費控除の代わりに、「セルフメディケーション税制」を使う方法もあります。 セルフメディケーション税制とは、市販薬(スイッチOTC医薬品)を12,000円以上購入した場合にその超えた金額(88,000円限度)を所得から差し引ける所得控除です。 考え方は医療費控除と同様です。 ただし、医療費控除と併用して適用することはできませんのでご注意ください。 また、セルフメディケーション税制を使う場合は、健康診査など「健康の保持増進及び疾病予防に関する一定の取組」を行っている必要があります。 3-6 配偶者控除・配偶者特別控除 ★★★☆☆(“壁”を意識して上手に調整) 配偶者控除・配偶者特別控除は、適用の可否や控除金額について、細かく所得基準が設けられています。 この基準(壁)を確認し、控除を有効に使うことが大事です。 3-6-1 配偶者控除・配偶者特別控除とは? 配偶者控除・配偶者特別控除は、所得が少ない配偶者(主に専業主婦・主夫など)を扶養している人の税金を軽くする制度です。 配偶者控除は、配偶者の所得が58万円以下(給与収入で123万円以下)であれば、配偶者控除を受けることができます。 配偶者の給与収入が123万円を超えると、次の「配偶者特別控除」に切り替わります。 配偶者特別控除は給与収入が201万5,999円までは適用されますが、控除額が段階的に減額されます。 なお、いずれの規定も適用を受ける人(扶養する人)の所得が1,000万円(給与収入だと1,195万円:介護・子育て世帯の場合は1,210万円)を超える場合は適用できません。 ※介護・子育て世帯の場合は、表上の(本人の年収)の金額に15万円を加算してください。 給与収入が一定の金額を超えても、控除額は段階的に減少されるため、急に税負担が増えることはありません。しかし、頑張って収入を増やしても自身の税金が発生するだけでなく、配偶者の税金も増えることになります。 また、注意が必要なのが社会保険料です。 給与収入が130万円(勤務先に規模などよっては106万円)以上になると、社会保険の扶養から外れ自分で保険料を負担する必要が生じ、手取りが大きく減ることもあります。 万が一、社会保険の扶養から外れてしまった場合は、「3-4社会保険料控除」で紹介した通り、所得の高い人(税率の高い人)から控除を受けるように準備をしておきましょう。 3-6-2 配偶者控除・配偶者特別控除の適用を受けるための手続き 年末調整で控除することが可能です。 会社に配偶者の年収見込額を申告することで、会社が控除額を算出し年末調整してくれます。 3-7 扶養控除・特定親族特別控除 ★★★☆☆(子ども・親の扶養を見直す) 扶養控除・特定親族特別控除は、配偶者を除いた家族(子ども・両親・祖父母など)が対象となります。 配偶者・配偶者特別控除と同様にその家族の所得に応じて適用の可否や控除金額について所得基準が設けられています。 また、その家族の年齢によっても控除できる金額が異なります。 ※年齢はその年の12月31日現在の年齢です。 3-7-1 扶養控除・特定親族特別控除とは? 扶養控除は、一緒に生活している家族(生計を一にする親族)の所得が少ない場合に、扶養している人の税金を軽くする制度です。 その家族の所得が58万円以下(給与収入で123万円以下)であれば、扶養控除を受けることができます。 ただし、児童手当が支給されるため16歳未満の子どもは対象外となります。また、児童手当の拡充により16歳以上19歳未満は控除額の縮小が予定されています。 ※直系尊属とは、父、母、祖父母などが該当します。 なお、19歳以上23歳未満は配偶者控除と同じように給与収入が123万円を超えると、「特定親族特別控除」に切り替わります。 特定親族特別控除は、令和7年以降から適用される規定で給与収入が一定の金額を超えた場合、急に扶養している人の税負担が上がるのを避けるために設けられました。 配偶者特別控除と同じく、段階的に控除額が減額されるため、急に税負担が増えることはありません。しかし、頑張って給与収入を増やしても自身の税金が発生するだけでなく、扶養している人の税金の負担も増えることになります。 また、誰から控除を受けるか選ぶことも必要です。 たとえば、両親が共働きで16歳の子どもがいる場合、両親ともに扶養控除を受けることはできません。扶養控除が受けられるのは父、母どちらか一方のみになります。 では、父と母どちらから扶養控除を受けた方が良いのでしょうか?? 扶養控除は、所得控除になります。税率を乗じる前の控除ですので税率の高い人(所得の高い人)から控除した方が有利になります。 したがって、共働きの場合は、所得の高い方から扶養控除の適用を受けるようにしましょう。 3-7-4 扶養控除・特定親族特別控除の適用を受けるための手続き 年末調整で控除することが可能です。 会社に扶養親族の生年月日や年収見込額を申告することで、会社が控除額を算出し年末調整してくれます。 ~○○万円の壁を整理してみた~ 年収には、税金や社会保険の取り扱いが変わる境目(いわゆる「壁」)がいくつかあります。制度ごとに壁の年収が異なるため分かりづらいのですが、要点をまとめます。 注意したい主な壁 ・社会保険の負担の壁 106万円もしくは130万円(勤務先の規模などにより異なる) ※ 加入した月以降の毎月保険料が発生します。 19歳以上23歳未満は150万円の特例があります。 ・扶養控除の適用の壁 123万円(特定親族特別控除に切り替わる19歳以上23歳未満以外) ※ 超えると一般の扶養控除は適用できなくなります。 23歳の子どもが壁を1万円超えたことで、親の税金が10万円増えるということがおきます。 あまり気にしなくていい壁 ・住民税・所得税がかかる壁 110万円と160万円(各種控除や扶養している親族がいない場合) ※ 壁を越えても、税金がかかるのは「超えた部分」に対してのみです。 そのため、壁を越えたことにより超える前よりも手取りが減るということはありません。 なお、住民税がかかる壁の金額については、住んでいる地域により多少異なります。 ・上記以外の壁 ※ 配偶者特別控除や特定親族特別控除に「切り替わる」「段階的に縮小」「適用がなくなる」もので壁を超えることで急に税負担が増えるというものではありません。 3-8 生命保険料控除・地震保険料控除 ★★★☆☆(小さな積み重ねが効く控除) 控除額は大きくありませんが、毎年きっちり使えば10年で確かな差になります。 年末調整で控除できるため、大きな手間なく効果が得られます。 必要な保険に加入しつつ、税金もしっかり抑えるのが賢い選び方です。 3-8-1 生命保険料控除とは? 生命保険や個人年金保険などに加入している人が、1年間に支払った保険料の一部を所得から差し引ける(所得控除)制度です。 控除額は大きくありませんが、毎年使えるので、長く続けると意外に大きな効果になります。 3-8-2 控除の種類と上限額(平成24年以降契約の新制度の場合) 生命保険料控除の区分と上限は次のとおり(所得税/住民税で上限が異なります)。 ※令和8年は、23歳未満の扶養親族がいる場合は6万円になります。 ※支払保険料がそのまま丸ごと控除されるわけではありません。区分ごとに定められた算式で計算した額が控除になります。 年間8万円超の保険料で、その区分の所得税の上限4万円に到達します(住民税は5.6万円超で上限2.8万円)。 3-8-3 保険の種類による効果の違い(加入の検討) 保険料控除は「支払った金額」が対象になるため、掛け捨て保険でも節税効果はあります。 ただし、税金は抑えられますが、実際に保険料を払うので手取りは減少します。 一方で、養老保険や個人年金保険な積立型(貯蓄性保険)であれば、 「加入時に保険料控除で節税」 「将来、保険金の給付が受けられる」 とトータルとして手取りがプラスになる場合もあります。 どんな保険でも、まずは「必要な保障を備える」ことが第一です。 そのうえで、保険料控除という“おまけの節税”も上手に活用すれば、保障と節税の両方の効果が得られます。 上限は小さくても、毎年欠かさず使い続ければ長い目で家計に確かな差が生まれます。 3-8-4 地震保険料控除も忘れずに 自宅や家財の地震リスクに備える保険が対象(火災保険のみは対象外)です。 所得税の控除額は、支払った保険料の金額で上限が5万円です。住民税の控除額は、支払った保険料の1/2の金額で上限が2.5万円です。 地震保険料を支払っている場合は、忘れずに所得控除を受けましょう。 3-8-5 控除を受けるための手続き 年末調整で控除することができます。 毎年10月ごろに保険会社から受け取る「生命保険料控除証明書」や「地震保険料控除証明書」などを会社に提出して年末調整で清算してもらうようにしましょう。 3-9 不動産投資による節税 ★★☆☆☆(“節税のため”は非推奨/投資として成立が大前提) 不動産投資をすると「節税になる」と聞いたことがある方も多いでしょう。 たしかに、うまく活用すれば税金の負担を軽くできます。 ただし、節税だけを目的に不動産投資を始めるのはおすすめできません! 3-9-1 なぜ不動産投資をすることで節税になるのか? 理由は、不動産投資による「税金計算上の赤字」を給与所得と相殺することができるからです。 つまり、不動産投資が赤字になればその分の税金が減ります。 ここで重要なのは、「税金計算上の赤字」ということです。 税金計算上の赤字ではなく、実際に赤字になっている場合も給与所得と相殺して税金が減りますが、不動産投資の赤字を補填する必要があるため手取りも減ります。 では、税金計算上の赤字とはどういうことでしょうか? 代表的な仕組みは「減価償却費」という税金計算の方法によるものです。 「減価償却費」とは、購入した建物などの購入代金を数年から数十年かけて毎年少しずつ費用にしていく税金の計算方法です。費用化する年数は建物の構造や築年数などにより異なります。 たとえば、1,800万円の建物を20年かけて減価償却する場合は、 「1,800万円÷20年=年90万円」 が減価償却費として費用になります。 たとえ、建物の市場価値が変らなくてもこの90万円は費用とすることができます。 つまり、一切、損をしていないのにもかかわらず毎年90万円の費用を作ることができるのです。 この費用を含めて赤字になっているのが、税金計算上の赤字です。 では、この税金計算上の赤字は最後どうなるのでしょうか?? 結論は、売却した時に清算されます。 先ほどの建物を15年経過後に1,800万円で売却したとします。 購入代金と同じでも、税金の計算上は売却益が発生します。 売却代金:1,800万円 取得費 :450万円 1,800万円(購入代金)-1,350万円(減価償却費累計額) 売却益 :1,350万円 不動産の売却益は、基本的に一律で5年超保有している場合は約20%(所得税等と住民税)です。 つまり、売却益の1,350万円には、約20%である約270万円の所得税等と住民税がかかります。 最後に、購入から売却までの全体を確認してみます。 なお、減価償却費以外の諸費用と賃料収入が同額で、減価償却費がそのまま毎年の不動産投資の赤字になっていたとします。 また、この不動産投資をした方が、給与収入の高い方で毎年の所得税等と住民税の最高税率(その方が適用される一番高い税率区分)が約50%(所得税等が約40%、住民税が10%)だったとします。 そうすると、15年間で約675万円(1,350万円×約50%)の所得税等と住民税が減額されます。 売却益にかかる所得税等と住民税が約270万円(1,350万円×約20%)なので、 差額である約405万円について所得税等と住民税の税負担が軽減されたことになります。 3-9-2 不動産投資をする場合は細心の注意を 先ほどの例は、不動産の価格が下がらず、不動産の賃料と諸経費が同額だった場合(つまり、不動産投資で損をしていない場合)です。 不動産投資は、借入利息の上昇や入居者が決まらない空室リスク、災害による不動産の損害、価額の下落などさまざまなリスクがあります。 そのため、節税のためだけに不動産投資を行うのはおすすめできません。 もちろん、投資で利益がでれば、その分の税金も増えますが、手取りも増えます。 節税のためだけでなく、投資としてやるべきかしっかり検討をしたうえで判断をしましょう。 3-9-3 “似た仕組み”の節税にも同じ注意 不動産に限らず、同様の“節税スキーム”は世の中にたくさんあります。 ・税金は軽くなっても「投資全体はマイナス」にならないか?? ・大事な資金の投資先として問題ないか? 投資をする場合は、よく検討をしてください。 3-9-4 手続き 不動産投資の場合は、確定申告をする必要があります。 家賃などの賃料収入や固定資産税、管理費、損害保険料、減価償却費などの経費を計算して申告をする必要があります。 不動産投資が赤字の場合は、確定申告をすることで給与所得と相殺することができます。 第4章 まとめ いかがでしたか? 自分に合った制度について選択し、仕組み化してしまえば毎年の手取りを継続的に改善できるでしょう。 1年当たりの節税額が大きくなくても毎年続けば大きな効果を得ることができます。 最初は難しく実行するのに抵抗があると思いますが、一度やってしまえばそれ以降はそこまで負担なく実行することができると思います。 継続的に効果を得ることが大事なので1つでも2つでも今年中に実行しましょう!! 12の対策のおさらい ①ふるさと納税(自己負担2,000円で翌年の住民税等↓) ②住宅ローン控除(初年度は申告必須/年残高×0.7% 等) ③新NISA(将来の運用益が非課税/長期前提) ④iDeCo(今年の所得控除・60歳まで原則引出不可) ⑤社会保険料控除〈家族分含む〉(支払額全額が所得控除) ⑥医療費控除 or ⑦セルフメディケーション(同一年は選択適用) ⑧配偶者控除・配偶者特別控除(配偶者収入に応じて段階縮小) ⑨扶養控除・特定親族特別控除(19〜22歳は段階縮小) ⑩生命保険料控除 + ⑪地震保険料控除(別枠で併用可) ⑫不動産投資による節税(赤字通算/投資として成立が大前提) 最後までお読みいただきありがとうございます。 この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。 なお、この記事は令和7年10月現在の法令に基づき記載をしています。また、本記事は一般的な情報提供であり、個別の判断は専門家へご相談ください。
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国際相続のすべて:海外に財産や相続人がいる場合の手続きと税金を徹底解説
「海外に財産があるけれど、その相続手続きは問題ないだろうか」 「子どもが海外に住んでいるけれど、ちゃんと財産を相続できるだろうか」 そんな悩みを持つ方が増えています。 グローバル化が進み、国をまたいだ相続、いわゆる「国際相続」が増えている一方、その手続き、税金の取り扱いはとても複雑です。 本記事では、国際相続の手続きと税金の概要について整理し、何に注意すべきか、ということを分かりやすく説明します。 将来の国際相続に備え、今自分がすべきことを把握し実践していきましょう。 第1章 国際相続とは? まず、「国際相続」とはどんな相続のことを言うのか、その定義と通常の日本国内の相続との違いを確認しましょう。 1-1 国際相続の定義と特徴 まず、国際相続とは、一言で言うと「国をまたぐ相続」です。 具体的には、相続の当事者である被相続人(亡くなった人)や相続人(遺産を相続する人)、または相続財産が複数の国にまたがっている場合を言います。 例えば、以下のようなケースの相続です。 ・被相続人(亡くなった人)や相続人(遺産を相続する人)に海外に住んでいる人がいる ・被相続人(亡くなった人)が海外に財産を持っている ・被相続人(亡くなった人)や相続人(財産を相続する人)に外国籍の人(外国人)がいる 【国際相続のイメージ】 これらのケースでは、日本国内の相続と比べて、「どの国の法律を適用するか」「どの国で税金が発生するか」という判断が必要となります。 つまり、国際相続は「法律」と「税金」の両面で複数の国のルールが絡み合うのが最大の特徴です。 1-2 日本国内の相続との違い 日本国内だけで完結する相続の場合、適用されるのは原則として日本の法律である民法と相続税法です。 財産の把握から遺産分割協議、不動産の相続登記や口座解約、そして相続税申告まで、その手続きは国際相続に比べるとシンプルです。そして、これに対応できる日本国内の専門家(弁護士や税理士等)も数多く存在します。 一方、国際相続では次のような違いが生じます。 日本国内の相続と国際相続の比較 国際相続では海外の専門家との連携が必要となるため、日本の窓口となる日本の専門家にはその対応力が求められます。 1-3 国際相続のポイント 国際相続における相続手続きの一般的なポイントをざっくりとまとめると以下の通りとなります。 ・相続人が海外に住んでいる場合は、サイン証明書や在留証明書が必要となる。 ・財産が海外にある場合は、現地の法律に従った相続手続きが必要(プロベート手続きは大変)。 ・亡くなった人、または、相続人が外国籍の場合には、戸籍の代わりとなる相続関係を証明する書類。(出生証明書、婚姻証明書、死亡証明書、宣誓供述書など)が必要。 ・日本と海外両方の相続税(遺産税)が発生する可能性がある。その場合、二重課税を防止するための外国税額控除の検討が必須。 以下にさらに具体的に国際相続のポイントを見ていきましょう。 第2章 国際相続となる典型的なケースとその手続きのポイント 次に国際相続となるよくあるケースとその具体的な手続きのポイントについて紹介します。 2-1 日本国籍の相続人(財産を相続する人)が海外に住んでいる もっともよくあるのが、日本に住んでいる日本国籍の方が亡くなり、その相続人(日本国籍)の一人が海外に住んでいるケースです。この場合の相続手続きには以下のような留意点があります。 なお、亡くなった方の遺産は日本に所在しているものだけ、という前提としています。 (1)手続きのポイント 相続人が海外に住んでいる場合でも、遺産分割協議や遺産の名義変更手続きの基本的な流れは通常の日本国内の相続の場合と同じです。手続き自体は日本の法律に基づき日本国内で進めるためです。 ただし、通常の日本国内の相続の場合に加えて、以下の追加のステップが必要となります。 海外に住む相続人がその居住地の在外公館(大使館、総領事館)へ出向き、以下の書類を取得する。 ・サイン証明書(印鑑証明書の代わり) ・在留証明(住民票の代わり) (2)手続きに必要な書類 手続きにあたっては、在外公館(大使館、総領事館)で「サイン証明書」と「在留証明書」を取得する必要があります。 通常、相続による名義変更手続きなどを行う場合には手続き先の法務局や金融機関から「印鑑証明書」や「住民票」の提出を求められます。しかし、海外に住んでいる方はこれらの書類が発行されないため、これに代わる書類として「サイン証明書」と「在留証明書」を提出することとなります。 通常、日本にある財産の相続手続きにあたっては以下の書類が必要となります。 ・相続を証明する書類(戸籍) ・住所を証明する書類(住民票等) ・遺産分割協議書と印鑑証明書(遺言が無い場合) (3)手続きの注意点 ①海外に住んでいる相続人がいる場合は遺産分割協議に時間を要する 相続人が海外に住んでいる場合は以下のような理由で遺産分割協議の成立に時間を要することが多いため、注意が必要です。 ・相続人が海外に住んでいる場合、時差があるため、話し合いのタイミングが限られる ・海外に住む相続人は遺産分割協議書に自筆の署名をする必要があり、国際郵便等による書面のやり取りに日数を要する ・遺産分割協議書に添付するサイン証明書を取得するための在外公館の予約が数週間先まで取れないことがある ○遺産分割協議が遅れるリスク その1 亡くなった方の遺産は、原則的に相続人全員の同意に基づく遺産分割協議が成立しなければ財産の換金や相続人への名義変更をすることができません。 例えば日本の相続税がかかる場合、その申告・納税期限は財産を持っていた方が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内となっており、それまでに財産の換金や相続人への名義変更が完了していなければ納税資金が不足してしまう可能性があります。 ○遺産分割協議が遅れるリスク その2 日本の相続税には遺産分割協議が整っていないと受けられない特例(配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例)があり、期限までに遺産分割協議が整っていない場合には一度特例を使わない前提での申告・納税が必要となり、一時的な税負担が大きくなってしまいます。(遺産分割協議が整った後、「更正の請求」という手続きを行うことで税金の還付を受けることが可能です。) 以上のようなリスクがあることから、相続人に海外に住んでいる方がいる場合は早くから遺産分割協議を進めることが重要です。 ②国外転出時課税に注意 日本に住んでいる1億円以上有価証券を保有する人が亡くなった場合で、 ・海外に住んでいる相続人が当該有価証券を相続するとき もしくは、 ・被相続人が亡くなった日から4ヶ月(準確定申告の申告期限)以内に遺産が未分割であるとき など に該当する場合は、準確定申告(被相続人の亡くなった年分の所得税の確定申告)において当該有価証券を譲渡したものとみなして所得税の計算を行い納税しなければなりません。 相続人が海外に住んでいるケースでは、この制度に当てはまってしまう方も少なくないと思われますので注意が必要です。 (4)日本の相続税と海外の相続税 日本の相続税は日本に住んでいる方が亡くなった場合は海外にある財産を含むその全ての財産が対象となります。 相続人が海外に住んでいるからといって、日本の相続税がかからなくなる、ということはありません。 また、相続人の住んでいる国(州)の相続税が発生する可能性もあるため注意が必要です。 2-2 日本に住んでいた被相続人(亡くなった人)が海外に財産を持っている 次によくあるのが、日本に住んでいた日本国籍の被相続人(亡くなった人)が海外に不動産や金融資産といった財産を持っているケースです。この場合の相続手続きには以下のような留意点があります。 なお、亡くなった方の相続人は日本国籍で日本に住んでいる方だけ、という前提としています。 (1)手続きのポイント 海外にある財産については、その所在地の法律に従って相続手続きを行わなければなりません。 例えば、アメリカ(主にハワイやカリフォルニア)に別荘を所有していたり、海外の証券口座や預金口座を持っていたりするケースが典型です。 この場合、財産の所在地の法律に従って財産がある国(州)で別途相続の手続きを行わなければならないことが通常です。 例えば、アメリカにある財産を相続するにあたっては、原則としてアメリカでのプロベート手続き(遺産を裁判所の監督のもとで整理・分配する手続き)が必要となり、現地の弁護士や裁判所の関与が無ければ解約や名義変更といった相続手続きができないこととなります。このプロベート手続きには相当の時間(通常半年~数年)と専門家に対する費用を要することになります。 【「プロベート手続き」ついてはこちらの記事をご参照ください。】 (2)手続きに必要な書類 海外にある財産を相続するにあたって必要となる書類は財産の所在地の法律により異なりますが、主に以下のような書類は必要となることが通常です。 【必要書類の例】 ・被相続人の死亡診断書(英訳し公証したもの) ・相続人を証明する戸籍(英訳し公証したもの) ・遺言書(作成している場合) 実際には現地の専門家と連携して必要となる書類を確認していくこととなります。 (3)手続きの注意点 海外の財産を相続するにあたってプロベート手続き等が必要となる場合、その手続きには数年を要する場合もあります。 一方、日本の相続税の申告・納税期限は原則的に財産を持っていた方が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内となっており、この期限までに海外の財産(評価額)の確定、相続による納税資金の確保ができない可能性があります。 そして、この期限に申告・納税が遅れると「無申告加算税」や「延滞税」といったペナルティの税金が発生し、最悪の場合、財産が差し押さえられることとなります。 これを防ぐために、以下のような対応が必要となる場合があります。 ・申告期限までに一旦仮の内容で相続税申告書を提出し、財産が確定次第、修正の申告(更正の請求)を行う。(無申告加算税が発生することを防ぐ) ・納税できる分の納税をした上で不足分の税金については「換価の猶予」の申請を行う。(財産が差し押さえられたり、延滞税の利率が上昇することを防ぐ) どのような対応を行うかについては、その相続ごとに個別の判断が求められます。 税金の申告には期限があり、これを過ぎると取り返しがつかない損失が発生することも多々あります。 海外に財産がある場合の相続税申告については国際相続に詳しい税理士のアドバイスを受けることが肝要です。 (4)日本の相続税と海外の相続税 日本の相続税は日本に住んでいる方が亡くなった場合は海外にある財産を含むその全ての財産が対象となります。 また、財産の所在している国(州)の相続税が発生する可能性もあり、この場合、日本と海外の両方で課税される「二重課税のリスク」があることとなります。 この二重課税を防ぐため、租税条約や外国税額控除の適用の確認が欠かせません。 2-3 被相続人が外国籍(日本在住)、または、外国籍(日本在住)の相続人がいる 次によくあるのが、被相続人(亡くなった人)が外国籍で日本に住んでいる場合、または、相続人が外国籍で日本に住んでいるケースです。この場合の相続手続きには以下のような留意点があります。 なお、説明に当たり、 ・被相続人(亡くなった人)が外国籍で日本に住んでいる場合→相続人は日本国籍で日本に住んでいる前提 ・相続人が外国籍で日本に住んでいる場合→被相続人(亡くなった人)は日本国籍で日本に住んでいる前提 とします。 【被相続人(日本在住)、または、相続人(日本在住)が外国籍の場合の相続について、詳しくはこちらの記事をご参照ください。】 (1)手続きのポイント(準拠法) ①被相続人(亡くなった人)が外国籍で日本に住んでいる場合の手続きのポイント(準拠法) 被相続人(亡くなった人)が外国籍の場合、日本の法律に従うと、原則的には被相続人(亡くなった人)の本国法(国籍を持っている国の法律)に基づいて相続の内容(法定相続人や相続分など)が決まることとなります。 ただし、例えばその本国の法律が、「不動産は所在地の法律に従うこと」と定めている場合は不動産が所在する国の法律に従うこととなります。この場合結果的に、日本に所在する不動産は日本の法律に基づいて相続の内容(法定相続人や相続分など)が決まることとなります。 被相続人の本国法によって取り扱いが異なることとなり、また、本国法によっては被相続人の財産の種類、財産の所在地、生活の本拠地がどこであるかで最終的に従うべき法律が異なることとなります。 海外の財産について相続による名義変更手続きを行う場合、準拠法が日本法となる場合においても、実際の名義変更手続きが日本の法律に従って進められるかというとそのようなことはほとんどなく、財産所在地の法律に従わなければ名義変更手続きができないことが通常です。 例えば、アメリカでは原則としてプロベート手続き(遺産を裁判所の監督のもとで整理・分配する手続き)が必要となり、プロベート手続きには相当の時間(通常半年~数年)と費用を要することになります。 【「プロベート手続き」ついてはこちらの記事をご参照ください。】 ②相続人が外国籍で日本に住んでいる場合の手続きのポイント(準拠法) 被相続人が日本国籍の場合、被相続人の本国法である日本の法律に基づいて相続の内容(法定相続人や相続分など)が決まることになります。 この場合、相続人の国籍は一切関係ないため、相続人が外国籍であったとしても日本国籍の相続人である場合と同じ整理となります。 海外の財産について相続による名義変更手続きを行う場合、準拠法が日本法となる場合においても、実際の手続きは財産所在地の法律に従わなければ進められないことが通常です。 実際の相続手続きにあたっては国際相続に精通する現地の専門家に確認を行う必要があります。 (2)手続きに必要な書類 ①被相続人(亡くなった人)が外国籍で日本に住んでいるの場合の必要書類 ・日本国内の財産の相続手続きに必要な書類 被相続人が外国籍の場合、日本国内の財産について日本の法律に従って相続手続きを進められる場合であっても、実際の手続きにあたっては不動産の相続登記や金融機関に提出すべき必要書類が揃わないという問題が生じます。外国籍の人(外国人)には戸籍が無いためです。 したがって、戸籍に代わる以下のような書類を集める必要があります。 【戸籍に代わる書類】 ・外国籍である被相続人及びその両親、きょうだい等の出生証明書、婚姻証明書、死亡証明書 等 ・宣誓供述書(相続人が被相続人との関係及び被相続人の法定相続人を確認する内容のもの) ・外国人登録原票、日本における出生届、婚姻届 等(日本に居住する被相続人の場合) なお、これらの書類は外国語で作成されるため、手続きに使用するにあたっては日本語訳を添付する必要があります。 【再掲】通常、日本にある財産の相続手続きにあたっては以下の書類が必要となります。 ・相続を証明する書類(戸籍) ・住所を証明する書類(住民票等) ・遺産分割協議書と印鑑証明書(遺言が無い場合) ・海外の財産の相続手続きに必要な書類 海外にある財産を相続するにあたって必要となる書類は財産の所在地の法律により異なりますが、主に以下のような書類は必要となることが通常です。 【必要書類の例】 ・被相続人の死亡診断書(英訳し公証したもの) ・相続人を証明する戸籍又は宣誓供述書(英訳し公証したもの) ・遺言書(作成している場合) 実際には現地の専門家と連携して必要となる書類を確認していくこととなります。 ②相続人が外国籍で日本に住んでいる場合の必要書類 ・日本国内の財産の相続手続きに必要な書類 被相続人が日本国籍である場合、その準拠法は日本の法律となり、日本国内の財産の相続手続きを行う場合には一般的な日本の相続手続きと大きく変わることはありません。 しかし、その相続人が外国籍である場合、戸籍が無いためこれに代わって以下のような書類を集める必要があります。 ・外国籍の相続人の出生証明書、婚姻証明書 等 ・宣誓供述書(相続人が被相続人との関係及び被相続人の法定相続人を確認する内容のもの) ・外国人登録原票、日本における出生届、婚姻届 等(日本に居住する相続人の場合) なお、これらの書類は外国語で作成されるため、手続きに使用するにあたっては日本語訳を添付する必要があります。 ・海外の財産の相続手続きに必要な書類 相続人が外国籍であっても、海外の財産の相続手続きに必要な書類は、上記「被相続人(亡くなった人)が外国籍で日本に住んでいる場合の必要書類」と同様となります。 (3)手続きの注意点 被相続人(亡くなった人)が外国籍の場合、または、相続人が外国籍の場合、いずれにおいても日本国内の財産の相続手続きにあたっては、その外国籍に方にかかる「戸籍に代わる書類」を準備する必要があります。また、海外の財産を相続するにあたっては、その所在地の法律に従った対応が求められることとなります。 (4)日本の相続税と海外の相続税 被相続人、または、相続人が外国籍である場合、相続税については日本の相続税と海外(国籍の国や財産の所在地)の相続税の両方が課税されることがあり、両国の税制や租税条約を確認する必要があります。 なお、被相続人が外国籍の場合も日本の相続税を計算する上での「法定相続人の数」や、「法定相続分」は日本の民法に基づいて判断することとなります。 2-4 海外専門家(弁護士等)との連携 これまで説明してきた通り、国際相続には海外の専門家との連携が不可欠となります。 また、以下のようなケースで日本国内と海外の専門家がそれぞれの持つ情報を共有し合うというのもとても大事です。 【情報共有が重要となるケース】 ・日本にある財産の相続手続きのために日本の弁護士等が収集した戸籍等の情報を、海外の財産の相続手続きのために現地の弁護士に共有する ・海外に所在する財産について現地の税理士・会計士が行った相続税申告の情報を、日本の相続税申告で外国税額控除の適用を受けるために日本の税理士に共有する ポイントとしては、まずメインの担当となる日本で国際相続手続に精通する専門家(国際弁護士や税理士)を選定し、その方を起点として国内外の専門家を選定し、専門家同士のスムーズな情報共有を図ることが重要です。 専門家が情報をスムーズに共有できれば、二度手間が減り、相続手続きを最短で進めることができます。 逆に言えば、情報共有がうまくいかないと相続手続きにより多くの時間を要することとなります。 想像していたよりも倍以上の期間がかかってしまった、、、というのはよくあるケースです。 第3章 国際相続における税金の仕組み 国際相続においてよく大きな問題になるのが税金です。複数の国の税制度が絡み合い、発生した税金には申告と納税の期限があるためです。国際相続に関する税金の概要について確認をしていきます。 3-1 日本の相続税と海外の相続税(遺産税)の違い (1)相続税(遺産税)制度がある国とない国 まず、相続税(遺産税)の制度がある国とない国があります。 実態として、相続税(遺産税)がない国も多数あります。 (2) 遺産取得方式(相続税)と遺産税方式(遺産税)について 「人が亡くなったことを起因として生じる財産の移転」について税金がかかる場合、その制度は大きく「遺産取得方式(相続税)」と「遺産税方式(遺産税)」という2つの方法があります。 例外はありますが、両者の違いで最も大きいのはプロベート手続きが必要かどうか、という点です。 【「海外の相続税」についてはこちらの記事をご参照ください。】 3-2 二重課税が発生する仕組み このように相続税(遺産税)のルールは各国で定めているため、海外にある財産に対して日本の相続税と海外の相続税の両方がかかってしまう「二重課税」の問題が生じることがあります。 【例】 ドイツに住んでいるドイツ国籍の人が、ドイツに3億円の預金、日本に2億円の不動産がある状態で亡くなった場合 ドイツの相続税→その全ての財産5億円(ドイツにある3億円と日本にある2億円)が対象 日本の相続税→日本にある財産2億円については日本の相続税の対象 さらに、相続人が日本に住んでいる場合は、原則的に日本においても全ての財産5億円が日本の相続税の対象 このように、各国の税金が二重でかかってしまうことを「二重課税」といい、これを防ぐために「外国税額控除」という方法があります。 3-3 外国税額控除の活用 「外国税額控除」とは、簡単に言うと、「海外でも日本でも税金を払うことになったとき、日本の税金から海外で払った分を引ける制度」です。 海外の財産にその所在する国の相続税がかかった場合には、その税額を日本の相続税から控除することができる、ということになります。 具体例を示すと以下のようになります。 【例】 前提:日本に住んでいる方が、日本に7億円の財産、海外に3億円の財産がある状態で亡くなった。相続人は日本に住んでいる子ども1人。 日本の相続税:全世界の財産(10億円)に対して日本の相続税4億円が発生 海外の相続税:海外にある財産(3億円)に対して財産所在国の相続税1億円が発生 この場合、全世界の財産にかかる日本の相続税4億円から、外国税額控除によって海外の財産にかかる海外の相続税1億円を差し引き、残りの3億円だけを納めることとなります。 一方、日本の財産に海外の相続税がかかった場合には、その税額を日本の相続税から控除することができません。したがってその場合には、海外の相続税額からその国の外国税額控除のルールに基づいて日本の相続税額を控除できるかを検討することとなります。 日本の相続税申告で外国税額控除の適用を受ける場合、その控除額は以下のいずれか少ない金額となります。 ・海外で支払った相続税相当額(上記例の場合は海外の相続税1億円) ・日本で支払う相続税のうち海外財産が占める割合分の金額(上記例の場合は、日本の相続税4億円×海外財産3億円/全世界財産10億円=1.2億円) この「外国税額控除」の適用を怠ると、税金を2重で払ったままとなってしまうため、忘れずに適用を受けることが大切です。 第4章 国際相続を円滑に進めるためのポイント 国際相続は日本国内の相続に比べて複雑で、その手続きに多くの負担を要します。 次にその対策について見ていきましょう。 全ての対策に共通しているのは「生前から準備をしておくことが大切」ということです。 4-1 生前からの準備が大切(財産の移動・生前贈与・リビングトラスト・共同所有) 国際相続においてとても負担になるのが海外の相続税(遺産税)とプロベート手続きです。 この負担を軽減する具体策について確認します。 (1)財産を日本へ移す 海外のプロベート手続きを回避するために最も有効な手段は、財産をプロベート手続きがない国へ移すことです。 また、財産を国外に移すことは相続税(遺産税)の対策になることもあります。 例えば、被相続人(亡くなった人)がアメリカ非居住者である場合、アメリカの相続税(遺産税)の対象となるのはアメリカ国内の財産のみとなります。 したがって、アメリカ非居住者がアメリカにある財産を全て日本に移せばアメリカの相続税(遺産税)の心配はなくなることとなります。 (2)生前贈与 例えば、アメリカ非居住者がアメリカにある預金(無形資産)を贈与した場合、アメリカの贈与税はかからないこととなっています。 しかし、贈与者が日本人で日本在住である場合等一定の場合には日本の贈与税が発生することとなるので、この点については留意が必要です。 また、贈与したアメリカの財産はご本人の財産でなくなりますので、将来のプロベート手続きの心配はいらないこととなります。 (3)トラスト(信託)やジョイント(共同所有)の活用 海外にある財産をトラスト(信託)やジョイント(共同所有)にすることは、プロベート手続きを回避する有効な手段となります。 トラスト(信託)とは、財産を所有している人が信託契約によって信頼できる第三者に持っている財産の運用や管理、最終的な処分までを任せるものです。その契約おいて自分が死亡した時はこの人に財産を渡す、ということを定めておけばプロベートを経ずに財産を移転することができます。 また、ジョイント(共同所有)とは、財産を共同所有にすることです。共同所有者が亡くなった場合にその所有権が残りの共同所有者に移転するため、プロベート手続きが不要となります。代表的なものとしてジョイント・アカウント(共同名義の預金口座)とジョイント・テナンシー(不動産の共同所有)があります。 4-2 日本と海外の専門家チームを組む重要性 これまで説明してきた通り、国際相続には海外の専門家との連携が不可欠となります。 相続人が海外の専門家と直接やり取りをしようとした場合、言語の壁や専門性の高さから多くの負担が生じることとなります。 海外の専門家と連携を図る上でのポイントは、メインの担当として相続人の窓口となる日本の専門家(国際弁護士や税理士)を選定することです。 そして、その日本の専門家を起点として国内外の専門家を選定し、手続きを進めることが重要です。 こうすることで実際の相続手続きにおいて専門家同士のスムーズな情報共有が可能となり、不透明なことが無くなる上、無駄なく最短で手続きを進めることができます。 4-3 「国際相続に強い」税理士に相談するメリット 国際相続において最も大きな問題となり得るのが日本と海外の相続税(遺産税)です。 海外の税制や二重課税の対処など専門性の高い分野となるため、税理士の中でも「国際相続に強い」税理士に相談することがとても大事です。 また、上記のとおり、メインの担当として相続人の窓口となる日本の専門家に税理士を選定することもメリットが大きいです。 相続税(遺産税)の計算に必要となる情報には、国内外の相続の手続きに必要となる情報が多く含まれています。 したがって、日本の税理士を起点として国内外の専門家に依頼をしやり取りを進めていくことにより、よりスムーズな相続手続きが可能となります。 第5章 国際相続の相談は「税理士法人マインライフ」へ 財産が海外にあり相続の手続きが複雑になるかもしれない・・・。 そのような難しいケースでも、弊社には最適なサポート体制が整っています。 税理士法人マインライフは、新宿・津田沼を拠点に、相続・国際相続の専門家として豊富な実績を持つ少数精鋭の税理士法人です。年間数百件の相続税申告を担当しており、経験豊富な税理士が必ず最初から最後まで対応します。 マインライフが選ばれる理由 「海外が絡む相続で相続手続きをどうしたらいいのかわからない・・・。」と感じている方は、ぜひ税理士法人マインライフへご相談ください。 初回面談は無料です。ご状況をお伺いし、今すぐできる最善の方法をご提案いたします。 第6章 まとめ いかがでしたでしょうか。 国際相続は日本国内の相続と異なる点が多々ありますが、そのポイントは以下の通りです。 ・国際相続とは、一言で言うと「国をまたぐ相続」 ・国際相続は「法律」と「税金」の両面で複数の国のルールが絡み合うのが最大の特徴 ・国際相続となる典型的なケースは以下の3つ 〇日本国籍の相続人(財産を相続する人)が海外に住んでいる 〇日本に住んでいた被相続人(亡くなった人)が海外に財産を持っている 〇被相続人が外国籍(日本在住)、または、外国籍(日本在住)の相続人がいる ・それぞれのケースによって相続手続きの進め方や必要となる書類が異なる ・海外にある財産の相続についてプロベート手続きが必要となる場合、相当の時間(通常半年~数年)と費用を要することになる ・日本の相続税と海外の相続税(遺産税)には多くの違いがあり、複数国での二重課税を防ぐため外国税額控除の適用が重要 ・国際相続の対策は「生前から準備をしておくこと」が何よりも大切 ・国際相続は日本の税理士を起点として国内外の専門家を選定し手続きを進めるのが最もスムーズ ・国際相続の手続きに不安を感じたら「税理士法人マインライフ」へ! 国際相続は複数の法律や言語が絡み合いとても複雑なものになります。 スムーズな相続を実現するには生前からの準備・対策を行うことが不可欠です。 相続対策は早く始めれば始めるほど、大きな効果を生みます。 将来の相続に備えて、今できることをひとつずつ着実に行っていきましょう!
